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頑
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がん
ふりがな文庫
“
頑
(
がん
)” の例文
例によってお役人にソッと頼んで、
緩
(
ゆる
)
い手錠に取替えてもらうように運動をしようとすると、本人の道庵先生が
頑
(
がん
)
として頭を振って
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
けれど、敵の本城、稲葉山から遠い
飛領
(
とびりょう
)
などは斬り取りできても、さて
一水
(
いっすい
)
を隔てた斎藤家の本領は、さすがに
頑
(
がん
)
としたところがある。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
が、治まらないのは馬子先生である。法外な賃金を
強請
(
ゆす
)
って
頑
(
がん
)
として動かぬ。欲張りの田舎者ほど
面
(
つら
)
憎いものはない。将軍忽ち
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
しかし彼れは
頑
(
がん
)
として動かなかった。ペテンにかけられた雑穀屋をはじめ諸商人は貸金の元金は愚か利子さえ出させる事が出来なかった。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
私が何と言って頼んでみても母は
頑
(
がん
)
として応じないのを見た私は、とうとう、次ぎの日、中村のいないときに母にこう言った。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
▼ もっと見る
さすがに定明はためらい、眉を伏せるような恰好をして見せたが、次の瞬間にはこの剛情者は
頑
(
がん
)
として動じないふうにいった。
野に臥す者
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
そこでそれを抜こうとしたが老人
頑
(
がん
)
としてどうしても承知しない。結局「アルラフの神のおぼしめしじゃ、わしは御免こうむる。さようなら」
自由画稿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
しかしそれではあまり体面に関するので、夫人が是非フロックコートを新調するようにすすめたが、
頑
(
がん
)
として中々きかない。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
しかし何度頼んでみても、小厮は主人の
留守
(
るす
)
を
楯
(
たて
)
に、
頑
(
がん
)
として奥へ通しません。いや、しまいには門を
鎖
(
とざ
)
したまま、返事さえろくにしないのです。
秋山図
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
泣くようにして頼んで見たけれど浩平は
頑
(
がん
)
として聞かなかった、
百方
(
いろいろ
)
手を尽して見たけれどもそれは全く無駄であった。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
彼女には個性があり、強烈な自意識があった。私がならい覚えた技術をフルに動員しても、彼女は
頑
(
がん
)
として服従しない。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その時になっても、山村氏の家中衆だけは長い武家時代の歴史を誇りとし、
頑
(
がん
)
として昔を忘れないほどの高慢さである。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
金煙管
(
きんぎせる
)
の
莨
(
たばこ
)
の
独
(
ひと
)
り
杳眇
(
ほのぼの
)
と
燻
(
くゆ
)
るを手にせるまま、満枝は
儚
(
はかな
)
さの
遣方無
(
やるかたな
)
げに
萎
(
しを
)
れゐたり。さるをも見向かず、
答
(
いら
)
へず、
頑
(
がん
)
として石の如く
横
(
よこた
)
はれる貫一。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
一たび不利な立場におしやられた彼らの前には、誠心誠意をもっても
頑
(
がん
)
として動かし得ない権力がのしかかっていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
ことに見ず知らずの年長者が
頑
(
がん
)
と構えているのだから
上座
(
じょうざ
)
どころではない。挨拶さえ
碌
(
ろく
)
には出来ない。一応頭をさげて
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それでも房枝は、
頑
(
がん
)
としてへんじをしなかった。これにはスミ枝も、全く手をやいてしまったが、ふと思い出して
爆薬の花籠
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
音楽のことを話しては、クリストフが最もよく知ってる事柄を彼に説明してやり、判定を下して
頑
(
がん
)
として応じなかった。彼女を説伏しようとしても
無駄
(
むだ
)
だった。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
しかし井上氏は
頑
(
がん
)
として受付けなかった。この二番目の脚本にはいっさい手を着けてはならないと云い渡した。そうして、とうとうそれを押し通してしまった。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
が、お仲も
頑
(
がん
)
としてそれに屈しなかったばかりでなく、またも大変なことを言い出したのです。
銭形平次捕物控:130 仏敵
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
頑
(
がん
)
として、木像の如く、木杭の如く、電信柱の如く断じて心臓を
展
(
ひら
)
くことを拒むものである。
FARCE に就て
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
かれがこれを着たとき、すずめがそれだけはよしてくれといった、かれは
頑
(
がん
)
としてきかない。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
然るに甲斐守は
頑
(
がん
)
として之を聴かず、おのれは徳川氏の臣にして罪を幕府に獲たのである。幕府より赦免の命を受くるに
非
(
あ
)
らざれば
私
(
わたくし
)
に配所を去るわけにはゆかないと言った。
枇杷の花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
しかし、直吉の顔は、
頑
(
がん
)
として南の方を向いたきりで、どうにもならなかった。どうにもならないどころか、直吉の足は、かえってそのために、一層速くなる
傾向
(
けいこう
)
さえあった。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
彼の前の最前列は
頑
(
がん
)
としたままで、誰一人身動きもせず、誰もKを通らせなかった。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
されどもいささか思い定むるよし心中にあれば
頑
(
がん
)
として
屈
(
くっ
)
せず、他の好意をば無になして辞して帰るやいなや、直ちに三里ほど
隔
(
へだ
)
たれる湯の川温泉というに
到
(
いた
)
り、しこうして
封書
(
ふうしょ
)
を友人に送り
突貫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
頑
(
がん
)
として動く気色もありませんでしたので、客は失望して帰りました。
ジェンナー伝
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
人の
幼穉
(
ようち
)
なるとき、意を加えてこれを保護せざれば、必ず
病
(
や
)
み、必ず死す。また心を用いてこれを教育せざれば、長ずるに
及
(
および
)
て必ず
頑
(
がん
)
、必ず
愚
(
ぐ
)
にして、蛮夷の間といえども共に
立
(
たつ
)
べからざるに至る。
教育談
(新字新仮名)
/
箕作秋坪
(著)
改訂のものが手もとにあることはもちろん事実であった。しかしワ氏は
頑
(
がん
)
として
肯
(
き
)
かず、それはもはや間に合わぬ。また作者の後日の改訂が必ずしも作を良くするとは限らないゆえ、断じて応じ難い。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
そこを押してゆくと、マタ・アリは
頑
(
がん
)
と口を
噤
(
つぐ
)
んでいる。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
実際と強き立体感が
頑
(
がん
)
として控えているのだ。
油絵新技法
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
直義は
頑
(
がん
)
として退かず、細川、赤松らも遠くたたかって伝令はまま切断され、ために退軍の令もほとんど思うようにおこなわれなかった。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そしてその晩は腹が痛んでどうしても東京に帰れないから、いやでも横浜に
宿
(
とま
)
ってくれといい出した。しかし古藤は
頑
(
がん
)
としてきかなかった。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
医者嫌いな人間が悪い風邪にかかり、くしゃみと
咳
(
せき
)
と熱で苦しみながら、
頑
(
がん
)
として医者を呼ばず薬ものまずにいる。
霜柱
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
爺
(
じじ
)
は
頻
(
しき
)
りに嘆願しているが、馬車屋は
頑
(
がん
)
として応ぜぬ。事情を聞けば、草津行の乗合馬車には赤馬車と称する会社があって、
頗
(
すこ
)
ぶる専横を極めている。
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
仏頂寺が躍起になって怒るのを、高杉は
頑
(
がん
)
として勝ちを主張してこの場を去った。これは高杉一流の手前勝手。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
多くの人に知られないような神仏のごときをもなおかつ
軽
(
かろ
)
んずることをしない。しかも一度それを信奉した上は、
頑
(
がん
)
としてその誓いを変えないほどの高慢さだ。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
時とすると一方が、咳き込んでる相手に意見をすることもあった。しかし相手は息がつけるようになると、少しも
煙草
(
たばこ
)
のせいではないことを
頑
(
がん
)
として言い逆らった。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
自分は
頑
(
がん
)
として破談を主張したが、最後に、それならば、彼が女を迎えるまでの間、謹慎と後悔を表する証拠として、月々俸給のうちから十円ずつ自分の手もとへ送って
手紙
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そういったきり、博士は、
頑
(
がん
)
として、そのあとのことを
喋
(
しゃべ
)
ろうとはしなかったのだ。
人造人間の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
しかしかれはいつもの従順さに似ず、
頑
(
がん
)
として自分の考えをまげようとしなかった。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
これを文庫と書斎と客間とに
充
(
あ
)
てて、
万足
(
よろづた
)
らざる無き
閑日月
(
かんじつげつ
)
をば、書に
耽
(
ふけ
)
り、画に
楽
(
たのし
)
み、彫刻を愛し、音楽に
嘯
(
うそぶ
)
き、近き頃よりは
専
(
もつぱ
)
ら写真に遊びて、
齢
(
よはひ
)
三十四に
迨
(
およ
)
べども
頑
(
がん
)
として
未
(
いま
)
だ
娶
(
めと
)
らず。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
しかし娘を極度に高く評価したヴィークは、
頑
(
がん
)
として二人の結婚に承諾を与えなかった。事はついに法廷に持出され、長い審議の後、法に許されて二人が結婚したのは、同じ年の九月であった。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
そう彼は多分に
多寡
(
たか
)
をくくっていたのだ。——
頑
(
がん
)
として初志を
翻
(
ひるがえ
)
さない一因のものは、彼の持ったその公算にもあったのである。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ブルさんと
仇名
(
あだな
)
される波木井船長は、東湾汽船の三十六号船の船長だが、停年が過ぎたのに
頑
(
がん
)
として船をおりない。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
しかし、先生が
頑
(
がん
)
としてこの乗り方を改めないものですから、馬方もぜひなく、そのまま馬をひき出しました。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それを兄が
頑
(
がん
)
として聞入れなかったということなぞが、それからそれへと引出されて行った。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
昔なら少しは幅も
利
(
き
)
いたか知らんが、あらゆるあばたが二の腕へ立ち
退
(
の
)
きを命ぜられた昨今、依然として鼻の頭や頬の上へ陣取って
頑
(
がん
)
として動かないのは自慢にならんのみか
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
クリストフは
頑
(
がん
)
として
聴
(
き
)
き入れず、二人の友の幸福なさまをうれしげにながめてる人のよいモークが腹をたてるのも構わずに、フランスの古い
諺
(
ことわざ
)
を勝手に意地悪くもじって
誦
(
しょう
)
してきかした。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
私は博士に、琴をひくのをすぐやめるようにいったのに、博士は
頑
(
がん
)
としてきかない。君があのとおり恐竜をおっぱらってくれなかったら、私たち三人は次々に恐竜の
餌食
(
えじき
)
になってしまったろう。
恐竜島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
万七は
頑
(
がん
)
として譲りません。
銭形平次捕物控:117 雪の夜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
“頑”の意味
《名詞・形容動詞》
(かたくな)頭が固く、他人の考えを拒む様子。
《形容動詞》
(ガン) (「頑として」の形で)人の意見や助言などを拒むさま。
(出典:Wiktionary)
頑
常用漢字
中学
部首:⾴
13画
“頑”を含む語句
頑固
頑丈
頑童
頑強
頑愚
頑是
頑張
頑癬
頑冥
頑健
頑迷
頑陋
頑固爺
頑固者
頑冥不霊
頑然
頑民
頑執
昏庸頑夫
頑固親爺
...