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摩擦
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まさつ
ふりがな文庫
“
摩擦
(
まさつ
)” の例文
彼女は、私を洗面臺に引つぱつていつて、石鹸と水と
硬
(
かた
)
いタオルをとつて、無慈悲に、だけど幸ひにも簡單に、顏と手を
摩擦
(
まさつ
)
した。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
利助の左の手が女の丸い肩に掛ると、右手に持つた濡れ手拭が、恐ろしい勢ひで女の背から、肩から、腕を
摩擦
(
まさつ
)
し始めました。
銭形平次捕物控:007 お珊文身調べ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
一
厘錢
(
りんせん
)
は
黄銅
(
くわうどう
)
の
地色
(
ぢいろ
)
がぴか/\と
光
(
ひか
)
るまで
摩擦
(
まさつ
)
されてあつた。どつぺを
引
(
ひ
)
いたのが
更
(
さら
)
に
親
(
おや
)
になつて一
度
(
ど
)
毎
(
ごと
)
にどつぺは
解
(
と
)
いて
他
(
た
)
の
綱
(
つな
)
へつける。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
こういう無慈悲な
摩擦
(
まさつ
)
を伴いながら、資本主義というものは大きな社会化された組織・独占の段階に進んで行くものなのだ。
工場細胞
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
また織田家の宿将とのあいだにも、かりそめに
摩擦
(
まさつ
)
を起さない。分を知って野望をあらわさず、よく内に蓄えて、同盟国に危うさを
気労
(
きづか
)
わせない。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
その酸乳を長い桶の内に入れその上へ少しばかり
微温湯
(
ぬるまゆ
)
を入れて、そうして棒の先に円い蓋の付いたもので上げたり下げたりして充分
摩擦
(
まさつ
)
すると
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
其所
(
そこ
)
で
叮嚀
(
ていねい
)
に
歯
(
は
)
を
磨
(
みが
)
いた。
彼
(
かれ
)
は
歯並
(
はならび
)
の
好
(
い
)
いのを常に嬉しく思つてゐる。
肌
(
はだ
)
を
脱
(
ぬ
)
いで
綺麗
(
きれい
)
に
胸
(
むね
)
と
脊
(
せ
)
を
摩擦
(
まさつ
)
した。
彼
(
かれ
)
の
皮膚
(
ひふ
)
には
濃
(
こまや
)
かな一種の
光沢
(
つや
)
がある。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
未開人の
發火法
(
はつくわはう
)
に二大別有り。一は
摩擦
(
まさつ
)
の
利用
(
りよう
)
にして、一は
急激
(
きうげき
)
なる
衝突
(
しやうとつ
)
の
利用
(
りよう
)
なり。木と木の
摩擦
(
まさつ
)
も火を生じ、石と石或は石と金の
衝突
(
しやうとつ
)
も火を生ず。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
決して
真直
(
まっすぐ
)
に進行しませんで、廻転するものですが、その廻転性を利用して、一種の
摩擦
(
まさつ
)
電気を作るんですなあ。
人造人間戦車の機密:――金博士シリーズ・2――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
こういう
不可逆的
(
イルレバーシブル
)
な現象は、
摩擦
(
まさつ
)
が主な役割を演じている場合に限るので、これは大変面白い現象なんです。一つ断層の研究を始めようじゃありませんか
寺田先生の追憶:――大学卒業前後の思い出――
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
腰膚ぬいで冷水
摩擦
(
まさつ
)
をやる。日露戦争の余炎がまださめぬ頃で、
面
(
めん
)
籠手
(
こて
)
かついで朝稽古から帰って来る村の若者が「冷たいでしょう」と挨拶することもあった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
それは
時間中
(
じかんちゅう
)
に、
砂場
(
すなば
)
で
採取
(
さいしゅ
)
してきた
砂鉄
(
さてつ
)
を
紙
(
かみ
)
の
上
(
うえ
)
にのせて、
磁石
(
じしゃく
)
で
紙
(
かみ
)
の
裏
(
うら
)
を
摩擦
(
まさつ
)
しながら、
砂
(
すな
)
をぴょんぴょんとおどらせていたのを、
先生
(
せんせい
)
に
見
(
み
)
つかったからです。
二少年の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
われわれにとってはむろんだが、塾生たちにとっても、こうした
摩擦
(
まさつ
)
は決して無意味ではない。どうせ将来は、もっと大きなスケールで経なければならない試練だからね。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
とてもこのままでこれ以上奥畑の眼や世間の眼を
胡麻化
(
ごまか
)
して行くことはむずかしいから、いっそ各方面との
摩擦
(
まさつ
)
を覚悟の上で、一日も早く結婚してしまおう、と云う方へ
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
兵隊の失敗、文化人との
摩擦
(
まさつ
)
など遠く離れて眺めていて、自分の直接の責任にならないばかりか、改めて己れの命令によって修正したり禁令したり、失敗まで利用している。
家康
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
ゴム靴の
底
(
そこ
)
のざりざりの
摩擦
(
まさつ
)
がはっきり知れる。滑らない。
大丈夫
(
だいじょうぶ
)
だ。さらさら水が
落
(
お
)
ちている。靴はビチャビチャ
云
(
い
)
っている。みんないい。それにみんなは後からついて来る。
台川
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
メリーは注射針を刺された瞬間、「キャン。」と一声悲鳴をあげたが、あとは
薬液
(
やくえき
)
を注入しおわるまでじっとしていた。獣医は注射をした跡をアルコールをしめした綿でかるく
摩擦
(
まさつ
)
した。
犬の生活
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
場所はまだ下町の中央に未練があって、毎日、その方面へ探しに行くらしかった。帰って来たときの
疎髯
(
そぜん
)
を貯えた父の立派な顔が都会の
紅塵
(
こうじん
)
に
摩擦
(
まさつ
)
された興奮と、
疲
(
つか
)
れとで、異様に
歪
(
ゆが
)
んで見えた。
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
大霧を
揺
(
ゆ
)
るよと見る間に、
急瀬
(
きふらい
)
上下に乱流する如くなりて、
中霄
(
ちゆうせう
)
に
溢
(
あふ
)
れ、片々
団々
(
だん/\
)
、
扯
(
さか
)
れて飛んで細かく分裂するや、シヤボン球の如き小薄膜となり、球々相
摩擦
(
まさつ
)
して、争ひて下界に下る、三合四合
霧の不二、月の不二
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
相剋
(
そうこく
)
や
摩擦
(
まさつ
)
なしに自然に成立する。
政治学入門
(新字新仮名)
/
矢部貞治
(著)
與吉
(
よきち
)
は
繃帶
(
ほうたい
)
をしてから
疼痛
(
いたみ
)
もとれた。
繃帶
(
ほうたい
)
は
又
(
また
)
直接
(
ちよくせつ
)
他
(
た
)
の
物
(
もの
)
との
摩擦
(
まさつ
)
を
防
(
ふせ
)
いで、
彼
(
かれ
)
に
快
(
こゝろ
)
よく
村落
(
むら
)
の
内
(
うち
)
を
彷徨
(
さまよ
)
はせた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「いや、そうなんだ。火星の上では、重力が地球の場合の約三分の一しかないんだ。だから
摩擦
(
まさつ
)
も三分の一しかないから、えらくスピードが出てしまうんだ」
火星探険
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
時にきわどい
摩擦
(
まさつ
)
を起こすし、全戦局を
過
(
あやま
)
るような危険もなしとはしないが、さりとて、この
気魄
(
きはく
)
もないような気魄では、敵と
相見
(
あいまみ
)
えても、直ちに、霊魂そのものとなって
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そのまま、こいつあ困った、このまま死ぬのじゃないか知らんという考えを起したです。どうもして見ようがない。それからまあどうやらこうやら出来るだけ自分で
摩擦
(
まさつ
)
をした。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
「そう言われるとつらいが、それもしかたがない。やはり時勢には勝てないよ。今は無益な
摩擦
(
まさつ
)
の原因を作るより、なごやかな愛情を育てるために、できるだけの手段を講ずべきだね。」
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
お延の頭に描き出されたその稽古は、不幸にして女を
善
(
よ
)
くするものではなかった。しかし女を鋭敏にするものであった。悪く
摩擦
(
まさつ
)
するには相違なかった。しかし
怜悧
(
れいり
)
に
研
(
と
)
ぎ
澄
(
すま
)
すものであった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そのときあちこちの氷山に、大循環
到着者
(
とうちゃくしゃ
)
はこの
附近
(
ふきん
)
に
於
(
おい
)
て数日間休養すべし、帰路は各人の任意なるも
障碍
(
しょうがい
)
は来路に倍するを
以
(
もっ
)
て
充分
(
じゅうぶん
)
の
覚悟
(
かくご
)
を要す。海洋は
摩擦
(
まさつ
)
少きも
却
(
かえ
)
って速度は大ならず。
風野又三郎
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
それはこのジャンガラ星は重力が非常に小さい星であるために、
摩擦
(
まさつ
)
もまた小さく、したがって地球の上を歩くような力の入れかたをしたのでは、すぐ滑ってしまうのだ。
宇宙の迷子
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
早速羊を石に
括
(
くく
)
り付けて自分はまた自分の手で出来るだけ身体を
摩擦
(
まさつ
)
して暖気を取りました。で一時間ばかりもそんな事をして費やしたですがその川の広さはちょうど一町半ばかりある。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
若い自負心と自負心とが、触れるとすぐ
摩擦
(
まさつ
)
を起そうとするのであった。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「さけ得られる
摩擦
(
まさつ
)
はなるだけさけたいと思っていますが……。」
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
空気の
摩擦
(
まさつ
)
がはげしくなって、艇の外側はだんだん熱をおびてきた。このいきおいで落下がつづけば艇はぱっと燃えだし、
燐寸箱
(
マッチばこ
)
に火がついたように、一団の火の
塊
(
かたまり
)
となるであろう。
宇宙戦隊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
この方面の越境は、直ちに、上杉謙信との
摩擦
(
まさつ
)
を生じるからである。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
適当な
摩擦
(
まさつ
)
をもっていて、
弾力
(
だんりょく
)
も頃あい、そして丈夫なことにかけては、巨人やブルトーザがのっても平気で、きめられたスピードで走るのです。さあ、私たちもあれにのりましょう。
ふしぎ国探検
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
“摩擦”の意味
《名詞》
物と物が擦れること。
人間どうしの意見や感情などの食い違いによって起こるもめごと。
(context、mechanics)接触している物体の一方が運動しようとするとき、その接触面に働く運動を阻止する方向へ力が働く現象。
(出典:Wiktionary)
摩
常用漢字
中学
部首:⼿
15画
擦
常用漢字
中学
部首:⼿
17画
“摩擦”で始まる語句
摩擦力
摩擦法
摩擦熱
摩擦音
摩擦電気
摩擦發火法