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布袋
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ほてい
ふりがな文庫
“
布袋
(
ほてい
)” の例文
妻は
尋常
(
ひとなみ
)
より小きに、夫は
勝
(
すぐ
)
れたる
大兵
(
だいひよう
)
肥満にて、彼の常に
心遣
(
こころづかひ
)
ありげの
面色
(
おももち
)
なるに引替へて、生きながら
布袋
(
ほてい
)
を見る如き福相したり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
思懸
(
おもいが
)
けず、何の広告か、屋根一杯に大きな
布袋
(
ほてい
)
の絵があって、下から見上げたものの、さながら
唐子
(
からこ
)
めくのに、思わず苦笑したが
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
宗近君はずんど
切
(
ぎり
)
の
洋袴
(
ズボン
)
を二本ぬっと立てた。
仏見笑
(
ぶっけんしょう
)
と
二人静
(
ふたりしずか
)
と
蜆子和尚
(
けんすおしょう
)
と
活
(
い
)
きた
布袋
(
ほてい
)
の置物を残して廊下つづきを
中二階
(
ちゅうにかい
)
へ上る。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
小道具でも、何んでもが、小綺麗になって、置床には、縁日の露店でならべて居る様な土焼の
布袋
(
ほてい
)
と、つく薯みたいな山水がかかって居た。
栄蔵の死
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「十八日。晴。朝飯より出立。
用
(
よう
)
が
瀬
(
せ
)
迄小坂五六あり。当駅より人車に而
布袋
(
ほてい
)
村迄、夫より歩行、午後一時頃
味野
(
あぢの
)
村へ著。」
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
「オホホホホ、それは
福禄寿
(
ふくろくじゅ
)
のことでしょう? 無学な人はやっぱりちがうわ。
布袋
(
ほてい
)
は頭がはげているばかりよ」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
布袋
(
ほてい
)
和尚そのままの風采でいつもニコニコ、当時浅草馬道、俗に富士横町の中ほど、格子造りの平家住まい、奥の細工場に
鼈甲縁
(
べっこうぶち
)
の眼鏡をかけて大
胡坐
(
あぐら
)
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
布袋
(
ほてい
)
や寒山の類を散聖というが、増賀も平安期の散聖とも云うべきか。いや、其様な
評頌
(
ひょうしょう
)
などは加えぬでもよい。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
臍
(
へそ
)
も見えるばかりに前も合わない着物で、
布袋
(
ほてい
)
然たる
無恰好
(
ぶかっこう
)
な人が改まってていねいな挨拶ははなはだ
滑稽
(
こっけい
)
でおかしい。あい変わらず洒はやってるようだ。
紅黄録
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
第十二「松の間」は、十六畳と二十四畳、三方正面の
布袋
(
ほてい
)
があって、
吊天井
(
つりてんじょう
)
で柱がない、
岸駒
(
がんく
)
の
大幅
(
たいふく
)
がある。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
年はもう四十を五つ六つも越えてゐるであらう、背は高くないが
肥
(
ふと
)
つた男で、
布袋
(
ほてい
)
のやうな大きい腹を突き出して、無邪気さうににや/\笑ひながら挨拶した。
赤い杭
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
万十郎は剣舞で
練
(
きた
)
へあげた「満身の鉄骨と憂国の血涙」と自ら誇る五尺の体躯を(彼は丈が真実五尺であつたが、十七貫もあるといふ
固太
(
かたぶと
)
りの
布袋
(
ほてい
)
であつた。)
サクラの花びら
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
東京府
南多摩
(
みなみたま
)
郡
加住
(
かすみ
)
村大字宮下にある
白沢
(
はくたく
)
の図、神奈川県
津久井
(
つくい
)
郡
千木良
(
ちぎら
)
村に伝わる
布袋
(
ほてい
)
川渡りの図であったが、後者は布袋らしく福々しいところは少しもなく
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「貴様の友達おもいの気持はよく分かっとる。泣くな泣くな、みっともないじゃないか。
布袋
(
ほてい
)
さまみたいな貴様が泣くと、褌のないのよりも、もっとみっともないぞ」
浮かぶ飛行島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
長安の乞食より生まれる
布袋
(
ほてい
)
のごときものが、新しい精神となり、それは中国では、弥勒仏(ミルフォー)として逸脱した仏として、禅宗の本尊となるのであります。
日本の美
(新字新仮名)
/
中井正一
(著)
以前は
布袋
(
ほてい
)
とか
蝦蟇
(
がま
)
仙人などを手本にやったが、美術学校が始まるようになってからは、そんなものは生徒が面白がらないので写生風なものをやるようになっていた。
回想録
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
駒形の材木問屋で、當時江戸長者番附の前頭から二三枚目に据ゑられた
布袋
(
ほてい
)
屋萬三郎、馴染の
藝妓奴
(
げいしややつこ
)
と、町内の踊の師匠お才をつれて、その晩駒形から凉み舟を出しました。
銭形平次捕物控:004 呪ひの銀簪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
骨も埋もるるばかり肥え太りて、
角袖
(
かくそで
)
着せたる
布袋
(
ほてい
)
をそのまま、
笑
(
え
)
ましげに障子の
中
(
うち
)
へ振り向きしが、話しかくる一言の末に身を
反
(
そ
)
らせて打ち笑いぬ。中なる人の影は見えず。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
布袋
(
ほてい
)
和尚のような原田雲井は、近眼鏡の奥から、細い眼で、眼前の青年の苦渋のありさまを、じっと見ていたが、コクッと、首の骨が鳴るほど、ひとつ、大きく、うなずいた。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
蛭子
(
えびす
)
三郎次、
布袋
(
ほてい
)
の市若、福禄の六兵衛、毘沙門の紋太、寿老人の星右衛門、大黒の次郎、弁天の松代、これが彼らの名であって、弁天の松代が一党の
頭
(
かしら
)
で、そうして松代は美しい
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
母の
肉身
(
しんみ
)
の弟ではあつたが、顔に小皺の寄つた、痩せて背の高い母には
毫
(
すこし
)
も
肖
(
に
)
た所がなく、背がずんぐりの、
布袋
(
ほてい
)
の様な腹、
膨切
(
はちき
)
れる程酒肥りがしてゐたから、どしりどしりと歩く
態
(
さま
)
は
刑余の叔父
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
布袋
(
ほてい
)
を彫ってくれ、というので、早速私は彫りはじめたが、この製作は、私がいろいろ西洋彫刻のことにあこがれ、実物写生によって研究努力した後の木彫りらしい木彫りであったから
幕末維新懐古談:39 牙彫りを排し木彫りに固執したはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
箪笥
(
たんす
)
をゆずってくれと言われ箪笥の奥から姉が嫁してきた時の『部屋見舞』(関西では色や形とりどりの大きい饅頭を作る)松竹梅や高砂の
尉
(
じょう
)
と
姥
(
うば
)
、日の出、鶴亀、鯛等で今でも
布袋
(
ほてい
)
が白餡で
随筆 寄席囃子
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
回向院門前にて鬻げる家にては皆声をかけ「しごくお持ちよいので御座い」とこの言葉を繰返へしいひ
居
(
お
)
りしが、予、日々遊びに行けるよりなじみとなり、
大
(
おおい
)
なる
布袋
(
ほてい
)
の人形をほしいといへるに
江戸の玩具
(新字旧仮名)
/
淡島寒月
(著)
その神様の種類からいえば、先ず店の間の
天照皇太神宮
(
てんしょうこうたいじんぐう
)
を初めとし、
不動明王
(
ふどうみょうおう
)
、
戸隠
(
とがくし
)
神社、
天満宮
(
てんまんぐう
)
、
戎
(
えびす
)
、
大黒
(
だいこく
)
、
金比羅
(
こんぴら
)
、
三宝荒神
(
さんぼうこうじん
)
、
神農
(
しんのう
)
様、弁財天、
布袋
(
ほてい
)
、稲荷様等、
八百万
(
やおよろず
)
の神々たちが存在された。
大切な雰囲気:03 大切な雰囲気
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
四天は
布袋
(
ほてい
)
の巨像と共に美術的の価値は乏しい。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
大黒を和尚
布袋
(
ほてい
)
にして困り
符牒の語源
(新字新仮名)
/
三遊亭金馬
(著)
田能村竹田の
山中人饒舌
(
さんちゅうじんじょうぜつ
)
は「予、宮本武蔵ノ画
布袋
(
ほてい
)
図ヲ蔵ス、筆法
雋頴
(
けいえい
)
、墨色
沈酣
(
ちんかん
)
、
阿堵
(
あと
)
一点、突々人ヲ射ル。又、設色馬十二題図ヲ観ル、朱ヲ施シ粉ヲ
填
(
テン
)
ジ、濃厚ヲ極ム、而シテ俗習ナシ、鞍鞭鑑諸具ニ至リテハ、古式ヲ按ジテ之ヲ作ル」
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこで
布袋
(
ほてい
)
さんは。
七福神詣
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
忌部焼
(
いんべやき
)
の
布袋
(
ほてい
)
の置物にこんなのがよくある。布袋の前に異様の
煙草盆
(
たばこぼん
)
を置く。
呉祥瑞
(
ごしょんずい
)
の銘のある
染付
(
そめつけ
)
には山がある、柳がある、人物がいる。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
他
(
ほか
)
に
布袋屋
(
ほていや
)
と
言
(
い
)
ふ——
今
(
いま
)
もあらう——
呉服屋
(
ごふくや
)
があつたが、
此
(
こ
)
の
濱野屋
(
はまのや
)
の
方
(
はう
)
の
主人
(
しゆじん
)
が、でつぷりと
肥
(
ふと
)
つて、
莞爾々々
(
にこ/\
)
して
居
(
ゐ
)
て、
布袋
(
ほてい
)
と
言
(
い
)
ふ
呼稱
(
よびな
)
があつた。
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
護法堂の
布袋
(
ほてい
)
、囲りに
唐児
(
からこ
)
が
遊
(
たわむ
)
れて居る巨大な金色の布袋なのだが、其が彫塑であるという専門的穿鑿をおいても、この位心持よい布袋を私は初めて見た。
長崎の一瞥
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
家の者の夜は上がって寝る場所に、今日は
臍
(
へそ
)
を出した
布袋
(
ほてい
)
さんなどを安置して
悦
(
よろこ
)
んでいるのだ。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
土地
(
ところ
)
で少しは幅を利かした、さる医師の住つて居た家とかで、室も左程に悪くは無し、年に似合はず血色のよい、
布袋
(
ほてい
)
の様に
肥満
(
ふと
)
つた、モウ五十近い気丈の
主婦
(
おかみ
)
も、
外見
(
みかけ
)
によらぬ親切者
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「面白いの、俺も行く」こう云ったのは
布袋
(
ほてい
)
の市若で、前髪立ちの美男子だ。
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「どうも、こうも、うちの家主と来たら、碌な奴ッちゃない」
布袋
(
ほてい
)
のような原田雲井は、客の気持などは全然わからないので、
鉈豆
(
なたまめ
)
煙管で、キザミをふかしながら、にこにこと、楽しげな口調で
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
彼等の二個のお菰は、
斯様
(
かよう
)
な鼻利きのすばらしい猟犬に嗅ぎつけられた運命のほどを知るや知らずや、悠々閑々として、月夜に
布袋
(
ほてい
)
の川渡りを試みて、誰はばかろうとはしていない。いい度胸です。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と、一行の中の、
布袋
(
ほてい
)
のように腹をつきだした中国人がいった。
鬼仏洞事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「
髪
(
かみ
)
がのびているんですよ。頭がのびていれば
布袋
(
ほてい
)
だ」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
中にあの三
間間口
(
げんまぐち
)
一杯の
布袋
(
ほてい
)
が小山のような腹を据えて、仕掛けだろう、福相な柔和な目も、人形が大きいからこの皿ぐらいあるのを、ぱくりと
遣
(
や
)
っちゃ、手に持った
団扇
(
うちわ
)
をばさりばさり
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ほんとにいい心持だよう、月夜の
布袋
(
ほてい
)
の川渡り」
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
“布袋”の意味
《名詞》
布で作られた袋。
《固有名詞》
中国唐の時代の禅僧。名は契此。七福神の一人。
(出典:Wiktionary)
“布袋”の解説
布袋(ほてい、生年不詳 - 917年(?))は、唐代末から五代時代にかけて明州(現在の中国浙江省寧波市)に実在したとされる伝説的な仏僧。水墨画の好画題とされ、大きな袋を背負った太鼓腹の僧侶の姿で描かれる。日本では七福神の一神として信仰されている。
(出典:Wikipedia)
布
常用漢字
小5
部首:⼱
5画
袋
常用漢字
中学
部首:⾐
11画
“布袋”で始まる語句
布袋屋
布袋竹
布袋腹
布袋和尚
布袋草
布袋図
布袋子
布袋島
布袋樣