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窮
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きゅう
ふりがな文庫
“
窮
(
きゅう
)” の例文
若い同役の有峰松次郎——杉之助の弟に
難詰
(
なんきつ
)
されて返答に
窮
(
きゅう
)
し、松次郎を斬って本国を立退いたのは、もはや十年も昔のことです。
銭形平次捕物控:114 遺書の罪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
わが輩も返事に
窮
(
きゅう
)
し
躊躇
(
ちゅうちょ
)
していると、三銭
切手
(
きって
)
を封入せる以上返事をうながす権利があると
催促
(
さいそく
)
されたことも一、二度でない。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
圧制
(
あっせい
)
、
偽善
(
ぎぜん
)
、
醜行
(
しゅうこう
)
を
逞
(
たくましゅ
)
うして、
以
(
も
)
ってこれを
紛
(
まぎ
)
らしている。ここにおいてか
奸物共
(
かんぶつども
)
は
衣食
(
いしょく
)
に
飽
(
あ
)
き、
正義
(
せいぎ
)
の
人
(
ひと
)
は
衣食
(
いしょく
)
に
窮
(
きゅう
)
する。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
しかも物質的に報いられる所は
甚
(
はなは
)
だ
薄
(
うす
)
く給料等も時々の手当てに過ぎず
煙草銭
(
たばこせん
)
にも
窮
(
きゅう
)
することがあり衣類は
盆暮
(
ぼんく
)
れに仕着せを
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
と低い声音に渾身の力を
籠
(
こ
)
めて言った。これだけ
真面目
(
まじめ
)
に敬蔵が娘に云うことはめったにない。
窮
(
きゅう
)
してやむを得ずこれだけまともに言ったのだ。
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
「正成のほうからこそ申すべきところをば……はて、さような
御意
(
ぎょい
)
を先にうけたまわると、どう申しあぐべきか、正成、いよいよお
詫
(
わ
)
びに
窮
(
きゅう
)
しまする」
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こうわびられると、かえって、
青木
(
あおき
)
が
返事
(
へんじ
)
に
窮
(
きゅう
)
してしまいました。それは、なぜでしょう? みんなの
視線
(
しせん
)
が
彼
(
かれ
)
の
顔
(
かお
)
を
見守
(
みまも
)
ると、さもいいにくそうにして
眼鏡
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「出来て及第するのは当り前さ。イヨイヨ
窮
(
きゅう
)
したら、出来なくても及第する法を考えなければならない」
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
そうして両足を伸し腹部も十分に張って見たけれど、心のくもって居る様な胸の苦みは少しも減じなかった。
予
(
よ
)
はほとほと自分の体と自分の心との取扱に
窮
(
きゅう
)
して
終
(
しま
)
った。
大雨の前日
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
散策子は答えに
窮
(
きゅう
)
して、実は草の上に位置も構わず
投出
(
なげだ
)
された、オリイブ色の
上表紙
(
うわびょうし
)
に、とき色のリボンで封のある、ノオトブックを、つまさぐっていたのを見たので。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
田川は返事に
窮
(
きゅう
)
したらしく、
黙
(
だま
)
りこんだ。しかし、心で
納得
(
なっとく
)
したようには、すこしも見えなかった。かれは、それまで膝の上に突っぱっていた両腕を組んで、
天井
(
てんじょう
)
を
仰
(
あお
)
いだ。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
汝の
云
(
い
)
うその南山の竹に矢の羽をつけ
鏃
(
やじり
)
を付けてこれを
礪
(
みが
)
いたならば、ただに犀革を通すのみではあるまいに、と孔子に言われた時、愛すべき単純な若者は返す言葉に
窮
(
きゅう
)
した。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
すでに和するの敵に向うは男子の
恥
(
はず
)
るところ、
執念
(
しゅうねん
)
深きに過ぎて
進退
(
しんたい
)
窮
(
きゅう
)
するの
愚
(
ぐ
)
たるを
悟
(
さと
)
り、
興
(
きょう
)
に乗じて深入りの無益たるを知り、双方共にさらりと前世界の
古証文
(
ふるしょうもん
)
に
墨
(
すみ
)
を引き
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
要するに
御腹
(
おなか
)
が減って飯が食いたくなって、御腹が張ると眠くなって、
窮
(
きゅう
)
して
濫
(
らん
)
して、達して道を
行
(
おこな
)
って、
惚
(
ほ
)
れていっしょになって、
愛想
(
あいそ
)
が尽きて夫婦別れをするまでの事だから
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
老人は、この不意撃ちに会って、ハッと答えに
窮
(
きゅう
)
したらしく長い間押黙っていたが
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
五郎は返事に
窮
(
きゅう
)
して黙っていた。すると女は
跣
(
はだし
)
のまま簀子の上にあがって来た。
幻化
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
その頃私は沈滞した、仕事の手につかぬ、苦い日々を送っていたのでした。心も暗かったのです。孤独な、そして
窮
(
きゅう
)
した心の底から
一途
(
いちず
)
に「あの人に会おう。」という思いが湧いてきました。
聖アンデルセン
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
顎十郎も、さすがに
窮
(
きゅう
)
して
顎十郎捕物帳:15 日高川
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
窮
(
きゅう
)
したりとはいえ、二日も三日も無策にうごいて、むなしく兵馬を疲らすような凡将の彼ではなかった。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また
茫漠
(
ぼうばく
)
として、
耕
(
たがや
)
されていない
野原
(
のはら
)
があるかもしれない。それなのに、
衣食住
(
いしょくじゅう
)
に
窮
(
きゅう
)
して、
死
(
し
)
ななければならぬ
人間
(
にんげん
)
がたくさんいる。それはどうしたことだろうか。
太陽と星の下
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
と、運平老は、ちょっと説明に
窮
(
きゅう
)
したらしく、その大きな眼玉をぱちくりさしていたが
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
何
(
ど
)
うにも
斯
(
こ
)
うにも逃げようにも逃げられず、
真裸体
(
まっぱだか
)
で座ってお辞儀も出来ず、進退
窮
(
きゅう
)
して実に身の
置処
(
おきどころ
)
がない。奥さんも気の毒だと思われたのか、物をも云わず奥の方に
引込
(
ひきこん
)
で
仕舞
(
しまっ
)
た。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
糟谷
(
かすや
)
はとつおいつ、あいさつのしようにも
窮
(
きゅう
)
して、いたりたったりしていた。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
今の
料簡
(
りょうけん
)
で考えて見ても、どうもほかの名はつけ
悪
(
にく
)
いようである。それなら僕がそれほど千代子に恋していたのだろうか。問題がそう推移すると、僕も返事に
窮
(
きゅう
)
するよりほかに仕方がなくなる。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
窮
(
きゅう
)
すれば、
憐
(
あわれ
)
みを乞い、勢いを得れば、暴魔の威をふるう、今日に至っては、仁慈もなにもない」
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この人は幕府の末年に勝氏と意見を
異
(
こと
)
にし、
飽
(
あ
)
くまでも徳川の政府を
維持
(
いじ
)
せんとして力を
尽
(
つく
)
し、政府の軍艦
数艘
(
すうそう
)
を
率
(
ひき
)
いて
箱館
(
はこだて
)
に
脱走
(
だっそう
)
し、西軍に
抗
(
こう
)
して
奮戦
(
ふんせん
)
したれども、ついに
窮
(
きゅう
)
して
降参
(
こうさん
)
したる者なり。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
宗助も御米も少し
挨拶
(
あいさつ
)
に
窮
(
きゅう
)
した。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
信長は、彼の
窮
(
きゅう
)
しきったすがたを見て、ほぼ彼の心のうちも、察してくれたらしい。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、問いつめて、時には無可先生をして殆ど、答えに
窮
(
きゅう
)
させてしまう。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
読む明りに
窮
(
きゅう
)
しますので、啓之助殿が大切に持っておられます
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そのとうぜんな
問
(
と
)
いをうけて、
咲耶子
(
さくやこ
)
は
返辞
(
へんじ
)
に
窮
(
きゅう
)
した。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
窮
常用漢字
中学
部首:⽳
15画
“窮”を含む語句
窮屈
貧窮
窮迫
無窮
窮鳥
窮地
窮乏
窮窟
窮境
窮命
見窮
窮理
困窮
窮措大
貧窮者
御窮屈
窮々
窮鬼
窮鼠
追窮
...