高聲たかごゑ)” の例文
新字:高声
おかみさんは女中を指※して三番を掃除させながら、何のかゝはりも無い三田に聞けがしの高聲たかごゑで喋つて居た。
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
界隈かいわい景色けしきがそんなに沈鬱ちんうつで、濕々じめ/\としてるにしたがうて、ものもまた高聲たかごゑではものをいはない。歩行あるくにも内端うちわで、俯向うつむがちで、豆腐屋とうふやも、八百屋やほやだまつてとほる。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
まぢくないの高聲たかごゑみんないとよびつれておもて出合頭であいがしら正太しようた夕飯ゆふめしなぜべぬ、あそびにほうけて先刻さつきにからぶをもらぬか、誰樣どなたまたのちほどあそばせてくだされ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いづれもうれしさうにして、ふね近付ちかづいてるのを、退けるやうにして、天滿與力てんまよりききにふねへ、雪駄せつたあしまたんだ。途端とたん玄竹げんちくはいつにないらいのやうに高聲たかごゑで、叱咜したした。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
まち人々ひと/″\ことかれいつ輕蔑けいべつして、無教育むけういく禽獸的生活きんじうてきせいくわつのゝしつて、テノルの高聲たかごゑ燥立いらだつてゐる。かれものふのは憤懣ふんまんいろもつてせざれば、欣喜きんきいろもつて、何事なにごと熱心ねつしんふのである。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
聞人きくひとなげに遠慮ゑんりよなき高聲たかごゑふく相槌あひづちれい調子てうしに、もう一トはたらきやつてけよう、やすさんは下廻したまはりをたのみます、わたしはも一此處こゝいて、今度こんどはおくらだとて、雜巾ぞうきんがけしつ/\とはじめれば
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いつも威勢いせいよきくろぬりくるまの、それかどおとまつたむすめではないかと兩親ふたおや出迎でむかはれつるものを、今宵こよひつぢよりとびのりのくるまさへかへして悄然しよんぼり格子戸かうしどそとてば、家内うちには父親ちゝはゝあひかはらずの高聲たかごゑ
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ひげをひねつておまへ此子このこ可愛かあいいかとおつしやいました、當然あたりまへ御座ございます、とてつんといたしてりますと、それではおまへ可愛かあいいなといつも戲言おどけおつしやつて、高聲たかごゑ大笑おほわらひをあそばしたそのかほ
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)