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牡牛
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おうし
ふりがな文庫
“
牡牛
(
おうし
)” の例文
何時
(
いつ
)
のほどにか来りけん、これなん黄金丸が
養親
(
やしないおや
)
、
牡牛
(
おうし
)
文角
(
ぶんかく
)
なりけるにぞ。「これはこれは」トばかりにて、二匹は再び
魂
(
きも
)
を消しぬ。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
南部産の黒い
牡牛
(
おうし
)
が、やがて中央の庭へ引出されることに成った。その鼻息も白く見えた。繋いであった他の二頭は
遽
(
にわ
)
かに騒ぎ始めた。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そういって少女が少女を誘うように
牡牛
(
おうし
)
のように大きな倉地を誘った。倉地は
煙
(
けむ
)
ったい顔をしながら、それでもそのあとからついて来た。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「爾の力は強きこと不弥の
牡牛
(
おうし
)
のようである。われは爾のごとき強き男を見たことがない。」と卑弥呼はいって反絵の酒盃に酒を
注
(
そそ
)
いだ。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
扉の上に、うき
彫
(
ぼ
)
りになって、
牡牛
(
おうし
)
がねそべり、そしてその牡牛はこっちを向いて、長い舌を出しているのが、とりついていることだった。
時計屋敷の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
もはや身を守り得ないほど死に
瀕
(
ひん
)
してはいるがまだ苦痛を感ずるくらいの命はある病める
牡牛
(
おうし
)
を、初めて引き裂きかけた
豪狗
(
ごうく
)
の喜びである。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
いや、そればかりじゃない、僕はこの十年というもの、まるで
牡牛
(
おうし
)
みたいに汗水たらして、その借金をきれいに
済
(
な
)
したんだ。
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
牡牛
(
おうし
)
の死ぬる前後のところも単なる実写的の真実に対する興味のほかに、映画としての取り扱い方のうまさは充分にある。
映画雑感(Ⅰ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
丈夫な快男子で、四十歳ばかりになっていて、色
艶
(
つや
)
のいい大きな顔、丸い頭、
樺
(
かば
)
色の髪、大河のような
髯
(
ひげ
)
、
牡牛
(
おうし
)
のような首筋と声とをもっていた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
ラサリーリョ少年が
奸黠
(
かんかつ
)
な
座頭
(
ざとう
)
の手引きとなって連れて行かれる途中で、橋飾りの
牡牛
(
おうし
)
の石像に耳をつけて聞けばどえらい音がしているといって
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
屠手はうるさいともいわず、その牛を先にやってしまった。鳴きかけた声を半分にして母牛はおれてしまう。最も手こずったのは大きな
牡牛
(
おうし
)
であった。
去年
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
血まぶれの
Tourbadour
(
トルバドル
)
華美
(
はで
)
ないさみの若者が、
屠
(
ほふ
)
る
牡牛
(
おうし
)
に
Arènne
(
アレエヌ
)
の
桟敷
(
さじき
)
も崩れん叫び声。
珊瑚集:仏蘭西近代抒情詩選
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
勝平は、怒った
牡牛
(
おうし
)
のようにプリ/\しながら、それでも正面から瑠璃子をたしなめることが出来なかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
ひところなどは、牛小屋のどの
区画
(
くかく
)
の中にも、牛が一
頭
(
とう
)
ずついましたし、いまはからっぽになっている
牡牛
(
おうし
)
小屋にも、りっぱな牡牛がたくさんいたものでした。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
ふと、自分が神前に
捧
(
ささ
)
げた
犠牲
(
ぎせい
)
の
牡牛
(
おうし
)
の、もの悲しい眼が、浮かんで来た。誰か、自分のよく知っている人間の眼に似ているなと思う。そうだ。確かに、あの女だ。
木乃伊
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
日本では象の重さといっても子どもには考えにくいので、それをでっかい
牡牛
(
おうし
)
という話にしている。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
その
渓
(
たに
)
を
出
(
い
)
でて
蜿蜿
(
えんえん
)
と平原を流るゝ時は
竜蛇
(
りゅうだ
)
の如き
相貌
(
そうぼう
)
となり、
急湍
(
きゅうたん
)
激流に怒号する時は
牡牛
(
おうし
)
の如き形相を呈し……まだいろ/\な例へや面白い
比喩
(
ひゆ
)
が書いてあるけれど……
川
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
黒人の群れがずっと
奥地
(
おくち
)
にある市場から帰ってきます。黒い
髪
(
かみ
)
の毛のまわりに銅のボタンをつけて、あい色のスカートをはいた女たちが、重い荷をつんだ
牡牛
(
おうし
)
を追っています。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
が、大きい
橡
(
とち
)
の木が一本、太ぶとと枝を張った下へ来ると、幸いにも放牧の牛が一匹、河童の
往
(
ゆ
)
く先へ立ちふさがりました。しかもそれは
角
(
つの
)
の太い、目を血走らせた
牡牛
(
おうし
)
なのです。
河童
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼には七里ひと跳びの長靴があり、
牡牛
(
おうし
)
のような
頸
(
くび
)
、天才的な額、船の竜骨のような腹があり、セルロイドの
翅
(
はね
)
と悪鬼のような角があり、そして後ろには大きな軍刀を
吊
(
つる
)
している。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
両腕や広い肩には筋肉が
瘤
(
こぶ
)
をなしており、手も大きいし指も百姓のように太い、腰だけは若者のように細くひき緊っているが、ざっと見た眼には年老いた
牡牛
(
おうし
)
のような感じを与える。
赤ひげ診療譚:05 徒労に賭ける
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そは汝らが我につきて
言述
(
いいの
)
べたる所はわが
僕
(
しもべ
)
ヨブの言いたる事の如く正しからざればなり、されば汝ら
牡牛
(
おうし
)
七頭、
牡羊
(
おひつじ
)
七頭を取りてわが僕ヨブに至り汝らの身のために
燔祭
(
はんさい
)
を
献
(
ささ
)
げよ
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
膃肭獣
(
おっとせい
)
の
成牡
(
せいぼ
)
(ブル)、年齢八、九歳、体重八十貫、
牡牛
(
おうし
)
のごとき黒褐色の
巨躯
(
きょく
)
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
葡萄酒
(
ぶどうしゅ
)
を一パイント飲むのもけちけちする日があるかと思うと、それは、その翌日に
牡牛
(
おうし
)
を一頭丸焼きにし、ビールの
大樽
(
おおだる
)
の口をあけ、近所の人に一人残らずもてなしをするためなのだ。
ジョン・ブル
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
「雑人、鞭を貸せ」覚明が、牛飼の鞭を奪って、百万の魔神もこの輦の前を
阻
(
はば
)
めるものがあれば打ち払っても通らんと
巨
(
おお
)
きな眼を
瞋
(
いか
)
らすと、性善坊も、八瀬黒の
牡牛
(
おうし
)
の手綱を
確乎
(
しっか
)
と
把
(
にぎ
)
って
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ハンタアという学者は
鶏
(
にわとり
)
のけづめを
牡牛
(
おうし
)
の首に移植したし、有名なアルゼリアの「
犀
(
さい
)
の様な鼠」と云うのは、鼠の
尻尾
(
しっぽ
)
を鼠の口の上に移植して成功したのだが、僕もそれに似た様々の実験をやった。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
暗がりで、それは
憎悪
(
ぞうお
)
に満ちた
牡牛
(
おうし
)
の
唸
(
うな
)
り声に似ていた。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
筋肉で盛り上がった肩の上に、正しくはめ込まれた、
牡牛
(
おうし
)
のように太い首に、やや長めな赤銅色の君の顔は、健康そのもののようにしっかりと乗っていた。
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
道の
行手
(
ゆくて
)
に、砂けむりが立ったかと思うと、その砂けむりの中から、一頭の白い
牡牛
(
おうし
)
が太い鉄のような
角
(
つの
)
を左右に振り立てながら、飛ぶように走って来ました。
三人兄弟
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
それは
山海
(
さんかい
)
の珍味づくしだった。車えびの天ぷら。真珠貝の吸物、
牡牛
(
おうし
)
の舌の
塩漬
(
しおづけ
)
、
羊肉
(
ひつじにく
)
のあぶり焼、茶の
芽
(
め
)
のおひたし、
松茸
(
まつたけ
)
の
松葉焼
(
まつばやき
)
……いや、もうよそう。
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
必要な者には手助けをしてやって、たおれた馬を起こしてやったり、
泥濘
(
でいねい
)
にはまった車を押してやったり、逃げ出した
牡牛
(
おうし
)
の角をつかんで引き止めてやったりした。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
農場
(
のうじょう
)
のせわもしなくなりましたし、なにもかも、ほったらかしておきました。家も
荒
(
あ
)
れはてるにまかせて、
修繕
(
しゅうぜん
)
もしませんでした。
牝牛
(
めうし
)
も
牡牛
(
おうし
)
も売ってしまいました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
北方の山地に住む三十人の
剽盗
(
ひょうとう
)
の話や、森の夜の怪物の話や、草原の若い
牡牛
(
おうし
)
の話などを。
狐憑
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
その議事堂の
格子窓
(
こうしまど
)
からは、そのむかし
皇帝
(
こうてい
)
の
戴冠式
(
たいかんしき
)
のときにあぶり肉にされて、人々のご
馳走
(
ちそう
)
にされた、角のついたままの
牡牛
(
おうし
)
の
頭蓋骨
(
ずがいこつ
)
が、いまもなお
突
(
つ
)
きでているのですが、しかし
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
エジプトのスフィンクス、アッシリアの怪物、ペルセポリスの
牡牛
(
おうし
)
、ポリシーのねばねばした
蛇
(
へび
)
、などの間をクリストフは、ぞっとしながら黙って通り過ぎた。お
伽噺
(
とぎばなし
)
の世界にいるような気がした。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
附近の農家であろう、長い声を曳いて
牡牛
(
おうし
)
が
啼
(
な
)
く。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
牡牛
(
おうし
)
Le Taureau
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
「また地球で、わしをからかうんだね。地球のことはもう
棚
(
たな
)
にあげときましょう。さて今夜の料理にはね、
牡牛
(
おうし
)
の舌の塩づけに、サラダ
菜
(
な
)
をそえて、その上に……」
三十年後の世界
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
傷ついた
牡牛
(
おうし
)
のように元どおりの生活を回復しようとひしめく
良人
(
おっと
)
や、中にはいっていろいろ言いなそうとした親類たちの言葉を、きっぱりとしりぞけてしまって
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
牡牛
(
おうし
)
のように
巨
(
おお
)
きい勝平と相対していながら、彼女は一度だって、
怯
(
おそ
)
れたことはなかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
規則の
牡牛
(
おうし
)
、ボス・ディシプリネ(規則牛)、命令の番犬、点呼の天使、彼は実にまっすぐであり、四角であり、正確であり、厳正であり、正直であり、
嫌悪
(
けんお
)
すべきものなりき。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
ところが、
牡牛
(
おうし
)
たちは平気なものです。
鼻
(
はな
)
づらを上にむけて、モウと大声で言いました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
……名ばかりの妻、そうです、妾はありとあらゆる手段と謀計とで
以
(
もっ
)
て、妾の貞操をあの悪魔のために
汚
(
けが
)
されないように努力する
積
(
つもり
)
です。北海道の牧場では、よく
牡牛
(
おうし
)
と
羆
(
ひぐま
)
とが格闘するそうです。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
牛丸平太郎は
牡牛
(
おうし
)
のような
鈍重
(
どんじゅう
)
な表情でうなずいた。
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
“牡牛”の意味
《名詞》
牡牛(ボギュウ、おうし)
雄の牛。
(出典:Wiktionary)
牡
漢検準1級
部首:⽜
7画
牛
常用漢字
小2
部首:⽜
4画
“牡牛”で始まる語句
牡牛座
牡牛蛇
牡牛関