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縦横
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じゅうおう
ふりがな文庫
“
縦横
(
じゅうおう
)” の例文
なぜなら
机
(
つくえ
)
の
四
(
よ
)
つ
角
(
かど
)
は、
小刀
(
こがたな
)
かなにかで、
不格好
(
ぶかっこう
)
に
削
(
けず
)
り
落
(
お
)
とされて
円
(
まる
)
くされ、そして、
面
(
かお
)
には、
縦横
(
じゅうおう
)
に
傷
(
きず
)
がついていたのであります。
春さきの古物店
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
蘆
(
あし
)
と蘆との間の静かなさざ波を切って
水馬
(
みずすまし
)
や
川海老
(
かわえび
)
が小さな波紋を
縦横
(
じゅうおう
)
に描いている。白い魚の腹も時々川底を光って潜った。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
頭上には、ドイツ機が、
縦横
(
じゅうおう
)
に飛んでいた。爆弾は、ひっきりなしに落ちて、黒い煙の柱をたてた。大地は、しきりに
震
(
ふる
)
う。
英本土上陸戦の前夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
洞の外には多くの人のくつあとが、
朝露
(
あさつゆ
)
にぬれて
縦横
(
じゅうおう
)
に点々と印せられている、あきらかに海
蛇
(
へび
)
たちが昨夜、洞外を
偵察
(
ていさつ
)
したときのくつあとである。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
ひるまは電車やバスや自動車が、
縦横
(
じゅうおう
)
にはせちがう大通りも、まるでいなかの原っぱのようにさびしいのです。
青銅の魔人
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
それもそのはず、地中に細長い
白色地下茎
(
はくしょくちかけい
)
が
縦横
(
じゅうおう
)
に通っていて、
苗
(
なえ
)
を抜く時にそれが切れ、
依然
(
いぜん
)
として地中に残り、その残りからまた
苗
(
なえ
)
が
生
(
は
)
えるからである。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
それから自分でこの小説の中を
縦横
(
じゅうおう
)
に飛び廻って、大いに苦しがったりまた大いに悲しがったりして、そうして同時に自分の惨状を局外から自分と観察して
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
たちまち躍ったり跳ねたりし出したのはむしろ当然ではないであろうか? かつまた当時は
塞外
(
さいがい
)
の馬の必死に
交尾
(
こうび
)
を求めながら、
縦横
(
じゅうおう
)
に
駈
(
か
)
けまわる時期である。
馬の脚
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
というのは、このタンナリーは、テキサス州の
平
(
たいら
)
な草原のおおかみ狩りにはなれてもいたろうが、このカランポーの谷は、高低があって、川の支流が
縦横
(
じゅうおう
)
にいりまじっている。
動物物語 狼の王ロボ
(新字新仮名)
/
アーネスト・トンプソン・シートン
(著)
朝寝はしたし、ものに
紛
(
まぎ
)
れた。
午
(
ひる
)
の庭に、
隈
(
くま
)
なき五月の日の光を浴びて、
黄金
(
おうごん
)
の如く、銀の如く、飛石の上から、柿の幹、
躑躅
(
つつじ
)
、山吹の
上下
(
うえした
)
を、二羽
縦横
(
じゅうおう
)
に飛んで舞っている。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
高橋伊勢守と清川八郎とが
馳
(
は
)
せつけた時は、新坂下は戦場のような光景で、気合の声は肉を争う猛獣の
吼
(
ほ
)
ゆるが如く、谷から山に
徹
(
こた
)
える、雪と泥とは
縦横
(
じゅうおう
)
に踏みにじられた中に
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その声につれて
弾
(
だん
)
ずるびわの音は、また
縦横
(
じゅうおう
)
につき進む
軍船
(
ぐんせん
)
の音、
矢
(
や
)
のとびかうひびき、
甲胄
(
かっちゅう
)
の音、つるぎの
鳴
(
な
)
り、
軍勢
(
ぐんぜい
)
のわめき声、
大浪
(
おおなみ
)
のうなり、
壇
(
だん
)
ノ
浦
(
うら
)
合戦
(
かっせん
)
そのままのありさまをあらわしました。
壇ノ浦の鬼火
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
ふたたび
法師野
(
ほうしの
)
にあたって聞ゆる
法螺
(
ほら
)
の
音
(
ね
)
——。すでに
夜
(
よ
)
はまったく明けはなれて、
紫金紅流
(
しきんこうりゅう
)
の朝雲が、
裾野
(
すその
)
の空を
縦横
(
じゅうおう
)
にいろどっていた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その天井の下には、やはりおなじ色の
吊
(
つ
)
り
橋
(
ばし
)
が、
網
(
あみ
)
の
目
(
め
)
のように、
縦横
(
じゅうおう
)
にとりつけられ、どこまでものびていった。
怪星ガン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
なかでも、
小
(
ちい
)
さな
子供
(
こども
)
たちは、
毎日
(
まいにち
)
群
(
む
)
れをなして、
水面
(
みずも
)
へ
浮
(
う
)
かび、
太陽
(
たいよう
)
の
照
(
て
)
らす
真下
(
ました
)
を、
縦横
(
じゅうおう
)
に、
思
(
おも
)
いのままに、
金色
(
きんいろ
)
のさざなみを
立
(
た
)
てて
泳
(
およ
)
いでいました。
なまずとあざみの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
二ひきの黄金の怪獣が、あちらにとび、こちらにとび、少年たちをけちらして、あばれまわり、月光にてらされた黄金のにじが、
縦横
(
じゅうおう
)
にいりみだれました。
超人ニコラ
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
穴の上にはちょうどおとし穴のように、表面だけ木の枝や草などを
縦横
(
じゅうおう
)
にかけわたしてある、そのなかの一つの底には、動物の骨のようなものがちらばってある。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
松江へ来て、まず自分の心をひいたものは、この
市
(
まち
)
を
縦横
(
じゅうおう
)
に貫いている川の水とその川の上に
架
(
か
)
けられた多くの木造の橋とであった。河流の多い都市はひとり松江のみではない。
松江印象記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
……ト此の奇異なる珍客を迎ふるか、不可思議の
獲
(
え
)
ものに
競
(
きそ
)
ふか、
静
(
しずか
)
なる池の
面
(
も
)
に、眠れる
魚
(
うお
)
の如く
縦横
(
じゅうおう
)
に
横
(
よこた
)
はつた、樹の枝々の影は、
尾鰭
(
おひれ
)
を跳ねて、幾千ともなく、
一時
(
いちどき
)
に皆
揺動
(
ゆれうご
)
いた。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、性の本来は、
陽物
(
ようぶつ
)
だから時しも春
更
(
た
)
けて、今ごろとなれば大いにうごく。龍起れば九天といい、人興って
志気
(
しき
)
と時運を得れば、四海に
縦横
(
じゅうおう
)
するという
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そしてなおも逃げようとするところを、旗男はエイエイと
懸声
(
かけごえ
)
をして、旗竿の槍を
縦横
(
じゅうおう
)
にふりまわした。
空襲警報
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
縦横
(
じゅうおう
)
にわたした枝はくずれおちて、なんとも知らぬ動物が、おそろしい音を立ててくるいまわっている。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
のみならず、そこには
大
(
おお
)
きな
建物
(
たてもの
)
が
並
(
なら
)
んで、
烟
(
けむり
)
が
空
(
そら
)
にみなぎっているばかりでなく、
鉄工場
(
てつこうじょう
)
からは
響
(
ひび
)
きが
起
(
お
)
こってきて、
電線
(
でんせん
)
はくもの
巣
(
す
)
のように
張
(
は
)
られ、
電車
(
でんしゃ
)
は
市中
(
しちゅう
)
を
縦横
(
じゅうおう
)
に
走
(
はし
)
っていました。
眠い町
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
……本箱の
五
(
いつ
)
ツ
七
(
なな
)
ツが家の五丁目七丁目で、
縦横
(
じゅうおう
)
に通ずるので。
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
帯
(
おび
)
の
笛
(
ふえ
)
を抜くよりはやく、れいの
合図
(
あいず
)
、さッと打ちふろうとすると呂宋兵衛が
強力
(
ごうりき
)
をかけて
奪
(
うば
)
いとり、いきなりじぶんの力で
縦横
(
じゅうおう
)
にふってふってふりぬいた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
青木 はい先生、平面の世界では
縦横
(
じゅうおう
)
の長さはありますが、高さというものを知りません。僕達は立体の世界に住んでいるので、縦横、高さ、皆分っています。平面の世界の一例は静かな水面です。
新学期行進曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そして、この
広
(
ひろ
)
い
野原
(
のはら
)
も
縦横
(
じゅうおう
)
に
駈
(
か
)
けるであろう。
汽車の中のくまと鶏
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
織田信長は、その頃、自己の歩兵隊に、刀の長サ三尺、柄四尺という長柄を揃えて持たせて、敵陣へ
突貫
(
とっかん
)
させて、いつも敵の一陣を
縦横
(
じゅうおう
)
刺撃
(
しげき
)
して駈け
崩
(
くず
)
したということである。
剣の四君子:03 林崎甚助
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
忍剣
(
にんけん
)
は
鉄杖
(
てつじょう
)
を
縦横
(
じゅうおう
)
むじんにふりまわして、やっと
黒具足組
(
くろぐそくぐみ
)
をおいちらしたが、ふと気がつくと、
伊那丸
(
いなまる
)
をのこしてきた場所から大分はなれてきたので、いそいでもとのところへかけあがってくると
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“縦横”の意味
《名詞》
縦 横(じゅうおう 希・古:しょうおう)
縦と横。
南北と東西。
四方八方。
自由自在。
戦国時代の古代中国における南北・東西の国家連合。
(出典:Wiktionary)
縦
常用漢字
小6
部首:⽷
16画
横
常用漢字
小3
部首:⽊
15画
“縦横”で始まる語句
縦横無尽
縦横無碍
縦横十文字
縦横上下
縦横無礙
縦横町条
縦横自在