すべて自分のうちに締め殺して、外には敢て、辛辣な手段や方法を、成功の秘訣とえらび、強欲の収得を累積してきたにちがいない。
ある女ぎらいな僧侶の古い言葉で、クリストフがだれよりもよくその辛辣さを味わい得た一句を、彼は好んで冗談にもち出していた。
同時に継母の私に対する憎しみもあくどく、そして辛辣になつた。父もそれに随従した。私の父は少し後妻に巻かれる方であつた。
そしてそういう女の弱点がかなり辛辣にえぐられていた。龍介は自分自身の経験がもう一度そこに経験しなおされていることを感じた。
それは圧倒的であり辛辣を極めた、知る者も知らぬ者も、彼が昔から臆病者で、小心で、然も人にとりいることが上手だなどと云った。