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煑
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に
ふりがな文庫
“
煑
(
に
)” の例文
そして、その木を持って帰ってきて、それに火を
点
(
つ
)
けてみると、狸と狐の姿が現われた。張華はその二疋をつかまえて
煑
(
に
)
てしまった。
狐と狸
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
米を
煑
(
に
)
るのだ、と笑って、それからそれへ花は咲いたのだったが、しかし、気の毒だ、可哀相に、と
憐愍
(
あわれみ
)
はしたけれども、徹頭徹尾
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
細
(
ほそ
)
い
大根
(
だいこ
)
を三四
本
(
ほん
)
ぶら
下
(
さ
)
げて、
今日
(
けふ
)
は
御馳走
(
ごちそう
)
を
買
(
か
)
つて
來
(
き
)
たと
云
(
い
)
つて、それを
宜道
(
ぎだう
)
に
煑
(
に
)
てもらつて
食
(
く
)
つた。
宜道
(
ぎだう
)
も
宗助
(
そうすけ
)
も
其
(
その
)
相伴
(
しやうばん
)
をした。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
地面から多量の湯——文字通り
煑
(
に
)
えくり返る泉で一秒間も手を入れていることが出来ぬ——がわき出ているのは実に不思議な光景だった。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
どうぞ聖者よ、私たちの仲間におはいりになって、おいしく
煑
(
に
)
えている魚をあがって下さい。私たちはあなたのお眼の祝福を待ち切っています
魚と蠅の祝日
(新字新仮名)
/
フィオナ・マクラウド
(著)
▼ もっと見る
「眞つ直ぐに越前屋へ歸ると、店の中は
煑
(
に
)
えくり返る騷ぎだ、——番頭の留守に、主人の總七が、屑金物を入れた大箱の下敷になつて死んだんですぜ」
銭形平次捕物控:038 一枚の文銭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
だん/\と
人口
(
じんこう
)
がふえ、みんなの
智慧
(
ちえ
)
も
開
(
ひら
)
けて
來
(
く
)
るに
從
(
したが
)
つて、やうやく
火
(
ひ
)
といふものを
使
(
つか
)
ふことを
知
(
し
)
り、
食
(
た
)
べ
物
(
もの
)
も
煑
(
に
)
たり
燒
(
や
)
いたりして
食
(
た
)
べるようになり
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
煑
(
に
)
え返るような若い時代の連中で毎日進んで行くというような時代だから、二三日
遇
(
あ
)
わないと何処かしら解らなくなって了うという風な毎日を送っていた。
回想録
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
梅「旨いことを仰しゃること、あなた此の間の
松魚節味噌
(
かつおぶしみそ
)
ね、あれは知れませんから又
煑
(
に
)
て来ましょう」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
此に於て
熬米
(
いりごめ
)
を
噛
(
か
)
み以て一時の
飢
(
うへ
)
を
忍
(
しの
)
び、一
気
(
き
)
走駆
(
さうく
)
して
直
(
ただ
)
ちに沿岸に
至
(
いた
)
り飯を
煑
(
に
)
んと
决
(
けつ
)
す、此に於て山を
降
(
くだ
)
り方向を
定
(
さだ
)
めて沼辺に
至
(
いた
)
らんとし、山を
下
(
くだ
)
れば前方の山又山
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
まだ夜明け前の広い台所の真中へ三四枚の
藁筵
(
わらむしろ
)
をひいて、近所の四五人の
倔強
(
くっきょう
)
の若者等と大釜の湯を取り分けて
煑
(
に
)
た真赤な番茶を、前の夜から焚いて用意して置いた麦飯を
かやの生立
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
今
(
いま
)
までは
食物
(
しよくもつ
)
を
煑
(
に
)
ることを
知
(
し
)
らなかつた
人間
(
にんげん
)
が、
土器
(
どき
)
によつて
動物
(
どうぶつ
)
の
肉
(
にく
)
でも
植物
(
しよくぶつ
)
でも、
自由
(
じゆう
)
に
煑
(
に
)
ることが
出來
(
でき
)
るようになつたので、
今
(
いま
)
まで
食
(
た
)
べられなかつた
品物
(
しなもの
)
や
食物
(
しよくもつ
)
の
部分
(
ぶぶん
)
も
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
湯水の他の
飮料
(
ゐんれう
)
とは如何なるものなりしや。
鳥獸魚介
(
てうぢうぎよかい
)
の煑汁も其一ならん。
草根木實
(
そうこんもくじつ
)
より
採
(
と
)
りたる
澱粉
(
でんふん
)
を
煑
(
に
)
たるものも其一ならん。或は
酒
(
さけ
)
に
似
(
に
)
たる
嗜好品
(
しこうひん
)
有りしやも知る可からず。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
彼女は前庭の日なたで
繭
(
まゆ
)
を
煑
(
に
)
ながら、実際グレートヘンのように糸繰車を廻していることがある。そうかと思うと小舎ほどもある枯萱を「背負枠」で背負って山から帰って来ることもある。
温泉
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
お
互
(
たげえ
)
に
斯
(
か
)
う
根
(
ね
)
に
持
(
も
)
たねえことにしてね、
勘次
(
かんじ
)
さんおめえも
忙
(
いそが
)
しくつて
手
(
てえ
)
つけねえでたかも
知
(
し
)
んねえが、
麹
(
かうぢ
)
も
鹽
(
しほ
)
まで
切
(
き
)
つて
有
(
あ
)
るつちんだから、
後
(
あと
)
は
豆
(
まめ
)
煑
(
に
)
るだけのことだし、
味噌
(
みそ
)
は
搗
(
つ
)
くことにしてな
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「
寒
(
さむ
)
いでせう、
御氣
(
おき
)
の
毒
(
どく
)
さまね。
生憎
(
あいにく
)
御天氣
(
おてんき
)
が
時雨
(
しぐ
)
れたもんだから」と
御米
(
およね
)
が
愛想
(
あいそ
)
を
云
(
い
)
つて、
鐵瓶
(
てつびん
)
の
湯
(
ゆ
)
を
注
(
つ
)
ぎ
注
(
つ
)
ぎ、
昨日
(
きのふ
)
煑
(
に
)
た
糊
(
のり
)
を
溶
(
と
)
いた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
抱一
(
ほういつ
)
上人の夕顔を
石燈籠
(
いしどうろう
)
の灯でほの見せる
数寄屋
(
すきや
)
づくりも、七賢人の本床に立った、松林の大広間も、そのままで、びんちょうの火を
堆
(
うずたか
)
く、ひれの
膏
(
あぶら
)
を
煑
(
に
)
る。
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
蟲が知らせると言ふものか、妙に里心が付いて歸つて來て見ると、丁度
下總
(
しもふさ
)
の知行所へ急使を立てたばかりといふところ、家の中は
煑
(
に
)
えくり返るやうな騷ぎです。
銭形平次捕物控:006 復讐鬼の姿
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「中の島」の基点になるポン・ド・グルネルの橋の突き出しに立っている自由の女神の銅像が炎天に
煑
(
に
)
えて
姿態
(
ポーズ
)
の角々から青空に陽炎を立てゝいるように見える。橋を日傘が五ツ六ツ駈けて行く。
巴里祭
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
煑
(
に
)
て
食
(
た
)
べることになつたのであります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
「そうですな」とやっぱり
煑
(
に
)
え切らない答をした。父はじっと代助を見ていたが、段々
皺
(
しわ
)
の多い額を曇らした。兄は仕方なしに
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
先生、そ、それですがお夏さんの団扇じゃあ恐しく
胆
(
きも
)
が
煑
(
に
)
えました、理窟はねえんです、いえ、理窟がねえんじゃあございませんや、けれどもその理窟は分りません。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「巡禮姿の若い男が、虚無僧に斬られて、山は
煑
(
に
)
えくり返るやうな騷ぎで」
銭形平次捕物控:063 花見の仇討
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
煑
(
に
)
たのでも、焼いたのでも、酢でも構わず。
兵児帯
(
へこおび
)
でも、ズボンでも、羽織に紐が無くっても、更に差支えのない人物、人に逢っても挨拶ばかりで、容易に口も利かないくらい。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
御米
(
およね
)
は
此頃
(
このごろ
)
の
夫
(
をつと
)
の
樣子
(
やうす
)
の
何處
(
どこ
)
かに
異状
(
いじやう
)
があるらしく
思
(
おも
)
はれるので、
内心
(
ないしん
)
では
始終
(
しじゆう
)
心配
(
しんぱい
)
してゐた
矢先
(
やさき
)
だから、
平生
(
へいぜい
)
煑
(
に
)
え
切
(
き
)
らない
宗助
(
そうすけ
)
の
果斷
(
くわだん
)
を
喜
(
よろこ
)
んだ。けれども
其
(
その
)
突然
(
とつぜん
)
なのにも
全
(
まつた
)
く
驚
(
おど
)
ろいた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
茶
(
ちや
)
の
煑
(
に
)
えた
時
(
とき
)
、
眞夜中
(
まよなか
)
に
又
(
また
)
霰
(
あられ
)
が
來
(
き
)
た。
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
煑
部首:⽕
13画
“煑”を含む語句
煑染
煑液
煑炊
煑立
鼈煑
鹽煑
雑煑
甘煑
煑酢
煑返
煑転
煑豆
煑詰
御雜煑
煑物
煑漬
煑湯
煑小豆
煑始
煑出