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がかい
ふりがな文庫
“
瓦解
(
がかい
)” の例文
この
泥濘
(
ぬかるみ
)
と
雪解
(
ゆきげ
)
と冬の
瓦解
(
がかい
)
の中で、うれしいものは少し延びた柳の枝だ。その枝を通して、夕方には黄ばんだ灰色の南の空を望んだ。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
私ももとはこちらに屋敷も
在
(
あ
)
って、永らく御膝元でくらしたものでがすが、
瓦解
(
がかい
)
の折にあちらへ参ってからとんと出てこんのでな。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼は
嶮
(
けわ
)
しい眼を閉じるとボロジンの南昌入によって新たな時局の転廻となるか、恐らくは最期の
瓦解
(
がかい
)
となる二つの道を告げるのであった。
地図に出てくる男女
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
その任あまりに多く、しかも功を急ぐの結果、彼の英身が、かえって蜀の
瓦解
(
がかい
)
へ拍車をかけるの形をなしてしまったことである。
三国志:12 篇外余録
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
袁世凱はすでに帝号を称して即位、支那革命は
瓦解
(
がかい
)
に
瀕
(
ひん
)
していた。しかも東北革命軍の頼みの綱の武器は門司でおさえられたままである。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
▼ もっと見る
オリウールの峡路を荒した山賊ガスパール・ベスの一隊が
瓦解
(
がかい
)
した後、その首領の一人であったクラヴァットという者が山中に逃げ込んだ。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
ちょうど何もかも徳川
瓦解
(
がかい
)
の後を受けたドサクサの時代で、その頃の政治家という人たちは多くお
国侍
(
くにざむらい
)
で、東京へ出て仮りの
住居
(
すまい
)
をしておって
幕末維新懐古談:51 大隈綾子刀自の思い出
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
数週間雨を得ないでいる
田舎
(
いなか
)
のことや、すてきな
葡萄
(
ぶどう
)
の出来ばえのことや、その日の夕刊にのってる内閣
瓦解
(
がかい
)
のことなどを、平然と話していた。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
看
(
み
)
よ、徳川氏
瓦解
(
がかい
)
に際し、
旗下
(
きか
)
の士にして、
御蔵元
(
おくらもと
)
に負債したる総高、
殆
(
ほと
)
んど一千万円に上りしというにあらずや。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
この時に
当
(
あた
)
り徳川政府は
伏見
(
ふしみ
)
の一敗
復
(
ま
)
た戦うの意なく、ひたすら
哀
(
あい
)
を
乞
(
こ
)
うのみにして人心
既
(
すで
)
に
瓦解
(
がかい
)
し、その勝算なきは
固
(
もと
)
より明白なるところなれども
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
徳川家が
瓦解
(
がかい
)
になって、明治
四五年
(
しごねん
)
の頃
大分
(
だいぶ
)
宿屋が出来ましたが、
外神田松永町
(
そとかんだまつながちょう
)
佐久間町
(
さくまちょう
)
あの辺には其の頃大きな宿屋の出来ましたことでございますが
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そのうち例の
瓦解
(
がかい
)
で、江戸も東京となってしまいましたから、詮議もそれぎりで消えました。運のいい奴ですね
半七捕物帳:39 少年少女の死
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
翌千八百六十八年幕府
瓦解
(
がかい
)
して江戸は東京となり日本美術は日本の国土と並びて欧洲人の眼前に展開せられき。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
事はまだぜんぜん
瓦解
(
がかい
)
してしまったのではないかもしれない、二人の婦人に関しては『十分、十分』回復の見込みさえあると、こんな風に考えたことである。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
そのころ、三代将軍家光の死を流布する者があり、しかし幕府
瓦解
(
がかい
)
の怖れがあって喪の発表をさしひかえ死をヒタ隠しにしている、というような風聞があった。
安吾史譚:01 天草四郎
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
が、幕府が
瓦解
(
がかい
)
し時勢が一変し、順風に帆を揚げたような伊藤の運勢が
下
(
くだ
)
り
坂
(
ざか
)
に向ったのを看取すると、天性の覇気が脱線して
桁
(
けた
)
を
外
(
はず
)
れた変態生活に横流した。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
が、いまのはわたしの子供の時分のとは代を異にしている。もとのそのうちは二十年ほどまえ
瓦解
(
がかい
)
した。
雷門以北
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
その頃は幕府
瓦解
(
がかい
)
の頃だったから、八万騎をもって誇っていた旗本や、
御家人
(
ごけにん
)
が、一時に
微禄
(
びろく
)
して生活の資に困ったのが、道具なぞを持出して夜店商人になったり
梵雲庵漫録
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
明治維新のことを老人たちは「
瓦解
(
がかい
)
」という言葉をもって話合っている。「瓦解」とは、破壊と建設とをかねた、改造までの恐しい
途程
(
みちのり
)
を
言表
(
いいあら
)
わした言葉であろう。
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「柳沢の勢力は
瓦解
(
がかい
)
した、甲府城も幕府の手に押えられた、夢は終ったんだ、むだな騒ぎはやめろ」
山彦乙女
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
池田 要するに、
扶持米
(
ふちまい
)
を貰って食わせてもらっておるから、頭をさげる。それだけのことじゃあないか。おれは、こういう世の中の仕組みは、遠からず
瓦解
(
がかい
)
するものと思う。
稲生播磨守
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
何でも徳川様
瓦解
(
がかい
)
の時分に、
父様
(
おとっさん
)
の方は上野へ
入
(
へえ
)
んなすって、お前、お嬢さんが
可哀
(
かわい
)
そうにお邸の前へ
茣蓙
(
ござ
)
を敷いて、
蒔絵
(
まきえ
)
の重箱だの、お
雛様
(
ひなさま
)
だの、
錦絵
(
にしきえ
)
だのを売ってござった
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
宗右衛門の父祖は
北国
(
ほっこく
)
の
或
(
ある
)
藩の重職にあつた。が、その藩が一不祥事の為め
瓦解
(
がかい
)
に
逢
(
あ
)
ふや、草深い
武蔵野
(
むさしの
)
の貧農となつて身を
晦
(
くら
)
ました。宗右衛門の両親は、その不遇の為めに早世した。
老主の一時期
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
わたくしはこんな夢を見て暮らしているうちに、ある日わたくしの夫婦生活の平和が
瓦解
(
がかい
)
してしまいました。夫が不実になったと云うことは、田舎の女のためには夫婦の破滅でございます。
田舎
(新字新仮名)
/
マルセル・プレヴォー
(著)
はじめのたらたらのお世辞がその最後の用事の一言でもって
瓦解
(
がかい
)
し、いかにもさもしく汚く見えるものである。それゆえ、勇気を出して少しも早くひと思いに用事にとりかかるのであった。
ロマネスク
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
あの
混沌
(
こんとん
)
とした建武中興
瓦解
(
がかい
)
後の京都では、生活を守るには数寄の生活のほかなかったであろう。かかる人々は政権争奪から
逃
(
のが
)
れて、架空の小宇宙をその精神生活の中に建立するのである。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
やがて
瓦解
(
がかい
)
になった。それはたちまち若い夫婦に決定的な打撃を与えた。
花を持てる女
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
伯母は
委
(
くわ
)
しく身の上を語ることを避けたがっていたが、その話の筋は、山岡屋は最初、泥棒に入られ、それから番頭に使い込まれ、次に商売が大損で、とうとう
瓦解
(
がかい
)
してしまったということです。
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
……もしそれが実をむすべば、関東のかたちは一変して、幕府は足もとからたちまち
瓦解
(
がかい
)
の物音をあわただしく始めるに相違ございませぬ
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼はその主唱者とにらまれたのだ。たとえようのないこころもちで、彼は山村氏が代官屋敷の跡に出た。
瓦解
(
がかい
)
の跡にはもう新しい草が見られる。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
この下女はもと
由緒
(
ゆいしょ
)
のあるものだったそうだが、
瓦解
(
がかい
)
のときに
零落
(
れいらく
)
して、つい
奉公
(
ほうこう
)
までするようになったのだと聞いている。だから
婆
(
ばあ
)
さんである。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
が、すぐに幕府は
瓦解
(
がかい
)
した。株を売った真の徳川御家人の一人は、先見の
明
(
めい
)
をほこって、
小金貸
(
こがねかし
)
でもはじめたであろうが、みじめなのは、
新
(
ニュー
)
湯川金左衛門邦純であった。
旧聞日本橋:08 木魚の顔
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
フランスの旧社会の
瓦解
(
がかい
)
、彼の一家の零落、一七九三年の悲惨な光景、恐怖の念を深めて遠くからながむる亡命者らにとっては、おそらくいっそう恐ろしかったろうその光景
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「
瓦解
(
がかい
)
の時はまだお若かったのですから、三十五ぐらいにおなりでしょうか。」
穴
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
今や彼は衆を圧し、老練な一番々頭をまで抜いて店の主権をかち得ようとした。その時、突然、主人夫妻は、流行の悪疫で同時に死んで行つてしまつたのである。店は間もなく
瓦解
(
がかい
)
した。
老主の一時期
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
ねえ、あなた、現実とか自然とかいうものは実に重要なものですよ。時とすると、それは周到をきわめた計画をも
瓦解
(
がかい
)
さしてしまいますからね! ま、ま、老人のいうことをお聞きなさい。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
杉浦誠は幕府
瓦解
(
がかい
)
の際箱館奉行の職にあった杉浦
兵庫頭
(
ひょうごのかみ
)
勝静である。かつて詩を枕山に学んだ。『枕山詩鈔』三編丁卯の集に「梅潭杉浦君箱館ニ赴任スルヲ送ル。」七絶一首が載っている。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
末法の世とは仏法が全く力を失う時代をいうのであるから、「末世が
来
(
きた
)
った」という声は、宗教以上に高い思想を所有しなかった時代の人にとっては、世界の
瓦解
(
がかい
)
の響きに似ていたのである。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
江戸町々の
豪商
(
ものもち
)
はいうまでもなく、大名方の
贔屓
(
ひいき
)
を
蒙
(
こうむ
)
ったほどの名人で、其の
拵
(
こしら
)
えました指物も
御維新
(
ごいっしん
)
前までは諸方に伝わって珍重されて居りましたが、
瓦解
(
がかい
)
の時二束三文で古道具屋の手に渡って
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
殊に、町人芸術の
勃興
(
ぼっこう
)
した徳川期の文化文政以後からその
瓦解
(
がかい
)
時代にはいって
刹那
(
せつな
)
的享楽気分が迎えられて、よけいに著しい。
銀河まつり
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
瓦解
(
がかい
)
の際、
駿府
(
すんぷ
)
へ引き上げなかったんだとか、あるいは引き上げてまた出て来たんだとか云う事も耳にしたようであるが、それは
判然
(
はっきり
)
宗助の頭に残っていなかった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それらの人たちはまた、閲歴も同じくはないし、旧幕時代の役の位もちがい、
禄
(
ろく
)
も多かったものと
寡
(
すく
)
なかったものとあるが、大きな
瓦解
(
がかい
)
の悲惨に直面したことは似ていた。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
父親が
歿
(
なく
)
なると、男振りのよい
忰
(
せがれ
)
たちは
直
(
じき
)
に店をつぶしてしまった——
尤
(
もっと
)
もそれには御維新の
瓦解
(
がかい
)
というものがあった
故
(
せい
)
もあろうが——二人の忰はありったけの遊びをして
旧聞日本橋:03 蕎麦屋の利久
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
幕府が
瓦解
(
がかい
)
の後、久住は無禄移住を願い出て、旧主君にしたがって
駿府
(
すんぷ
)
(静岡)へ行ったので、陪臣の箕部もまたその主君にしたがって駿府へ移ったが、もとより無禄というのであるから
有喜世新聞の話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
『いったい、いったいあの話はほんとうにもうあれきりとり返しのつかぬほど
瓦解
(
がかい
)
して、おじゃんになってしまったのだろうか? いったいもう一度やってみるわけにゆかないだろうか?』
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
執政官制
(
ディクテーター
)
の
終焉
(
しゅうえん
)
。ヨーロッパの全様式は
瓦解
(
がかい
)
した。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
万一、お粂にまちがいがあったひには、この一座はみじめな
瓦解
(
がかい
)
だし、お粂が助かってこっちが災難をうけたひにはなお取り返しのつかないこと。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
目に見えない
瓦解
(
がかい
)
はまだ続いて、失業した士族から、店の戸をおろした町人までが互いに必死の叫びを揚げていた。だれもが何かに取りすがらずにはいられなかったような時だ。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
江戸人は
瓦解
(
がかい
)
と一口にいうが、その折
悲惨
(
みじめ
)
だったのは、重に士族とそれに属した有閑階級で、町人——商人や職人はさほどの打撃はなかった。
扶持
(
ふち
)
に離れた士族は目なし鳥だった。
旧聞日本橋:09 木魚の配偶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
わたくしは
文久
(
ぶんきゅう
)
元年
酉歳
(
とりどし
)
の生れでございますから、当年は六十五になります。江戸が
瓦解
(
がかい
)
になりました明治元年が八つの年で、吉原の
切解
(
きりほど
)
きが明治五年の十月、わたくしが十二の冬でございました。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
“瓦解”の意味
《名詞》
瓦 解(がかい)
組織の一部が壊れることで全体が壊れること。
(出典:Wiktionary)
“瓦解”の解説
瓦解
(出典:Wikipedia)
瓦
常用漢字
中学
部首:⽡
5画
解
常用漢字
小5
部首:⾓
13画
“瓦”で始まる語句
瓦斯
瓦
瓦礫
瓦斯燈
瓦葺
瓦屋根
瓦町
瓦版
瓦斯煖炉
瓦斯灯