相撲すまふ)” の例文
(画人呉俊明のち江戸にいでしゆゑ名をなせり)近年相撲すまふ越海こしのうみ鷲ヶ浜わしがはま新潟にひがたさん九紋竜くもんりゆうは高田今町の産、関戸せきのと次第浜しだいはまさん也。
「負けまじき相撲すまふを寝ものがたりかな」とは名高い蕪村ぶそんの相撲の句である。この「負けまじき」の解釈には思ひのほか異説もあるらしい。
澄江堂雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
庭球ローンテニスもある、「クリツケツト」もある、射的塲しやてきばもある、相撲すまふ土俵どひやうもある、いづれも櫻木大佐さくらぎたいさ日本につぽんづるまへから、かゝる孤島こたう生活中せいくわつちう
しかしかうして、おの/\のはらつめた次第しだいさむつたところへ、ぶつきり大掴おほづかみ坊主ばうずしやも、相撲すまふつてもはらがくちくるのを、かつようと腹案ふくあん
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
れにやされつとも、んでちからつをかつたかんな、仕事しごとぢや卯平うへいつをかつたが、かうだえけ體格なりして相撲すまふぢやれにやかたでぺた/\だ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「かたつむりさん。気分がよくなったら一つひさしぶりで相撲すまふをとりませうか。ハッハハ。久しぶりです。」
洞熊学校を卒業した三人 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
番附といふのは、相撲すまふ万年青おもとのそれと同じやうに横綱もあれば、大関もあり、又貧乏神もあるといつたやうに、現代の画家にそれ/″\格つけをしたものだ。
好くは存じませんが其お相撲すまふは眞志屋の出入であつたとかで、それが亡くなつた時、何のことわりもなしに昌林院の墓所にいけてしまつたのださうでございます。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
瓦廻かはらまわしをる、鞦韆飛ぶらんことびる、石ぶつけでも、相撲すまふでも撃剣げきけん真似まねでも、悪作劇わるいたずらなんでもすきでした、(もつと唯今たゞいまでもあまきらひのはうではない)しかるに山田やまだごく温厚おんこう
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
尤も、良い氣になつて聟の口へ乘出したら、一ぺんにつぶれるでせう。五軒や八軒の長屋持ちの伜ぢや、一と箱の持參金の三國一とは相撲すまふが取れません。へツ、へツ
あだか相撲すまふのとき、土俵どひよう中央ちゆうおうからずる/\とされた力士りきしが、つるぎみねこらへる場合ばあひのようである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
父親は日本橋の木綿問屋だつたが、生きてゐる間は、仕送りもしてたまにはつて来た。木山も其の父の話をする時は、相撲すまふなぞへ連れて行かれた其の頃が懐かしさうであつた。
のらもの (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
この野見宿禰のみのすくねといふひとは、あの相撲すまふをはじめたといはれてゐるおなひとであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
かくてわれ、相撲すまふの身を屈する如く、御前おんまへにあり
頌歌 (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
(画人呉俊明のち江戸にいでしゆゑ名をなせり)近年相撲すまふ越海こしのうみ鷲ヶ浜わしがはま新潟にひがたさん九紋竜くもんりゆうは高田今町の産、関戸せきのと次第浜しだいはまさん也。
『そればかりか、少年せうねん活溌くわつぱつことツたらはなしになりませんよ。獅子狩しゝがりもやります、相撲すまふります。よわ水兵すいへいなんかはかされます。』とかれ至極しごく眞面目まじめ
いや、どうかすると、わたしには女の方が得をしてゐる場合が多いやうに見える。たとへば相撲すまふである。
世の中と女 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
子供らは網の上ですべったり、相撲すまふをとったり、ぶらんこをやったり、それはそれはにぎやかです。
洞熊学校を卒業した三人 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
さて、招魂社しやうこんしや観世物みせもので、すみのなすりくらをするのではないから、盲人まうじん相撲すまふもいかゞなもの。
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
国技館のとなりに回向院ゑかうゐんのあることは大抵たいてい誰でも知つてゐるであらう。所謂いはゆる本場所の相撲すまふまた国技館の出来ない前には回向院ゑかうゐん境内けいだい蓆張むしろばりの小屋をかけてゐたものである。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
隨分ずゐぶん故郷こきようそらなつかしくなつたこと度々たび/\あつた——むかし友人ともだちことや——品川灣しながはわん朝景色あさげしきや——上野淺草うへのあさくさへん繁華にぎやかまちことや——新橋しんばし停車塲ステーシヨンことや——回向院ゑこうゐん相撲すまふことや——神樂坂かぐらざか縁日えんにちことや——よろづ朝報てうほう佛蘭西フランス小説せうせつことや——錦輝舘きんきくわん政談せいだん演説えんぜつことや——芝居しばゐこと浪花節なにはぶしこと
大砲おほづつは僕等の小学時代に、——常陸山ひたちやまうめたにの大関だつた時代に横綱を張つた相撲すまふだつた。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
東京の川にもこんな水怪すゐくわい多し。田舎ゐなかへ行つたらなほの事、いまだに河童があしの中で、相撲すまふなどとつてゐるかも知れない。たまたま一遊亭いちいうてい作る所の河太郎独酌之図かはたらうどくしやくのづを見たから、思ひ出した事をしるしとどめる。
雑筆 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)