たゝ)” の例文
その都度、跳ね上り、わが体をたゝき、気狂ひの真似をして恥づかしさの発情を誤魔化さうとあせらずにはゐられないのである。
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
かけ甚だ難澁なんじふ仕つり一命にも及ばんとなすをり是なる藤八身延みのぶ參詣さんけいの歸り掛け幸ひ其處へ差掛さしかゝり私し難儀なんぎの體を見兼右の三人を片端かたはしよりたゝたふして私しを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
正太ばかり客にしたのも胸にあるわな、いくら金が有るとつて質屋のくづれの高利貸が何たら樣だ、彼んな奴を生して置くよりたゝきころす方が世間のためだ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
たゝきつけるぞ! 貴様までが……」と父は恐しい権幕になった。枕でも投げようとしたのか、浅七は
恭三の父 (新字新仮名) / 加能作次郎(著)
『はアいまき、二人連ふたりづれで、んだかんねえが、金槌かなづちつて、往來わうらいたゝきながらあるいてたツけ』
私は今に若も彼奴が親方の言葉に甘へて名を列べて塔を建てれば打捨うつちやつては置けませぬ、たゝき殺していぬに呉れます此様いふやうに擲き殺して、と明徳利の横面突然いきなり打き飛ばせば
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
やがて、箒を畳のうへげ出して、裏の窓の所へ行つて、立つた儘外面そとを眺めてゐる。そのうち三四郎もき終つた。濡れ雑巾を馬尻ばけつなかへぼちやんとたゝき込んで、美禰子のそばて、ならんだ。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
投付なげつけしにぞ清三郎はいかおのれ此間も四日市にて我をたゝき今又かく投付なげつける事此返報このへんぱうおぼえ居よとのゝしりけるに扨は四日市の盜人ぬすびとおのれかと云はれてハツと思ひしかばあと
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
んなやついかしてくよりたゝきころすはう世間せけんのためだ、おいらあ今度こんどのまつりには如何どうしても亂暴らんぼう仕掛しかけとりかへしをけようとおもふよ、だからのぶさん友達ともだちがひに
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
金槌かなづち往來わうらいたゝくとは奇拔きばつである。大笑おほわらひをして、自轉車隊じてんしやたいてらはいつた。
押取觀念しろと云ながら片端かたはしよりばらり/\と打拂ひければ瞬間またゝくひまに八九人の雲助共殘らずたゝき倒され這々はう/\ていにて散々に逃行ける故半四郎は其儘打捨うちすてあしを早めて此所を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
つみのない横町よこてうの三五らうなり、おもふさまにたゝかれてられてその二三にち立居たちゐくるしく、ゆふぐれごと父親ちゝおや空車からぐるまを五十けん茶屋ちやゝのきまではこふにさへ、三こううかしたか
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
よくもお祭りの夜は正太さんに仇をするとて私たちが遊びの邪魔をさせ、罪も無い三ちやんをたゝかせて、お前は高見で采配さいはいを振つてお出なされたの、さあ謝罪あやまりなさんすか、何とで御座んす
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
よくもおまつりの正太しようたさんにあだをするとてわたしたちがあそびの邪魔じやまをさせ、つみい三ちやんをたゝかせて、おまへ高見たかみ釆配さいはいつておいでなされたの、さあ謝罪あやまりなさんすか、なんとで御座ござんす
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
左のみ珍らしいとは思ひませぬけれど出際に召物の揃へかたが惡いとて如何ほど詫びても聞入れがなく、其品それをば脱いでたゝきつけて、御自身洋服にめしかへて、あゝわし位不仕合の人間はあるまい
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
のみめづらしいとはおもひませぬけれど出際でぎは召物めしものそろへかたがわるいとて如何いかほどびても聞入きゝいれがなく、其品それをばいでたゝきつけて、御自身ごじゝん洋服ようふくにめしかへて、あゝ私位わしぐらゐ不仕合ふしあはせ人間にんげんはあるまい
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)