打傾うちかたむ)” の例文
按摩あんまその仰向あをむいて打傾うちかたむいた、みゝかゆいのをきさうなつきで、右手めて持添もちそへたつゑさきを、かるく、コト/\コト/\とはじきながら
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
足の踏所ふみど覚束無おぼつかなげに酔ひて、帽は落ちなんばかりに打傾うちかたむき、ハンカチイフにつつみたる折を左にげて、山車だし人形のやうに揺々ゆらゆらと立てるは貫一なり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ひかけて、左右さいうる、とほりくさばかりではく、だまつて打傾うちかたむいて老爺ぢゞいた。それを、……雪枝ゆきえたしか面色おもゝちであつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まぶしさうに仰向あをむいた。つきとき川浪かはなみうへ打傾うちかたむき、左右さいう薄雲うすぐもべては、おもふまゝにひかりげ、みづくだいて、十日とをかかげ澄渡すみわたる。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
取つて着けたやうなみ方だから、見ると、もの/\しいまでに、打傾うちかたむいて一口ひとくち吸つて
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
さらば、といって、土手の下で、分れぎわに、やや遠ざかって、見返った時——その紫の深張ふかばりを帯のあたりで横にして、少し打傾うちかたむいて、黒髪くろかみかしらおもげに見送っていた姿を忘れぬ。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
手で片頬かたほをおさへて、打傾うちかたむいて小楊枝こようじをつかひながら、皿小鉢さらこばちを寄せるお辻を見て
処方秘箋 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
つかうへ趺坐ふざして打傾うちかたむいて頬杖ほゝづゑをした、如意輪によいりん石像せきざうがあつた。とのたよりのない土器色かはらけいろつきは、ぶらりとさがつて、ほとけほゝ片々かた/\らして、木蓮もくれんはな手向たむけたやうなかげした。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
午飯おひるに、けんちんをべていた。——なつことだし、先生せんせい令夫人れいふじん心配しんぱいをなすつて、お實家方さとかたがお醫師いしやだから、玉章ふみいたゞいて出向でむくと、診察しんさつして、打傾うちかたむいて、また一封いつぷう返信へんしよさづけられた。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さびしい笑顏ゑがほが、戸袋とぶくろへひつたりついて、ほのしろ此方こなたのぞいて打傾うちかたむいた。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
呆氣あつけられてみまもるのを、やさしい洋傘かうもりかげから、打傾うちかたむいて流眄ながしめ
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
革鞄かばんそでで抱いて帰つて来たのが、打傾うちかたむいて優しく聞く。
貴婦人 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
くちびる團扇うちはてて、それなり、たをやかに打傾うちかたむく。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「あれ。」とそでななめに、たもとを取って打傾うちかたむ
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
の烏、打傾うちかたむいて聞きつゝあり。
紅玉 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
看護員はうなじでて打傾うちかたむ
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
と少し打傾うちかたむいてなつかしそう。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
艶麗あでやか打傾うちかたむ
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
艷麗あでやか打傾うちかたむ
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)