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山鳩
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やまばと
ふりがな文庫
“
山鳩
(
やまばと
)” の例文
初めは喉の奥で、低く
山鳩
(
やまばと
)
の鳴くような声がもれ、それがくすくす笑いになり、こんどは声をあげて、顔を仰にしながら笑いだした。
ひとでなし
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
他の一方には、
饒舌
(
じょうぜつ
)
な
雀
(
すずめ
)
や
喉
(
のど
)
を鳴らす
山鳩
(
やまばと
)
や美声の
鶫
(
つぐみ
)
が群がってる古木のある、古い修道院の庭の、日の照り渡った静寂さがたたえていた。
ジャン・クリストフ:13 後記
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
、
ロマン・ロラン
(著)
その最中、八幡宮の一隅にある、
甲良大明神
(
こうらだいみょうじん
)
の前の
橘
(
たちばな
)
の木に
山鳩
(
やまばと
)
が三羽とんでくると、お互に食い殺し合って死んでしまった。
現代語訳 平家物語:01 第一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
それとも
又
(
また
)
、その裏の林のなかで
山鳩
(
やまばと
)
でも
啼
(
な
)
いたのだろうか? ともかくも、その
得体
(
えたい
)
の知れぬアクセントだけが
妙
(
みょう
)
に私の耳にこびりついた。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
近頃私の聞いた青森県
八戸
(
はちのへ
)
附近の口碑に、
山鳩
(
やまばと
)
の啼く声はテデコーケー、即ち「父よ粉を食え」と啼くのだという話がある。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
▼ もっと見る
彼は
梢
(
こずえ
)
の
山鳩
(
やまばと
)
を眺めながら、弓矢を忘れて来た事を後悔した。が、空腹を充すべき
木
(
こ
)
の
実
(
み
)
は、どこにでも沢山あった。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
われわれは、この映画を見ることによって、われわれ自身が森の樹間をかける
山鳩
(
やまばと
)
や
樫鳥
(
かしどり
)
になってしまうのである。
からすうりの花と蛾
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
鴨
(
かも
)
、
小鴨
(
こがも
)
、
山鳩
(
やまばと
)
、
兎
(
うさぎ
)
、
鷺
(
さぎ
)
、
五位鷺
(
ごいさぎ
)
、
鴛鴦
(
おしどり
)
なぞは五日目ないし六日目を食べ頃としますがその
中
(
うち
)
で鳩は腐敗の遅い鳥ですから七、八日目位になっても構いません。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
純白
(
まっしろ
)
の裏羽を日にかがやかし鋭く羽風を切って飛ぶは
魚鷹
(
みさご
)
なり。その昔に小さき島なりし今は丘となりて、その
麓
(
ふもと
)
には林を
周
(
めぐ
)
らし、
山鳩
(
やまばと
)
の
栖処
(
ねぐら
)
にふさわしきがあり。
小春
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
それは二羽の
山鳩
(
やまばと
)
に対する
梟
(
ふくろう
)
の憤った
妬
(
ねた
)
ましい目つきでは少しもなかった。五十七歳の罪のない老女の
唖然
(
あぜん
)
たる目つきであり、愛の勝利をながめてる
空
(
むな
)
しい生命だった。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
修善寺
(
しゅぜんじ
)
の方へ
蜜月
(
みつづき
)
の旅と答へた——最愛なる新婚の
婦
(
ふ
)
、ポネヒル姫の第一発は、
仇
(
あだ
)
に
田鴫
(
たしぎ
)
山鳩
(
やまばと
)
如きを打たず、願はくは
目覚
(
めざま
)
しき獲物を
提
(
ひっさ
)
げて、
土産
(
みやげ
)
にしようと思つたので。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
そこへ
山鳩
(
やまばと
)
が
通
(
とほ
)
りかゝりました。
山鳩
(
やまばと
)
は
林
(
はやし
)
の
中
(
なか
)
に
聞
(
き
)
き
慣
(
な
)
れない
鷄
(
にはとり
)
の
鳴聲
(
なきごゑ
)
を
聞
(
き
)
きつけまして、
傍
(
そば
)
へ
飛
(
と
)
んで
來
(
き
)
ました。
百舌
(
もず
)
や
鶸
(
ひは
)
とちがひ、
山鳩
(
やまばと
)
は
見
(
み
)
ず
知
(
し
)
らずの
雄鷄
(
おんどり
)
をいたはりました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
二人はそこで木いちごの実をとってわき水につけたり、空を向いてかわるがわる
山鳩
(
やまばと
)
の鳴くまねをしたりしました。するとあちらでもこちらでも、ぽう、ぽう、と鳥が眠そうに鳴き出すのでした。
グスコーブドリの伝記
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
あとには、ホウ、ホウ、と
山鳩
(
やまばと
)
の
啼
(
な
)
くのがさびしげに……
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
雀
(
すずめ
)
がとびこんできました。
頬白
(
ほおじろ
)
がとびこんできました。つぐみがとびこんできました。
山鳩
(
やまばと
)
がとびこんできました。
烏
(
からす
)
がとびこんできました。
山の別荘の少年
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
森は木の芽を煙らせながら、孤独に苦しんでいる彼の耳へも、人懐しい
山鳩
(
やまばと
)
の声を送って来る事を忘れなかった。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
山鳩
(
やまばと
)
には麻の実があり、
鶸
(
ひわ
)
には
黍
(
きび
)
があり、
金雀
(
かなりや
)
には
蘩蔞
(
はこべ
)
があり、
駒鳥
(
こまどり
)
には虫があり、
蜂
(
はち
)
には花があり、
蠅
(
はえ
)
には滴虫があり、
蝋嘴
(
しめ
)
には蠅があった。彼らは互いに多少相
食
(
は
)
み合っていた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
山家
(
やまが
)
、
村里
(
むらざと
)
は
薄紅
(
うすくれなゐ
)
の
蕎麥
(
そば
)
の
霧
(
きり
)
、
粟
(
あは
)
の
實
(
み
)
の
茂
(
しげ
)
れる
中
(
なか
)
に、
鶉
(
うづら
)
が
鳴
(
な
)
けば
山鳩
(
やまばと
)
の
谺
(
こだま
)
する。
掛稻
(
かけいね
)
の
香
(
か
)
暖
(
あたゝ
)
かう、
蕪
(
かぶら
)
に
早
(
はや
)
き
初霜
(
はつしも
)
溶
(
と
)
けて、
細流
(
せゝらぎ
)
に
又
(
また
)
咲
(
さ
)
く
杜若
(
かきつばた
)
。
晝
(
ひる
)
の
月
(
つき
)
を
渡
(
わた
)
る
雁
(
かり
)
は、また
戀衣
(
こひぎぬ
)
の
縫目
(
ぬひめ
)
にこそ。
五月より
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
樫鳥
(
かしどり
)
や
山鳩
(
やまばと
)
や
山鴫
(
やましぎ
)
のような鳥類が目にも止まらぬような急速度で錯雑した樹枝の間を縫うて飛んで行くのに、決して一枚の木の葉にも翼を触れるような事はない、これは鳥の目の調節の速さと
からすうりの花と蛾
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
山鳩
(
やまばと
)
一羽いずこよりともなく突然
程
(
ほど
)
近き
梢
(
こずえ
)
に止まりしが急にまた飛び去りぬ。かれが耳いよいよさえて
四辺
(
あたり
)
いよいよ
静寂
(
しずか
)
なり。かれは
自己
(
おの
)
が心のさまをながむるように思いもて
四辺
(
あたり
)
を見回しぬ。
わかれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
と
鳴
(
な
)
いて、
山鳩
(
やまばと
)
は
林
(
はやし
)
の
奧
(
おく
)
の
方
(
はう
)
へ
飛
(
と
)
んで
行
(
い
)
きました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
一羽の
山鳩
(
やまばと
)
が飛んできて止まった。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
彼等はその領巾を微風に
飜
(
ひるがえ
)
しながら、若草の上に飛び悩んでいる一羽の
山鳩
(
やまばと
)
を追いまわしていた。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
これは書物で読んだことだが、
樫鳥
(
かしどり
)
や
山鳩
(
やまばと
)
や
山鴫
(
やましぎ
)
のような鳥類が目にも止まらぬような急速度で錯雑した樹枝の間を縫うて飛んで行くのに、決して一枚の木の葉にも翼を触れるような事はない。
烏瓜の花と蛾
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
山鳩
(
やまばと
)
七
羽
(
は
)
、
田鴫
(
たしぎ
)
十三、
鶉
(
うづら
)
十五
羽
(
は
)
、
鴨
(
かも
)
が三
羽
(
ば
)
——
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“山鳩”の解説
山鳩(さんきゅう)は、将棋の駒の一つ。本将棋にはなく、大局将棋に存在する。
成駒は大鳩。
(出典:Wikipedia)
山
常用漢字
小1
部首:⼭
3画
鳩
漢検準1級
部首:⿃
13画
“山”で始まる語句
山
山家
山路
山羊
山茶花
山間
山中
山谷
山毛欅
山車