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喫
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く
ふりがな文庫
“
喫
(
く
)” の例文
大異は林の中へ入ってすぐそこにあった大木の根本へ坐って、幹に
倚
(
よ
)
っかかり、腰の袋に入れていた食物を
摘
(
つま
)
みだして
喫
(
く
)
いはじめた。
太虚司法伝
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
王はその時空腹を感じて物を
喫
(
く
)
いたかった。また彼の美しい女の
傍
(
そば
)
へいくこともできる。王は大喜びで老婆について入っていった。
嬰寧
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
平常
(
つね
)
は六碗七碗を快う
喫
(
く
)
いしもわずかに一碗二碗で終え、茶ばかりかえって多く飲むも、心に
不悦
(
まずさ
)
のある人の免れがたき
慣例
(
ならい
)
なり。
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
ストラボンの説に昔マヨルカとミノルカ諸島の民熟兎
過殖
(
ふえすぎ
)
て食物を
喫
(
く
)
い尽くされローマに使を
遣
(
つか
)
わし新地を給い移住せんと請うた事あり
十二支考:02 兎に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
至極結構なれども、実はその
気焔
(
きえん
)
の一半は、昨夜
宅
(
うち
)
にてさんざんに
高利貸
(
アイスクリーム
)
を
喫
(
く
)
いたまいし
鬱憤
(
うっぷん
)
と聞いて知れば、ありがた味も半ば減ずるわけなり。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
高志
(
こし
)
の
八俣
(
やまた
)
の
大蛇
(
おろち
)
の話も火山からふき出す
熔岩流
(
ようがんりゅう
)
の光景を連想させるものである。「年ごとに来て
喫
(
く
)
うなる」というのは、噴火の
間歇性
(
かんけつせい
)
を暗示する。
神話と地球物理学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
また「汝の哭く故は何ぞ」と問ひたまひしかば、答へ白さく「我が女はもとより八
稚女
(
をとめ
)
ありき。ここに
高志
(
こし
)
の
八俣
(
やまた
)
の
大蛇
(
をろち
)
三
、年ごとに來て
喫
(
く
)
ふ。今その來べき時なれば泣く」
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
荷車を借りて甲州街道に竹買いに行き、椎蕈ムロを
拵
(
こしら
)
えると云っては屋根屋の手伝をしたりした。都の客に
剣突
(
けんつく
)
喫
(
く
)
わすことはある共、田舎の客に
相手
(
あいて
)
にならぬことはなかった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
海岸には人家が
連
(
つらな
)
ってしまったので、
眺望
(
ながめ
)
が自由でない。かつは風が甚だしく寒いので、更に品川の町に
入
(
い
)
り、海寄りの小料理屋へ
上
(
あが
)
って、
午餐
(
ひるめし
)
を
喫
(
く
)
いながら
硝子戸
(
がらすど
)
越しに海を見た。
一日一筆
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
束髪
(
そくはつ
)
にして薔薇の
簪
(
かんざし
)
でも挿さしたらお嬢さま然としたものです、何しろ此の山の中に居て
冷飯
(
ひやめし
)
を
喫
(
く
)
って、中の条のお祭に滝縞の
単物
(
ひとえもの
)
に、
唐天鵞絨
(
とうびろうど
)
の半襟に、
袂
(
たもと
)
に
仕付
(
しつけ
)
の掛った着物で
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そうして小鳥どもが
喫
(
く
)
いに来るのを少し離れたところから見張っていて、地面に立てている棒に結びつけてある糸をちょっと引くと、小鳥どもは竹匾のなかへ伏さって
捉
(
つか
)
まってしまう。
故郷
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
水のひくき方にかたぶくがごとし。
一二三
夜に昼にゆきくと
休
(
や
)
むときなし。ただ
一二四
閑人
(
むだびと
)
の
生産
(
なりはひ
)
もなくてあらば、
一二五
泰山
(
たいざん
)
もやがて
喫
(
く
)
ひつくすべし。
一二六
江海
(
がうかい
)
もつひに飲みほすべし。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
勿論
(
もちろん
)
飯を
喫
(
く
)
う時と
会読
(
かいどく
)
をする時には
自
(
おのず
)
から遠慮するから何か一枚ちょいと
引掛
(
ひっか
)
ける、中にも
絽
(
ろ
)
の羽織を真裸体の上に着てる者が多い。
是
(
こ
)
れは余程おかしな
風
(
ふう
)
で、今の人が見たら、さぞ笑うだろう。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
土曜日の午食を
喫
(
く
)
うたきり、何にも食うておらないので腹も減った。
空中征服
(新字新仮名)
/
賀川豊彦
(著)
家へ帰って冷たい残飯で
夕飯
(
ゆうめし
)
を
喫
(
く
)
うのが
厭
(
いや
)
になったので、カフェーに入って夕飯を喫い、八時比になって良い気もちで帰っていると
女の怪異
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
平常
(
つね
)
は六碗七碗を快う
喫
(
く
)
ひしも僅に一碗二碗で終へ、茶ばかり却つて多く飲むも、心に
不悦
(
まづさ
)
の有る人の免れ難き
慣例
(
ならひ
)
なり。
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
メンツェルの『
独逸史
(
ゲシヒテ・デル・ドイチェン
)
』巻の一にゲルマンの僧は、馬を
牲
(
いけにえ
)
にしその肉を食ったから、馬肉
喫
(
く
)
わぬ者をキリスト教、これを食うはキ教外の者と識別した
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
七郎は蓄えてある革を
検
(
しら
)
べてみると、それは虫が
喫
(
く
)
って敗れ、毛も
尽
(
ことごと
)
く
脱
(
ぬ
)
けていた。七郎はがっかりすると共に武から金をもらったことをひどく後悔した。
田七郎
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
「そんじゃ、
飯
(
めし
)
でも
喫
(
く
)
って、一休みして、はじめるかの」と、一人は体を起して両手を
端
(
さき
)
さがりにうんと
拡
(
ひろ
)
げながら背のびをした。
岩魚の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
これはその先祖途中で狼に
喫
(
く
)
われんとした時、われに差し迫った用事あり、それさえ済まば必ず汝に身を与うべしと
紿
(
あざむ
)
いてそのまま打ち過ぎしを忘れず
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
十兵衛いよいよ五重塔の
工事
(
しごと
)
するに定まってより寝ても起きてもそれ
三昧
(
ざんまい
)
、朝の飯
喫
(
く
)
うにも心の中では塔を
噬
(
か
)
み、夜の夢結ぶにも
魂魄
(
たましい
)
は九輪の頂を
繞
(
めぐ
)
るほどなれば
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
為作は源吉を囲炉裏の傍へ坐らして、自在鉤にかけてある鍋の中から夕飯を盛って
喫
(
く
)
わした。為作は徳利の酒を注いで飲みだした。
放生津物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
アイルランドの名門メクチュレーンはクレーンの犬の意味で、この一族は犬肉を
喫
(
く
)
えば死んだという(一九〇八年版ゴムの『歴史科学としての俚俗学』二八六頁)
十二支考:09 犬に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
酒ぬきの飯を
喫
(
く
)
った私は、其処を出て河津川
縁
(
べり
)
に往き、其処の橋を渡って
上流
(
かわかみ
)
へ往って、田の中の森にある
来宮神社
(
くのみやじんじゃ
)
へ往ってみた。
火傷した神様
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
青橿鳥これを聞いて無明の業火直上三千丈、たちまち飛んで古木のシカモール樹に至ると鷹すでに橿鳥の児を
喫
(
く
)
いおわり不在だったが、巣に鷹の児があったのをことごとく殺した
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
天風は負けずに云って、いきなり雉子焼の串に手をかけ、体を前屈みにするなり、わざとがつがつするようにしてそれを
喫
(
く
)
って見せた。
文妖伝
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
これは酒を好む者を咎めずに盃を勧めた人を
譴
(
せ
)
めるような論で、ラクーンが食物を獲るごとに洗わずんば
喫
(
く
)
わず、猫が大便を必ず埋めるなどと異なり、豕が湿泥を好むはもっともとしても
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
曾はそれから毎日乞食の子に随いて、物をもらいに出かけて往ったが、いつも腹が空いていて腹一ぱいに物を
喫
(
く
)
うことができなかった。
続黄梁
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
頬杖
(
ほおづえ
)
突いて余肉を
喫
(
く
)
うなど、
彼方
(
あっち
)
の人のしない事ばかりする。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
それは今日の
昼飯
(
ひるめし
)
に怪しい僧にも
別
(
わ
)
け、
己
(
じぶん
)
達も
喫
(
く
)
ったような
三個
(
みっつ
)
の
黍団子
(
きびだんご
)
であった。顎髯の男はうんと云って
背後
(
うしろ
)
に倒れて気を失った。
岩魚の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「満州なんかだめだよ、酒は
高粱
(
きび
)
の酒で、
喫
(
く
)
うものは、
豚
(
ぶた
)
か犬かしかないと云うじゃねえか、だめだよ、
魚軒
(
さしみ
)
に
灘
(
なだ
)
の
生一本
(
きいっぽん
)
でなくちゃ」
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
新聞記者をしている友人と飯を
喫
(
く
)
ったが、その友人が帰りに茶でも飲んで別れようと云うので、そこを出ると
日比谷
(
ひびや
)
の方へ歩いて往って
妖影
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
漁師は膳の前に坐って蕎麦切を
喫
(
く
)
っている女房に、こんなことを云って、網の袋に
充満
(
いっぱい
)
になって来る大きな鮭を想像していた。
鮭の祟
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
今晩はしかたがないから
明日
(
あす
)
の晩は
夕飯
(
ゆうはん
)
を
喫
(
く
)
わずに往って見ようと思って彼は
懐
(
ふところ
)
の勘定をした。懐には十円近い
小遣
(
こづかい
)
があった。
牡蠣船
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
老婆の施十娘は、文世高からもらった銀子をしまい、午飯を
喫
(
く
)
って、新しくできた
花粉
(
おしろい
)
と珍しい
花簪児
(
かんざし
)
を持って劉家へ往った。
断橋奇聞
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
午が来て家内同志で飯を
喫
(
く
)
っていた。
主翁
(
ていしゅ
)
の九兵衛が空になった茶碗を出すと、その傍にいた
婢
(
じょちゅう
)
がお給仕の盆を差しだした。
蠅供養
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
彭はとうとう病気になって、飯もろくろく
喫
(
く
)
わずに寝ているようになった。と、ある夜、扉を開けて入ってきた者があった。
荷花公主
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
朝になってみると、お滝は
平生
(
いつも
)
のようにおとなしく起きて、新一といっしょに朝飯を
喫
(
く
)
ったがへつに変ったこともなかった。
狐の手帳
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
そして、蒲団にくるまって寝て、食物を持って往っても
喫
(
く
)
わなかった。体は一めんに腫れて、七日位の間は何も喫わなかったが死ななかった。
蓮香
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
お葉はそう云って天風の手をつけてない串を
執
(
と
)
って
喫
(
く
)
いだした。小さな可愛い唇と、小さな白い歯、天風はそれを見ていた。
文妖伝
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
そのうちに二人は手に掴んで何か
喫
(
く
)
いだした。新一は二人の喫っている物は何だろうかと思って透して見たが見えなかった。
狐の手帳
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
支那料理を
喫
(
く
)
いに往ったところで、そこの
主翁
(
ていしゅ
)
が支那料理の話をしたあげく、背が緑青色をした腹の白い小さな蛇を
浸
(
つ
)
けた酒の
罎
(
びん
)
を持って来た。
文妖伝
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
甚六は膳の方に体をねじ向けて、冷麦の皿を持って
喫
(
く
)
おうとかまえると、その皿に激しい刺激が加わって膳の上へ洛ちた。
一緒に歩く亡霊
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
李克用は親類の手簡を見て護送人に飯を
喫
(
く
)
わし、それからいっしょに府庁へ往って、それぞれ金を使って手続をすまし、許宣を家へ伴れて来た。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
彼は
梯子段
(
はしごだん
)
をあがりながら、
飯
(
めし
)
を
喫
(
く
)
ったなら清水屋へ往って、引きとるか引きとらないかをしかと
定
(
き
)
めようとおもった。
女の首
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
老婆は気に逆うてはいけないと思ったので、黙って飯を持って往って置いて来ると、お滝は何時の間にか
喫
(
く
)
ってあった。
狐の手帳
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
李克用は親類の手簡を見て、護送人に飯を
喫
(
く
)
わし、それからいっしょに府庁へ往って、それぞれ金を使って手続をすまし、許宣を家へ伴れてきた。
雷峯塔物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「そうか」岡本は
頷
(
うなず
)
いて八千代に顔をやり、「それじゃ、また、あっちで遊んでてくれ、何か
喫
(
く
)
いたいものがあるなら、姐さんにそう云うがいい」
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
其の客が
某日
(
あるひ
)
、
校書
(
げいしゃ
)
を伴れて見物に来ていたが、芝居がはねると喜多村さんを伴れて、いっしょにとんだ屋へ往って飯を
喫
(
く
)
うことになったところで
とんだ屋の客
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
豊雄は朝になって女に逢いたくてたまらないので、朝飯も
喫
(
く
)
わずに新宮へ往って、県の真女児の家はと云って尋ねたが、
何人
(
だれ
)
も知った人がなかった。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
喫
常用漢字
中学
部首:⼝
12画
“喫”を含む語句
喫驚
喫茶店
喫煙室
喫飯
喫了
黄泉戸喫
喫茶
一喫
喫茶室
満喫
喫烟
滿喫
召喫
喫煙珈琲店
喫掛
喫茶館
喫付
飲喫
面喫
着衣喫飯
...