温泉宿をんせんやど)” の例文
おどろいたのは、やまふたわかれの真中まんなかを、温泉宿をんせんやどつらぬいてながれる、かはを、何時いつへて、城趾しろあとはうたかすこしもおぼえがい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
温泉宿をんせんやど欄干らんかんつてそとながめてひとしさうな顏付かほつきをしてる、軒先のきさき小供こどもしよつむすめ病人びやうにんのやうで小供こどもはめそ/\といてる。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
その燈火あかりのついてるところが、沓掛くつかけ温泉宿をんせんやどでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
で、其処そこ温泉宿をんせんやどだ、とをしへて、山間やまあひがけしげつたほそみちへ、……背負せをつてた、たけびた雑木ざうきまきを、身躰からだごとよこにして、ざつとはいつてく。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
湯原ゆがはら温泉宿をんせんやど中西屋なかにしや女中ぢよちゆうである! いまぼくふでつてうち女中ぢよちゆうである! 田舍ゐなか百姓ひやくしやうむすめである! 小田原をだはら大都會だいとくわい心得こゝろえ田舍娘ゐなかむすめ! このむすめぼくつたのは昨年さくねんなつ
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
六八 沓掛くつかけ温泉宿をんせんやど
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
むかしは加州山中かしうさんちう温泉宿をんせんやどに、住居すまひ大圍爐裡おほゐろりに、はひなかから、かさのかこみ一尺いつしやくばかりの眞黒まつくろきのこ三本さんぼんづゝ、つゞけて五日いつかえた、とふのが、手近てぢか三州奇談さんしうきだんる。
くさびら (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いしばかりごろ/\した往來わうらいさびしさ。わづかに十けんばかりの温泉宿をんせんやど
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
其処そこで、自分じぶん引背負ひつしよふなり、くなりして、彫像てうざう城趾しろあと天守てんしゆはこぶ。……途中とちゆうちりけるためおほひがはりに、おうら着換きがえを、とおもつて、権七ごんしち温泉宿をんせんやどまでりにつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あめれたあさである。修善寺しゆぜんじ温泉宿をんせんやど、——くわん家族かぞく一婦人いちふじんと、家内かない桂川かつらがは一本橋いつぽんばしむかうの花畑はなばたけ連立つれだつて、次手ついで同家どうけひかへ別莊べつさう——あきである——をせてもらつた、とつてはなした。
鳥影 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)