結局つまり)” の例文
結局つまり自分の感じたおもしろ味を、文字でなく、物の形にして、それを即興的に現わしたもので、当座の興でありましたが
なまじお辰と婚姻を勧めなかったらかくも、我口わがくちから事仕出しいだした上はわが分別で結局つまりつけねば吉兵衛も男ならずと工夫したるはめでたき気象きしょうぞかし。
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
日と月と一時にったと申しましょうか、何と申しましょうか、それこそほんにまっ暗になりまして、辛抱に辛抱して結局つまりがこんな事かと思いますと
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
御米の勧め通り髪を刈った方が、結局つまり気を新たにする効果があったのを、冷たい空気の中で、宗助は自覚した。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
お糸を懲らすつもりの青竹獄門も、屍骸のやり場に困じての壁才覚も、結局つまりは、釘抜一座の幽霊仕掛に乗って、いたずらに発覚を早めただけの自繩自縛みからでたさびに終った。
なにおどろかせるがるしさに結局つまりいはねばならぬこと今日けふまでもだまつてりしなり、三ねんか五ねんかへるつもりなれどもそのほどは如何どうわからねばまづ當分たうぶんわかれの覺悟かくご
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
結局つまり二人で駈落かけおちなどいう軽卒かるはずみな事でもしやしないか、困ったものだと云う事が私の耳に入っているが、私も兄弟は無し、心細いから平常ふだん親切にしておくれのお前と
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ところへ『一寸御免よ』と言いながら弥次馬を押し退けて入って来た二人連れがありました。『何だ彼だと言っても結局つまりこの男の腰さえ立てば文句はないんだろう?』
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
小宮山は結局つまり、あッと言った手、足、顔、そのままで、指のさきも動かなくなったのでありまする。
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
又た結局つまりあの人も暫時しばらくつらい目にあっ生育そだつのですから今時分から他人の間に出るのも宜かろうと思って、心を鬼にして出してやりました、辛抱が出来ればいいがと思って
二少女 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
西瓜の切売をした事もある、とゞの結局つまりが縁日商人となつて九星きうせいひとり判断はんだん、英語独稽古から初めて此頃では瞞着まやかしの化粧品と小間物を売つてマゴ/\しておるが君、金を儲けるのは商人だよ。
貧書生 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
その憤怒もまた、少年が書き残した「御心配かけました」の一句でパンクさせられてしまうと、とどの結局つまり、私は何が何やらわからない五里霧中の空間に投げ出されてしまったのであった。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
結局つまり前出『投身餓虎起塔因縁経』もこの故蹟に附けて出来た伝説らしい。
コウカサスの方へ入って行く露西亜ロシアの青年が写してあるネ。結局つまり、百姓は百姓、自分等は自分等というような主人公の嘆息であの本は終ってるが、吾儕われわれにも矢張やっぱりああいう気分のすることがあるよ。
岩石の間 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
自分は一生結局つまり之と云ふ何の仕事もせず、いたづらに生の悪夢にひたつて平凡に死んで行く運命の者ではなからうか。併しその事は案外此頃の彼には簡単に諦められる事のやうな気もしてゐたのだつた。
例の涜職とくしよく議員の公判記録を読んでみると、ある議員などは、自分で自分の附会こじつけた議論に感心して、洋服を盗んだ黒人くろんぼのやうに、涜職事件を、結局つまりは政事家らしい行動とでも思つてゐるらしく見られる。
結局つまり、わしは、一人ぼつちではゐられない弱い人間なのだ。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
正式の寸法の割合として、たとえば坐像二尺の日蓮にちれん上人、一丈の仁王におうと木寄せをして仏師へ渡します。結局つまり、仏師が彫るまでの献立こんだてをする役です。
御米およねすゝめどほりかみつたはうが、結局つまりあらたにする効果かうくわがあつたのを、つめたい空氣くうきなかで、宗助そうすけ自覺じかくした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
最初はじめいひ出し時にやふやながら結局つまりは宜しと有し言葉を頼みに、又の機嫌むつかしければ五月蠅いひては却りて如何と今日までも我慢しけれど、約束は今日と言ふ大晦日のひる前
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
驚いてもがいた拍子に、われとわが大力で自分の首を締めつけて呼吸がとまったんでごわすから、たまげたのと、除ろうとする腕力うでのはずみとで、ねえ、親分、武右衛門さんは、結局つまり
釘抜藤吉捕物覚書:11 影人形 (新字新仮名) / 林不忘(著)
十分酒肴さけさかなに腹をふとらし勘定は本妙寺中屋敷へ取りに来いと、横柄おうへい喰倒くいたお飲倒のみたおして歩く黒川孝藏くろかわこうぞうという悪侍わるざむらいですから、年の若い方の人は見込まれて結局つまり酒でも買わせられるのでしょうよ
トヾの結局つまり博物館はくぶつくわん乾物ひもの標本へうほんのこすかなくば路頭ろとういぬはらこやすが学者がくしやとしての功名こうみやう手柄てがらなりと愚痴ぐちこぼ似而非えせナツシユは勿論もちろん白痴こけのドンづまりなれど、さるにても笑止せうしなるはこれ沙汰さた
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
結局つまり総体の年数から云えば前といささか変りはないが、予備門けでいうと、一年年数がえたことになり、その予備門五年をもまた二つに分ち、予科三年、本科二年という順序でした。
私の経過した学生時代 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
最初はじめいひいでし時にやふやながら結局つまりしと有し言葉を頼みに、又の機嫌むつかしければ五月蠅うるさくいひてはかへりて如何いかがと今日までも我慢しけれど、約束は今日と言ふ大晦日おほみそかのひる前
大つごもり (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
最初はじめいひいでときにやふやながら結局つまりしとあり言葉ことばたのみに、また機嫌きげんむつかしければ五月蠅うるさくいひてはかへりて如何いかゞ今日けふまでも我慢がまんしけれど、約束やくそく今日けふ大晦日おほみそかのひるまへ
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)