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真昼間
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まっぴるま
ふりがな文庫
“
真昼間
(
まっぴるま
)” の例文
旧字:
眞晝間
「怪しいもんだぜ。
真昼間
(
まっぴるま
)
、表を閉めて、女将さんが二階でグウグウ
午睡
(
ひるね
)
をしている支那料理といったら大抵、相場はきまってるぜ」
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
とは思ったが、
歴々
(
ありあり
)
彼処
(
かしこ
)
に、何の異状なく
彳
(
たたず
)
んだのが見えるから、
憂慮
(
きづかう
)
にも及ぶまい。念のために声を懸けて呼ぼうにも、この
真昼間
(
まっぴるま
)
。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
真昼間
(
まっぴるま
)
なのに、長屋は、ひっそり閑と、静かだ。今日は、仕事は休みだが、どの家にも、誰もいない。鶏が、二三羽、餌をつついている。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
お天気の好い
真昼間
(
まっぴるま
)
、しかも停車場の混雑のなかで、怪しい娘が継子さんの死を知らせてくれる——そんなことのあるべき筈が無いと思はれましたので
停車場の少女:――「近代異妖編」
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
真昼間
(
まっぴるま
)
の恐怖は、白っぽいだけに人の背筋へ氷のような
戦慄
(
せんりつ
)
を注ぎ込む。何やら得体の知れぬ力に押えつけられてただしいんと心耳に冴え返るばかりだ。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
ドチラにしてもこの
面
(
かお
)
で、甲府へ
真昼間
(
まっぴるま
)
乗り込もうとするのは、あまり図々しさが烈しいと言わなければならぬ。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それはガニマール探偵の行方不明と、ロンドンの
真中
(
まんなか
)
で、しかも
真昼間
(
まっぴるま
)
に起った誘拐事件、それは英国の名探偵ヘルロック・ショルムスの誘拐事件であった。
奇巌城:アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
慶三は
真昼間
(
まっぴるま
)
の往来とて、少し
面喰
(
めんくら
)
って
四辺
(
あたり
)
をきょろきょろ見廻したが、坂地の道路が広いだけに、通行の人は誰も気のつくものがないらしいので大きに安心して
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そのために
刺戟
(
しげき
)
されたものと見えて、
真昼間
(
まっぴるま
)
、ひっそりした寺内の様子をうかがって、
鼬鼠
(
いたち
)
のように注意深い目を四方にくばりながら、竹竿を持って忍び込んで来た。
果樹
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
乗り込んで来るのは
真昼間
(
まっぴるま
)
である。鍋の底からは
愛嬌
(
あいきょう
)
が
湧
(
わ
)
いて出る。
漾
(
ただよ
)
うは笑の波だと云う。
攪
(
か
)
き
淆
(
ま
)
ぜるのは親切の箸と名づける。鍋そのものからが
品
(
ひん
)
よく出来上っている。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかし「日の盛」を日中もしくは
真昼間
(
まっぴるま
)
の意とすれば、この光景は一幅の画として通用する。已に二つまで季語がある以上、そう「日の盛」に拘泥する必要はあるまいと思う。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
ところがまた、知ってる通り、あの
一町場
(
ひとちょうば
)
が、一方谷、一方
覆被
(
おっかぶ
)
さった雑木林で、妙に
真昼間
(
まっぴるま
)
も薄暗い、
可厭
(
いや
)
な処じゃないか。
朱日記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
という意味の
遺書
(
かきおき
)
を残して、
真昼間
(
まっぴるま
)
、家出してしまった。好人物の蟹口はこの
遺書
(
かきおき
)
を真面目に信じて、
届出
(
とどけで
)
なかったらしい。
衝突心理
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
たしかに
真昼間
(
まっぴるま
)
である。奎洋堂病院の二等室である。タッタ今、夢の中………どうしても夢としか思えない……で見た深夜の光景はアトカタも無い。
一足お先に
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
何が出ようとこの
真昼間
(
まっぴるま
)
、気にはしないが、もの好きに、どんな
可恐
(
おそろし
)
い事があったと聞くと、女給と顔を見合わせてね、
旦那
(
だんな
)
、殿方には何でもないよ。
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
懺悔
(
ざんげ
)
をするがね、実は我ながら、とぼけていて、ひとりでおかしいくらいなんだよ。月夜に提灯が
贅沢
(
ぜいたく
)
なら、
真昼間
(
まっぴるま
)
ぶらで提げたのは、何だろう、
余程
(
よっぽど
)
半間さ。
縷紅新草
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
浅草寺の鐘の声だと、身投げをすべき処だけれど、凡夫
壮
(
さかん
)
にして
真昼間
(
まっぴるま
)
午後一時、風は吹いても日和はよしと……どうしても両国を
乗越
(
のっこ
)
さないじゃ納まらない。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
馬士 (樹立より、馬を
曳
(
ひ
)
いて、あとを振向きつつ出づ。馬の背に
米俵
(
こめだわら
)
二俵。奉納。白米。南無大師遍照金剛の札を立つ)ああ気味の悪い。
真昼間
(
まっぴるま
)
何事だんべい。
山吹
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
驚破
(
すわ
)
、そのまぎれに、見物の
群集
(
ぐんじゅ
)
の中から、
頃合
(
ころあい
)
なものを
引攫
(
ひきさら
)
つて、空からストンと、
怪我
(
けが
)
をせぬやうに
落
(
おと
)
いた。が、
丁度
(
ちょうど
)
西の丸の
太鼓櫓
(
たいこやぐら
)
の下の空地だ、
真昼間
(
まっぴるま
)
。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
真昼間
(
まっぴるま
)
、向う側から
密
(
そっ
)
と
透
(
すか
)
して見ると、窓も
襖
(
ふすま
)
も
閉切
(
しめき
)
つて、空屋に等しい暗い中に、
破風
(
はふ
)
の
隙
(
ひま
)
から、
板目
(
いため
)
の
節
(
ふし
)
から、
差入
(
さしい
)
る日の光
一筋
(
ひとすじ
)
二筋
(
ふたすじ
)
、
裾広
(
すそひろ
)
がりにぱつと
明
(
あかる
)
く
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
しばしば
跫音
(
あしおと
)
を立ててしっくい
叩
(
たたき
)
の土間を、靴で士官の群の処へ通うのはこのボオイで、天井は高く
四辺
(
あたり
)
はひっそり、電燈ばかり
煌々
(
こうこう
)
と
真昼間
(
まっぴるま
)
のごとく卓子を
照
(
てら
)
して
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
これは
熨斗目
(
のしめ
)
の
紋着振袖
(
もんつきふりそで
)
という、田舎に
珍
(
めずら
)
しい
異形
(
いぎょう
)
な
扮装
(
なり
)
だったから、不思議な若殿、
迂濶
(
うかつ
)
に物も言えないと考えたか、
真昼間
(
まっぴるま
)
、狐が化けた? とでも思ったでしょう。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あなた方はそうした格子戸を開けて、何といって声をお掛けになりましょうかしら……おかしな口のきき方です、
五月雨時
(
つゆどき
)
の午後四時ごろ、
初夏
(
はつなつ
)
真昼間
(
まっぴるま
)
だから、なおおかしい。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
真昼間
(
まっぴるま
)
、……お尻を振廻して
歩行
(
ある
)
いたって、誰も買手は有りはしないや。……
鳶
(
とんび
)
、鳶、」
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
やがて、十八九年も
経
(
た
)
ったろう。
小児
(
こども
)
がちと毛を伸ばした中僧の頃である。……秋の招魂祭の、それも
真昼間
(
まっぴるま
)
。両側に小屋を並べた
見世
(
みせ
)
ものの中に、一ヶ所目覚しい看板を見た。
革鞄の怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
前
(
せん
)
の向島の大連の時で、その経験がありますから、今夜は
一番
(
ひとつ
)
、
明
(
あかり
)
晃々
(
こうこう
)
とさして、どうせ
顕
(
あらわ
)
れるものなら
真昼間
(
まっぴるま
)
おいでなさい、明白で
可
(
い
)
い、と皆さんとも申合せていましたっけ。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
歩行
(
あるき
)
出す、と暗くなり掛けた影法師も、
烈
(
はげ
)
しい人脚の塵に消えて、
天満
(
てんま
)
筋の
真昼間
(
まっぴるま
)
。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
春の
真昼間
(
まっぴるま
)
、暖い霞のような白い路が、藪の下を
一条
(
ひとすじ
)
に貫いた、二三間
前
(
さき
)
を、一人通った娘があります。
衣服
(
きもの
)
は分らず、何の織物か知りませんが、帯は
緋色
(
ひいろ
)
をしていたのを覚えている。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
館
(
やかた
)
の心に従ふまでは、村へも里へも帰さぬといつたが、別に座敷牢へ入れるでもなし、木戸の扉も
葎
(
むぐら
)
を分けて、ぎいと
開
(
あ
)
け、障子も雨戸も
開放
(
かいほう
)
して、
真昼間
(
まっぴるま
)
、此の野を抜けて帰らるゝものなら
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
昼飯
(
ひる
)
の支度は、この
乳母
(
うば
)
どのに
誂
(
あつら
)
えて、それから浴室へ下りて
一浴
(
ひとあみ
)
した。……成程、屋の内は大普請らしい。大工左官がそちこちを、
真昼間
(
まっぴるま
)
の
夜討
(
ようち
)
のように働く。……ちょうな、
鋸
(
のこぎり
)
、
鉄鎚
(
かなづち
)
の
賑
(
にぎや
)
かな音。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
橋板は破れ、欄干は朽ちて、うろぬけて、夜は狸穴から出て来て渡るものがありそうで、流れに
柵
(
しがら
)
んだ
真黒
(
まっくろ
)
な棒杭が、口を開けて、落葉を吸った。——これ、まだ化けては
不可
(
いけ
)
ない——今は
真昼間
(
まっぴるま
)
だ。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そんなのが
嵩
(
こう
)
じると、何も
餅
(
もち
)
屋がって、ここで病名は申さんがね、起きている
真昼間
(
まっぴるま
)
でも目に見えるようになる。それ、現在目に見えて、そこに居るから、口も利くだろう、声も懸けようではないか。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
真昼間
(
まっぴるま
)
でしょう、
遣切
(
やりき
)
れたもんじゃありゃしない。
第二菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
可厭
(
いや
)
ではございませんかね、この
真昼間
(
まっぴるま
)
。」
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
真昼間
(
まっぴるま
)
だけでも遠慮せいてや。」
小春の狐
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
真
常用漢字
小3
部首:⽬
10画
昼
常用漢字
小2
部首:⽇
9画
間
常用漢字
小2
部首:⾨
12画
“真昼”で始まる語句
真昼
真昼中
真昼時
真昼過