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手蔓
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てづる
ふりがな文庫
“
手蔓
(
てづる
)” の例文
「さあ、
愈々
(
いよ/\
)
出世の
手蔓
(
てづる
)
が出来かかつたぞ。
明日
(
あす
)
は一つあの殿様のお顔を、
舶来
(
はくらい
)
石鹸
(
しやぼん
)
のやうにつるつるに剃り上げて呉れるんだな。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
手蔓
(
てづる
)
を求めて捜してみたところ、二三の藩で似たような例のあること、また現在それがどう扱われているかということもわかった。
ちくしょう谷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
しかし
身寄
(
みより
)
のものでもあるなら、折角うつした写真だけは届けてやりたいとも思ったが、無論そんな
手蔓
(
てづる
)
のあろうはずもなかった。
勲章
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
叔母はさすがに女二人だけの外地の初旅に神経を配って、あらゆる
手蔓
(
てづる
)
を手頼って、この地の官民への紹介状を貰って来て私に与えた。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
それ迄の間に彼は二三の
手蔓
(
てづる
)
を求めて、御牧の性行その他のこと、父子爵や腹違いの兄弟たちとの関係のことなど、一通りは調べて見
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
推薦者の二家ばかりでなく、
手蔓
(
てづる
)
のある限り、閣老たちの屋敷へも行った。そして武蔵の
讒訴
(
ざんそ
)
をあの調子で
撒
(
ま
)
いて歩いたのである。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この隠し子の存在にはお梶さまも相当煩悶した
由
(
よし
)
であるが、自分の結婚前ということが、ともかく
納得
(
なっとく
)
の
手蔓
(
てづる
)
ではあったらしい。
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「御用があつたら、どなたかに頼んで、
先達
(
せんだつ
)
に引合せて貰つて下さいよ。通三丁目の井筒屋なんか、差當り結構な
手蔓
(
てづる
)
ぢやございません?」
銭形平次捕物控:283 からくり屋敷
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「まあ、いいさ、そのうちには何とか
手蔓
(
てづる
)
があってわかるだろう、都合によっては、わたしの方で当りがつくかも知れない」
大菩薩峠:30 畜生谷の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それでも彼は強情にこの按摩から何かの
手蔓
(
てづる
)
を探り出そうと試みた。今もむかしも根気が乏しくては出来ない仕事である。
半七捕物帳:09 春の雪解
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
第五巻の講ぜられる日などは御陪観する価値の十分にあるものであったから、あちらこちらの女の
手蔓
(
てづる
)
を頼んで参入して拝見する人も多かった。
源氏物語:54 蜻蛉
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
いろいろの
手蔓
(
てづる
)
を求めては、美しい女を狩り集めて来て、
利
(
き
)
き
所
(
どころ
)
利き所の諸侯へ勧めて、その側室とすることによって、一種の
閨閥
(
けいばつ
)
を
形成
(
かたちづ
)
くった。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
すると赤シャツさんが、
手蔓
(
てづる
)
を求めて遠山さんの方へ
出入
(
でいり
)
をおしるようになって、とうとうあなた、お嬢さんを
手馴付
(
てなづ
)
けておしまいたのじゃがなもし。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そうしてモデル
屋
(
や
)
の
持
(
も
)
ツて來るモデルもモデルも
片
(
かた
)
ツ
端
(
はし
)
から
刎付
(
はねつ
)
けて、
或
(
あ
)
る
手蔓
(
てづる
)
を
得
(
え
)
てやツとこさ自分で
目付
(
めつ
)
け出したモデルといふのが
即
(
すなは
)
ちお房であツた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
値段も大いに高いけれども、しかし、それよりも、
之
(
これ
)
を求める
手蔓
(
てづる
)
が、たいへんだったのである。お金さえ出せば買えるというものでは無かったのである。
親友交歓
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
東京に出かけて行けば、
探
(
さが
)
す
手蔓
(
てづる
)
はいくらもある。中にはその居る所を教へて
呉
(
く
)
れたものもある。しかし
出懸
(
でか
)
けて行く旅費もないほどその家は困つて居た。
朝
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
川上氏は私の頑固なのに
呆
(
あき
)
れて帰られたが、当時そういうよい
手蔓
(
てづる
)
がありながらこの仕事に乗り出さぬというのは、あまりに臆病すぎる話であったかも知れない。
一商人として:――所信と体験――
(新字新仮名)
/
相馬愛蔵
、
相馬黒光
(著)
物質的にまだ一度もこれという力を貸していないことに相当
負
(
ひ
)
け目も感じていたので、そんな点では決してぼんやりしていない彼女なので、何かの
手蔓
(
てづる
)
を見つけて
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
財産と
手蔓
(
てづる
)
とがないので、彼女たちは結婚することもできません。働くことに追われてばかりいるので、知的生活を営んでそれに愛着し慰められることもできません。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「江戸から、大作を追うておりまして、ようよう
手蔓
(
てづる
)
を握ったかとおもうと、取逃しまして——」
三人の相馬大作
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
其中
(
そのうち
)
に或人が其は既に文壇で名を成した
誰
(
たれ
)
かに
知己
(
ちかづき
)
になって、其人の手を経て持込むが
好
(
い
)
いと教えて呉れたので、成程と思って、早速
手蔓
(
てづる
)
を求めて某大家の門を叩いた。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
放
(
はな
)
れ
成佛
(
じやうぶつ
)
得度
(
とくど
)
なすとも
云
(
いふ
)
何樣
(
なにさま
)
善惡
(
ぜんあく
)
相半
(
あひなかば
)
すべし偖も源八は彼の與八に暇の
出
(
いで
)
たるは我故なり今は
云寄
(
いひよる
)
手蔓
(
てづる
)
もなく成りしかば通仙夫婦の者に
遺恨
(
ゐこん
)
を
晴
(
はら
)
さばやと思ひて
竊
(
ひそか
)
に
鹿
(
しか
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
一頃は本所辺に小さな家を借りて、細君の豊世と一緒に仮の
世帯
(
しょたい
)
を持ったが、間もなくそこも畳んで
了
(
しま
)
い、細君は
郷里
(
くに
)
へ帰し、それから
単独
(
ひとり
)
に成って
事業
(
しごと
)
の
手蔓
(
てづる
)
を探した。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
この信念の
下
(
もと
)
に、彼は去年の暮に出府した際も、あらゆる
手蔓
(
てづる
)
を求めて
目附衆
(
めつけしゅう
)
へ運動もしたし、それから後も山科に閑居して、茶屋酒にうつつを脱かしていると見せながら
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
学問も段〻進んで来るし人にも段〻認められて来たので、いくらか
手蔓
(
てづる
)
も出来て、
終
(
つい
)
に上京して、やはり
立志篇
(
りっしへん
)
的の
苦辛
(
くしん
)
の日を重ねつつ、大学にも入ることを得るに至ったので
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
そして直接工場に入つて職工の手伝ひをするのであるから職工等に知り合ひも出来、職工になる
手蔓
(
てづる
)
を得るにもよいと云ふことであつた。で私は善作さんにそのことを相談した。
ある職工の手記
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
あんまり
執拗
(
しつこ
)
い、急迫した手段で、臼杵家に交際の
手蔓
(
てづる
)
を求めるのも、こっちが狼狽しているようでおかしい……と言ったようないろいろな
気兼
(
きがね
)
から、いよいよ形容の出来ない
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
また左官の正太郎は白島山平の
手蔓
(
てづる
)
から
正道
(
しょうどう
)
の者で有ると榊原様へお抱えになり、後には立派な棟梁となり、正太郎左官と云われて、
下谷茅町
(
したやかやちょう
)
の
横町
(
よこちょう
)
池
(
いけ
)
の
端
(
はた
)
へ出ようと云う処に
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
人格を分析すると、
手蔓
(
てづる
)
も少し入っているけど、要するに行政官は帝大法科出身者のうち最も優秀にして最も人格の高いものがなる。この故に行政官は地の塩である。世の光である
首切り問答
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
それでも判らずにおりましたが、飲み屋の女が唄う鼻唄から気がついて、聞いてみたら女飴屋の口真似だとか、それを
手蔓
(
てづる
)
に方々聞き、ここへ来てみると子供の声で、昔聞いた節の唄
一本刀土俵入 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
馬は
槽
(
おけ
)
の
手蔓
(
てづる
)
に口をひっ掛けながら、またその中へ顔を隠して
馬草
(
まぐさ
)
を食った。
蠅
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
太
(
ふて
)
え御了簡ッちゃありゃしねえ。どうして探り出そう、誰から嗅ぎ出そうと
手蔓
(
てづる
)
をたぐって行くうちにね、ゆうべこちらへ御菓子折とかを届けためくらとあの若い野郎とを嗅ぎ当てたんですよ。
旗本退屈男:10 第十話 幽霊を買った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「何か、いゝ
手蔓
(
てづる
)
はないかね。煙草とか、衣類とか、出ないのかい?」
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
そしてそれは同時に清逸自身の存在を明瞭にし、それが縁になって、東京に遊学すべき
手蔓
(
てづる
)
を見出されないとも限らない。清逸は少し疲れてきた頭を休めて、手を火鉢に暖ためながらこう思った。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
闇で鯖の乾物でも買って食べたいと思ったが、そんな
手蔓
(
てづる
)
はない。
岡ふぐ談
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
「うむ、輪タク、結構。それにしたつて、
手蔓
(
てづる
)
はいるだろう」
光は影を
(新字新仮名)
/
岸田国士
(著)
わたくしの旧学園友達の赤坂の吉良の家へ何事か
手蔓
(
てづる
)
を探り出すべく訪ねた帰りに豊川稲荷へお百度を踏みに行ったのだと言いました。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「浪人の身で」と大和守は云った、「かように高価なものが自由になるとは、よほど内福のうえによき
手蔓
(
てづる
)
があることだろうな」
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そう決心して昭和十七年の暮に
手蔓
(
てづる
)
を求め軍属になって満洲へ行き、以前入営中にならい覚えた自動車の運転手になり四年の
年月
(
としつき
)
を送った。
羊羹
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その死んだ日か、前に來た客のことを訊きましたが、下等な船比丘尼の客などは誰も氣に留めず、そこにも探索の
手蔓
(
てづる
)
は絶えてしまひました。
銭形平次捕物控:105 刑場の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「するととうぶんお別れだが、
秀吉公
(
ひでよしこう
)
へ取りいったら、おれもお船手の
侍大将
(
さむらいだいしょう
)
かなにかになれるように、うまく
手蔓
(
てづる
)
をしてもらいてえものだな」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
海舟という偉大な総大将が復活の
手蔓
(
てづる
)
を全然与えなかったのだ。明治新政府の政治力によるものではなかったのである。
安吾史譚:05 勝夢酔
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
女房などの中へ
手蔓
(
てづる
)
を求めて姫君へ手紙を送る方法もあるし、直接に意志を源氏へ表明することも可能であるが、そうした大胆なことはできずに
源氏物語:24 胡蝶
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
手蔓
(
てづる
)
のない、しかも焦眉の急に応ずるための財力の発動としては、その方法に、相当微細にして巧妙なるものがなければ、かえって事を仕損ずる。
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
手蔓
(
てづる
)
を求めて招待券を都合した者が多いらしく、椅子席は
殆
(
ほとん
)
ど満員で、うしろの方に立って見物している一群もあった。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
江戸へはいっても仕官は出来ず、町道場をひらくことも、寺小屋らしいものをひらくことも、
手蔓
(
てづる
)
と金とがなかったので、実行することは出来なかった。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
貴公今の婦人に
手蔓
(
てづる
)
が有るなれば話をして、拙者の処の妻にしたいが、何うだろう、話をして貴公が
媒介人
(
なこうど
)
にでも、橋渡しにでもなって、
貰受
(
もらいう
)
けて呉れゝば多分にお礼は出来んが
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
もちろん天下の秀才が出るものと仮定しまして、そうしてその秀才が出てから何をしているかというと、何か
糊口
(
ここう
)
の口がないか何か生活の
手蔓
(
てづる
)
はないかと朝から晩まで捜して歩いている。
道楽と職業
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「矢っ張り同窓ってものは有難い。一寸電車で会っても、これ丈け
胸襟
(
きょうきん
)
を開いて話せる。僕は同級生と先輩の関係で、それからそれと
手蔓
(
てづる
)
を
手繰
(
たぐ
)
って行くから、随分手広く勧誘が出来る」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「ふむ、そうか」と、小平太は腕を
拱
(
こまぬ
)
いで考えこんだ。そういうことがあるとすれば、いっそここでこの女に大望を打明けて、その
手蔓
(
てづる
)
で何事かを聞きだすようにしようかとも思ってみた。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
蔓
漢検準1級
部首:⾋
14画
“手蔓”で始まる語句
手蔓等