波子なみこ
「死花」といふ言葉がある。美しい日本語のひとつである。伝蔵自身が、さう言ふ。さうして、伝蔵が、死花を咲かせるなどと言ひだしたのは、波子の嫁入り話と前後してゐた。 五十をいくつも越してゐない年であるから、まだ、死花には早やすぎる。けれども、芝 …