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しびと
ふりがな文庫
“
死人
(
しびと
)” の例文
此凄まじい日に照付られて、一滴水も飲まなければ、
咽喉
(
のど
)
の
炎
(
も
)
えるを
欺
(
だま
)
す
手段
(
てだて
)
なく
剰
(
あまつ
)
さえ
死人
(
しびと
)
の
臭
(
かざ
)
が
腐付
(
くさりつ
)
いて
此方
(
こちら
)
の体も
壊出
(
くずれだ
)
しそう。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
しかし
疫病
(
えやみ
)
は日一日と益〻猛威を
逞
(
たくま
)
しゅうし、
斃
(
たお
)
れる人間の数を知らず、それこそ
本統
(
ほんとう
)
の
死人
(
しびと
)
の丘が町の真ん中に出来そうであった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「ビリーはそれにゃお
誂
(
あつれ
)
え向きの男だったな。」とイズレールが言った。「『
死人
(
しびと
)
は咬みつかず』って
奴
(
やっこ
)
さんはよく言ってたっけ。 ...
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
両方は
死人
(
しびと
)
の山を築いたんでは何にもならねえではないか、意地を張るというやつは、得てしてこんなもんだが、さあ、こいつはいけねえ。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
傳「旦那もう過去ったから構わねえが、此の人が
死人
(
しびと
)
と知らずに帯に
掴
(
つかま
)
って出ると、
死人
(
しにん
)
が出たので到頭ぼくが割れて縛られて
往
(
い
)
きました」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
その周囲を、
死人
(
しびと
)
色の青黒い、紫がかったお化粧でホノボノと隈取って、ダイヤのエース型の唇を純粋の日本紅で玉虫色に塗り籠めている……
二重心臓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「あの
竹藪
(
たけやぶ
)
は大変みごとだね。何だか
死人
(
しびと
)
の
膏
(
あぶら
)
が
肥料
(
こやし
)
になって、ああ
生々
(
いきいき
)
延びるような気がするじゃないか。ここにできる
筍
(
たけのこ
)
はきっと
旨
(
うま
)
いよ」
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
生きた人を喰う上に、亜剌比亜夜話にある「ゴウル」の様に墓を掘って
死人
(
しびと
)
を喰う。彼は死人を喰うが大好きである。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
太郎は、
死人
(
しびと
)
のにおいが、鋭く鼻を打ったのに、驚いた。が、彼の心の中の死が、におったというわけではない。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
したって今さら何の意味もないじゃありませんか、みんなもう死んでしまってるんですからね。諺にも、
死人
(
しびと
)
じゃ垣根にもならないというじゃありませんか。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
オヤ、そう云えば、この
死人
(
しびと
)
の顔はお嬢さんにそっくりじゃありませんか。エ、そうは思いませんかい
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
又
(
また
)
昨日
(
きのふ
)
今日
(
けふ
)
の
新墓
(
しんばか
)
で
死人
(
しびと
)
の
墓衣
(
はかぎ
)
に
苞
(
くる
)
まって
隱
(
かく
)
れてゐよとも
言
(
い
)
はッしゃれ。
聞
(
き
)
いたばかりでも、
例
(
つね
)
は
身毛
(
みのけ
)
が
彌立
(
よだ
)
ったが、
大事
(
だいじ
)
の
操
(
みさを
)
を
立
(
た
)
つる
爲
(
ため
)
なら、
躊躇
(
ちゅうちょ
)
せいで
敢行
(
しての
)
けう。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
「ま、後から聞きやしょう。
死人
(
しびと
)
を前に置いて
因果話
(
いんがばなし
)
もぞっとしねえ。それより——おい、彦。」
釘抜藤吉捕物覚書:10 宇治の茶箱
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「気のせいだよ。
死人
(
しびと
)
なんてものは、きれいなものさ。生きてる奴のほうが、よっぽど、
穢
(
きたね
)
え」
銀河まつり
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
おまけに、その犬は、世間普通な犬の吠え方を知らないのか忘れるかしている。吠える声を聞くといつも遠吠えだ。
死人
(
しびと
)
の魂を動物の本能が感じて恐怖するという遠吠えだ。
吠える
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
死人
(
しびと
)
のような紫色の顔をして、かつて見たこともないほどに恐怖の沈滞しているような冷やかな眼をしたラザルスの姿が、物凄い光りのなかに朦朧として浮き上がって来た。
世界怪談名作集:14 ラザルス
(新字新仮名)
/
レオニード・ニコラーエヴィチ・アンドレーエフ
(著)
それから私はさういふ形の雲を
死人
(
しびと
)
観音と名づけてその影をみればすぐにかくれてしまつた。
銀の匙
(新字旧仮名)
/
中勘助
(著)
さなきだに
蒼
(
あお
)
ざめて血色
悪
(
あ
)
しき顔の夜目には
死人
(
しびと
)
かと怪しまれるばかり。
剰
(
あまつさ
)
え髪は乱れて
頬
(
ほお
)
にかかり、頬の肉やや落ちて、
身体
(
からだ
)
の
健
(
すこや
)
かならぬと心に苦労多きとを示している。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「君達はポカンと口を
開
(
あ
)
けて何に
見惚
(
みと
)
れてるんだね。僕は踊子でもなければ、
死人
(
しびと
)
でも無いんだ。ちよい/\小説を書いて暮らす男が、何が面白くてそんなにきよろ/\するんだね。」
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「
死人
(
しびと
)
にうちがあるか」と作次は云った、「おれは死んじまった人間だ、ここにいるおれは」と彼は右手で自分の胸を掴んだ、「このおれは、
死骸
(
しがい
)
も同然なんだ、それがおめえにわかるか」
おさん
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
鏡の中には
死人
(
しびと
)
のやうに蒼ずんだ女の老けた顔が大きく眼をみはつてゐる。
晩菊
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
そのとき、三千子の眼は、素早く或るものに
注
(
そそ
)
がれた。それは、奥から番号札を押し出した変に黄色い手であった。それはまるで、
蝋細工
(
ろうざいく
)
の手か、そうでなければ、
死人
(
しびと
)
の手のようであった。
鬼仏洞事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
老婆はそれを
指
(
ゆびさ
)
して、「この
死人
(
しびと
)
がその黒瀬ぬいでござんやす。」
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それは
難有
(
ありがと
)
うございます。なぜと云うに、
死人
(
しびと
)
なんぞに
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
夫
(
そ
)
れは知れた事だ。
死人
(
しびと
)
は
喰
(
く
)
われんから鶴の方が
宜
(
い
)
い。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「この足袋を見給へ、
宛然
(
まるで
)
死人
(
しびと
)
が穿いたやうだ。」
伊豆の旅
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
死人
(
しびと
)
のようなその顔の上にもつれかかっていた。
世界怪談名作集:13 上床
(新字新仮名)
/
フランシス・マリオン・クラウフォード
(著)
「もう一歩でも上ってみ給え。君の脳天を撃ち抜くよ!
死人
(
しびと
)
は咬みつかないはずだね。」と言い足して、私はくっくっと笑った。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
車「
肥
(
こい
)
の
臭
(
にお
)
いか干鰯の臭いかは在所の者は知ってるが、旦那今
私
(
わし
)
が
貴方
(
あんた
)
の荷が臭いと云った時、顔色が変った様子を見ると、此の中は
死人
(
しびと
)
だねえ」
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「城下に
疫病
(
えやみ
)
が出来ようぞ」「
死人
(
しびと
)
で丘をつくろうぞ」こう唄った彼らの唄の言葉が心にかかってならないのであった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
生胆
(
いきぎも
)
取りだの
死人
(
しびと
)
使い、奴隷売買、人殺し請負いナンテものは西洋人でなくちゃ出来ない仕事だと聞いておりましたがマッタクその通りだと思いましたナ。
悪魔祈祷書
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
まだここまでも、
死人
(
しびと
)
のにおいは、伝わって来るが、戸口のかたわらに、暗い緑の葉をたれた
枇杷
(
びわ
)
があって、その影がわずかながら、涼しく窓に落ちている。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
イヤ、化物ばかりならいいんだが、もっと気味の悪いものがあるって云いますよ。
死人
(
しびと
)
ですよ。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
かれが何十人かの
剣団
(
けんだん
)
を案内して江戸へ戻る途中を
擁
(
よう
)
し、ひさかた振りに根限り腕をふるって一大修羅場に
死人
(
しびと
)
の山を築いてくれよう——こういう気だから表面はしごくのんきだ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
畳
(
たた
)
んで上げると、何ともいえない嫌な匂いがするので——オヤ、
死人
(
しびと
)
臭い——と
迂
(
う
)
っかり云ったら、お師匠様が、きっと私を見て、黙っていろ、と恐い眼をしてこう仰っしゃったんですよ
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
兎も角も、お蔭さまで助かりますと、
片肘
(
かたひじ
)
に身を持たせて
吸筒
(
すいづつ
)
の紐を
解
(
とき
)
にかかったが、ふッと中心を失って今は恩人の死骸の胸へ
伏倒
(
のめ
)
りかかった。如何にも
死人
(
しびと
)
臭
(
くさ
)
い匂がもう
芬
(
ぷん
)
と鼻に来る。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
鏡の中には
死人
(
しびと
)
のように
蒼
(
あお
)
ずんだ女の
老
(
ふ
)
けた顔が大きく眼をみはっている。
晩菊
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
やあ、こいつは——川原いっぱいが
死人
(
しびと
)
の山になるのだ、気の毒だなあ——
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
或
(
あるひ
)
は
暑中
(
しよちう
)
に
葬禮
(
さうれい
)
の
日
(
ひ
)
を
延
(
のば
)
して
死人
(
しびと
)
の
腐敗
(
ふはい
)
するもあり。
改暦弁
(旧字旧仮名)
/
福沢諭吉
(著)
ところでね、実際のところ、己ぁいい事をしていい目に遭ったってこたぁまだ一度だってねえ。先に打ってかかる奴が己ぁ好きだ。
死人
(
しびと
)
は咬みつかねえ。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
己も仕様がないから賭博を
止
(
や
)
め、今じゃア
人力車
(
くるま
)
を引いてるが、旦那
貴方
(
あんた
)
は
何処
(
どこ
)
のもんだか知んねえが、人を
打殺
(
ぶっころ
)
して金を
奪
(
と
)
り、其の
死人
(
しびと
)
を持って来たなア
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
成程な、
死人
(
しびと
)
の髪の毛を抜くと云う事は、何ぼう悪い事かも知れぬ。じゃが、ここにいる死人どもは、皆、そのくらいな事を、されてもいい人間ばかりだぞよ。
羅生門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
見れば、
死人
(
しびと
)
の指には、一束の小さな紙札が握られている。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「
死人
(
しびと
)
で丘をつくろうぞ」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
又「
白痴
(
たわけ
)
た奴だ、どうもそんな事を云って
篦棒
(
べらぼう
)
め、
手前
(
てめえ
)
どう云う訳で
死人
(
しびと
)
だと云うのだ、失敬なことを云うな」
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
侍たちは、口々にののしりながら、早くも
太刀
(
たち
)
を打ちかけようとする。もうこうなっては、逃げようとしても逃げられない。猪熊の爺の顔は、とうとう
死人
(
しびと
)
のような色になった。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「
死人
(
しびと
)
や、死人や」
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
……寺の坊主が前町の荒物屋の
女房
(
にょうぼう
)
と悪いことをしやアがって、亭主を殺して堂の縁の下へ
死人
(
しびと
)
を隠して置いたのさ、ところで其の死人に
此奴
(
こいつ
)
が
掴
(
つか
)
まって出たと云う
可笑
(
おか
)
しい話だが
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
何うたって何うにも
彼
(
こ
)
うにも
酷
(
ひど
)
い目に
遭
(
お
)
うたぜ、
私
(
わし
)
ア縁の下に隠れて、
然
(
そ
)
うしてお前様
死人
(
しびと
)
とは知らぬから先に逃げた奴が隠れて居ると思うたから、
其奴
(
そいつ
)
の帯を
掴
(
つか
)
んでちま/\と隠れて居ると
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
死
常用漢字
小3
部首:⽍
6画
人
常用漢字
小1
部首:⼈
2画
“死人”で始まる語句
死人花
死人焼
死人箱
死人色
死人之事