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もてあそ
ふりがな文庫
“
玩
(
もてあそ
)” の例文
沢山ならこれで切り上げるが、世間には自分の如く怪しげな書画を
玩
(
もてあそ
)
んで無名の天才に敬意を払ふの士が
存外
(
ぞんぐわい
)
多くはないかと思ふ。
鑑定
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それ以前の子供の遊びは、この花の長く垂れたしべを髪に結び、またはその形のままを髪の垂れた人に見立てて
玩
(
もてあそ
)
ぶことであった。
野草雑記・野鳥雑記:01 野草雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「私達の間に何の虚偽があったでしょう? 種々な言葉を
玩
(
もてあそ
)
ぶより黙っていましょう。ねえ、黙っている方が心が静まるでしょうから。」
囚われ
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
御身
(
おんみ
)
は愛を二、三にも四、五にもする
偽君子
(
ぎくんし
)
なり、ここに
如何
(
いかん
)
ぞ純潔の愛を
玩
(
もてあそ
)
ばしめんやと、いつも冷淡に回答しやりたりき。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
生理学教室
三昧
(
さんまい
)
の学士も、一年ばかりお孝に
馴染
(
なじ
)
んで、その仕込みで、ちょっと大高源吾ぐらいは
玩
(
もてあそ
)
ぶことが出来たのである。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
われは枝上の
果
(
このみ
)
に接吻して、又地に墜ちたるを拾ひ、
毬
(
まり
)
の如くに
玩
(
もてあそ
)
びたり。友の云ふやう。げに伊太利はめでたき國なる哉。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
或
(
ある
)
人(秋田県
樺園子
(
かえんし
)
)曰く、万葉の歌は十中八、九まで世道人心に関係あれば善し。古今以後の歌は
徒
(
いたずら
)
に月を賞し花を
玩
(
もてあそ
)
ぶ。故に取らず。云々。
人々に答ふ
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
米友の頭では、今でもお君はさんざんに能登守の
玩
(
もてあそ
)
び物になって、いい気になっているものとしか思えないのであります。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
玩
(
もてあそ
)
ブ/頑雲月ヲ包ミテ山角ニ走リ/急霰風ニ乗リテ帽尖ヲ
撲
(
う
)
ツ/遺却ス身材ハ襪線ノ如シ/擬ス涓滴ヲ
将
(
もっ
)
テ炎炎ヲ救フニ〕
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
其の兵器を
鳩集
(
きふしふ
)
する
所以
(
ゆゑん
)
のものは、
恰
(
あたか
)
も
上国孱士
(
じやうこくせんし
)
の茶香古器を
玩
(
もてあそ
)
ぶが如し。
東陲
(
とうすい
)
の
武夫
(
もののふ
)
皆弓槍刀銃を
嗜
(
たしな
)
まざるなし、これ地理風質の
異
(
ことな
)
るに
依
(
よ
)
るのみ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
鎌倉の名に
因
(
ちな
)
んだ「
鎌倉彫
(
かまくらぼり
)
」なるものがありますが、今はむしろ
素人
(
しろうと
)
の
玩
(
もてあそ
)
びになって、本筋の仕事からは
外
(
はず
)
れました。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
圧制家
(
デスポト
)
、
利己論者
(
イゴイスト
)
と口では
呪
(
のろ
)
いながら、お勢もついその不届者と親しんで、
玩
(
もてあそ
)
ばれると知りつつ、玩ばれ、
調戯
(
なぶ
)
られると知りつつ、
調戯
(
なぶ
)
られている。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
この時「脚気かな、脚気かな」としきりにわが足を
玩
(
もてあそ
)
べる人、急に膝頭をうつ手を
挙
(
あ
)
げて、
叱
(
しっ
)
と二人を制する。
一夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
毎日磯に寝て飽くなく貝殻を
玩
(
もてあそ
)
んだり無心に砂を握っていたりして、甘い感傷に安らかな
憩
(
いこ
)
いを覚えていた。
小さな部屋
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
それから市の
塵芥
(
ぢんかい
)
人夫になつて悪臭を頭に被つた。オイチニの薬売りになつて手風琴をならして歩いた。帰つて来るとウメ子はそれを
玩
(
もてあそ
)
んだ。ブウブウと鳴るのだ。
反逆の呂律
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
況
(
いわん
)
や鴎外漁史は一の抽象人物で、その死んだのは、児童の
玩
(
もてあそ
)
んでいた
泥孩
(
つちにんぎょう
)
が
毀
(
こわ
)
れたに殊ならぬのだ。
鴎外漁史とは誰ぞ
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
〔譯〕人一生
遭
(
あ
)
ふ所、
險阻
(
けんそ
)
有り、
坦夷
(
たんい
)
有り、
安流
(
あんりう
)
有り、
驚瀾
(
きやうらん
)
有り。是れ
氣數
(
きすう
)
の自然にして、
竟
(
つひ
)
に
免
(
まぬが
)
るゝ能はず、即ち
易理
(
えきり
)
なり。人宜しく居つて安んじ、
玩
(
もてあそ
)
んで
樂
(
たの
)
しむべし。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
ご
覧
(
ろう
)
ぜよ、今や、朝廷の御衰微、四海の騒乱、百姓たちも安んぜぬ世の様を。信長は、赤沢殿以上、放鷹は大好きでござるが、思うに、今はこれを
玩
(
もてあそ
)
ぶ時でもありますまい。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
なかには子安貝や、椿の実や、小さいときの
玩
(
もてあそ
)
びであつたこまこました物がいつぱいつめてあるが、そのうちにひとつ珍しい形の銀の小匙のあることをかつて忘れたことはない。
銀の匙
(新字旧仮名)
/
中勘助
(著)
公儀
(
おかみ
)
へは遠乗りの途中暴れ馬が殿を乗せたまま雑木林に飛込み、木の枝で眼を
突
(
つつ
)
かれた——と届出ているが、町人の
玩
(
もてあそ
)
ぶ楊弓の矢で眼を一つ
潰
(
つぶ
)
されては、何としても諦められない。
銭形平次捕物控:040 大村兵庫の眼玉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
斯様
(
かよう
)
なものは全体私なんぞの聞くべきものでない、
矧
(
いわん
)
や
玩
(
もてあそ
)
ぶべき者でないと云う
考
(
かんがえ
)
を持て居るから、
遂
(
つい
)
ぞ芝居見物など念頭に浮んだこともない。例えば、夏になると中津に芝居がある。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
帳面上洗礼を受けしものの増加せしを以て伝道事業の成功せしと信ずる宣教師——これらはみな肉眼を以て歩むものにして信仰に依て生くるものにあらざるなり、
玩弄物
(
がんろうぶつ
)
を
玩
(
もてあそ
)
ぶ小児なり
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
一は飾り立てられて美しく祭られるのと、一は手に握られて
玩
(
もてあそ
)
ばれるのと相違はあるが、何処か似通っているところがある。その手毬が雛人形や雛道具が並べ立てられた店の片隅に在る。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
ある商人の書画を
好
(
この
)
みて
玩
(
もてあそ
)
ぶものありしが、その購入する所を聞くに、
金岡
(
かなおか
)
が観音の像一
幀
(
てい
)
代価千両なり。
徽宗
(
きそう
)
の桃に鳩の絵
僅
(
わず
)
かに長さ五、六寸に広さ六、七寸なる小幅が同じく千両なり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
明智はその最後の品を、何か楽しげにいつまでも
玩
(
もてあそ
)
んでいた。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そを
玩
(
もてあそ
)
ぶ男あり
詩二つ
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
故に茶人の茶を
玩
(
もてあそ
)
ぶは歌人の歌をつくり俳人の俳句をつくるが如く常に新鮮なる意匠を案出し臨機応変の材を要す。四畳半の茶室は甚だ妙なり。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
どういうものか
此方
(
こちら
)
には読書からの知識が多く、実験に基づかない概念ばかりが、
玩
(
もてあそ
)
ばれているような傾向が著しかった。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
瀬戸
(
せと
)
の
窯
(
かま
)
は古くかつ広く、早くより歴史家から注意せられた。特に「
志野
(
しの
)
」や「
織部
(
おりべ
)
」は好んで茶人間に
玩
(
もてあそ
)
ばれた。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
猛
(
たけ
)
き、
凄
(
すさ
)
まじき、
種々
(
いろいろ
)
で、ちょいとした棚の置物、床飾り、
小児
(
こども
)
の
玩
(
もてあそ
)
ぶのは勿論の事。父祖代々この職人の家から、直槙は志を立てて、
年紀
(
とし
)
十五六の時上京した。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あいつらは、女を
玩
(
もてあそ
)
ぶに、女を裸にして玩ばなければ満足のできないやからなのだ——ちぇッ、いいざまをして、この
女
(
あま
)
め、笑ってやがる、小憎らしい笑い方だなあ——
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
我等は倒れたる一圓柱の
趺
(
ふ
)
の上に踞したり。ジエンナロの力に頼りて、
乞兒
(
かたゐ
)
の群を逐ひ拂ふことを得たりしかば、我等の心靜に
四邊
(
あたり
)
の風景を
玩
(
もてあそ
)
ぶには、復た何の
妨
(
さまたげ
)
もあらざりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
公儀
(
おかみ
)
へは遠乘りの途中暴れ馬が殿を乘せたまゝ雜木林に飛込み、木の枝で眼を突かれた——と屆出てゐるが、町人の
玩
(
もてあそ
)
ぶ楊弓の矢で眼を一つ潰されては、何としても諦らめられない。
銭形平次捕物控:040 兵庫の眼玉
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
昔のようにただうつくしいから
玩
(
もてあそ
)
ぶという心持は、今の僕には起る余裕がない
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
豈
(
あ
)
にそれ威を
弄
(
ろう
)
し権を
玩
(
もてあそ
)
ぶためのみならんや。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
ですがこれは
被
(
おお
)
い得ない事実なのです。茶器も茶室も民器や民家の美を語っているのです。だがこの清貧は忘れられて、茶道は今や富貴の人々の
玩
(
もてあそ
)
びに移ったのです。
民芸とは何か
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
何も知らないお君を蕩して
玩
(
もてあそ
)
びものにしたのは、憎むべき駒井能登守と思うのであります。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
もしそれが
詐
(
いつわ
)
りでなかったならば、(実際それは詐りとは思えなかったが)、今までの奥さんの訴えは
感傷
(
センチメント
)
を
玩
(
もてあそ
)
ぶためにとくに私を相手に
拵
(
こしら
)
えた、
徒
(
いたず
)
らな女性の遊戯と取れない事もなかった。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
山形市の近くに
天童
(
てんどう
)
と呼ぶ小さな静な温泉町があります。ここは
将棋
(
しょうぎ
)
の駒を作るのに忙しい所であります。吾々が
玩
(
もてあそ
)
ぶ駒の大部分はこの小さな町から出るといわれます。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
その他
編笠
(
あみがさ
)
の類や、
竹笊
(
たけざる
)
や
帚
(
ほうき
)
などにも、大変面白い形のものを見かけます。子供の
玩
(
もてあそ
)
ぶ太鼓にも珍らしい出来のがあり、また女の児が遊ぶ
手毬
(
てまり
)
にも美しいものを見かけます。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
玩
常用漢字
中学
部首:⽟
8画
“玩”を含む語句
玩具
玩弄
玩弄物
玩弄品
玩物
愛玩
賞玩
玩具店
玩味
玩具屋
玩具箱
玩器
如法玩弄
器玩
古玩
流玩転賞
玩弄屋
玩具問屋
玩好
玩具交響曲
...