平原へいげん)” の例文
王成おうせい平原へいげん世家きゅうかの生れであったが、いたってなまけ者であったから、日に日に零落れいらくして家は僅か数間のあばら屋をあますのみとなり
王成 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
風が強く吹く折には倒れそうな見上げる様な石塔でございまして、此処は一里四方平原へいげんで人家もなければ樹木もない処でございます。
っていったあめつきにささやいてでもいったものか、つきが、この平原へいげんらしたときは、まずレールのうえに、その姿すがたうつしました。
負傷した線路と月 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「わたくしの知る範囲では、平原へいげん禰衡ねいこうしかありません。禰衡ならば、荊州に使いしても、先にひるまず丞相のお名も辱めまいと思われますが」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『ヴェッテルンの近くの、メデヴィの平原へいげんに、鉱泉こうせんがわきでるようになります。そして、その鉱泉のおかげで、この地方ちほう有名ゆうめいになるでしょう。』
そうしてみると、いま北上の平原へいげんになっている所は、一度いちどは細長いはば三里ばかりの大きなたまり水だったのです。
イギリス海岸 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
余等は今一度眼を平原へいげんに放った。最早日の名残も消えて、眼に入る一切のものはあおもやに包まれた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
また登山とざんをする場合ばあひには、平原へいげんから山麓さんろく山腹さんぷくへかゝり、それからやま頂上ちようじようくまでのあひだには、植物しよくぶつ姿すがたがいろ/\にかはつていつて、たかやまであればいたゞちかくには、がおのづとなくなつて
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
平原へいげん病人びやうにん舍營しやえいあり
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
すると、ある停車場ていしゃば構内こうないに、ここからは、とおくへだたっている平原へいげんなかのレールからいた番号ばんごう汽罐車きかんしゃがじっとしてやすんでいました。
負傷した線路と月 (新字新仮名) / 小川未明(著)
即ち、その時から彼は平原へいげんしょうとして、ようやく、一地方の相たる印綬いんじゅを帯びたのだった。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
𤍠帶地方ねつたいちほうはこのみつつのものが、うんとそろつてゐるので植物しよくぶつ一番いちばんよくしげつてゐますが、次第しだいみなみきた兩極りようきよくちかづくにしたがつて、くさすくなくなり、何一なにひとえない不毛ふもう平原へいげんになつてしまひます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
ちょうど、このとき、あちらのほう汽車きしゃふえおとがしたのでした。やがて平原へいげんを、こちらにかってはしってくる汽車きしゃちいさなかげみとめたのでした。
窓の下を通った男 (新字新仮名) / 小川未明(著)
袁紹も、公孫瓚も、同日に兵馬をまとめて、おのおの帰国したが、その後、公孫瓚は、長安へ感謝の表を上せて、そのついでに、劉備玄徳を、平原へいげんしょうに封じられたいという願いを上奏した。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その平原へいげんらしたつきは、いつもつきよりはきよらかで、そのひかりのうちには、慈悲じひかがやきをふくんでいました。
負傷した線路と月 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「あります。平原へいげんの令、辛毘しんびならきっといいでしょう」
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたすかぎり、くさ灌木かんぼくしげった平原へいげんであります。さおそらは、奥底おくそこれぬふかさをゆうしていたし、はるかの地平線ちへいせんには、砲煙ほうえんともまがうようなしろくもがのぞいていました。
戦友 (新字新仮名) / 小川未明(著)
はる先駆者せんくしゃであるひばりが、大空おおぞらたかがって、しきりにさえずるときに、謙遜けんそんなほおじろは、田圃たんぼ畦道あぜみちっているはんのきや、平原へいげんたかのいただきにまって、むら
平原の木と鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
終日しゅうじつかぜおとと、あめおとと、まれにとりこえしかしなかった平原へいげんが、たちまちのあいだに、くさこそぎにされて、寸々すんずんにちぎられ、そらばされるような大事件だいじけんがりました。
戦友 (新字新仮名) / 小川未明(著)
はなたちは、そのちょうのくるのをっているのであるが、今日きょうにかぎってちょうは、どうしたのか、姿すがたせなかったのです。まったくれかかると、平原へいげんは、しずけさをとりもどしました。
戦友 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ちょうど、このとき、こまどりは、平原へいげんうえんでいました。
美しく生まれたばかりに (新字新仮名) / 小川未明(著)