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裏通
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うらどほ
円い月は形が
大分小くなつて光が
蒼く
澄んで、
静に
聳える
裏通りの
倉の
屋根の上、星の多い空の
真中に高く昇つて
居た。
曲ると
先程の
糸屋の
前眞直に
行けば
大通りへ
出て
仕舞ひますたしか
裏通りと
仰せで
御座いましたが
町名は
何と
申しますか
夫次第大抵は
分りませうと
問掛けたり
つくればイエそれには
及びませぬ
裏通りを
行けばつい
其處なり
鍋も
家のことが
忙しう
御座いますツイ
行てツイ
歸るに
供などゝは
大層すぎます
支度も
何も
入りませぬ
毎夜泊りの
客を
連込む
本所の
河岸の
宿屋を
出て、
電車通でその
客とわかれ、
道子は
三ノ
輪の
裏通りにあるアパートへ
帰つて
来ると、
窓の
下は
隣の
寺の
墓地になつてゐる
木の
間から
前なる
縁の
障子に
掛けた、十
燭と
云ふ
電燈の
明の
屆かない、
昔の
行燈だと
裏通りに
當る、
背中のあたり
暗い
所で、
蚊がブーンと
鳴く……
其の、
陰氣に、
沈んで、
殺氣を
帶びた
樣子は
いつか、
吉原の
大火もおなじ
日であつた。
然もまだ
誰も
忘れない、
朝からすさまじい
大風で、
花は
盛りだし、
私は
見付から
四谷の
裏通りをぶらついたが、
土がうづを
卷いて
目も
開けられない。
落葉たくなる
烟の
末か、
夫れかあらぬか
冬がれの
庭木立をかすめて、
裏通りの
町屋の
方へ
朝毎に
靡くを、
夫れ
金村の
奧樣がお
目覺だと
人わる
口の一つに
數へれども、
習慣の
恐ろしきは
朝飯前の一
風呂