上手じようず)” の例文
いはゆるるところにたまで、この新古今集しんこきんしゆうときほど、日本につぽんうた歴史れきしうへで、名人めいじん上手じようずといふべきひとが、たくさんそろつてたことはありません。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
菊屋の用心棒に入り込んだのは一年前、おべつか將棋しやうぎの敗けつぷりが上手じようずで、主人市十郎の御機嫌にかなひ、今では菊屋の支配人のやうな顏をしてゐますよ。
矢筒やつゝなどの品物しなものすこのこつてゐるだけでありまして、ごくむかし日本人につぽんじんはけっして上手じようずであつたとか、きであつたとはいふことが出來できないのです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
クリストフはヴァイオリンがそう上手じようずではなかった。それでもこの弟子よりは巧みだった。そしてしばらくの間彼は、一時間二フランのきめで週に三時間教えてやった。
のきばのまつつるをくひはせぬか、これを世間せけんなにるらん、母御はゝご世辭せじ上手じようずにてひとらさぬうまさあれば、いものにしてやみをたどるむすめよりも、一まいあがりて
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
北海道ほつかいどうくまは、みんなあかぐま種類しゆるい内地ないちんでゐるくまとはちがひます。からだ全體ぜんたいくろかほだけが茶色ちやいろのや、かたからむねしろまだらのあるのもゐます。木登きのぼりも水泳みづおよぎも非常ひじよう上手じようずです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
上手じようずにやると自分じぶん家屋かおく耐震率たいしんりつともづくべきものゝ概念がいねんられるであらう。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
第二番だいにばんに、車持皇子くらもちのみこは、蓬莱ほうらいたまえだりにくといひふらして船出ふなでをするにはしましたが、じつ三日目みつかめにこっそりとかへつて、かね/″\たくんでいたとほり、上手じようず玉職人たましよくにんおほせて
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
かように舊石器時代きゆうせつきじだい中頃なかごろから、動物どうぶつなどのかたち彫刻ちようこくにしてあらはすことがたいそう上手じようずになつてました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
つまり上手じようずどうしが、みな肝腎かんじんてんよりもごく枝葉えだはにわたるところに苦勞くろうをして、それをおたがひにほこりあつたゝめに、それがかさなり/\して、いけないことがおこつてました。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
にあるころ唐棧とうざんぞろひに小氣こきいたまへだれがけ、お世辭せじ上手じようず愛敬あいけうもありて、としかぬやうにもい、父親てゝおやときよりはかへつてみせにぎやかなと評判ひやうばんされた利口りこうらしいひと
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おなじようなうたならべてませう。上田秋成うへだあきなりといふひとは、眞淵まぶち孫弟子まごでしあた文學者ぶんがくしやですが、このひとも、うたはその散文さんぶんほど上手じようずではありませんが、かなりつくれたひとであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
とにかく日本につぽん石器時代せつきじだい土器どきは、外國がいこく石器時代せつきじだい土器どきくらべて、餘程よほど進歩しんぽ巧妙こうみようつくられてをり、日本につぽん石器時代せつきじだい人間にんげんは、土器どきつくることが上手じようずでもあり、きでもあつたとおもはれます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)