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店賃
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たなちん
ふりがな文庫
“
店賃
(
たなちん
)” の例文
つい四五日前、町内の
差配人
(
おおや
)
さんが、前の溝川の橋を渡って、
蔀
(
しとみ
)
を
下
(
おろ
)
した薄暗い店さきへ、顔を出さしったわ。はて、
店賃
(
たなちん
)
の御催促。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「そうすると、おすえちゃんのうちの近くに、裏長屋だけれど空いているうちがあって、
店賃
(
たなちん
)
も安いもんだからそれを借りてね」
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
店賃
(
たなちん
)
の借りのある大屋さんの前へ出た熊さん八さんでもあるかのよう、わけもなく圓太郎は玄正に対し、ヘイコラしてしまうのが常だった。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
「もうズーツと一年も空いて居ますよ。尤も、誰か借りて一年分の
店賃
(
たなちん
)
を前拂ひにしたまゝ、上方へ行つて了つたと言ふ話もありますがね」
銭形平次捕物控:042 庚申横町
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
(遠国へ立つので、今宵はよその身寄の家へ泊るから——)と断って、近所の借銭や
店賃
(
たなちん
)
も、
滞
(
とどこお
)
りなく片付けて来ている。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
蓮「私に
宜
(
い
)
い工夫が有るんです、
先方
(
さき
)
は大変に困って居る様子だから、可愛がって
店賃
(
たなちん
)
を負けておやんなさいよ」
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
夫は我家に入りて
菜籠
(
なかご
)
かたよせ
竈
(
かまど
)
に薪さしくべ、財布の紐とき翌日の
本賃
(
もとで
)
をかぞえ
除
(
の
)
け、また
店賃
(
たなちん
)
をば竹筒へ納めなどする頃、妻眼を覚し精米の代とはいう。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
こやつは
店賃
(
たなちん
)
を払わねえから
利
(
き
)
いてやらねえの、あれは付届けがいいから
贔屓分
(
ひいきぶん
)
にしてやれとはいわねえ……
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
あの朝大家さまから
使
(
つかひ
)
が来てネ、おめひら何年もこゝに居て気の毒だが、さう/\
店賃
(
たなちん
)
が滞つちやア困るから、どうも仕方がねい、あしたにも出てもれひてい
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
「そうだ。幽霊に貸して置いたのじゃあ
店賃
(
たなちん
)
も取れず、早く毀れてしまった方がいいな」
半七捕物帳:60 青山の仇討
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
財産を天理様に
捧
(
ささ
)
げてしまって、
嬉々
(
きき
)
として
労役者
(
ろうえきしゃ
)
の生活をして居る者もある。天理教で財産を
耗
(
す
)
って、其
報償
(
むくい
)
を手あたり次第に
徴集
(
ちょうしゅう
)
し、助けなき婆さんを
窘
(
いじ
)
めて
店賃
(
たなちん
)
をはたる者もある。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
当前
(
あたりまへ
)
なら内へ帰るべきであらう。
店賃
(
たなちん
)
が安いので
此頃
(
このごろ
)
越して来た、新しいこけら
葺
(
ぶき
)
から雨の漏る長屋である。
併
(
しか
)
しそこは恐ろしい敵がゐる。八はいつでも友達と
喧嘩
(
けんくわ
)
をすることを
憚
(
はばか
)
らない。
金貨
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「何しろ十月許りで、もう
店賃
(
たなちん
)
は三つも溜めちまう。震災後、無理算段で建てた長屋は焼かれる、類焼者には、敷金を一時に返さにゃならず。夫に火災保険が、先々月で切れて居たのです」
越後獅子
(新字新仮名)
/
羽志主水
(著)
それで
長屋建
(
ながやだ
)
てで、俗にいう
九
(
く
)
尺二
間
(
けん
)
、
店賃
(
たなちん
)
が、よく覚えてはいないが、五百か六百……(九十六
文
(
もん
)
が百、文久銭一つが四文、四文が二十四で九十六文、これが百である。これを
九六百
(
くろくびゃく
)
という)
幕末維新懐古談:02 私の子供の時のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
色々なものの支払いのたまっている、大晦日が
直
(
じき
)
に来た。品物でかりた知合の借金に
店賃
(
たなちん
)
、ミシンの月賦や質の利子もあった。払いのこしてあった大工の賃銀のことも考えなければならなかった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「一人もの
店賃
(
たなちん
)
程は内に居ず」
街頭から見た新東京の裏面
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
「もうズーッと一年も空いていますよ。もっとも、誰か借りて一年分の
店賃
(
たなちん
)
を前払いにしたまま、
上方
(
かみがた
)
へ行ってしまったと言う話もありますがね」
銭形平次捕物控:042 庚申横町
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ぼろ長屋の
店賃
(
たなちん
)
を払って、一人がやっと食えるほどの手当にしかならず、おたねは自分からすすんで、箱根の湯治宿へ女中奉公にいってくれたんだ
へちまの木
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
其の内でも私は
尚
(
な
)
お萩原様の家来同様に畑をうなったり庭を掃いたり、使い
早間
(
はやま
)
もして、
嚊
(
かゝあ
)
は
洒
(
すゝ
)
ぎ洗濯をしておるから、
店賃
(
たなちん
)
もとらずに
偶
(
たま
)
には
小遣
(
こづかい
)
を貰ったり
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そつちこつちで三両二分もあつたかネ、それに
店賃
(
たなちん
)
が三月分
溜
(
たま
)
つて二両と七〆さ。
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
夫婦に小児一人の飯米三
斛
(
こく
)
五斗四升、この代銀三百五十四匁、
店賃
(
たなちん
)
百弐拾匁、塩、醤油、味噌、油、薪炭代銀七百目(一日銀一匁九分余)、道具家具の代百二十匁、衣服の価百二十目
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
店賃
(
たなちん
)
の
言譯
(
いひわけ
)
ばかり
研究
(
けんきう
)
をして
居
(
ゐ
)
ないで、
一生
(
いつしやう
)
に一
度
(
ど
)
は
自分
(
じぶん
)
の
住
(
す
)
む
家
(
いへ
)
を
買
(
か
)
へ。
月夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
入口の格子戸の
外
(
はづ
)
れるくらゐのことは、三年でも我慢する氣でなければ、
店賃
(
たなちん
)
を六つも溜められる道理はありません。
銭形平次捕物控:304 嫁の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お豊が来たら荷物を渡してやるように、それまでは閉めきって
鍵
(
かぎ
)
を掛けておくように、
店賃
(
たなちん
)
は自分が払うから。
花も刀も
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
あちらの方はあの団子坂の方から
染井
(
そめい
)
や
王子
(
おうじ
)
へ行く人で人通りも有りますし……それに
店賃
(
たなちん
)
も安いと申すことでございますから、只今では白山へ
引越
(
ひっこ
)
しまして
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
針
(
はり
)
のやうな
茸
(
きのこ
)
が
洒落
(
しやれ
)
に
突
(
つゝ
)
いたのであらうと
思
(
おも
)
つて、もう
一度
(
いちど
)
身
(
み
)
ぶるひすると
同時
(
どうじ
)
に、
何
(
ど
)
うやら
其
(
そ
)
の
茸
(
きのこ
)
が、
一
(
ひとつ
)
づゝ
芥子
(
けし
)
ほどの
目
(
め
)
を
剥
(
む
)
いて、ぺろりと
舌
(
した
)
を
出
(
だ
)
して、
店賃
(
たなちん
)
の
安値
(
やす
)
いのを
嘲笑
(
あざわら
)
つて
居
(
ゐ
)
たやうで
くさびら
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ばあさんは
其
(
その
)
金で
店賃
(
たなちん
)
も、
他
(
ほか
)
の借財も奇麗に払つたといふ話しをまだ長々としつゞけ、大家がどんな顔せしたとか、あとに残つたお金はどうつかふとか聞手のあるまゝに
嬉
(
うれ
)
しげに話しつゞけまして
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
「まだ四十両残るが、これはお静と俺が
湯治
(
とうじ
)
に行って、溜めた
店賃
(
たなちん
)
を払って、残ったら大福餅の暴れ喰いでもするか」
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
いかにも住みよさそうではあるが、
店賃
(
たなちん
)
も高いだろうし、
角家
(
かどいえ
)
で自分たち親子には晴れがましかった。
枡落し
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
まア/\これでお米を買うが
宜
(
よろ
)
しいとか、
店賃
(
たなちん
)
を納めたが
宜
(
よ
)
かろうとか、寒いから質に入れてある
布子
(
ぬのこ
)
を出して来たら宜かろうと、
母子
(
おやこ
)
三人が
旱魃
(
かんばつ
)
に雨を得たような、
心持
(
こゝろもち
)
になり
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「ああ、三両二分か、何でも二分という
端
(
はした
)
だけは付いてると聞いたよ。そうか、三両二分か。ふ、豪儀なもんだ、ちょっとした碁盤より
直
(
ね
)
が張ってら。格子戸で、二間なら一月分の
店賃
(
たなちん
)
だ、
可恐
(
おそろ
)
しい、豪傑な。」と
熟々
(
つくづく
)
見ながら
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「まだ四十兩殘るが、これはお靜と俺が
湯治
(
たうぢ
)
に行つて、溜めた
店賃
(
たなちん
)
を拂つて、殘つたら大福餅の
暴
(
あば
)
れ
喰
(
ぐ
)
ひでもするか」
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
今日は
凌
(
しの
)
ぎがついたが明日はどうする、
嬶
(
かかあ
)
がとやについた、がきが生れそうだ、
店賃
(
たなちん
)
が溜って追い立てをくってる、どこでどうくめんしたらいいか、——毎日毎晩
赤ひげ診療譚:03 むじな長屋
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
女房おみねは萩原の
宅
(
たく
)
へ参り
煮焚
(
にたき
)
洒
(
すゝ
)
ぎ洗濯やお
菜
(
かず
)
ごしらえお給仕などをしておりますゆえ、萩原も伴藏夫婦には
孫店
(
まごだな
)
を貸しては置けど、
店賃
(
たなちん
)
なしで住まわせて、
折々
(
おり/\
)
は
小遣
(
こづかい
)
や
浴衣
(
ゆかた
)
などの古い物を
遣
(
や
)
り
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
俺はまた
癪
(
しやく
)
にさはることばかりだよ。暮に拂へなかつた
店賃
(
たなちん
)
を、三つまとめて大家のところへ持つて行くと、苦しいのはわかつてゐるから、そんな無理を
銭形平次捕物控:315 毒矢
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
一面ごうつくの点にかけても、その母親を少しは
凌駕
(
りょうが
)
していた。彼女は五番めの婿が逃亡して以来、それまで母親の役目であったところの、
店賃
(
たなちん
)
の取立てを自分で執行した。
長屋天一坊
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
安い
店賃
(
たなちん
)
でお貸しなすって下せいまし
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「路地の番人じゃねえ、こう見えても
店賃
(
たなちん
)
を払って住んでいるんだ、——もっとも二つ三つ溜めてはいるがネ」
銭形平次捕物控:042 庚申横町
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
おさんが次つぎに男を
伴
(
つ
)
れ込むので、長屋の女房たちがうるさいから家を明けてもらった、
店賃
(
たなちん
)
の残りは預かってある、という文面だった。男は辰造だけではなかったんだ。
おさん
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「路地の番人ぢやねえ、斯う見えても
店賃
(
たなちん
)
を拂つて住んで居るんだ、——尤も二つ三つ溜めては居るがネ」
銭形平次捕物控:042 庚申横町
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
店賃
(
たなちん
)
が溜って追立てをくってたんだ」さぶはてれくさそうに頭へ手をやった
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「
店賃
(
たなちん
)
と米屋酒屋の払いと、煙草を一つと大福餅を十六
文
(
もん
)
買って、一両二分と六十八文」
銭形平次捕物控:083 鉄砲汁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
店賃
(
たなちん
)
と米屋酒屋の拂ひと、煙草を一つと大福餅を十六文買つて、一兩二分と六十八文」
銭形平次捕物控:083 鉄砲汁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「親分がそれを默つて受取つて、三つ溜つた
店賃
(
たなちん
)
でも拂ふのかと思ふと大違ひ——こんなものを受取る筋合ひはありません——とポンと返した、いやその小氣味のよかつたこと」
銭形平次捕物控:162 娘と二千両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
總髮
(
そうはつ
)
に汚ない袷、尻が拔けて膝が拔けて、それを晴着にも寢卷にもしようといふ徹底振り、江戸といふ時代には、こんなにまで落ち果て乍ら、
飢
(
う
)
ゑも
凍
(
こゞ
)
えもせずに、
店賃
(
たなちん
)
を三年も溜めて
銭形平次捕物控:302 三軒長屋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
店賃
(
たなちん
)
は確かに一と月分頂戴しましたが、店を開いて、たった一日で、どうも商売は思わしくないから、故郷の府中へ帰ると言い出すじゃございませんか、あんな
店子
(
たなこ
)
は見た事もありません
銭形平次捕物控:071 平次屠蘇機嫌
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そのくせ、年がら年中、ピイピイの暮らし向き、
店賃
(
たなちん
)
が三つ溜っているが、
大家
(
おおや
)
は人が良いから、あまり文句をいわない。酒量は大したこともないが、煙草は尻から煙が出るほどたしなむ。
随筆銭形平次:13 平次身の上話
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
店賃
(
たなちん
)
がキチンキチンと入ってないから、大家へ気の毒でならねえ
銭形平次捕物控:089 百四十四夜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
店
常用漢字
小2
部首:⼴
8画
賃
常用漢字
小6
部首:⾙
13画
“店賃”で始まる語句
店賃計