擧動ふるまひ)” の例文
新字:挙動
殺したる事大膽不敵の擧動ふるまひなり伊勢屋方よりうつたへたる旅僧も同夜の事なれば是はなんぢ同類どうるゐなるべし殊更ことさら其方そのほうは金屋にて盜みし櫛を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
君等きみら其時そのとき擧動ふるまひ賞讃しようさんするのをるにつけても、じつ斷膓だんちやうねんえなかつたです——なに、あの卑劣ひれつなる船長等せんちやうら如何どうしたとはるゝか。
父入道が非道の擧動ふるまひは一次再三の苦諫にも及ばれず、君父の間に立ちて忠孝二道に一身の兩全を期し難く、驕る平家の行末を浮べる雲と頼みなく
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
先の石段を下りるや若き女はまづ僕を乘らして後、もやひを解いてひらりと飛び乘り、さも輕々と櫓をあやつりだした。少年こどもながらも僕は此女の擧動ふるまひに驚いた。
少年の悲哀 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
やがて接吻キツスおとがした。天幕テントにほんのりとあかみがした。が、やがてくらつて、もやにしづむやうにえた。所業なすわざではない、人間にんげん擧動ふるまひである。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
神の光や己が微笑ほゝゑみよそはれ、愛のすゝむる諸〻の顏と、すべてのつゝしみにて飾らるゝ諸〻の擧動ふるまひとを見たり 四九—五一
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
友の擧動ふるまひ、その言語、一つとして不興のしるしならぬはなし。我も快からねば程なく暇乞して還りぬ。別るゝときは友のうや/\しさ常に倍して、その冷なる手は我が温なる手を握りぬ。
彼女のそんな擧動ふるまひは、多分母親の血を引いたものなのであらう、英國氣質にはどうしてもぴつたりしない淺薄な性質を示すものであつた。でも、彼女は、まだ長所をいくつも持つてゐた。
入興ありたる擧動ふるまひ
煤掃 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
その擧動ふるまひのあまりに奇怪きくわいなのでわたくしおもはず小首こくびかたむけたが、此時このとき何故なにゆゑともれず偶然ぐうぜんにもむねうかんでひとつの物語ものがたりがある。
はらす其爲にやいばを振つてあだたふす實に見上げたる和女そなた心底しんてい年まだ二十歳はたちに足らざる少女の爲可きわざにはあらざりける男まさり擧動ふるまひこそ親はづかしき天晴あつぱれ女然れども人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
世の盛衰は是非もなし、平家の嫡流として卑怯の擧動ふるまひなどあらんには、祖先累代の恥辱この上あるべからず。維盛が行末守り呉れよ、時頼、之ぞ小松が一期いちごの頼みなるぞ
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
とき立窘たちすくみつゝ、白鞘しらさやおもはずけて、もつてのほかかな、怪異けいなるものどもの擧動ふるまひ夫人ふじんが、わすれたやうに、つかをしなやかにそでいて、するりとおびおとして
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
時頼の有樣を觀て熟〻つら/\思ふやう、扨も心得ぬ六波羅武士が擧動ふるまひかな、父なる人、祖父なる人は、昔知らぬ若殿原に行末短き榮耀ええうの夢を貪らせんとて其の膏血はよもそゝがじ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
なしけるにしやう三郎は大によろこび何かとあつき思召のほどかたじけなく承知しようちいたしたりと申しけるにおつねはなは不承知ふしようちの面にて長兵衞にむかひ又七に世帶せたいを渡せとおほせらるれども追々おひ/\かれ擧動ふるまひ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
海蛇丸かいだまるさきには子ープルスかうにていと奇怪あやしき擧動ふるまひをなし、其時そのとき弦月丸げんげつまるよりは數分すうふんまへみなとはつして、かくも迅速じんそくなる速力そくりよくてるにもかゝはらず、いまかへつふねあとふてるとは、これたん