さく)” の例文
さく年の初夏しよか兩親れうしんの家から別居べつきよして、赤坂區さかく新町に家を持ち、馴染なじみのその球突塲たまつきばとほくなるとともにまたほとんどやめたやうなかたちになつた。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
さく三十七ねん十二ぐわつ某夜ばうやことなりき、れいごと灌水くわんすゐへてじよくねむりきしもなく、何者なにものきたりて七福しちふくあたふとげたりとゆめむ。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
さて其翌日そのよくじつさく御獻立ごこんだて出來上できあがさふらふはやめさせたまふべきか」と御膳部方ごぜんぶかたよりうかゞへば、しばしとありて、何某なにがし御前ごぜんさせられ
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
余談が長くなり過ぎるが、エルマンは電気になって、遙かに尾鰭を添えたが、幾分さくの魅力を失ったことはいながたい。
この話はすべて遠野とおのの人佐々木鏡石君より聞きたり。さく明治四十二年の二月ごろより始めて夜分おりおりたずたりこの話をせられしを筆記せしなり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
そしてさくの知識はこんすでに非なるが常である。人は地に関してすらいまだはなはだしく無知である。ヨブ記のこの言は、その精神において今なお有効である。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
「いうまでもない。この高俅が禁門軍の上に臨むからは、さくのごとき、軍の弛緩しかんは断じてゆるさん。まずもって、汝のような軍をみだ似而非えせ武士からただすのだ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
はれさくごと到着たうちやくしてると、新聞連しんぶんれん今日けふすくない。坪井博士つぼゐはかせ歸京ききやう準備じゆんびをしてられる。博物館はくぶつくわんからは、和田氏わだし一人ひとりだけだ。しかし、高等野次馬かうとうやじうま非常ひじやうおほい。
が、さくの非をい今のさとつてゐる上から云へば、予も亦同じ帰去来ききよらいの人である。春風は既に予が草堂ののきを吹いた。これから予も軽燕けいえんと共に、そろそろ征途へのぼらうと思つてゐる。
入社の辞 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
さくの汝が松風明月のうらみとこしなへに尽きず……なりしを知るものにして、今来つて此盛装せる汝に対するあらば、誰かまた我と共に跪づいて、汝を讚するの辞なきに苦しまざるものあらむ。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
が、さくの非を悔い今のを悟っている上から云えば、予も亦同じ帰去来ききょらいの人である。春風は既に予が草堂ののきを吹いた。これから予も軽燕と共に、そろそろ征途せいとへ上ろうと思っている。
艸木虫魚 (新字新仮名) / 薄田泣菫(著)
おもはず慄立よだてたのは、さく十四年じふよねん五月ごぐわつ二十三日にじふさんにち十一時じふいちじ十分じつぷん城崎きのさき豐岡とよをか大地震おほぢしん大火たいくわ號外がうぐわいると同時どうじであつた。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
この、好色の豪族は、はやく雨乞のしるしなしと見て取ると、日のさくの、短夜もはや半ばなりししゃ蚊帳かやうちを想い出した。……
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
這般この、好色の豪族は、はやく雨乞のしるしなしと見て取ると、日のさくの、短夜みじかよもはやなかばなりししゃ蚊帳かやうちを想ひ出した。……
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
翌朝あくるあさ、例の秋さん、二階へ駈上る跫音高く、朝寝の枕を叩きて、起きよ、心なき人、人心なく花かへつて情あり、さく、冷かにいひおとしめしを恥ぢたりけん、シヽデンの花、開くこと
草あやめ (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)