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待遠
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まちどほ
ふりがな文庫
“
待遠
(
まちどほ
)” の例文
塗
(
ぬ
)
りたての
壁
(
かべ
)
は
狹苦
(
せまくる
)
しい
小屋
(
こや
)
の
内側
(
うちがは
)
を
濕
(
しめ
)
つぽく
且
(
かつ
)
闇
(
くら
)
くした。
壁
(
かべ
)
の
土
(
つち
)
の
段々
(
だん/\
)
に
乾
(
かわ
)
くのが
待遠
(
まちどほ
)
で
卯平
(
うへい
)
は
毎日
(
まいにち
)
床
(
ゆか
)
の
上
(
うへ
)
の
筵
(
むしろ
)
に
坐
(
すわ
)
つて
火
(
ひ
)
を
焚
(
たい
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
報
(
つぐ
)
る鐘耳元に響き渡り
寒風
(
かんぷう
)
肌膚
(
はだへ
)
を
刺
(
さす
)
が如く一
入
(
しほ
)
待遠
(
まちどほ
)
く思ふに就我家の事を
氣遣
(
きづか
)
ひ
若
(
もし
)
母樣が御目を覺され此身の居らぬを尋ねはし給はぬか然共
折角
(
せつかく
)
是迄來りしを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
まじ/\して
居
(
ゐ
)
たが、
有繋
(
さすが
)
に、
疲
(
つかれ
)
が
酷
(
ひど
)
いから、
心
(
しん
)
は
少
(
すこ
)
し
茫乎
(
ぼんやり
)
して
来
(
き
)
た、
何
(
なに
)
しろ
夜
(
よ
)
の
白
(
しら
)
むのが
待遠
(
まちどほ
)
でならぬ。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
平野
踊
(
をどり
)
の
舞人
(
まひびと
)
と思はるる黒紋附に
白袴
(
しろばかま
)
穿
(
は
)
きたるいでたちのボオイ達、こちたく塗れるおしろいの顔、
出場
(
でば
)
を
待遠
(
まちどほ
)
げに
此方彼方
(
こなたかなた
)
するが、
夜
(
よ
)
目に
変化
(
へんげ
)
のものの心地もせられて
可笑
(
をか
)
しく
候
(
さふら
)
ひき。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
敏
(
さとし
)
もとより
築山
(
つきやま
)
ごしに
拜
(
をが
)
むばかりの
願
(
ねが
)
ひならず、あはれ
此君
(
このきみ
)
が
肺腑
(
はいふ
)
に
入
(
い
)
りて
秘密
(
ひみつ
)
の
鍵
(
かぎ
)
を
我
(
わ
)
が
手
(
て
)
にしたく、
時機
(
をり
)
あれかしと
待
(
ま
)
つま
待遠
(
まちどほ
)
や、
一月
(
ひとつき
)
ばかりを
仇
(
あだ
)
に
暮
(
くら
)
して
近
(
ちか
)
づく
便
(
たよ
)
りの
無
(
な
)
きこそは
道理
(
だうり
)
なれ
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
▼ もっと見る
與吉
(
よきち
)
は
近所
(
きんじよ
)
の
子供
(
こども
)
と
能
(
よ
)
く
田圃
(
たんぼ
)
へ
出
(
で
)
た。
暖
(
あたゝ
)
かい
日
(
ひ
)
には
彼
(
かれ
)
は
單衣
(
ひとへ
)
に
換
(
かへ
)
て、
袂
(
たもと
)
を
後
(
うしろ
)
でぎつと
縛
(
しば
)
つたり
尻
(
しり
)
をぐるつと
端折
(
はしよ
)
つたりして
貰
(
もら
)
ふ
間
(
ま
)
も
待遠
(
まちどほ
)
で
跳
(
は
)
ねて
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
蒸暑
(
むしあつ
)
いのが
續
(
つゞ
)
くと、
蟋蟀
(
こほろぎ
)
の
聲
(
こゑ
)
が
待遠
(
まちどほ
)
い。……
此邊
(
このあたり
)
では、
毎年
(
まいねん
)
、
春秋社
(
しゆんじうしや
)
の
眞向
(
まむか
)
うの
石垣
(
いしがき
)
が
一番
(
いちばん
)
早
(
はや
)
い。
震災前
(
しんさいぜん
)
までは、
大
(
たい
)
がい
土用
(
どよう
)
の
三日
(
みつか
)
四日
(
よつか
)
めの
宵
(
よひ
)
から
鳴
(
な
)
きはじめたのが、
年々
(
ねん/\
)
、やゝおくれる。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
曇色
(
くもりいろ
)
の建物の中に寺の屋根が金に輝いて居るのが悲しい心持を
起
(
おこ
)
させる。十六日の
夜
(
よ
)
になつた。翌
朝
(
てう
)
が
待遠
(
まちどほ
)
でならない。何時に
起
(
おこ
)
さうかとボオイが聞くので、六時に着くなら五時で
好
(
い
)
いと云つた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
更
(
さら
)
に
次
(
つぎ
)
の
箸
(
はし
)
が
口
(
くち
)
まで
來
(
く
)
る
其
(
そ
)
の
悠長
(
いうちやう
)
な
手
(
て
)
の
運動
(
うんどう
)
が
待遠
(
まちどほ
)
で
口腔
(
こうかう
)
の
粘膜
(
ねんまく
)
からは
自然
(
しぜん
)
に
薄
(
うす
)
い
水
(
みづ
)
のやうな
唾液
(
つば
)
の
湧
(
わ
)
いて
出
(
で
)
るのを
抑
(
おさ
)
へることが
出來
(
でき
)
ない
程
(
ほど
)
であつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
待
常用漢字
小3
部首:⼻
9画
遠
常用漢字
小2
部首:⾡
13画
“待遠”で始まる語句
待遠樣
待遠成