トップ
>
猪口
>
ちよく
ふりがな文庫
“
猪口
(
ちよく
)” の例文
今晩なぞとは手ぬるいぞ、と
驀向
(
まつかう
)
から
焦躁
(
じれ
)
を吹つ掛けて、飲め、酒は車懸り、
猪口
(
ちよく
)
は巴と廻せ廻せ、お房
外見
(
みえ
)
をするな、春婆大人ぶるな
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
お町は一寸も引きさうにありません、——それどころか、長火鉢の向うへ、女だてらに
大胡坐
(
おほあぐら
)
をかくと、お樂の手から
猪口
(
ちよく
)
をむしり取ります。
銭形平次捕物控:024 平次女難
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
君
(
きみ
)
の様に
金回
(
かねまは
)
りが
好
(
よ
)
くないから、さう豪遊も出来ないが、
交際
(
つきあひ
)
だから仕方がないよ」と云つて、平岡は器用な
手付
(
てつき
)
をして
猪口
(
ちよく
)
を
口
(
くち
)
へ
着
(
つ
)
けた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
実
(
げ
)
に直行も気味好からぬ声とは思へり。
小鍋立
(
こなべだて
)
せる
火鉢
(
ひばち
)
の
角
(
かど
)
に
猪口
(
ちよく
)
を
措
(
お
)
き、
燈
(
あかし
)
を
持
(
も
)
て来よと
婢
(
をんな
)
に命じて、玄関に出でけるが、
先
(
ま
)
づ戸の内より
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
猪口
(
ちよく
)
一箇を置いた塗りの剥げた
茶餉台
(
ちやぶだい
)
の前に、
褌
(
ふんどし
)
一つの真つ裸のまゝ仰向けに寝ころび、骨と皮に
痩
(
や
)
せ細つた
毛臑
(
けずね
)
の上に片つ方の毛臑を載せて
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
▼ もっと見る
始め神主樣御醫師樣
親方
(
おやかた
)
の後家樣其外
皆々
(
みな/\
)
十分に
下
(
くだ
)
されたサア/\勝手の
手傳衆
(
てつだひしう
)
大勢ぢや御
亭主
(
ていしゆ
)
も一ツ御
上
(
あが
)
り成れと
猪口
(
ちよく
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「まア、そんなに旦那さんばかり大切にしないでもいいぢやアないか」とからかひながら、義雄に
猪口
(
ちよく
)
をさすのである。
泡鳴五部作:01 発展
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
色の浅黒い、小肥りに肥つた男は、かう一部始終を語り終ると、今まで閑却されてゐた、膳の上の
猪口
(
ちよく
)
を取り上げた。
鼠小僧次郎吉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ぶつ/\と
言
(
い
)
ふやつを、
椀
(
わん
)
に
裝出
(
よそひだ
)
して、
猪口
(
ちよく
)
のしたぢで
行
(
や
)
る。
何十年來
(
なんじふねんらい
)
馴
(
な
)
れたもので、つゆ
加減
(
かげん
)
も
至極
(
しごく
)
だが、しかし、その
小兒
(
こども
)
たちは、
皆
(
みな
)
知
(
し
)
らん
顏
(
かほ
)
をしてお
魚
(
とゝ
)
で
居
(
ゐ
)
る。
湯どうふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ハイ/\
是
(
これ
)
が
猪口
(
ちよく
)
かい、
大分
(
だいぶ
)
大きな物だね、アヽ
宜
(
い
)
い
工合
(
ぐあひ
)
についたね。グーツと一
口
(
くち
)
飲
(
の
)
むか
飲
(
の
)
まん
内
(
うち
)
に
旅僧
(
たびそう
)
が
渋
(
しぶ
)
い顔して、僧「アツ……
御亭主
(
ごていしゆ
)
、
序
(
ついで
)
に
愚僧
(
ぐそう
)
も
縛
(
しば
)
つてお
呉
(
く
)
れ。 ...
詩好の王様と棒縛の旅人
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
兄弟
(
きやうだい
)
は
寛
(
くつ
)
ろいで
膳
(
ぜん
)
に
就
(
つ
)
いた。
御米
(
およね
)
も
遠慮
(
ゑんりよ
)
なく
食卓
(
しよくたく
)
の
一隅
(
ひとすみ
)
を
領
(
りやう
)
した。
宗助
(
そうすけ
)
も
小六
(
ころく
)
も
猪口
(
ちよく
)
を二三
杯
(
ばい
)
づゝ
干
(
ほ
)
した。
飯
(
めし
)
に
掛
(
か
)
ゝる
前
(
まへ
)
に、
宗助
(
そうすけ
)
は
笑
(
わら
)
ひながら
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
愁然として彼は
頭
(
かしら
)
を
俛
(
た
)
れぬ。大島紬は受けたる
盃
(
さかづき
)
を
把
(
と
)
りながら、更に佐分利が持てる
猪口
(
ちよく
)
を借りて荒尾に差しつ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「危いところだ、八。そいつを
一
(
ひ
)
と
猪口
(
ちよく
)
呑んだだけで、
手前
(
てめえ
)
は俺の身代りに、血へどを
吐
(
は
)
いて死ぬところよ」
銭形平次捕物控:083 鉄砲汁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「二千五百圓の宅地とかでかい——まア、つがう」と、義雄は加集と自分との
猪口
(
ちよく
)
に出來た酒を注いだ。
泡鳴五部作:02 毒薬を飲む女
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
唯僕に言はせれば、たとへば斎藤氏や北原氏の短歌に或は
猪口
(
ちよく
)
でシロツプを
嘗
(
な
)
めてゐるものがあるとしても、その又猪口の中のシロツプも愛するに足ると思ふだけである。
又一説?
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
宛如
(
さながら
)
、
秋
(
あき
)
の
掛稻
(
かけいね
)
に、
干菜
(
ほしな
)
、
大根
(
だいこん
)
を
掛
(
か
)
けつらね、
眞赤
(
まつか
)
な
蕃椒
(
たうがらし
)
の
束
(
たば
)
を
交
(
まじ
)
へた、
飄逸
(
へういつ
)
にして
錆
(
さび
)
のある
友禪
(
いうぜん
)
を
一面
(
いちめん
)
ずらりと
張立
(
はりた
)
てたやうでもあるし、しきりに
一小間々々
(
ひとこま/\
)
に、
徳利
(
とくり
)
にお
猪口
(
ちよく
)
、お
魚
(
さかな
)
に
扇
(
あふぎ
)
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
嬉しと心を言へらんやうの
気色
(
けしき
)
にて、彼の
猪口
(
ちよく
)
に
余
(
あま
)
せし酒を
一息
(
ひといき
)
に
飲乾
(
のみほ
)
して、その盃をつと貫一に差せり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
凝と平次を見詰めた女の眼、——一と息に
猪口
(
ちよく
)
をあけると、平次の手に持たせて銚子を上げます。
銭形平次捕物控:027 幻の民五郎
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
日本に来て
間
(
ま
)
もないHは、まだ芸者に
愛嬌
(
あいけう
)
を売るだけの修業も積んでゐなかつたから、唯出て来る料理を片つぱしから
平
(
たひら
)
げて、差される
猪口
(
ちよく
)
を片つぱしから飲み干してゐた。
東京小品
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「一向見えない、ね。」呑牛は自分で自分の
猪口
(
ちよく
)
に酒をつぎながら、「君も飮むかい?」
泡鳴五部作:05 憑き物
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
暫くは何やら密談に
耽
(
ふけ
)
つてゐたが、やがてそれも一段落ついたと見えて、色の浅黒い、小肥りに肥つた男は、無造作に
猪口
(
ちよく
)
を相手に返すと、膝の下の煙草入をとり上げながら
鼠小僧次郎吉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
お樂は恐る/\
樽
(
たる
)
の呑口を
捻
(
ひね
)
つて、地酒といつても自慢のを一本、
銅壺
(
どうこ
)
へ投り込んで、早速の
燗
(
かん
)
をすると、盆へ
猪口
(
ちよく
)
を添へて、
白痴
(
こけ
)
がお
神樂
(
かぐら
)
の眞似をする恰好で持つて出ます。
銭形平次捕物控:066 玉の輿の呪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「あれも實は厄介拂ひをしたのです。」鶴次郎は義雄に
猪口
(
ちよく
)
をさしながら
泡鳴五部作:04 断橋
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
雫
(
しづく
)
の滴れさうな
猪口
(
ちよく
)
を、お樂は小さく兩手で受けてニツコリしました。妙に
脂
(
あぶら
)
の乘つた艶めかしさは、嫌な言葉ですが、『ニンマリ笑つた』と言ふのが一番適當して居るでせう。
銭形平次捕物控:024 平次女難
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかし更に
懐疑的
(
くわいぎてき
)
になれば、明治大正の
間
(
かん
)
の歌よみの短歌も或は
猪口
(
ちよく
)
でシロツプを
嘗
(
な
)
めてゐると言はれるかも知れぬ。かう云ふ問題になつて来ると、
素人
(
しろうと
)
の僕には見当がつかない。
又一説?
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
義雄は、遠藤によつて一座の人々に紹介されてから、渠に「道會議員遠藤長之助氏の」と
割註
(
わりちう
)
した「膽振日高觀」を渡し、
猪口
(
ちよく
)
を手にし出す。すると、鹿爪らしいのが先づ挨拶にやつて來て
泡鳴五部作:04 断橋
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
色の白い、小柄な男は、
剳青
(
ほりもの
)
のある
臂
(
ひぢ
)
を延べて、親分へ
猪口
(
ちよく
)
を差しながら
鼠小僧次郎吉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
グツと
喉
(
のど
)
を鳴らし乍ら、
猪口
(
ちよく
)
の手を胸のあたりまで持つて行つた八五郎。
銭形平次捕物控:083 鉄砲汁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
猪口
(
ちよく
)
のやり取りは、ほかの女らに對する面目もあるから、親しさうにやつてゐたが、話をすると、どこか角が立つのだ、それを融和するつもりでもあらう、氷峰は敷島の顏を見つめてゐたあげく
泡鳴五部作:04 断橋
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
“猪口”の解説
猪口(ちょく、ちょこ)とは、小さな器のことで、一般的に酒を飲む為の小型の器(盃)、または、蕎麦をそばつゆ(汁)につけるための容器(蕎麦猪口)のことをいう。佳字を選んで「千代口」の字を当てることもある。また、お猪口(おちょこ)と表記される場合もある。
(出典:Wikipedia)
猪
漢検準1級
部首:⽝
11画
口
常用漢字
小1
部首:⼝
3画
“猪口”で始まる語句
猪口才
猪口米
猪口茸