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てくだ
ふりがな文庫
“
手管
(
てくだ
)” の例文
此方から
短銃
(
ぴすとる
)
と言た時に
直様
(
すぐさま
)
はい其
短銃
(
ぴすとる
)
は
云々
(
しか/″\
)
と答えたのが益々彼れの
手管
(
てくだ
)
ですわ、
詰
(
つま
)
り彼れは丁度計略の裏を
書
(
かい
)
て居るのです
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
クリクリ坊主にさせたいからじゃ。是が非でも出家にさせねばならぬ必要があるゆえ、そちが一世一代の
手管
(
てくだ
)
を奮って、うまうまと
剃髪
(
ていはつ
)
させい
旗本退屈男:08 第八話 日光に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
何だか抱きついてやりたい樣な氣になつたが、いい氣になつて、女の巧みな
手管
(
てくだ
)
にのつたと思はれはしないかと思つて、ただ苦笑ひをしてゐる。
泡鳴五部作:03 放浪
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
狂人といっても発作の起らない限りは
殆
(
ほとん
)
ど常人と変りがない。それどころか見えすいたお世辞を使ったり色々俗世間的な
手管
(
てくだ
)
をかなり無反省に使駆する。
流浪の追憶
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
今晩現われたあの芸妓だって、それだけの打算と
手管
(
てくだ
)
がありさえすれば、こんなだらしのないことにはなるまい。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
ところが、その娘に、旦那様、人もあろうにあの
大伴
(
おおとも
)
の大納言様が眼をつけましてな、例の
手管
(
てくだ
)
で物にしようとなさっているのが分ったのでございます。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
絶代の女形、三都に
亘
(
わた
)
っての美男から、かくまで、
手管
(
てくだ
)
をつくした言葉を聴かされては、どのような、木石の尼御前でも、心を動かさずにはいられまい。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
殊に不手際と思はれるのは、見物が先へ行かうとするのを、無理矢理に引止めて置かうとする作者の
手管
(
てくだ
)
です。
懐かし味気なし:五年振で見る故国の芝居
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
「そんな優しい顔しててあんたはえらい
手管
(
てくだ
)
上手や」とか、「くろとも及ばん
凄腕
(
すごうで
)
や」とか、いろいろなこというておだてたり皮肉いうたりしますのんで
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そして、僕は酔ったときの癖で、鍵穴に秘めた最期の
手管
(
てくだ
)
をもって、ダンス・ホールからの女友達を眺めた。
東京ロマンティック恋愛記
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
満枝が
手管
(
てくだ
)
は、今その
外
(
おもて
)
に
顕
(
あらは
)
せるやうに
決
(
け
)
して内に
怺
(
こら
)
へかねたるにはあらず、かくしてその人と
諍
(
いさか
)
ふも、また
愜
(
かな
)
はざる恋の内に
聊
(
いささ
)
か楽む道なるを思へるなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
伊之さん何うか察して下さいとほろりとさせる処でげすが、
其様
(
そんな
)
ケレン
手管
(
てくだ
)
なんどは
些
(
ちっ
)
ともないお若さんですから、実は
斯々云々
(
かく/\しか/″\
)
の訳あってと
真実
(
まこと
)
を話します。
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「お米さん。じゃお
前
(
めえ
)
は、ほんとに眼がさめたというのけえ。まさか、いつもの
手管
(
てくだ
)
じゃないでしょうね」
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そんなに気のきかねえ話じゃありませんよ。——
手
(
て
)
れん
手管
(
てくだ
)
の裏表、色の
諸
(
しゅ
)
わけ——と言ったような」
銭形平次捕物控:242 腰抜け彌八
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
三好曹長は判断力の
昏迷
(
こんめい
)
して来るのを禁ずることができなかった。併し彼の多年の経験から来た直覚は「こんな
手管
(
てくだ
)
で化かされてはいかんぞ。油断するでないぞ」
偉大なる夢
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
而もその先生に、單純な中學生の心理を巧に綾なして行く程の教授法以外の
手管
(
てくだ
)
があらう筈もない。
猫又先生
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
しかし彼の徳兵衛は実に巧いものであった。例の
座頭
(
ざとう
)
の木琴のくだりで“かねて
手管
(
てくだ
)
とわしゃ知りながら”の粋な
錆
(
さ
)
び声は、この人でなければ聞かれまいと思われた。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その間に共通のきずなはなかった。鶴見の方には盲目の衝動あるのみで、相手には性慾に加工した
手練
(
てれん
)
手管
(
てくだ
)
があった。鶴見は好い加減にそれに乗せられていたのである。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
未
(
ま
)
だ十八九の
初心
(
うぶ
)
なあれに男の心を始終
反
(
そ
)
らさぬ
手管
(
てくだ
)
が出来るものか。わたしはこんなことを聞いては、娘の純潔を侮辱されたやうに思つて、
凝
(
じ
)
つとして居られなかつた。
愚かな父
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
何らの
手管
(
てくだ
)
もなく、たった純潔一つで
操
(
あやつ
)
られていると思うと渡瀬は心外でたまらなかった。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
職業的の
賭博者
(
とばくしゃ
)
の
陋劣
(
ろうれつ
)
きわまる
手管
(
てくだ
)
を覚えこもうとし、また、その卑劣な術策の達人になってからは、いつもそれを実行して、仲間の学生たちのなかの愚鈍な連中から金をまき上げて
ウィリアム・ウィルスン
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
商売女でもない奈世に
手管
(
てくだ
)
を求めるのも無理とは知っているし、わしだけしか知らぬ奈世に男と女の歓びを、顔や体に現わすように要求するのも、これ又、無理なことではあろうけれど
面
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
「
間夫
(
まぶ
)
」、「結び文」、「床へさし込む
朧
(
おぼ
)
ろ月」、「
櫺子
(
れんじ
)
」、「胸づくし」、「
鶏
(
とり
)
の
啼
(
な
)
くまで」、「
手管
(
てくだ
)
」、「
口舌
(
くぜつ
)
」、「
宵
(
よい
)
の客」、「傾城の誠」、「
抓
(
つね
)
る」、「廊下をすべる
上草履
(
うわぞうり
)
」
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
「いき」の無関心な遊戯が男を魅惑する「
手管
(
てくだ
)
」は、単に「
手附
(
てつき
)
」に存する場合も決して少なくない。「いき」な手附は手を軽く反らせることや曲げることのニュアンスのうちに見られる。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
それをお勢は、生意気な、まだ世の
態
(
さま
)
も見知らぬ癖に、明治生れの婦人は
芸娼妓
(
げいしょうぎ
)
で無いから、男子に接するにそんな
手管
(
てくだ
)
はいらないとて、鼻の
頭
(
さき
)
で
待遇
(
あしら
)
ッていて、更に用いようともしない。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
もし井上侯を猛獣に
譬
(
たと
)
へるなら、H氏は差し詰め
手練
(
しゆれん
)
な猛獣使ひといふ事になる。猛獣使ひが余り名誉な
職業
(
しごと
)
で無いと同じやうに、井上侯を
手管
(
てくだ
)
に取るのも、大して立派な
事業
(
しごと
)
では無かつた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
動きに動く物憎い抽象の恋人、わたくしはいつの間にかこの割りきれない落ちつきどころのない恋人の
手管
(
てくだ
)
に
翻弄
(
ほんろう
)
され始め、翻弄されるのを心ゆくばかり楽しい思いがして来たのでありました。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
こいつ何か奸策あってのことだろうと、典膳は、最初は相手にしなかったが、田舎に珍しいお浦の美貌と、手に入った
籠絡
(
ろうらく
)
の
手管
(
てくだ
)
とに
誘惑
(
そその
)
かされ、つい
府中
(
しゅく
)
の料理屋へ上がった。酒を飲まされた。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
無論、それ等のすべては皆、彼女の
手管
(
てくだ
)
に違いなかったので、彼女はこうして叔父を翻弄しつつ、その魂と肉体を一分刻みに……見る見るうちに亡ぼして行こうと試みている事がわかり切っていた。
鉄鎚
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
私は生れ
乍
(
なが
)
らの
盲目
(
めくら
)
ですが、どういうものか、煙草の煙が大嫌いでしてね、旦那を揉んで居る間、どうかして、やめて頂きたいと思っても旦那はとても一通りの
手管
(
てくだ
)
ではおやめにならぬと思ったので
按摩
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
それは
手管
(
てくだ
)
や
企
(
たく
)
らんだ操縱でもつて引き出されたのではなかつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
徳川時代のお家騒動や、一国の治乱興廃の跡を尋ねると、必ず
蔭
(
かげ
)
に物凄い
妖婦
(
ようふ
)
の
手管
(
てくだ
)
がないことはない。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
宇津木兵馬て人はどうやら
敵持
(
かたきも
)
ちのようだから、ここの間で
手管
(
てくだ
)
をするとうまい仕事ができそうだ。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
見物かた/″\根津へ往って
引張
(
ひっぱ
)
られて
登
(
あが
)
ったのが縁さねえ、処が
此奴
(
こいつ
)
中々
手管
(
てくだ
)
が有って帰さないから、とうとうそれがお前さん道楽の
初
(
はじま
)
りで
酷
(
ひど
)
いめに遭いましたけれども
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
女取引所にあらわれる体温によって花咲いた男性の
手管
(
てくだ
)
を、侵略に委せて
刺青
(
いれずみ
)
した、肉体的異国的な地図と感情を失ったエモーションの波、そこに愛情の新らしい
鋳型
(
いがた
)
を僕は見出すのだ。
東京ロマンティック恋愛記
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
それで序文に、悪人の
手管
(
てくだ
)
を暴露することは良俗に貢献するであらうなどと効能を述べてゐるが、それでも尚、自信がなく、非難すべき根拠に就て自覚をいだいてゐたことは序文が語る通りである。
思想なき眼:――「危険な関係」に寄せて――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
そこで、兎も角も夫の口からそれを聞いた上のことと、こうなると女というものは
手管
(
てくだ
)
のあるもので、すねて見たり、泣いて見たり、種々様々の手段を
尽
(
つく
)
して、結局
隙見
(
すきみ
)
の一件を白状させて了った。
接吻
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そのウラに隠されている彼女の
手管
(
てくだ
)
を見透かしながら……。
鉄鎚
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
何処までが本気で何処までが
手管
(
てくだ
)
か分れしませんねんけど、それがまたいかにも気違いじみてて、たとえば私の夫のこと「あんた」いうたらもう眼エに涙
溜
(
た
)
めはって
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
人間が純良であるだけに、打込むことが深いと見え、女は商売柄、いくらかの余裕もあり、
手管
(
てくだ
)
があっても、兵馬は突きつめた心で、その言うことの全部を信用してしまいます。
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
福松は泣きじゃくりながら、立てつづけて
口説
(
くど
)
き立てますが、今日は山道中の
手管
(
てくだ
)
とは違います。兵馬の方でもまた、道中の時の煮え切らない挨拶とは違って、いよいよキッパリと
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そんな
手管
(
てくだ
)
や、思わせぶりも、御当人同士のお安くない間だけのことなら、御勝手だが、後ろに隠れて、早く自分の身の振り方をつけようと
焦
(
あせ
)
っている者の身になっては、こらえられない。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
管
常用漢字
小4
部首:⽵
14画
“手”で始まる語句
手
手拭
手前
手巾
手繰
手許
手向
手綱
手際
手燭