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眺
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ながめ
ふりがな文庫
“
眺
(
ながめ
)” の例文
今まで歩いていた山路を出て、
濶然
(
かつぜん
)
たる
眺
(
ながめ
)
が
展
(
ひら
)
けた感じと、菜の花に夕日の当っている明るい感じとが、ぴたりと一緒になっている。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
水の上に映っている沈静したすべての物の影が、波紋と共にゆらゆら動いて、壁紙の絵模様のようになる……。面白い
眺
(
ながめ
)
である。
曇天
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
眺
(
ながめ
)
てゐるが此身の
藥
(
くすり
)
で有ぞかしと言を忠兵衞
押返
(
おしかへ
)
し
這
(
こ
)
は若旦那のお言葉とも
覺
(
おぼえ
)
ずお
庭
(
には
)
と雖も廣くもあらず
況
(
まし
)
てや書物に
意
(
こゝろ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
白く降り
埋
(
うず
)
んだ道路の中には、人の
往来
(
ゆきき
)
の跡だけ一筋赤く土の色になって、うねうねと印したさまが
眺
(
ながめ
)
られる。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
故意
(
わざ
)
とならぬ
眺
(
ながめ
)
はまた格別なもので、火をくれて枝を
撓
(
た
)
わめた
作花
(
つくりばな
)
の
厭味
(
いやみ
)
のある色の及ぶところでない。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
▼ もっと見る
權勢家
(
けんせいか
)
某
(
なにがし
)
といふが居て
此
(
この
)
靈妙
(
れいめう
)
を
傳
(
つた
)
へ
聞
(
き
)
き、一
見
(
けん
)
を
求
(
もとめ
)
に
來
(
き
)
た、
雲飛
(
うんぴ
)
は
大得意
(
だいとくい
)
でこれを
座
(
ざ
)
に
通
(
とほ
)
して石を見せると、
某
(
なにがし
)
も大に
感服
(
かんぷく
)
して
眺
(
ながめ
)
て居たが
急
(
きふ
)
に
僕
(
ぼく
)
に
命
(
めい
)
じて石を
擔
(
かつ
)
がせ
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
目
(
め
)
つきの
凄
(
すご
)
くて
人
(
ひと
)
を
射
(
い
)
るやうなるも
威嚴
(
いげん
)
の
備
(
そな
)
はれるかと
嬉
(
うれ
)
しく、
濃
(
こ
)
き
髮
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
を
短
(
みち
)
かく
刈
(
かり
)
あげて
頬足
(
ゑりあし
)
のくつきりとせしなど
今更
(
いまさら
)
のやうに
眺
(
ながめ
)
られ、
何
(
なに
)
をうつとりして
居
(
ゐ
)
ると
問
(
と
)
はれて
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
川は道を
稍
(
やや
)
東の方に取つて、
Deggendorf
(
デツゲンドルフ
)
の近くに来てドナウに
這入
(
はひ
)
る。
Tölz
(
テルツ
)
からもつと
水上
(
みなかみ
)
に
Lenggries
(
レンググリース
)
といふ一
小邑
(
せういふ
)
があり、
眺
(
ながめ
)
のいい城がある。
イーサル川
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
早く
頬摺
(
ほおずり
)
して
膝
(
ひざ
)
の上に乗せ取り、
護謨
(
ゴム
)
人形空気鉄砲珍らしき
手玩具
(
おもちゃ
)
数々の
家苞
(
いえづと
)
に
遣
(
や
)
って、喜ぶ様子見たき者と足をつま
立
(
だ
)
て三階四階の
高楼
(
たかどの
)
より日本の方角
徒
(
いたず
)
らに
眺
(
ながめ
)
しも度々なりしが
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
胸をドキドキさせて、遠くの方から
眺
(
ながめ
)
ていると、男は、正体を
見顕
(
みあらわ
)
された妖怪の様に、非常に慌てて、まるで風にさらわれでもした様に、向うの闇と群集の中にまぎれ込んでしまった。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
一体何者だろう? 俺のように
年寄
(
としと
)
った母親が
有
(
あろ
)
うも
知
(
しれ
)
ぬが、さぞ夕暮ごとにいぶせき
埴生
(
はにゅう
)
の
小舎
(
こや
)
の戸口に
彳
(
たたず
)
み、
遥
(
はるか
)
の空を
眺
(
ながめ
)
ては、命の綱の
掙人
(
かせぎにん
)
は戻らぬか、
愛
(
いと
)
し我子の姿は見えぬかと
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
ちよつとおりたところに、少しの広場があつて、そこから下の
眺
(
ながめ
)
がよかつた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
その娘さんは
蒼
(
あお
)
い色の美人だった。そうして黒い
眉毛
(
まゆげ
)
と黒い大きな
眸
(
ひとみ
)
をもっていた。その黒い眸は
始終
(
しじゅう
)
遠くの方の夢を
眺
(
ながめ
)
ているように
恍惚
(
うっとり
)
と
潤
(
うるお
)
って、そこに何だか
便
(
たより
)
のなさそうな
憐
(
あわれ
)
を
漂
(
ただ
)
よわせていた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
上野は
花盛
(
はなざかり
)
学校の運動会は日ごと絶えざるこの頃の
庵
(
いお
)
の
眺
(
ながめ
)
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
三人
頻
(
しきり
)
に大原の顔を
眺
(
ながめ
)
てクスリクスリと笑っている。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
五形と書くゲンゲの方なら、一望の野を美しくするかと思うが、作者が御形と書いている以上、やはりハハコグサの
眺
(
ながめ
)
と解して
已
(
や
)
むべきであろう。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
自分は握手して、黙礼して、
此
(
この
)
不幸なる青年紳士と別れた、日は既に落ちて余光華かに
夕
(
ゆうべ
)
の雲を染め、顧れば我運命論者は
淋
(
さび
)
しき砂山の頂に立って沖を
遙
(
はるか
)
に
眺
(
ながめ
)
て居た。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
引連
(
ひきつれ
)
出
(
いで
)
はしたれど
騷
(
さわが
)
しき所は素より好まねば
王子
(
わうじ
)
邊
(
あたり
)
へ立越て
楓
(
かへで
)
の
若葉
(
わかば
)
若緑
(
わかみどり
)
を
眺
(
ながめ
)
んにも又上野より
日暮
(
ひぐらし
)
里などへ掛る時は
渠
(
かれ
)
醉人の多くして
風雅
(
ふうが
)
を妨げ
面白
(
おもしろ
)
からねば音羽通を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
山の手に生れて山の手に育った私は、常にかの軽快
瀟洒
(
しょうしゃ
)
なる船と橋と
河岸
(
かし
)
の
眺
(
ながめ
)
を専有する
下町
(
したまち
)
を羨むの余り、この崖と坂との
佶倔
(
きっくつ
)
なる風景を以て、
大
(
おおい
)
に山の手の誇とするのである。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
兀山の
眺
(
ながめ
)
は
何時
(
いつ
)
にしてもありがたいものではないが、炎天下の兀山に至っては、
慥
(
たしか
)
に人を熱殺するに足るものがある。この句は大名などの行列を作って行く場合であろう。その供先に兀山が見える。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
遠き
眺
(
ながめ
)
のけぶれるに
枯葉の記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
眺
常用漢字
中学
部首:⽬
11画
“眺”を含む語句
眺望
打眺
見眺
一眺
眺入
其眺矚
再眺
後眺望
眺尽
眺矚
眺行
繰眺