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賽銭箱
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さいせんばこ
ふりがな文庫
“
賽銭箱
(
さいせんばこ
)” の例文
旧字:
賽錢箱
仁三郎は全くの一人者で、金も係累も、人に怨みを買う覚えもなく、その上、
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
が無事で、取られた物といっては、拝殿の鈴だけ。
銭形平次捕物控:008 鈴を慕う女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
扉の方へうしろ向けに、
大
(
おおき
)
な
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
のこなた、
薬研
(
やげん
)
のような
破目
(
われめ
)
の入った
丸柱
(
まるばしら
)
を
視
(
なが
)
めた時、一枚
懐紙
(
かいし
)
の
切端
(
きれはし
)
に、すらすらとした
女文字
(
おんなもじ
)
。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それから彼は、
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
の中から破れ靴をだして足につっかけズボンをひとゆすり、ゆすりあげてから、悠々と石段を下りていった。
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
七兵衛はそういいながら、後ろの壁に押付けてあった
鎧櫃
(
よろいびつ
)
を引き出して来ました。いつの間にか、お
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
が鎧櫃にかわっている。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
階下の
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
を見守るつもりかも知れない。通りがかりに交番に立っている巡査を見るといわれなく狛犬の態度が思い出される。
仮寐の夢
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
額
(
がく
)
だアな、
此方
(
こつち
)
へお
出
(
い
)
で、こゝで
抹香
(
まつかう
)
を
供
(
あげ
)
るんだ、
是
(
これ
)
がお
堂
(
だう
)
だよ。梅「へえゝ
是
(
これ
)
が
観音
(
くわんおん
)
さまで……これは
何
(
なん
)
で。近「お
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
だ。 ...
心眼
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
を置き、この家へはいり、「火を借用申したし」と言い入るうちに、六十ばかりの老人一人ありて、ほかに人も見えず。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
「下手な道中稼ぎなんぞするよりや、棒つ切の先へ
黏
(
とりもち
)
をつけの、子供と一しよに
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
のびた銭でもくすねてゐりや好い。」
鼠小僧次郎吉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「ここに
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
みたいなものが、こいつを動かして、その床下へ隠しこんでおいたら、たれも気がつくものはありはしまい」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それでも参詣人の石畳を歩く音、
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
に小銭の当る音までが、遠く離れた辺りへ幽かに聞えて来るのも
流石
(
さすが
)
に秋らしい。
六日月
(新字新仮名)
/
岩本素白
(著)
「
地蔵
(
じぞう
)
さんも
何
(
なに
)
もないのに、なんでこんなとこに
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
があるのじゃろ。」そしてお
婆
(
ばあ
)
さんは
行
(
い
)
ってしまいました。
牛をつないだ椿の木
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
社殿は古びた清素な建築で、
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
の上に
吊
(
つる
)
した大きな鈴も黒ずんでいました。下った五色の布を引いて拝します。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
黒い大きな屋根、おなじく黒い雨樋、その雨樋の落ちて来るのをうけた天水桶、鋲をうった大きな
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
。
浅草風土記
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
そこには十四かそこいら
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
が並んでいて、群衆が賽銭を投げ入れていた。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
こんなことを言つて、軽々とその棺を持つて、さながら小さな荷物でも運ぶやうにして、本堂の前の
木階
(
もくかい
)
——それはひどく壊れた木階を上つて、
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
の向うに置いてある棺台の上に置いた。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
鼠色
(
ねずみいろ
)
に洗い出された
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
の上に、大きな鈴の
紐
(
ひも
)
がぶら下がって昼間見ると、その鈴の
傍
(
そば
)
に
八幡宮
(
はちまんぐう
)
と云う額が
懸
(
かか
)
っている。八の字が、
鳩
(
はと
)
が二羽向いあったような書体にできているのが面白い。
夢十夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
燈明皿
(
とうみょうざら
)
、燭台、花瓶、
木刻金色
(
もっこくこんじき
)
の蓮華をはじめ、
須弥壇
(
しゅみだん
)
、経机、
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
などの金具が、名の知れぬ昆虫のように輝いて、その数々の仏具の間に、何かしら恐ろしい怪物、たとえば巨大な
蝙蝠
(
こうもり
)
が
死体蝋燭
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
ふと気が付いて
懐
(
ふところ
)
を探り紙包みのまま櫛二枚を
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
の上に置き
置土産
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
無事に一日を過して、念のためにその辺中を探してみると、本堂の
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
の側に、紙に包んだお
捻
(
ひね
)
りが一つありました。
銭形平次捕物控:003 大盗懺悔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
七兵衛はソロソロと天井裏を
這
(
は
)
い出して
破風
(
はふ
)
を抜け、いつか廊下の下へおり立って見ると、そこへあつらえたように置き据えられた朱塗の
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
すぐ目のまえの
南蛮寺
(
なんばんじ
)
へ、なんの
貢物
(
みつぎ
)
もせずに
祭
(
まつり
)
をするとは太い
神主
(
かんぬし
)
だ。グズグズぬかしたら
拝殿
(
はいでん
)
をけちらかして、あの
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
を引ッかついでゆけ!
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すると
一心
(
いつしん
)
が
通
(
とほ
)
りましてか、
満願
(
まんぐわん
)
の日に
梅喜
(
ばいき
)
は疲れ果てゝ
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
の
傍
(
そば
)
へ
打倒
(
ぶつたふ
)
れてしまふ
中
(
うち
)
に、カア/\と
黎明
(
しのゝめ
)
告
(
つぐ
)
る
烏
(
からす
)
諸共
(
もろとも
)
に
白々
(
しら/\
)
と
夜
(
よ
)
が明け
離
(
はな
)
れますと
心眼
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
旅
(
たび
)
の
人
(
ひと
)
や、
町
(
まち
)
へゆく
人
(
ひと
)
は、しんたのむねの
下
(
した
)
の
椿
(
つばき
)
の
木
(
き
)
に、
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
のようなものが
吊
(
つ
)
るされてあるのを
見
(
み
)
ました。それには
札
(
ふだ
)
がついていて、こう
書
(
か
)
いてありました。
牛をつないだ椿の木
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
格子の前の長さ一丈余もある
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
へ、
絶間
(
たえま
)
もなくばらばら落ちるお賽銭は雨の降るようです。赤い
大提灯
(
おおぢょうちん
)
の差渡し六、七尺、丈は一丈余もあるのが下っています。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
と云う、提灯の柄が
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
について、
件
(
くだん
)
の青狐の像と、しなった背中合せにお町は老人の右へ
行
(
ゆ
)
く。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
に十
円札
(
ゑんさつ
)
を
投
(
はふ
)
り
込
(
こ
)
み
手
(
て
)
を
合
(
あは
)
して
拝
(
をが
)
んでゐた
時
(
とき
)
である。
吾妻橋
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
から一文二文盗みやがつたぢやねえだか
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
和尚
(
をしよう
)
さんは
御灯
(
みあかし
)
を仏様にあげると、その前の座についた。栄蔵は
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
の前の冷い畳の上に坐つた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
白い
幣
(
ぬさ
)
を立てた、三尺四方ほどの堂と、
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
と、鈴と、それに赤い小さい鳥居と。
銭形平次捕物控:098 紅筆願文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
成程
(
なるほど
)
先刻
(
さつき
)
も
薬師
(
やくし
)
さまで見ましたが、
薬師
(
やくし
)
さまより
観音
(
くわんおん
)
さまの
方
(
はう
)
が
工面
(
くめん
)
が
宜
(
い
)
いと見えてお
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
が大きい……
南無大慈大悲
(
なむだいじだいひ
)
の
観世音菩薩
(
くわんぜおんぼさつ
)
、
今日
(
こんにち
)
図
(
はか
)
らず
両眼
(
りやうがん
)
明
(
あきら
)
かに
相成
(
あひな
)
りましてございます
心眼
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そして、
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
の中へ
抛
(
ほう
)
り込もうとしかけたが、その金を
額
(
ひたい
)
に当てて拝んだ後
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大きな
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
へおひねりを投入れてお辞儀をするのはお祖母様のまねです。気が附くと兄様が見えません。あたりを見廻しましたら、お
籤
(
みくじ
)
の並びにあるおびんずるの前に立っていられました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
……わざとお
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
を置いて、宝珠の玉……違った、それはお
稲荷様
(
いなりさま
)
、と思っているうちに、こんな風に傘をさして、ちらちらと、藤の花だか、鷺だかの娘になって、踊ったこともあったっけ。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
役人の見える前に、平次は忙しく四方を探しましたが、
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
の上に下がっている大きな鈴と、その鈴に付いた紅白の鈴の緒が千切り取られているほかには、何の変ったところもありません。
銭形平次捕物控:008 鈴を慕う女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「まさか、
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
の下が、こんなからくりになっていようとは思わない」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
兄弟子は良寛さんがいつてしまふと、急いで
御堂
(
みだう
)
の方へまはり、
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
に手をかけた。あつちへごてん、こつちへごてんと賽銭箱はころがされた。そのたびに、中でぢやらぢやらと銭が声を立てた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
の
傍
(
わき
)
を通って、格子戸に
及腰
(
およびごし
)
。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
赤い鳥居が十基ばかり、その奥に一間四方ほどの堂があって、格子の前には、元大きな
拝殿
(
はいでん
)
の前にあったという、幅三尺に長さ六尺、深さ三尺五寸もあろうという法外に大きな
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
があります。
銭形平次捕物控:034 謎の鍵穴
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
妻恋坂上のささやかな稲荷、見通しの
木連格子
(
きつれごうし
)
の前、大きな
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
の蔭に隠れるようになって、
紅
(
あけ
)
に染んだ娘が一人、浅ましくも痛ましい姿を、まざまざと三月の朝陽に照らし出されているのでした。
銭形平次捕物控:086 縁結び
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
賽
漢検1級
部首:⾙
17画
銭
常用漢字
小6
部首:⾦
14画
箱
常用漢字
小3
部首:⽵
15画
“賽銭”で始まる語句
賽銭