ドル)” の例文
今度のアメリカの原子爆弾の研究費二十億ドルくらべては恥ずかしい話であるが、当時の我国わがくにとしてはそれでも破天荒なことであった。
原子爆弾雑話 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
その入場券一ドルが三弗五弗というふうに競上せりあげられたというのは、もの珍らしさが手伝ったとはいえ大成功といわなければならない。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
十万ポンドを時の相場にすればメキシコドルで四十万になるその正銀しょうぎんを、英公使セント・ジョン・ニールに渡してず一段落を終りました。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
うまく大漁とぶちあたれば、一シイズン二千ドル以上オーバーという金の女神エルロオ・エンジェルの流し目にぼうとなって、命までもと打ちこんだプロもプロ大玄人プロ
南部の鼻曲り (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
その毛唐らが這入りがけや出て行きがけにあっしとノスタレに五セントか十セントずつ呉れて行きます。たまには一ドルも五ドルも呉れる奴が居る。
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
また維新の際にもる米人のごとき、もしも政府において五十万ドル支出ししゅつせんには三せきの船をつくりこれに水雷を装置そうちしててきに当るべし
たとえば七百万ドルの財産があるとすれば、そのうち二百万弗くらいを家族の生活費として残し、あとの五百万弗は持って行きたい。
探偵小説の「謎」 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
地震直後ぢしんちよくごから大正たいしやう十三四ねんごろまでのやうに十ドル以上いじやうさがつたこともあるけれども、平均へいきんしてづ四乃至ないしさがつてると状況じやうきやうである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
支那人の観客けんぶつは滅多に観覧席の椅子を買はない。椅子は大抵一ドル半のめださうだから、支那人にとつてもそんな勿体ない事は出来ない。
一方子爵がどの位の金子かねをもって旅に出たかは不明であるけれども、発見された時にはドル入の中に二十円たらずの金があったばかりだった。
正義 (新字新仮名) / 浜尾四郎(著)
鬼面きめんひとおど悪戯いたずらっぽい趣味がおありらしい。「まだ生きるよ、死んだらこんどは、神様になってドルのおサイ銭を取ってやる」
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
タマニヨの十インチレコードは、十インチ米価五ドルで、十割関税の声を聴いて、日本のカタログ面が二十三円と注せられたことがある。
「でも、実弾じつだんをうちこむと乗組員のりくみいん死傷ししょうが出来るが、いいだろうか。もっとも死亡一人につき一万ドルの割で出してもいいが……」
遂に清国よりして償金二千百万ドルを出し、これに加うるに香港の地をき、さらに五港を開き、以て南京条約を締結せり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
日本の劇場ののぼりの格だね。なるほどこれは南洋らしいと思いながら、入場料は幾らだとくと一等席が一ドルだという。
マレー俳優の死 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
余は幸ひ苺作には力を入れらざりし為め左程さほどにも無之候これなくさふらへども、目下のところ五百ドル程の負債出来奮闘真最中に候。
新らしき祖先 (新字旧仮名) / 相馬泰三(著)
箇旧コチュウの鉱山は我々の抗戦を力強いものにする為にですね、アメリカから一億ドル……億ですよ。それを借款しゃっかんする担保に入っている、この錫がですよ」
雲南守備兵 (新字新仮名) / 木村荘十(著)
幾多のナポレオン、維廉ヰルヘルム、シシルローヅをして勝手に其帝国を経営せしめよ。幾多のロスチャイルド、モルガンをして勝手に其ドルフランを掻き集めしめよ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
以前あのラドベリーの腕白小僧だったスミスのドル箱になっているんですの、あの侏儒が今じゃあ、まあとにかく、自分でやって行けるようになったのは
宝石商の店頭に飾られた何百ドル、何千弗と正札つきのダイヤモンドが、贋物としか思われない場所柄であった。
伸子 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「しかしアメリカはうらやましい。小さな町の新聞記者が二十年勤めて百万ドル出来たのを機会に引退したそうだよ」
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
主人は五十ドルの紙幣をつく/゛\しらべ始めた。どうもニセ札くさいが、はっきりそうとも断定出来ない。しかし、兎に角主人は、給仕男を一人呼びつけた。
“能筆ジム” (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
しかしこのけなげな犬はどこかへ姿を隠したため、夫人は五千ドルの賞金をけ、犬の行方ゆくえを求めている。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
モリッツ・ドルフの Suvretta Haus に可笑しいほど大袈裟おおげさドルの陣営を構えていた。
踊る地平線:11 白い謝肉祭 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
私のポケットには、一ドルの金もなくなっているし、室の中には古びた一台のカンプベッドがあるだけで、新しい冬に備えるための用意は少しも出来上っていないのだ。
運命について (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
「言葉なんか何の足しにもならねえ。俺は只、時計の代を六十ドルこの女から貰えばいいんだ」
夜汽車 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
広東カントン人の用心深さが麻雀マアジャン、私から一千ドルをサルーンから投出してしまった。黄海は日本の駆逐艦くちくかんのマストが見える、夜は外人達によって舞踊会は傾いた部屋を旋回している。
恋の一杯売 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
けば/\しい虎の皮の外套を着たアメリカ女。早昼食クイックランチ。「御勘定はドルで結構でございます。」
巴里祭 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
秘密のキャバレエで酒を飲まされたとか、レビュウガアルのアパアトで三十ドルもとられたとか、そんな話の種を持って帰っては、面白そうに話しあうのでしたが、ぼくはまた
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
十五歳になれば五十仙取れる、二十歳になるとズット進んで一ドルも取れるようになる。それからなお段々と長ずるに従って進むかというと、先ず概してそれより以上は進まない。
教育の目的 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
で、とうとう九月十日になって、ニューヨーク州知事は、犯人を告げたものには七百五十ドルの賞を与えると広告したのである。しかし、残念ながら、この方法も不成功に終った。
十円の蝦蟇口がまぐちから一円出すのはその人に取って大金だが、千万円のドル箱から一万円出したって五万円出したって、比例をして見ればその人に取って実は大金ではない、些少さしょうの喜悦税
骨董 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
また曰く——奇怪な愚論よ——アメリカの労働者の一日の稼ぎ高は一ドルであるのに英蘭イングランドの労働者のそれは二シリングであることの唯一の理由は、英蘭イングランドの労働者はこの二シリングの中
驚かせたことや「フランスが八十ドルで支那が四十ドルでロシアが三十ドルでしたよ」と女達の相場を詳細に教えてくれたのでよき参考となり為めに僕は「サンキュー」とお礼を云ったことや
赤げっと 支那あちこち (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
今の青森県の人たちは、ダラーという英語を早く知っていた証拠にこれをしたがるが、気の毒ながらあの地方のダラの中に入っていたのは、ドル貨どころか穴のあいた小銭がせいぜいであった。
汽車が動き出してから、橋本が時間表を眺めながら、おいこの部屋は上等切符を買った上に、ほかに二十五ドル払わなければ這入はいれない所だよと云った。なるほどひょうにちゃんとそう書いてある。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それは、彼女の証言によれば、まがうべくもない本人の筆蹟で、殊に中には、米国の五ドル紙幣で百ドルの大金が封入してあったのだ。手紙には宿所が記入してなかったが、文言は次のようだった——
三井物産のランチに乗つて上陸しようとする時僕は香港ホンコン電信局からの通知を受取つた。日本から上海シヤンハイを経て転送された電報が届いて居るから、墨国メキシコ銀三ドル十五銭を持参して受取れと云ふのである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
金も六百万ドル貸さう。軍事顧問も派遣すると言つたハリ切り方である。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
そして、金は大変重いから、少なくとも二千ポンド位はかかったね。金貨にすれば、三、四万ドルも取れたでしょう。僕はプリムロウズが、その半分の値打もあればいいと思うなあ。さあ、みんな、この谿から上って、その辺を
彼は説教者に五百ドル支拂つた。
水車のある教会 (旧字旧仮名) / オー・ヘンリー(著)
奉天ほうてん政府の代表チェン氏と打合わせの結果、大連埠頭で、現場貨物主任の日本人一名を買収し(費用二千ドル程度)直接に貨車に積込み
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
およ本年ほんねんの一ぐわつすぎには解禁後かいきんご推定相場すゐていさうばである四十九ドルぶんの一乃至ないし四十九ドルぶんの三まで騰貴とうきすることはたしか算定さんてい出來できたのである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
ドルの報酬を得てホテルに駈込かけこんだ時には、食卓にむかった誰れもかれも、嬉し泣に、潸々さめざめとしないものはなかったという。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
赤盤片面一枚三ドルの時代は、日本の小売相場は七円五十銭で、一ドル七十五セント均一になってから、四円五十銭に値下げされた。
日本政府は二百四十万ドル支出ししゅつし、四年間継続けいぞくの工事としてこれを経営けいえいし、技師職工は仏人をやとい、したがっ器械きかい材料ざいりょうの買入までも仏人にまかせたり。
もしかそれを千四百九十語で書き上げてゐたら、一ドルだけ貰ふ事が出来るし、たつた十語で済ます事が出来たら、百四十九弗貰ふといふ勘定だ。
「大汽船エンプレス号が百万ドルの金貨を積んで横浜に入港しているが、あれは拙者せっしゃが頂戴するから、悪く思うなよ」
地中魔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
……千二百万ドル、すなわち、四千万円を、この席におられる方でこれを最も有意義にお使いくださるであろうと思われる人格ひとに御相続願うことにしました
キャラコさん:01 社交室 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
北米の大説教家ビーチアルは、曾て数塊の馬鈴薯を人にきょうして曰くだ、此は吾輩の手作だ、而して一塊一ドルはかゝって居るのだ、折角食ってくれ玉えと。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)