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達
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とど
ふりがな文庫
“
達
(
とど
)” の例文
その男がエナ大学に着いて、暫くすると肝腎のヘツケル教授から手紙がカアネギイのところに
達
(
とど
)
いた。鋼鉄王は急いで封を切つた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
女がそう云って
起
(
た
)
とうとするので、哲郎は絡んでいた指を解いた。と、女は起って棚の
黄
(
きい
)
ろなボール箱に手をやろうとしたが
達
(
とど
)
かなかった。
青い紐
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
大勢が手を揃えて
其
(
その
)
綱を
繰上
(
くりあ
)
げると、綱の
端
(
はし
)
には
尠
(
すくな
)
からず
重量
(
めかた
)
を感じたので、不審ながら
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も中途まで
引揚
(
ひきあ
)
げると、
松明
(
たいまつ
)
の火は
漸
(
ようや
)
く
達
(
とど
)
いた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
嫋娜
(
なよやか
)
に出されたので、ついその、
伸
(
のば
)
せば
達
(
とど
)
く、手を取られる。その手が消えたそうに我を忘れて、
可懐
(
なつかし
)
い
薫
(
かおり
)
に包まれた。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「貴方、間さん、貴方そんなに離れてお歩き遊ばさなくても
宜
(
よろし
)
いぢやございませんか。それではお話が
達
(
とど
)
きませんわ」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
それは見
達
(
とど
)
けてないのですが。他の場所で、二人の立って居る所を私は一寸見掛けたのです。そして私は二人の間に何かしら恋愛の火花が行交うているのを
職工と微笑
(新字新仮名)
/
松永延造
(著)
他人の中に育ってきたお蔭で、誰にも
痒
(
かゆ
)
いところへ手の
達
(
とど
)
くように気を使うことに慣れている自分が、若主人の
背
(
せなか
)
を、昨夜も流してやったことが
憶出
(
おもいだ
)
された。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
手の
達
(
とど
)
くほど近く見え、鉛のように胸壁に落ちている雪は、銀の
顫
(
おのの
)
くように白く光って、叩けばカアンと音がしそうだ、空はもう純粋なるアルプス藍色となって
雪中富士登山記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
程なく草の深い所を抜けて、例の七曲りの上の方へ出た、今までは草に隠れて居たが、山麓の秩父の街の火の明り、村々の貧しい
灯火
(
ともしび
)
が、手の
達
(
とど
)
くような下に見えた。
武甲山に登る
(新字新仮名)
/
河井酔茗
(著)
……雲の後ろから、幅のひろい緑色の光が射して、空の
央
(
なか
)
ばまで
達
(
とど
)
いている。暫くすると、この光に紫色の光が来て並ぶ。その隣には金色のが、それから薔薇色のが。
グーセフ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
その時に玉雄は、林の向うを風につれて雲のように吹き渦巻く雪の切れ目切れ目に、一つの高い高い真白な塔のようなものが天まで
達
(
とど
)
く位立っているのを見付けました。
雪の塔
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
海若藍平
(著)
次の八畳の間の
間
(
あい
)
の
襖
(
ふすま
)
は
故意
(
わざ
)
と一枚開けてあるが、
豆洋燈
(
まめランプ
)
の火はその
入口
(
いりくち
)
までも
達
(
とど
)
かず、中は
真闇
(
まっくら
)
。自分の寝ている六畳の間すら
煤
(
すす
)
けた天井の影暗く
被
(
おお
)
い、
靄霧
(
もや
)
でもかかったように思われた。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
其夜
(
それ
)
からというものは
真実
(
ほんと
)
、真実でござりまする上人様、晴れて居る空を見ても
燈光
(
あかり
)
の
達
(
とど
)
かぬ
室
(
へや
)
の
隅
(
すみ
)
の暗いところを見ても、白木造りの五重の塔がぬっと突っ立って私を見下しておりまするわ
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
暗
(
やみ
)
のおびえの『扇を持てる
孤兒
(
みなしご
)
の娘』青春の衰へを
星雲
(
せいうん
)
の中に齒がみして死ぬ生き埋めの如き自分の『一生』を書いて殆んど再び行き詰りの絶頂に
達
(
とど
)
いた自分は突如として生の勢のよい『發生』を
太陽の子
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
もう六十に手の
達
(
とど
)
いた父の乗雲は、
家
(
うち
)
の
惨状
(
みじめさ
)
を見るに見かねて、それかと言つて何一つ家計の
補助
(
たし
)
になる様な事も出来ず、若い時は雲水もして歩いた僧侶上りの、思切りよく
飄然
(
ふらり
)
と家出をして了つて
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
柿の実を採るのもそれと同じことだが、枝が高くて竿のさきが
達
(
とど
)
きかねるやうなのは、強ひて採らないで、そのまま枝の上に残しておくことだ。
独楽園
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
最後に乗せられたお杉の亡骸は、既に頂上まで
達
(
とど
)
いたと思う頃、
何
(
ど
)
うした
機会
(
はずみ
)
か
其
(
その
)
畚は斜めに傾いて、亡骸は再び遠い底へ
真逆様
(
まっさかさま
)
に転げ落ちた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そうして、その濁りが次第次第に深くなって底まで
達
(
とど
)
くと、この湖に住んでいるものはみな死んでしまわなければならない。——その大切な噴水が又こわれてしまった。
ルルとミミ
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
とだけん
(著)
エルマは手にしている
鞭
(
むち
)
で無礼な男をたたこうと思ったが、鞭がそれに
達
(
とど
)
きそうにもなかった。
警察署長
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
渠の
希望
(
のぞみ
)
はすでに手の
達
(
とど
)
くばかりに近づきて、わずかにここ二、三箇月を
支
(
ささ
)
うるを得ば足れり。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
足音の主は四囲を見廻し、私の叫びが決して遠い室々へ迄は
達
(
とど
)
かぬのを推察した。そして
職工と微笑
(新字新仮名)
/
松永延造
(著)
丈が
達
(
とど
)
くまでに枝をのしあっている老楊を、窓から延び上って見た、楊の葉にも幹にも灰がべったりとこびりついて、
皺
(
しわ
)
だらけの顔に化粧をした
白粉
(
おしろい
)
が、剥げてむらになったようで
谷より峰へ峰より谷へ
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
それであるから、自分の目には彼が半身に浴びている春の夕陽までがいかにも静かに、穏やかに見えて、彼の尺八の音の
達
(
とど
)
く限り、そこに悠々たる一
寰区
(
かんく
)
が作られているように思われたのである。
女難
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
かの軍士も
鎧
(
よろい
)
を着て、刀を持ったままで江に飛び込むと、なにか大きい石の上に
堕
(
お
)
ちたように感じられて、水はその腰のあたりまでしか
達
(
とど
)
かなかった。
中国怪奇小説集:04 捜神後記(六朝)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ところが
身体
(
からだ
)
が大きいものですから、底へ
達
(
とど
)
きません。それどころか、ほんの入り口の処へ
身体
(
からだ
)
が一パイに引っかかって、動くこともどうすることも出来なくなりました。
豚吉とヒョロ子
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
三鳥山人
(著)
ソレソレ手に取るばかり、その人が、と思いながら、投出して見ても足がまだ水へは
達
(
とど
)
かぬ。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
事の初まりは、私が彼の落した財布を送り
達
(
とど
)
けてやったと云う些末な点に過ぎない。けれども、私達は直ぐ親しく語り、連れ合って散歩する迄に友誼を進める事が出来たのであった。
職工と微笑
(新字新仮名)
/
松永延造
(著)
手が
達
(
とど
)
きそうになって、岳の右の肩に、三角測量標のあるのが、
分明
(
ぶんめい
)
に見える、眼の下に梓川の水は、
藍瓶
(
あいびん
)
を傾むけたような大空の下に、錆ついた鉱物でも見るような
緑靛
(
りょくてん
)
色になって
谷より峰へ峰より谷へ
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
市郎は
唯
(
と
)
ある岩角に腰をかけて、用意の
気注薬
(
きつけぐすり
)
を
啣
(
ふく
)
んだ。足の下には清水が長く流れているが、屏風のような
峭立
(
きったて
)
の岩であるから、下へは容易に手が
達
(
とど
)
かぬ。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「そら忘物だ、」といって
投出
(
ほうりだ
)
して呉れたのは、
年紀
(
とし
)
二十
(
はたち
)
の自分の写真、大学の制服で、
折革鞄
(
おりかばん
)
を脇挟んだのを受取って、角燈の灯の
達
(
とど
)
かぬ、暗がりの中に消えてしまった。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「この鐘こそはきっといい音が出るに違いない。そっとたたいても、たまらないいい音がするのだから。湖の底に沈んでいらっしゃるお父様の耳までもきっと
達
(
とど
)
くに違いない」
ルルとミミ
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
とだけん
(著)
「さあ、そいつは判りませんね。そこまではまだ手が
達
(
とど
)
きませんでしたが……」と、源次は頭を掻いた。
半七捕物帳:22 筆屋の娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
さるも
老木
(
おいき
)
の春寒しとや、枝も幹もただ
日南
(
ひなた
)
に向いて、戸の外にばかり茂りたれば、広からざる小路の中を横ぎりて、枝さきは伸びて、やがて
対向
(
むかい
)
なる、二階家の窓に
達
(
とど
)
かんとす。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そうしてほんのもう一歩か二歩で結論に手が
達
(
とど
)
きそうな気持ちになっているところへ、最前から所在なさにぼんやりと
煙草
(
たばこ
)
ばかり吹かしていた杉川医師が突然思い出したように私の方を振り返った。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
南無三宝
(
なむさんぽう
)
、も一つの瓶には
蝮
(
まむし
)
が居たぞ、ぐるぐると
蜷局
(
とぐろ
)
を巻いた、胴腹が白くよじれて、ぶるッと力を入れたような横筋の
青隈
(
あおぐま
)
が
凹
(
くぼ
)
んで、
逆鱗
(
さかうろこ
)
の立ったるが、瓶の口へ、ト
達
(
とど
)
く処に
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ミミはこの花の鎖が湖の底まで
達
(
とど
)
くかどうかわかりませんでした。
ルルとミミ
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
とだけん
(著)
こうなっちゃあ思いが
達
(
とど
)
かねえと愚痴をこぼした。
半七捕物帳:64 廻り灯籠
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
飛騨
(
ひだ
)
から信州へ
越
(
こ
)
える
深山
(
みやま
)
の間道で、ちょうど立休らおうという一本の
樹立
(
こだち
)
も無い、右も左も山ばかりじゃ、手を
伸
(
の
)
ばすと
達
(
とど
)
きそうな
峰
(
みね
)
があると、その峰へ峰が乗り、
巓
(
いただき
)
が
被
(
かぶ
)
さって、飛ぶ鳥も見えず
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“達”の解説
達(「たっし」または「たつ」)とは、江戸時代に上位の役所・役人から下位の役所・役人、その他管下の者に対して出される指示・命令のこと。御達(おたっし)・達物(たっしもの)・御沙汰(おさた)などの別名がある。
転じて、明治政府初期に行政立法としての令達名として用いられ、陸海軍においてはそれ以後も軍政 (行政)の令達名として用いられている文書の名称である。
(出典:Wikipedia)
達
常用漢字
小4
部首:⾡
12画
“達”を含む語句
先達
汝達
御達
私達
調達
達者
前達
手前達
用達
友達
伊達者
曹達
己達
曹達水
人達
上達部
暢達
俺達
上達
悉達多
...