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漁
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すなど
ふりがな文庫
“
漁
(
すなど
)” の例文
瀬田
(
せた
)
の
長橋
(
ながはし
)
渡る人稀に、
蘆荻
(
ろてき
)
いたずらに風に
戦
(
そよ
)
ぐを見る。江心白帆の一つ二つ。浅き
汀
(
みぎわ
)
に
簾様
(
すだれよう
)
のもの立て廻せるは
漁
(
すなど
)
りの
業
(
わざ
)
なるべし。
東上記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
自分も
鼓
(
つづみ
)
を打ったりなどしている様子が——
漁
(
すなど
)
る湖上の舟や
往来
(
ゆきき
)
の帆船からも手にとる如くわかるような騒ぎだったというのである。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もうこうなっては
此処
(
ここ
)
にとどまることは出来ません。あなたはこの後も耕し、
漁
(
すなど
)
りの
業
(
わざ
)
をして、世を渡るようになさるがよろしい。
中国怪奇小説集:04 捜神後記(六朝)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「野猫型」の釣人は、ブルジヨア型の人が、鮎に遠出して、旅館に滞在し谿谷を
漁
(
すなど
)
る人は別として、先づプロレタリアの釣りだ。
日本の釣技
(新字旧仮名)
/
佐藤惣之助
(著)
土用
(
どよう
)
のうちの
霖雨
(
つゆのあめ
)
を、
微恙
(
びよう
)
の蚊帳のなかから眺め、
泥濁
(
どろにご
)
つた渤海あたりを、
帆船
(
ジヤンク
)
が
漁
(
すなど
)
つてゐる、曾て見た
支那海
(
しなのうみ
)
あたりの雨の
洋中
(
わだなか
)
をおもひうかべる。
あるとき
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
▼ もっと見る
キリスト十二弟子の一、魚を
漁
(
すなど
)
りまた人を漁る(マタイ、四・一八以下等)。これに從つて帆を揚ぐるはその信仰にならひてキリスト教徒となるをいふ
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
けれども、
次第
(
しだい
)
に
畜生
(
ちくしやう
)
、
横領
(
わうりやう
)
の
威
(
ゐ
)
を
奮
(
ふる
)
つて、
宵
(
よひ
)
の
内
(
うち
)
からちよろりと
攫
(
さら
)
ふ、
漁
(
すなど
)
る
後
(
あと
)
から
嘗
(
な
)
めて
行
(
ゆ
)
く……
見
(
み
)
る/\
四
(
よ
)
つ
手網
(
であみ
)
の
網代
(
あじろ
)
の
上
(
うへ
)
で、
腰
(
こし
)
の
周囲
(
まはり
)
から
引奪
(
ひつたく
)
る。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ことにこの街のわかい六騎は温ければ
漁
(
すなど
)
り、風の吹く日は遊び、雨には
寝
(
い
)
ね、
空腹
(
ひもじ
)
くなれば食ひ、酒をのみては月琴を弾き、夜はただ女を抱くといふ風である。
水郷柳河
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
どこの植物的荒野においてもかれらにとって十分大きな獲物が見あたらないというほどにしたまえ——人を
漁
(
すなど
)
る者であるとともにそれを狩る人にならせたまえ。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
さうでなければ遂に君は、收穫する農夫、
漁
(
すなど
)
る漁夫ほどにも生活の眞實に觸れることなくして終るだらう。さうだ。僕は敢て君に凡俗たれとすすめるものなのだ。
続生活の探求
(旧字旧仮名)
/
島木健作
(著)
血をくゞつて伝承した
切支丹
(
キリシタン
)
の子孫が、今もこの島に住み、
漁
(
すなど
)
り、さゝやかな山峡の畑を耕してゐる。三百年前の十字架が、サンタマリヤが、教会の壇に飾られてゐた。
波子
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
今までの彼は、狩はともかく、
漁
(
すなど
)
りはむげに卑しいことだと思っていた。ひたすらに都会生活に憧れていた彼は、そうしたことを真似てみようという気は起らなかった。
俊寛
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
〈海に
漁
(
すなど
)
っている舟がないばかりでなく、浜辺に揚げられてある小舟一隻すら見えなかった。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
沖
(
おき
)
へ
行
(
ゆ
)
き
辺
(
へ
)
に
行
(
ゆ
)
き
今
(
いま
)
や
妹
(
いも
)
がためわが
漁
(
すなど
)
れる
藻臥束鮒
(
もふしつかふな
)
〔巻四・六二五〕 高安王
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
紀
(
き
)
の
国
(
くに
)
の
三輪
(
みわ
)
が
崎
(
さき
)
に
大宅竹助
(
おおやのたけすけ
)
と云うものがあって、
海郎
(
あま
)
どもあまた養い、
鰭
(
はた
)
の
広物
(
ひろもの
)
、
狭
(
さ
)
き
物
(
もの
)
を尽して
漁
(
すなど
)
り、家
豊
(
ゆたか
)
に暮していたが、三人の小供があって、上の男の子は、父に代って家を治め
蛇性の婬 :雷峰怪蹟
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
漁
(
すなど
)
りの業人は海原へ、牛飼等は山向ふの牧場へ、小作家は田畑へ、皆々孜々として仕事に励み、一日の労銀を携へて帰る夕暮時に、その幾部分かをサイパンの箱へ投げ入れてバツカスを祈つた。
酒盗人
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
漁
(
すなど
)
り舟の艫の音は
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
それは漁民のする業で、「天の釣舟」は客観的にオツなものであつたらうが、
漁
(
すなど
)
る業といふものは下賤のする事であつた。
日本の釣技
(新字旧仮名)
/
佐藤惣之助
(著)
浜御遊
(
はまごゆう
)
のとき憐れんで、
爺
(
じい
)
よ、おまえの
漁
(
すなど
)
りしたお魚はなんなと御所へ持っておいで……と仰っしゃって下されてから、一匹の
鯛
(
たい
)
でも、一ト
笊
(
ざる
)
の
雑魚
(
ざこ
)
でも
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
興津
(
おきつ
)
を過ぐる頃は雨となりたれば富士も
三保
(
みほ
)
も見えず、真青なる海に白浪風に騒ぎ
漁
(
すなど
)
る船の影も見えず、磯辺の砂雨にぬれてうるわしく、先手の
隧道
(
ずいどう
)
もまた画中のものなり。
東上記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
海に
漁
(
すなど
)
っている舟がないばかりでなく、浜辺に揚げられてある小舟一隻すら見えなかった。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
この語淨、二二・六三にも見ゆ、されどウェルギリウスは「人を
漁
(
すなど
)
る者」(マルコ、一・一七)の意に用ゐ、こゝにてはペテロの繼承者たる法王の口よりいでゝ侮蔑の意を含む
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
そのためでもあるが、三人は
大宮人
(
おおみやびと
)
の習慣を持ちつづけて、なすこともなく、毎日暮していた。俊寛は、そうした生活を改め、自分で
漁
(
すなど
)
りし、自分で狩りし、自分で
耕
(
たがや
)
すことを考えた。
俊寛
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
日当
(
ひあたり
)
の背戸を横手に取って、次第
疎
(
まばら
)
に
藁屋
(
わらや
)
がある、中に半農——この
潟
(
かた
)
に
漁
(
すなど
)
って
活計
(
たつき
)
とするものは、三百人を越すと聞くから、あるいは半漁師——少しばかり商いもする——藁屋草履は
小春の狐
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
虎列拉
(
コレラ
)
避
(
よ
)
けの花火、さては古めかしい水祭の行事などおほかたこの街特殊のものであつて、張のつよい言葉つきも淫らに、ことにこの街のわかい
六騎
(
ロツキユ
)
は温ければ
漁
(
すなど
)
り、風の吹く日は遊び、雨には
寢
(
い
)
ね
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
一つの魚を
漁
(
すなど
)
つて歩くのも面白いとして、更に地理的に、一つの河川、一つの江湾を研究するのも面白からうと思ふ。
釣心魚心
(新字旧仮名)
/
佐藤惣之助
(著)
「貧しい翁の
漁
(
すなど
)
り舟も軍に取られてしまったとみえる。こよいのうちに、どうかしてやれ」
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
はじめの
内
(
うち
)
、……
獲
(
え
)
た
魚
(
うを
)
は
畚
(
びく
)
の
中
(
なか
)
を
途中
(
とちゆう
)
で
消
(
き
)
えた。
荻尾花道
(
をぎをばなみち
)
、
木
(
き
)
の
下路
(
したみち
)
、
茄子畠
(
なすびばたけ
)
の
畝
(
あぜ
)
、
籔畳
(
やぶだゝみ
)
、
丸木橋
(
まるきばし
)
、……
城
(
じやう
)
ヶ
沼
(
ぬま
)
に
漁
(
すなど
)
つて、
老爺
(
ぢゞい
)
が
小家
(
こや
)
に
帰
(
かへ
)
る
途中
(
とちゆう
)
には、
穴
(
あな
)
もあり、
祠
(
ほこら
)
もあり、
塚
(
つか
)
もある。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
が、差し当っては、
漁
(
すなど
)
りと狩をするほかに、食料を得る道はなかった。
俊寛
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
悠々千里の流れに
漁
(
すなど
)
りして、江岸に住んでいる漁夫や住民は、もう連年の戦争にも馴れていて、戦いのない日には、閑々として網を打ち、
鈎
(
はり
)
を垂れているなど、決してめずらしい姿ではなかった。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こんな心弱いものに留守をさせて、良人が
漁
(
すなど
)
る海の幸よ。
海異記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“漁”の解説
漁(いさり、りょう)とは、人間がさまざまな漁具を用いて、水産資源を捕獲する行為のことである。また、さまざまな漁具の種類、用法によって類別される漁の方法のことを漁法という。
なお、漁をおこなう行為のうち、その労働的側面に着目する場合、漁撈といって区別するのが一般的である。また、趣味・娯楽として楽しむ漁の場合は、とくに遊漁といって区別する。
(出典:Wikipedia)
漁
常用漢字
小4
部首:⽔
14画
“漁”を含む語句
漁夫
漁場
漁師
漁舟
漁人
漁業
漁火
漁船
漁色
不漁
漁村
大漁
女漁
海保漁村
鴎外漁史
王漁洋
漁師原
川漁
樵漁
漁樵
...