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大異は林の中へ入ってすぐそこにあった大木の根本へ坐って、幹にっかかり、腰の袋に入れていた食物をつまみだしていはじめた。
太虚司法伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
王はその時空腹を感じて物をいたかった。また彼の美しい女のそばへいくこともできる。王は大喜びで老婆について入っていった。
嬰寧 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
平常つねは六碗七碗を快ういしもわずかに一碗二碗で終え、茶ばかりかえって多く飲むも、心に不悦まずさのある人の免れがたき慣例ならいなり。
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ストラボンの説に昔マヨルカとミノルカ諸島の民熟兎過殖ふえすぎて食物をい尽くされローマに使をつかわし新地を給い移住せんと請うた事あり
至極結構なれども、実はその気焔きえんの一半は、昨夜うちにてさんざんに高利貸アイスクリームいたまいし鬱憤うっぷんと聞いて知れば、ありがた味も半ば減ずるわけなり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
高志こし八俣やまた大蛇おろちの話も火山からふき出す熔岩流ようがんりゅうの光景を連想させるものである。「年ごとに来てうなる」というのは、噴火の間歇性かんけつせいを暗示する。
神話と地球物理学 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
また「汝の哭く故は何ぞ」と問ひたまひしかば、答へ白さく「我が女はもとより八稚女をとめありき。ここに高志こし八俣やまた大蛇をろち、年ごとに來てふ。今その來べき時なれば泣く」
荷車を借りて甲州街道に竹買いに行き、椎蕈ムロをこしらえると云っては屋根屋の手伝をしたりした。都の客に剣突けんつくわすことはある共、田舎の客に相手あいてにならぬことはなかった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
海岸には人家がつらなってしまったので、眺望ながめが自由でない。かつは風が甚だしく寒いので、更に品川の町にり、海寄りの小料理屋へあがって、午餐ひるめしいながら硝子戸がらすど越しに海を見た。
一日一筆 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
束髪そくはつにして薔薇のかんざしでも挿さしたらお嬢さま然としたものです、何しろ此の山の中に居て冷飯ひやめしって、中の条のお祭に滝縞の単物ひとえものに、唐天鵞絨とうびろうどの半襟に、たもと仕付しつけの掛った着物で
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そうして小鳥どもがいに来るのを少し離れたところから見張っていて、地面に立てている棒に結びつけてある糸をちょっと引くと、小鳥どもは竹匾のなかへ伏さってつかまってしまう。
故郷 (新字新仮名) / 魯迅(著)
水のひくき方にかたぶくがごとし。一二三夜に昼にゆきくとむときなし。ただ一二四閑人むだびと生産なりはひもなくてあらば、一二五泰山たいざんもやがてひつくすべし。一二六江海がうかいもつひに飲みほすべし。
勿論もちろん飯をう時と会読かいどくをする時にはおのずから遠慮するから何か一枚ちょいと引掛ひっかける、中にもの羽織を真裸体の上に着てる者が多い。れは余程おかしなふうで、今の人が見たら、さぞ笑うだろう。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
土曜日の午食をうたきり、何にも食うておらないので腹も減った。
空中征服 (新字新仮名) / 賀川豊彦(著)
家へ帰って冷たい残飯で夕飯ゆうめしうのがいやになったので、カフェーに入って夕飯を喫い、八時比になって良い気もちで帰っていると
女の怪異 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
平常つねは六碗七碗を快うひしも僅に一碗二碗で終へ、茶ばかり却つて多く飲むも、心に不悦まづさの有る人の免れ難き慣例ならひなり。
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
メンツェルの『独逸史ゲシヒテ・デル・ドイチェン』巻の一にゲルマンの僧は、馬をいけにえにしその肉を食ったから、馬肉わぬ者をキリスト教、これを食うはキ教外の者と識別した
七郎は蓄えてある革をしらべてみると、それは虫がって敗れ、毛もことごとけていた。七郎はがっかりすると共に武から金をもらったことをひどく後悔した。
田七郎 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
「そんじゃ、めしでもって、一休みして、はじめるかの」と、一人は体を起して両手をさきさがりにうんとひろげながら背のびをした。
岩魚の怪 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
これはその先祖途中で狼にわれんとした時、われに差し迫った用事あり、それさえ済まば必ず汝に身を与うべしと紿あざむいてそのまま打ち過ぎしを忘れず
十兵衛いよいよ五重塔の工事しごとするに定まってより寝ても起きてもそれ三昧ざんまい、朝の飯うにも心の中では塔をみ、夜の夢結ぶにも魂魄たましいは九輪の頂をめぐるほどなれば
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
為作は源吉を囲炉裏の傍へ坐らして、自在鉤にかけてある鍋の中から夕飯を盛ってわした。為作は徳利の酒を注いで飲みだした。
放生津物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
アイルランドの名門メクチュレーンはクレーンの犬の意味で、この一族は犬肉をえば死んだという(一九〇八年版ゴムの『歴史科学としての俚俗学』二八六頁)
酒ぬきの飯をった私は、其処を出て河津川べりに往き、其処の橋を渡って上流かわかみへ往って、田の中の森にある来宮神社くのみやじんじゃへ往ってみた。
火傷した神様 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
青橿鳥これを聞いて無明の業火直上三千丈、たちまち飛んで古木のシカモール樹に至ると鷹すでに橿鳥の児をいおわり不在だったが、巣に鷹の児があったのをことごとく殺した
天風は負けずに云って、いきなり雉子焼の串に手をかけ、体を前屈みにするなり、わざとがつがつするようにしてそれをって見せた。
文妖伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
これは酒を好む者を咎めずに盃を勧めた人をめるような論で、ラクーンが食物を獲るごとに洗わずんばわず、猫が大便を必ず埋めるなどと異なり、豕が湿泥を好むはもっともとしても
曾はそれから毎日乞食の子に随いて、物をもらいに出かけて往ったが、いつも腹が空いていて腹一ぱいに物をうことができなかった。
続黄梁 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
頬杖ほおづえ突いて余肉をうなど、彼方あっちの人のしない事ばかりする。
それは今日の昼飯ひるめしに怪しい僧にもけ、じぶん達もったような三個みっつ黍団子きびだんごであった。顎髯の男はうんと云って背後うしろに倒れて気を失った。
岩魚の怪 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「満州なんかだめだよ、酒は高粱きびの酒で、うものは、ぶたか犬かしかないと云うじゃねえか、だめだよ、魚軒さしみなだ生一本きいっぽんでなくちゃ」
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
新聞記者をしている友人と飯をったが、その友人が帰りに茶でも飲んで別れようと云うので、そこを出ると日比谷ひびやの方へ歩いて往って
妖影 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
漁師は膳の前に坐って蕎麦切をっている女房に、こんなことを云って、網の袋に充満いっぱいになって来る大きな鮭を想像していた。
鮭の祟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
今晩はしかたがないから明日あすの晩は夕飯ゆうはんわずに往って見ようと思って彼はふところの勘定をした。懐には十円近い小遣こづかいがあった。
牡蠣船 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
老婆の施十娘は、文世高からもらった銀子をしまい、午飯をって、新しくできた花粉おしろいと珍しい花簪児かんざしを持って劉家へ往った。
断橋奇聞 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
午が来て家内同志で飯をっていた。主翁ていしゅの九兵衛が空になった茶碗を出すと、その傍にいたじょちゅうがお給仕の盆を差しだした。
蠅供養 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
彭はとうとう病気になって、飯もろくろくわずに寝ているようになった。と、ある夜、扉を開けて入ってきた者があった。
荷花公主 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
朝になってみると、お滝は平生いつものようにおとなしく起きて、新一といっしょに朝飯をったがへつに変ったこともなかった。
狐の手帳 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そして、蒲団にくるまって寝て、食物を持って往ってもわなかった。体は一めんに腫れて、七日位の間は何も喫わなかったが死ななかった。
蓮香 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
お葉はそう云って天風の手をつけてない串をっていだした。小さな可愛い唇と、小さな白い歯、天風はそれを見ていた。
文妖伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そのうちに二人は手に掴んで何かいだした。新一は二人の喫っている物は何だろうかと思って透して見たが見えなかった。
狐の手帳 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
支那料理をいに往ったところで、そこの主翁ていしゅが支那料理の話をしたあげく、背が緑青色をした腹の白い小さな蛇をけた酒のびんを持って来た。
文妖伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
甚六は膳の方に体をねじ向けて、冷麦の皿を持っておうとかまえると、その皿に激しい刺激が加わって膳の上へ洛ちた。
一緒に歩く亡霊 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
李克用は親類の手簡を見て護送人に飯をわし、それからいっしょに府庁へ往って、それぞれ金を使って手続をすまし、許宣を家へ伴れて来た。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
彼は梯子段はしごだんをあがりながら、めしったなら清水屋へ往って、引きとるか引きとらないかをしかとめようとおもった。
女の首 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
老婆は気に逆うてはいけないと思ったので、黙って飯を持って往って置いて来ると、お滝は何時の間にかってあった。
狐の手帳 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
李克用は親類の手簡を見て、護送人に飯をわし、それからいっしょに府庁へ往って、それぞれ金を使って手続をすまし、許宣を家へ伴れてきた。
雷峯塔物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「そうか」岡本はうなずいて八千代に顔をやり、「それじゃ、また、あっちで遊んでてくれ、何かいたいものがあるなら、姐さんにそう云うがいい」
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
其の客が某日あるひ校書げいしゃを伴れて見物に来ていたが、芝居がはねると喜多村さんを伴れて、いっしょにとんだ屋へ往って飯をうことになったところで
とんだ屋の客 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
豊雄は朝になって女に逢いたくてたまらないので、朝飯もわずに新宮へ往って、県の真女児の家はと云って尋ねたが、何人だれも知った人がなかった。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)