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緋縅
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ひおどし
ふりがな文庫
“
緋縅
(
ひおどし
)” の例文
渡辺源三競の滝口、出陣の出立は、
狂紋
(
きょうもん
)
の
狩衣
(
かりぎぬ
)
に大きな
菊綴
(
きくとじ
)
、先祖代々伝わる所の
着長
(
きせなが
)
緋縅
(
ひおどし
)
の
鎧
(
よろい
)
、
兜
(
かぶと
)
は銀の星をいただいている。
現代語訳 平家物語:04 第四巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
続く、
緋縅
(
ひおどし
)
の鎧武者は地主の長男だ。
風の神
(
ゼフアラス
)
と思ひこらして大袋をかついだ鬼面の大男は、居酒屋の権太郎ではないか。
馬上の春
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
黒門の代々の伝説は虚構ではなかった、彼は
緋縅
(
ひおどし
)
の
大鎧
(
おおよろい
)
も
衣
(
き
)
ておらず
金鍬形
(
きんくわがた
)
の
兜
(
かぶと
)
もかぶっていない。
連銭葦毛
(
れんせんあしげ
)
の駒にも乗っていないし若くもない。
似而非物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
だから、踊屋台の引いて帰る囃子の音に誘われて、お桂が欣七郎とともに町に出た時は、橋の上で弁慶に出会い、豆府屋から出る
緋縅
(
ひおどし
)
の武者を見た。
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
赤地にしきの
直垂
(
ひたたれ
)
に
緋縅
(
ひおどし
)
のよろい着て、頭に
烏帽子
(
えぼし
)
をいただき、弓と矢は従者に持たせ、
徒歩
(
かち
)
にて
御輿
(
みこし
)
にひたと
供奉
(
ぐぶ
)
する三十六、七の男、鼻高く
眉
(
まゆ
)
秀
(
ひい
)
で
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
▼ もっと見る
錦の
直垂
(
ひたたれ
)
に
緋縅
(
ひおどし
)
の
鎧
(
よろい
)
、
明眸皓歯
(
めいぼうこうし
)
の大若衆、眼も覚めるばかり美しい中に勇気と気高さとを兼ね備えた、天晴れ勝れた大将振りに、一同はハッと頭を下げた。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
緋縅
(
ひおどし
)
の鎧うつくしき青年紳士が、向うのテント酒場で引かけたシャンパンに顔赤らめて、景気よく怒鳴った。
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
あれは、位置の高い若武者が冠る
獅子噛台星前立脇細鍬
(
ししがみだいほしまえだてわきほそぐわ
)
という兜なんだ。また、こっちの方は、黒毛の鹿角立という猛悪なものが、優雅な
緋縅
(
ひおどし
)
の上に載っている。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
緋縅
(
ひおどし
)
の
鎧
(
よろい
)
や
鍬形
(
くわがた
)
の
兜
(
かぶと
)
は成人の趣味にかなった者ではない。勲章も——わたしには実際不思議である。なぜ軍人は酒にも酔わずに、勲章を下げて歩かれるのであろう?
侏儒の言葉
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
緋縅
(
ひおどし
)
の鎧を着た馬上の敦盛、登山口の鳥居の傍に紺糸縅の鎧に紅の
母衣
(
ほろ
)
をかけ、栗毛の馬に跨り扇を揚げている熊谷、山の五合目の中社の庭に赤糸縅の鎧に白い母衣をかけ
山と村
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
謹厳方直容易に笑顔を見せた事がないという含雪将軍が
緋縅
(
ひおどし
)
の鎧に
大身
(
おおみ
)
の槍を横たえて
天晴
(
あっぱれ
)
な武者ぶりを示せば、重厚沈毅な大山将軍ですらが
丁髷
(
ちょんまげ
)
の鬘に
裃
(
かみしも
)
を着けて踊り出すという騒ぎだ。
四十年前:――新文学の曙光――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
板倉重矩
緋縅
(
ひおどし
)
の鎧に十文字の槍をさげ、石谷十蔵と共に城内に乗り込んで
島原の乱
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
高等小学校時代の同窓に「
緋縅
(
ひおどし
)
」というあだ名をもった偉大な
体躯
(
たいく
)
の怪童がいた。今なら「甲状腺」などという異名がつけられるはずのが、当時の田舎力士の大男の名をもらっていたわけである。
相撲
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
とお父さんは一
矢
(
し
)
酬
(
むく
)
いたが、
緋縅
(
ひおどし
)
の鎧には通らなかった。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
ことに生垣を
覗
(
のぞ
)
かるる、
日南
(
ひなた
)
の
臥竜
(
がりゅう
)
の南枝にかけて、良き墨薫る手習草紙は、
九度山
(
くどさん
)
の
真田
(
さなだ
)
が
庵
(
いおり
)
に、
緋縅
(
ひおどし
)
を見るより由緒ありげで、奥床しく、しおらしい。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
緋縅
(
ひおどし
)
の
大鎧
(
おおよろい
)
を
衣
(
き
)
て、
竜頭
(
りゅうず
)
と
金鍬形
(
きんくわがた
)
の付いた
兜
(
かぶと
)
をかぶって、
連銭葦毛
(
れんせんあしげ
)
の馬に乗った美しい若武者が迎えに来る、光り
耀
(
かが
)
やくような若い大将が、それがお登女の花婿である。
似而非物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
あの
緋縅
(
ひおどし
)
の鎧を着て生家に
凱旋
(
がいせん
)
する様の誘惑にも駆られたが、あの、ぎょろりと丸く視張ってはいるものの凡そどこにも見当のつかぬというような間抜けな風情の眼と
ゼーロン
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
萌黄
(
もえぎ
)
、
緋縅
(
ひおどし
)
、赤縅など色とりどりの鎧の兵が浮きつ沈みつ流され、溺れるもの六百余人を数えた。
現代語訳 平家物語:04 第四巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
赤地錦の
直垂
(
ひたたれ
)
に、色かんばしい
緋縅
(
ひおどし
)
の
鎧
(
よろい
)
、すなわち
曦
(
あさひ
)
の
御鎧
(
おんよろい
)
を召された、
大塔宮護良
(
だいとうのみやもりなが
)
親王は、白磨きの長柄をご寵愛の家臣、村上彦四郎
義光
(
よしてる
)
に持たせ、片岡八郎その他を従え
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
階段を
上
(
あが
)
ったすぐの所に、まるで生きた人間の様に
鎧櫃
(
よろいびつ
)
の上に腰かけている、二つの飾り
具足
(
ぐそく
)
、一つは
黒糸縅
(
くろいとおどし
)
のいかめしいので、もう一つはあれが
緋縅
(
ひおどし
)
と申すのでしょうか、黒ずんで
人でなしの恋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
岩角
(
いはかど
)
、
松
(
まつ
)
、
松
(
まつ
)
には
藤
(
ふぢ
)
が
咲
(
さ
)
き、
巌膚
(
いははだ
)
には、つゝじ、
山吹
(
やまぶき
)
を
鏤
(
ちりば
)
めて、
御仏
(
みほとけ
)
の
紫摩黄金
(
しまわうごん
)
、
鬼
(
おに
)
の
舌
(
した
)
、また
僧
(
そう
)
の
袈裟
(
けさ
)
、また
将軍
(
しやうぐん
)
の
緋縅
(
ひおどし
)
の
如
(
ごと
)
く、ちら/\と
水
(
みづ
)
に
映
(
うつ
)
つた。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それは
閏
(
うるう
)
二月の一日であったが、この日宮家には蔵王堂の
御座
(
ぎょざ
)
に、赤地の錦の
鎧直垂
(
よろいひたたれ
)
に、
巳
(
み
)
の
剋
(
こく
)
ばかりの
緋縅
(
ひおどし
)
の鎧——あさひの
御鎧
(
おんよろい
)
をお召しになり、
竜頭
(
たつがしら
)
の
御兜
(
おんかぶと
)
をいただかれ
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
正月飾りに、魚河岸に
三個
(
みッつ
)
よりなかったという二尺六寸の
海老
(
えび
)
を、
緋縅
(
ひおどし
)
の
鎧
(
よろい
)
のごとく、黒松の樽に縅した一騎
駈
(
がけ
)
の商売では
軍
(
いくさ
)
が危い。家の業が立ちにくい。
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
膝を
極
(
き
)
めて、——
起身
(
たちみ
)
の娘に肩を貸す、この意気、
紺絣
(
こんがすり
)
も
緋縅
(
ひおどし
)
で、
神
(
しん
)
のごとき名将には、勿体ないようですが、北の
方
(
かた
)
を
引抱
(
ひっかか
)
えた
勢
(
いきおい
)
は
可
(
よ
)
かった、が、いかに思っても
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
うっかり
他
(
ひと
)
と口でも利きゃ、直ぐに何のかのと言われよう。それで二人が
繋
(
つなが
)
って、光った
態
(
なり
)
でもして
歩行
(
ある
)
けば、親達は
緋縅
(
ひおどし
)
の
鎧
(
よろい
)
でも着たように
汝
(
うぬ
)
が肩身をひけらかすんだね。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
金札
(
きんさつ
)
打った
独武者
(
ひとりむしゃ
)
、羅生門よし、土蜘蛛よし、
猅々
(
ひひ
)
、狼ももって来なで、
萌黄
(
もえぎ
)
、
緋縅
(
ひおどし
)
、卯の花縅、小桜を黄に返したる年増交りに、十有余人の郎党を、象牙の
撥
(
ばち
)
に従えながら
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ものを
較
(
くら
)
べるのは
恐縮
(
きようしゆく
)
だけれど、むかし
西行
(
さいぎやう
)
でも
芭蕉
(
ばせを
)
でも、
皆
(
みな
)
彼処
(
あすこ
)
では
腹
(
はら
)
を
疼
(
いた
)
めた——
惟
(
おも
)
ふに、
小児
(
こども
)
の
時
(
とき
)
から
武者絵
(
むしやゑ
)
では
誰
(
たれ
)
もお
馴染
(
なじみ
)
の、八
幡
(
まん
)
太郎義家
(
たらうよしいへ
)
が、
龍頭
(
たつがしら
)
の
兜
(
かぶと
)
、
緋縅
(
ひおどし
)
の
鎧
(
よろい
)
で、
奥州合戦
(
おうしうかつせん
)
の
時
(
とき
)
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
孑孑め、女だって友だちだ、頼みある
夥間
(
なかま
)
じゃないか。黒髪を腰へ
捌
(
さば
)
いた、
緋縅
(
ひおどし
)
の若い女が、敵の城へ一番乗で塀際へ着いた処を、孑孑が
這上
(
はいあが
)
って、乳の下を
擽
(
くすぐ
)
って、同じ
溝
(
どぶ
)
の中へ引込むんだ。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
緋
漢検準1級
部首:⽷
14画
縅
漢検1級
部首:⽷
15画
“緋縅”で始まる語句
緋縅錣
緋縅蝶