トップ
>
転婆
>
てんば
ふりがな文庫
“
転婆
(
てんば
)” の例文
旧字:
轉婆
それもあり得ない事だ。庭の出入口の前には私が居たし、廊下の方には、あのお
転婆
(
てんば
)
の姪の瑛子と、家政婦の
鏡
(
かがみ
)
という女が話を
死の予告
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
……どうもこの娘は器量はいいがすこしお
転婆
(
てんば
)
のようだとか。……性質はよさそうだけれど、すこし器量がよくなくってとか。
三つの挿話
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
「あのお
転婆
(
てんば
)
娘が!」と彼は考えた、「
俺
(
おれ
)
を馬鹿にしやがって!
彼奴
(
あいつ
)
までが、俺を
騙
(
だま
)
しやがった。二人こっそり芝居をうってたんだな。」
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
(まあ、
女
(
をんな
)
がこんなお
転婆
(
てんば
)
をいたしまして、
川
(
かは
)
へ
落
(
おつ
)
こちたら
何
(
ど
)
うしませう、
川下
(
かはしも
)
へ
流
(
なが
)
れて
出
(
で
)
ましたら、
村里
(
むらさと
)
の
者
(
もの
)
が
何
(
なん
)
といつて
見
(
み
)
ませうね。)
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「お前はこの夜中、
何処
(
どこ
)
へ行つたの。心配させるぢやないか。お
転婆
(
てんば
)
もいゝ加減にするものだよ。そしてジウラは何処に、」
ラマ塔の秘密
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
▼ もっと見る
先刻
(
さつき
)
美
(
うつく
)
しい
人
(
ひと
)
が
脇
(
わき
)
へ
来
(
き
)
て
席
(
せき
)
を
取
(
と
)
つたが、
言葉
(
ことば
)
が
通
(
つう
)
じないことがわかつたところで、
今
(
いま
)
一
人
(
り
)
の
日本語
(
にほんご
)
のよく
話
(
はな
)
せるお
転婆
(
てんば
)
さんらしい
女
(
おんな
)
と
入替
(
いれかわ
)
つた。
微笑の渦
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
一体、お紋さんという子も
阿母
(
おっか
)
さんに似た見得坊で、おしゃべりのお
転婆
(
てんば
)
で、近所で誰も褒める者はありゃしません。
半七捕物帳:35 半七先生
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
美妙に、令嬢
気質
(
かたぎ
)
を捨てろとでもいわれたためか、お
転婆
(
てんば
)
な、
悪達者
(
わるだっしゃ
)
だともいわれ、
莫蓮女
(
ばくれんおんな
)
のようにさえ評判された。
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
からだの具合も、さいわい今朝から、こんなにすっきりして来ましたし、もうこれからは、いじけずに、昔のとおりにお
転婆
(
てんば
)
なオフィリヤになるのです。
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
人一倍お
転婆
(
てんば
)
の私にとっては、こうして手足を
搦
(
から
)
げられてしまったような生活がどんなに苦しかったことか。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
「ええ、そう、あたしはお
転婆
(
てんば
)
なようだけれど、ほんとうの性質は陰鬱なのよ。———陰鬱じゃいけない?」
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「小次郎や、お前さんは
優
(
やさ
)
し過ぎるよ。もっとやんちゃになるがいいよ。この妾のようにお
転婆
(
てんば
)
におなり」
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
妾自身、御覧の通のお
転婆
(
てんば
)
でございますから、やっぱり強い男性の方が、一等好きなのでございますよ。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
誰でも朱実と一つに暮した者は皆、この娘は至って快活で、お
転婆
(
てんば
)
で、そしてまだ、男性の恋愛が受け取れないほど開花の
晩
(
おそ
)
い
質
(
たち
)
だと思いこんでいるらしいのである。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
起居
(
ききょ
)
振舞
(
ふるまい
)
のお
転婆
(
てんば
)
なりしは言うまでもなく、修業中は髪を
結
(
ゆ
)
う
暇
(
いとま
)
だに
惜
(
お
)
しき
心地
(
ここち
)
せられて、
一向
(
ひたぶる
)
に書を読む事を好みければ、十六歳までは髪を
剪
(
き
)
りて前部を左右に分け
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
「いえ、私はこのボートで、毎日お
転婆
(
てんば
)
してますから、
楊枝
(
ようじ
)
を使うほどにも思いませんわ」
水郷異聞
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
◎千葉の娘はお佐野(千里駒には光子とありて龍馬より懸想したりと記したれど想ふに作者が面白く読ません為めに殊更ら構へたるものなるべし)と云つてお
転婆
(
てんば
)
だつたさうです。
千里駒後日譚
(新字旧仮名)
/
川田瑞穂
、
楢崎竜
、
川田雪山
(著)
無論外形の一部分をモデルとしたので、全体を描いたのではなかった。第一、この女は随分マズイ御面相で、お勢のような美人でなかった。かつお勢よりもお
転婆
(
てんば
)
であり
引摺
(
ひきずり
)
であった。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
ただお
転婆
(
てんば
)
の嫁と馬鹿な悴とが毎日ふざけているということが解った。隣家について詮議をしても他に違ったことをいう者がなかった。そこで裁判が決定して、王給諌は
雲南
(
うんなん
)
軍にやられた。
小翠
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
「芥川龍之介と来た日には
大莫迦
(
おおばか
)
だわ!」何と云うお
転婆
(
てんば
)
らしい放言であろう。わたしは心頭に発した怒火を一生懸命に
抑
(
おさ
)
えながら、とにかく
一応
(
いちおう
)
は彼女の論拠に点検を加えようと決心した。
文放古
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
かの不貞無節なるお
転婆
(
てんば
)
を事実の上において
慚死
(
ざんし
)
せしめん事を希望します。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お
転婆
(
てんば
)
さんたちの世話やきと監督にやってくるのだが、今年は、長兄と次兄が二人ながら戦地へ行っているのと、朱実さんのお嫁入りがちかづいたのとで、とてもこんなところへ来ていられない。
キャラコさん:02 雪の山小屋
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
半さんの妻君が少しお
転婆
(
てんば
)
で、長屋中の憎まれ者になっていたため、当日の騒ぎのあることを知らせずに、近所の人たちは各自に立ち
退
(
の
)
いたのだそうですが、世にも暢気な人があればあるものです。
幕末維新懐古談:19 上野戦争当時のことなど
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
「え、もう……お
転婆
(
てんば
)
ばかりしているそうでな」と母親は笑った。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
はっさい(お
転婆
(
てんば
)
)で売っていたのだ。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
「ちっと女らしくなれ。お
転婆
(
てんば
)
!」
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
(まあ、女がこんなお
転婆
(
てんば
)
をいたしまして、川へ
落
(
おっ
)
こちたらどうしましょう、
川下
(
かわしも
)
へ流れて出ましたら、村里の者が何といって見ましょうね。)
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
疎忽
(
そこつ
)
であり、性急であり、唐突なお
転婆
(
てんば
)
な動作をし、むやみに愛情に駆られ、いつも家の中の災難となった。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
一体お嬢様は、非常に器量自慢の方で、どちらかと云えば意地の悪い、そうしてお
転婆
(
てんば
)
な女学生であった。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
わたくしは例のお
転婆
(
てんば
)
でございますから、大よろこびで
直
(
すぐ
)
に行くことにきめまして、継子さんとも改めて打合せた上で、日曜日の午前の汽車で、新橋を
発
(
た
)
ちました。
停車場の少女:――「近代異妖編」
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と叔母は
嘲
(
あざけ
)
るような調子で「何でもお前が、不良少年と手紙のやり取りしたとか、夜遊びをしたとか、お
転婆
(
てんば
)
だとか、そう言ったたくさんなごたくを並べ立ててねえ」
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
姉の春枝は既に十八、しかも妹のお
転婆
(
てんば
)
にくらべて少しやさしく、自身の荒くれた男姿を情無く思う事もあり、熊の毛皮の下に赤い細帯などこっそりしめてみたりして
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
向
(
むか
)
ふ
側
(
かわ
)
ではSH
氏
(
し
)
の
夫人
(
ふじん
)
らしい、ちら/\
動
(
うご
)
く
星
(
ほし
)
のやうな
目
(
め
)
の
極
(
きわ
)
めて
凉
(
すゞ
)
しい
人
(
ひと
)
が、
無邪気
(
むじやき
)
な
表情
(
へうぜう
)
をしてゐるのが
目
(
め
)
についた。
私
(
わたくし
)
の
脇
(
わき
)
にゐるお
転婆
(
てんば
)
さんが
彼女
(
かのじよ
)
を
讃
(
ほ
)
めてゐた。
微笑の渦
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
「いや、あなたはお
転婆
(
てんば
)
でござる。もっともそれがよろしいのではあるが。……」
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
何と言っても若くてお
転婆
(
てんば
)
なだけだ、——火事ッと聞いて、夢中で飛出して家へ帰ったが、さすがに専助の脅かしが利いているから怖くて、親父にも打明ける気にはなれなかった——どうだ
銭形平次捕物控:039 赤い痣
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「ええ、そうです、お
転婆
(
てんば
)
でございましょう」
水郷異聞
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「——なんてえお
転婆
(
てんば
)
な娘だろう」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いや、いけずなお
転婆
(
てんば
)
で。……ところがはずみに
掛
(
かか
)
って振った
拍子
(
ひょうし
)
に、その芋虫をポタリと籠の目へ、落したから
可笑
(
おかし
)
い。目白鳥は澄まして、ペロリと
退治
(
たいじ
)
た。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
掌
(
てのひら
)
の上へ乗る程であったが、そのお
転婆
(
てんば
)
でやんちゃなことは、とんと七つか八つの少女、———いたずら盛りの、小学校一二年生ぐらいの女の
児
(
こ
)
と云う感じだった。
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
今考へますと、よくあんなお
転婆
(
てんば
)
が出来たものだと、自分ながら
呆
(
あき
)
れかへるくらゐでございます。
停車場の少女:――「近代異妖編」
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
あたしは、いまは幸福です。とても、なんだか、うれしいの。これからは、昔のお
転婆
(
てんば
)
なオフィリヤにかえって、誇りを高くもって、考えている事をなんでもぽんぽん言おうと思うの。
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「女よ——少しお
転婆
(
てんば
)
だけれど」
銭形平次捕物控:007 お珊文身調べ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「お茶目、
曲者
(
くせもの
)
、お
転婆
(
てんば
)
……。」
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
今考えますと、よくあんなお
転婆
(
てんば
)
が出来たものだと、自分ながら呆れ返るくらいでございます。
停車場の少女
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
お
転婆
(
てんば
)
のナオミは海さえ見れば機嫌がよく、もう汽車の中でしょげたことは忘れてしまって
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
一寸
(
ちょっと
)
噪
(
はしゃ
)
いだ、お
転婆
(
てんば
)
らしい、その銀杏返の声がすると、ちらりと瞳が動く時、顔が半分無理に覗いて、フフンと口許で笑いながら、こう手が、よっかかりを越して、姉の円髷の横へ
伝
(
つたわ
)
って
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
姉はお
洒落
(
しゃれ
)
でお
転婆
(
てんば
)
だから両親にも兄にも憎まれている。上州屋の使で、自分の店へ薬を買いに来ることはあっても、自分は碌に口もきかないと、宗吉はしきりに姉の
讒訴
(
ざんそ
)
をした。
半七捕物帳:22 筆屋の娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
あの
娘
(
こ
)
があるくと
直
(
す
)
ぐに鳴った——という育ちだから、お
転婆
(
てんば
)
でな——
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
さすがのお
転婆
(
てんば
)
もくたびれたものか、
好
(
い
)
い心持そうに眠っています。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
なにしろお
転婆
(
てんば
)
同士だから堪まりません。
半七捕物帳:34 雷獣と蛇
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
転
常用漢字
小3
部首:⾞
11画
婆
常用漢字
中学
部首:⼥
11画
“転婆”で始まる語句
転婆娘