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可笑
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おか
ふりがな文庫
“
可笑
(
おか
)” の例文
それが自分に
適
(
うつ
)
ろうがうつるまいが、そんなことは一切合財考えなしで随分
可笑
(
おか
)
しな不調和な
扮装
(
つくり
)
をしている人が沢山あるようです。
好きな髷のことなど
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
天晴
(
あっぱれ
)
天下の物知り顔をしているようで今日から見れば
可笑
(
おか
)
しいかもしれないが、彼のこの心懸けは決して悪いことではないのである。
西鶴と科学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
絞殺に鮮血が
噴
(
ふ
)
きでるというのは
可笑
(
おか
)
しかった。なにかこれは別の傷口がなければならない。一郎は愛弟四郎の屍体に顔を近づけた。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「乱調は虚子これを
創
(
はじ
)
め云々」などと言って居る。今から考えると
可笑
(
おか
)
しいようである。漱石氏はその乱調を批難しているのである。
漱石氏と私
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
古木学士はいよいよ眼を細くして
反身
(
そりみ
)
になった。学士の肩の蔭で、アダリーも
可笑
(
おか
)
しいのを我慢しながらうつむいている気配である。
冥土行進曲
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
その洞院左膳様と、花村様とお二人が、いずれも殿様のおためじゃといって、一人の
遊女
(
おんな
)
を争うとは、どうにも
可笑
(
おか
)
しなことではある
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
おれは馬鹿馬鹿しいから、天麩羅を食っちゃ
可笑
(
おか
)
しいかと聞いた。すると生徒の
一人
(
ひとり
)
が、しかし四杯は過ぎるぞな、もし、と云った。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
まるっきり
搗
(
つ
)
きたての餅も同様だからな、ちょっと手荒に扱ってもすぐにひっちゃぶけちゃうもんなんだ、万吉、なにが
可笑
(
おか
)
しいんだ
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
小田切大使の自殺に宮本夫人を引張り出すのはちょっと
可笑
(
おか
)
しいが、私の頭の隅に、二十年前の記憶が今なお残っていたからであろう。
情鬼
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
厭
(
いや
)
がる妻を紀昌は
叱
(
しか
)
りつけて、無理に機を織り続けさせた。来る日も来る日も
彼
(
かれ
)
はこの
可笑
(
おか
)
しな
恰好
(
かっこう
)
で、瞬きせざる修練を重ねる。
名人伝
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「何処の家のだって同じごった。俺家の
鵞鳥
(
がちょう
)
を見てけれったら。何処の世界に黒い鵞鳥なんて……。俺は、見る度に、
可笑
(
おか
)
しくてさ。」
黒い地帯
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
夕立に逢ったらいよいよ驚くであろうと思いやられて
可笑
(
おか
)
しくもなる。そこで、今度は妖怪変化について少しく考え出してみたい。
怪奇一夕話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
さっきからあんまり野郎の神経質ぶりが
可笑
(
おか
)
しいので、一つからかってくれようかという気持が、ムラムラとしていたのであった。
葛根湯
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
それに、もっといけないのは、私が人生の目標を持たなかったことです。何でも其日其日を面白
可笑
(
おか
)
しく暮しさえすればいいのだ。
双生児:――ある死刑囚が教誨師にうちあけた話――
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
わたくしの幸福と申すのは
可笑
(
おか
)
しゅうございますが、わたくしの平和は、あなたのためにも、どうでもよろしい物ではございますまい。
田舎
(新字新仮名)
/
マルセル・プレヴォー
(著)
そんな言葉、思い出して、
可笑
(
おか
)
しゅうございました。けれども、だんだん私は、心配になってまいりました。誰にも、秘密が在る。
皮膚と心
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
其の時分の書生のさまなぞ、今から考えると、幕府の当時と同様、
可笑
(
おか
)
しい程
主従
(
しゅじゅう
)
の差別のついて居た事が、
一挙一動
(
いっきょいちどう
)
思出される。
狐
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
この人の
訛
(
なまり
)
が
殊
(
こと
)
に著しく、この地方特有の、「たい」を「てゃあ」、「はい」を「ひゃあ」と云う風に発音するのが
可笑
(
おか
)
しくて
溜
(
たま
)
らず
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「人の気を知らねえにも程がある」と源は怒気を含んで、舌なめずりをして、「何が
可笑
(
おか
)
しい。気の毒に思うのが
至当
(
あたりまえ
)
じゃねえか」
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そして一番しまいに
殿
(
しんが
)
りだとでもいうように大きな熊が一疋、無恰好な形をしてのそのそ列を追って行った。それは
可笑
(
おか
)
しかった。
宝永噴火
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
ただ今でも
可笑
(
おか
)
しいのは、その中にふと車を引いた、
赤牛
(
あかうし
)
の尻が見えた事じゃ。しかしおれは一心に、
騒
(
さわ
)
がぬ
容子
(
ようす
)
をつくっていた。
俊寛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「何が
可笑
(
おか
)
しいのだ!」と彼は怒鳴った。一同が粛然と静まった。すると誰かが、「芸者の傘をさしている奴は誰だ!」と言った。
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
私だけが何か新派の芝居でもしているように見えて
可笑
(
おか
)
しくて
堪
(
たま
)
らない、やはり私は、さよか、おおきにはばかりさんといってしまう。
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
聴水は
可笑
(
おか
)
しさを
堪
(
こら
)
えて、「
慌
(
あわただ
)
し何事ぞや。
面
(
おもて
)
の色も常ならぬに……物にや追はれ給ひたる」ト、
問
(
とい
)
かくれば。黒衣は初めて
太息
(
といき
)
吻
(
つ
)
き
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
クリストフの
靴
(
くつ
)
の大きいこと、服の醜いこと、
埃
(
ほこり
)
をよく払ってない帽子、
田舎訛
(
いなかなま
)
りの発音、
可笑
(
おか
)
しなお辞儀の仕方、高声の
賤
(
いや
)
しさ
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
仲人は石版印刷屋の親爺——というと
可笑
(
おか
)
しく聞えるけれど、私は当時大学で研究してはいたが何も大学へ就職しようとは思っていず
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
「あら! よく知っているわねえ。私は、どうせ馬鹿よ。新子ちゃんは、利口者よ。おほほほほ。」と、さも
可笑
(
おか
)
しそうに笑い出した。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
まるで見当はずれなので、銀子は
可笑
(
おか
)
しくもあり、赤坂の芸者屋と
聯絡
(
れんらく
)
でも取っているのかとも思い、見料をおいて
匆々
(
そうそう
)
にそこを出た。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
それが何と思ったか、三千メートル近い高山の雪渓の発掘を始めたのだから、新聞が面白
可笑
(
おか
)
しく書き立てたのは無理のないことである。
黄鳥の嘆き:——二川家殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
万豊は
凡
(
すべ
)
てにハッキリしたことを口にするのが嫌いで、ひとりで歩いている時も何が
可笑
(
おか
)
しいのかいつもわらっているような表情だった。
鬼涙村
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
そして
可笑
(
おか
)
しな叫声を出した。喜びの叫声を出した。この群の男等はこの青年の真似をして、みな帽を脱いでそれを振り動かして叫んだ。
鴉
(新字新仮名)
/
ウィルヘルム・シュミットボン
(著)
それを半分まで聞いていないうちに、「結構々々、」と旅人は
可笑
(
おか
)
しくてたまらなくなりましたので、そっと逃げて行ってしまいました。
でたらめ経
(新字新仮名)
/
宇野浩二
(著)
彼ほどの冷静なかつ
聡明
(
そうめい
)
な人にして全く
可笑
(
おか
)
しな話であるが、そこで彼は自分の恥ずべき空想が私に見破られたことを焦慮して
母
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
私のやりかたは
可笑
(
おか
)
しくてすぐやってしまう分はいつもちゃんちゃん行って、一遍落すとなかなか落しっぱなしになってしまう。
獄中への手紙:05 一九三八年(昭和十三年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
可笑
(
おか
)
しきは合祀先の神社の神職が、神社は戻るとも神体は還しやらずとて、おのれをその社の兼務させくれるべき
質
(
しち
)
に取りおる。
神社合祀に関する意見
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
どのようにしてもあなた様のお
傍
(
そば
)
をはなれることが出来ないのに、上の官人もするに事欠いて人を試すことの
可笑
(
おか
)
しさを述べた。
花桐
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
ここに
可笑
(
おか
)
しい事がある。己は奥さんの運動を覚えているが、その静止しておられる状態に対しては記憶が
頗
(
すこぶ
)
る
朧気
(
おぼろげ
)
なのである。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「うむ……。
可笑
(
おか
)
しいね。何が何だか
解
(
わか
)
らなくなって来たぞ。……待てよ。じゃ、あのどろぼう船だけが、亡霊だったのかもしれないね」
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
横浜の、ええ、叔母の娘、姉妹でね、……叔母の娘は
可笑
(
おか
)
しいんですが、叔父は私なんぞ顔も覚えないうちに、今の墓に眠ってるんです。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
里のうわさが拡まって、旅人までが、自分たちを天狗と信じている容子が
可笑
(
おか
)
しくもありまた、自分等の思うつぼでもあったからである。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私
(
わたくし
)
の
永
(
なが
)
い
幽界生活中
(
ゆうかいせいかつちゅう
)
にもお
客様
(
きゃくさま
)
と
水杯
(
みずさかずき
)
を
重
(
かさ
)
ねたのは、たしかこの
時
(
とき
)
限
(
き
)
りのようで、
想
(
おも
)
い
出
(
だ
)
すと
自分
(
じぶん
)
ながら
可笑
(
おか
)
しく
感
(
かん
)
ぜられます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
青鞜社中でも第一期に殺すべき者なんてありますから、らいてうとでもいふのかと思つたら
可笑
(
おか
)
しくてたまりませんでした。
編輯室より:(一九一三年六月号)
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
すると最前
何所
(
どこ
)
かへ逃げた小い可愛い仔狸が、何所からかヒヨコヒヨコと出て来て、面白
可笑
(
おか
)
しい手付腰付をして、踊り出して来たのです。
馬鹿七
(新字旧仮名)
/
沖野岩三郎
(著)
朴訥
(
ぼくとつ
)
な調子で語りおわると、石津右門はホッと
溜息
(
ためいき
)
を吐きます。鬼の霍乱が
萎
(
しお
)
れ返った様子は、物の哀れを通り越して
可笑
(
おか
)
しくなるくらい。
銭形平次捕物控:062 城の絵図面
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そんな道徳の教科書みたいな言葉に、ジプさんがどうしてそう凹まされてるか、俺にははがゆくもあったり
可笑
(
おか
)
しくもあった。
溺るるもの
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
後
(
あと
)
で先生の所へ来た葉書で、九大のK博士ということが知れたのであるが、随分びっくりされたことだろうと思ってちょっと
可笑
(
おか
)
しかった。
由布院行
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
迚
(
とて
)
も駄目だと思ったです。ところが入ってしまうと斯うなるのが当然のようで、何故あんなに煩悶したのか、自分ながら
可笑
(
おか
)
しくなります。
小問題大問題
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
急に慌ててカッとなったのに自分ながら半分は
可笑
(
おか
)
しさを感じないではいられなかったが、まだ日の光の新しい午前の往来で
のんきな患者
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
……そうじゃなくて? ね? それに、その
顎
(
あご
)
ひげだって生やすなら生やすで、も少しなんとかしなくちゃねえ。……(笑う)
可笑
(
おか
)
しな人!
桜の園
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
どうも怪しいことがあるです。芳子と約束が出来て、すぐ宗教が
厭
(
いや
)
になって文学が好きになったと言うのも
可笑
(
おか
)
しし、その後を
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
可
常用漢字
小5
部首:⼝
5画
笑
常用漢字
小4
部首:⽵
10画
“可笑”で始まる語句
可笑味
可笑相