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榾
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ほだ
ふりがな文庫
“
榾
(
ほだ
)” の例文
「まア、長二、お前ほんとに
吃驚
(
びつくり
)
させて、
斯様
(
こんな
)
嬉しいことは無い」と、山の
馳走
(
ちそう
)
は此れ一つのみなる
榾
(
ほだ
)
堆
(
うづたか
)
きまで運び来れる伯母は
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
次の日の晩方になって、森がもう黒く見えるころ、おかあさんはにわかに立って、炉に
榾
(
ほだ
)
をたくさんくべて家じゅうすっかり明るくしました。
グスコーブドリの伝記
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
そして囲炉裏に
榾
(
ほだ
)
をくべて、女はそこに
打捨
(
うちや
)
らかした
儘
(
まゝ
)
、自分ひとり煎餅蒲団に
包
(
くる
)
まつてごろりと横になつた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
やがてヴェーラ・イオーシフォヴナがその手帳を閉じたとき、一同はものの五分ほど沈黙のままで、合唱団のうたっている『*
榾
(
ほだ
)
あかり』の唄に耳を傾けていた。
イオーヌィチ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
豆腐も駄菓子も
突
(
つッ
)
くるみに売っている、天井に
釣
(
つる
)
した
蕃椒
(
とうがらし
)
の方が、
燈
(
ひ
)
よりは
真赤
(
まっか
)
に目に立つてッた、
皺
(
しな
)
びた店で、
榾
(
ほだ
)
同然の
鰊
(
にしん
)
に、山家
片鄙
(
へんぴ
)
はお
極
(
きま
)
りの
石斑魚
(
いわな
)
の
煮浸
(
にびたし
)
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
燠に
化
(
な
)
つた
榾
(
ほだ
)
の呟き。——わたしの
脊椎
(
せきつゐ
)
を
外
(
はづ
)
しとつてする「
洗骨式
(
せんこつしき
)
」を、……でなければ、肉体の髄を
焙
(
や
)
きつくしてする「
風葬祭
(
ふうさうさい
)
」を、……そんな
末枯
(
うらが
)
れた夢見もするわな。
雪
(新字旧仮名)
/
高祖保
(著)
源右衞門は鹿島立ちの酒に醉ひ仆れて、
榾
(
ほだ
)
の火にあか/\と顏を照らされながら眠つてゐた。
石川五右衛門の生立
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
偃松の
榾
(
ほだ
)
が、半分焦げて捨ててあった、その近傍の窪地を選んで、偃松と偃松との間に、油紙を掛け渡し、夜営地を張り、即刻焚火をした、手でも、足でも、寒気に凍えて
白峰山脈縦断記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
榾
(
ほだ
)
の烟が目にしみて、だらしなく涙がこぼれた。腹がはると眠くなつた。山の上は五十五六度だといふ。毛布をかぶつて横になつたが、私は眠れなかつた。寒さと蚤のためだ。
山を想ふ
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
ウガチとかコガシとか申す者は
空抜
(
うろぬき
)
にしてと断りながら、
青内寺
(
せいないじ
)
煙草
(
たばこ
)
二三服
馬士
(
まご
)
張
(
ば
)
りの
煙管
(
きせる
)
にてスパリ/\と
長閑
(
のどか
)
に吸い無遠慮に
榾
(
ほだ
)
さし
焼
(
く
)
べて舞い立つ灰の
雪袴
(
ゆきんばかま
)
に落ち
来
(
きた
)
るをぽんと
擲
(
はた
)
きつ
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
粉挽屋の台所は大へん
暖
(
あたたか
)
です。炉のなかでは、大きな
榾
(
ほだ
)
がぱちぱちと赤く燃え、隣近所の人々は、夕飯のために焙った鵞鳥の肉
一片
(
ひときれ
)
とお酒一ぱいとにありつくために、交る交るやって来ます。
フランダースの犬
(新字新仮名)
/
マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー
(著)
地炉に
焚
(
た
)
く
榾
(
ほだ
)
の火が狭い
荒屋
(
あばらや
)
の中を照らしていた。
ある神主の話
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
榾
(
ほだ
)
の火の
大旆
(
たいはい
)
のごとはためきぬ
六百句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
榾
(
ほだ
)
を
焚
(
た
)
く田舎の
囲炉裏
(
いろり
)
……
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
もえてる
榾
(
ほだ
)
よ兵士らは
ゐろりの中の街
(新字旧仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
榾
(
ほだ
)
の煙は「自然の香」なり、篠田の心は
陶然
(
たうぜん
)
として酔へり、「私よりも、伯母さん、
貴女
(
あなた
)
こそ
斯様
(
こんな
)
深夜
(
おそく
)
まで
夜業
(
よなべ
)
なさいましては、お体に
障
(
さは
)
りますよ」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
「大ごなしが済んだあとは、わしが手でぶつぶつと切っておましょ。鷺の料理は知らぬなれど、
清汁
(
すまし
)
か、味噌か、焼こうかの。」と
榾
(
ほだ
)
をほだて、鍋を
揺
(
ゆす
)
ぶって見せつけて
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
土間のまん中では
榾
(
ほだ
)
が赤く燃えてゐました。日光の棒もそのけむりのために青く見え、またそのけむりはいろいろなかたちになってついついとその光の棒の中を通って行くのでした。
ひかりの素足
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
榾
(
ほだ
)
を焼きしも
晶子詩篇全集拾遺
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
風邪薬
(
かざぐすり
)
を一
貼
(
ちょう
)
、
凍傷
(
しもやけ
)
の
膏薬
(
こうやく
)
一貝
(
ひとかい
)
買ひに行つた話は聞かぬが、春の
曙
(
あけぼの
)
、秋の暮、夕顔の咲けるほど、
炉
(
ろ
)
の
榾
(
ほだ
)
の
消
(
き
)
ゆる時、夜中にフト目の
覚
(
さ
)
むる折など、
町中
(
まちなか
)
を
籠
(
こ
)
めて
芬々
(
ぷんぷん
)
と
香
(
にお
)
ふ
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
榾
(
ほだ
)
もいくらか積んである。
楢ノ木大学士の野宿
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
その手と手を
取交
(
とりかわ
)
すには及ばずとも、
傍
(
そば
)
につき
添
(
そ
)
って、朝夕の
話対手
(
はなしあいて
)
、
蕈
(
きのこ
)
の汁でご
膳
(
ぜん
)
を食べたり、
私
(
わし
)
が
榾
(
ほだ
)
を
焚
(
た
)
いて、
婦人
(
おんな
)
が
鍋
(
なべ
)
をかけて、
私
(
わし
)
が
木
(
こ
)
の
実
(
み
)
を拾って、
婦人
(
おんな
)
が皮を
剥
(
む
)
いて
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それから
榾
(
ほだ
)
を一本くべた。
楢ノ木大学士の野宿
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
其
(
その
)
手
(
て
)
と
手
(
て
)
を
取交
(
とりか
)
はすには
及
(
およ
)
ばずとも、
傍
(
そば
)
につき
添
(
そ
)
つて、
朝夕
(
あさゆふ
)
の
話対手
(
はなしあひて
)
、
蕈
(
きのこ
)
の
汁
(
しる
)
で
御膳
(
ごぜん
)
を
食
(
た
)
べたり、
私
(
わし
)
が
榾
(
ほだ
)
を
焚
(
た
)
いて、
婦人
(
をんな
)
が
鍋
(
なべ
)
をかけて、
私
(
わし
)
が
木
(
こ
)
の
実
(
み
)
を
拾
(
ひろ
)
つて、
婦人
(
をんな
)
が
皮
(
かは
)
を
剥
(
む
)
いて
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
榾
(
ほだ
)
もいくらか積んである。
楢ノ木大学士の野宿
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
あの
辺
(
あたり
)
へ、
夕暮
(
ゆふぐれ
)
の
鐘
(
かね
)
が
響
(
ひゞ
)
いたら、
姿
(
すがた
)
が
近
(
ちか
)
く
戻
(
もど
)
るのだらう、——と
誰
(
た
)
が
言
(
い
)
ふともなく
自分
(
じぶん
)
で
安心
(
あんしん
)
して、
益々
(
ます/\
)
以前
(
もと
)
の
考
(
かんがへ
)
に
耽
(
ふけ
)
つて
居
(
ゐ
)
ると、
榾
(
ほだ
)
を
焚
(
た
)
くか、
炭
(
すみ
)
を
焼
(
や
)
くか、
谷間
(
たにま
)
に、
彼方此方
(
かなたこなた
)
、ひら/\
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それから
榾
(
ほだ
)
を一本くべた。
楢ノ木大学士の野宿
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
……
炭団
(
たどん
)
、
埋火
(
うずみび
)
、
榾
(
ほだ
)
、
柴
(
しば
)
を
焚
(
た
)
いて煙は揚げずとも、大切な事である。
茸の舞姫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
榾
漢検1級
部首:⽊
14画
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榾火
榾柮
榾明
節榾
榾木
榾柴
榾薪
葡萄榾