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惨
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むご
ふりがな文庫
“
惨
(
むご
)” の例文
旧字:
慘
これは輿論が喧しくて罰しきれませんでしたが、一方では無能力者であり、不幸になった時だけ能力者になっている。
惨
(
むご
)
い話です。
婦人の創造力
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
手術をすれば、たぶん
癒
(
なお
)
るであろうが、青木の親たちは、手術は
惨
(
むご
)
いから忍びないと言って、成行に
委
(
まか
)
すことにしたのであった。
挿話
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
なんという
惨
(
むご
)
たらしい報いであろうと、お君は、どうしてもそのお嬢様のために心から同情しないわけにはゆきませんでした。
大菩薩峠:12 伯耆の安綱の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
着物が肩から背へかけて切裂かれて、疵口が、
惨
(
むご
)
たらしく、赤黒い口を開けていた。肉が、左右へ縮んでしまって、肩の骨が白く見えていた。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
わけても晩は、電燈のあかりの中にさらされた身体が、芸人でありながらも余りにあざやかで、あまりに
惨
(
むご
)
いものの美しさを
剥
(
む
)
き立てていた。
ヒッポドロム
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
▼ もっと見る
その
惨
(
むご
)
たらしい
死相
(
しにがお
)
を、ユラユラと動くランタンの光越しに覗いていると、何だか嬉しそうに笑っているかのように見えた。
幽霊と推進機
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
君太郎に勧められるまでもなくそうでもしなければ、今の私にも到底このままでは、この
惨
(
むご
)
たらしい記憶に幕が降ろせそうもないのであった。
生不動
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
暑いのか彼女は足を布団の上にあげ、病的にむっちりと白い腕も袖がまくれて
露
(
あら
)
わに布団の上に投げていた。
惨
(
むご
)
たらしくも情慾的な姿だった。
いのちの初夜
(新字新仮名)
/
北条民雄
(著)
それ程
辛
(
つら
)
い思を女がするだらうと思つてるのに、そのつらさうな顔を見に行くのは、私はあまり
惨
(
むご
)
い
為打
(
しうち
)
であると思つた。
二黒の巳
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
眼にこそ見えませんが、この世間には男性に弄ばれた女性の生きた
惨
(
むご
)
たらしい死骸が、幾つ転がつてゐるかも分りません。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
この唐の僧は最後に、賊に
擒
(
とら
)
えられ、賊の手によって首を斬られたのだった。この世に於てさえ、こんな
惨
(
むご
)
たらしい災害を避けることが出来ない。
宝永噴火
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
はっきり
判
(
わか
)
ります。
私達
(
わたくしたち
)
は
気
(
き
)
の
荒
(
あ
)
らい、
惨
(
むご
)
い
人間
(
にんげん
)
が
大嫌
(
だいきら
)
いでございます。そんな
人間
(
にんげん
)
だと
私達
(
わたくしたち
)
は
決
(
けっ
)
して
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
せませぬ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「誰があんな
惨
(
むご
)
たらしいことをしたかわかりませんが、どうか、
敵
(
かたき
)
を討って下さい。お願いでございます、親分」
銭形平次捕物控:122 お由良の罪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「商家の
手代風
(
てだいふう
)
の者でございますが、この肩さきから斜めに——いやもう、ふた目と見られませぬ
惨
(
むご
)
い傷で……」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そうじゃありません。その方の怪我人は片づけましたが、私の発見したそのお客の屍体は
惨
(
むご
)
たらしく咽喉笛を
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
青山小町と
迄
(
まで
)
うたわれた娘を、こんな
惨
(
むご
)
い目に
遇
(
あ
)
わしやがった奴を、おめおめ生かしておくもんじゃねえ。
乳を刺す:黒門町伝七捕物帳
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
水の手の水番小屋をのぞいてみると、城内の女たちや幼い者たちが刺し
交
(
ちが
)
えて、嵐のあとの花野のように
惨
(
むご
)
たらしくもみなけなげに、朱のなかに
俯伏
(
うつぶ
)
していた。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あれが飛んだことになりました。「ふむ、死にましたろう。だから言わないことか、あんなに
惨
(
むご
)
いことをなさるなと。とうとう責殺したね。
非道
(
ひどい
)
ことをしなすった。 ...
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
とツこに取つて出てゆけとまでは
惨
(
むご
)
う御座んす、家の為をおもへばこそ気に入らぬ事を言ひもする
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
その時の弟子の
恰好
(
かつかう
)
は、まるで酒甕を転がしたやうだとでも申しませうか。何しろ手も足も
惨
(
むご
)
たらしく折り曲げられて居りますから、動くのは唯首ばかりでございます。
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
町「なゝゝゝなゝ
何
(
なん
)
と仰しゃいます、この熊をお撃ちなさると、そりゃアまア
惨
(
むご
)
たらしい」
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
内部の情景を一目見せられた私は、想わずあっと
愕
(
おどろ
)
きの叫びを立てましたが、
俄
(
にわか
)
に体中が
慄
(
ふる
)
え出し、奥歯のかちかち触れ合うのが止みません……何という
惨
(
むご
)
たらしい出来ごとでしょう。
流転
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
方様はさておき、罪なき奥様の跡にてのお歎きいかなりけむ。思へば
惨
(
むご
)
き事なりしを、心狂はしきまで方様を恨みし我は。奥様をも和子をも、かつは我が身の上までも、忘れ果てしぞ浅ましき。
葛のうら葉
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
そしてこの
惨
(
むご
)
たらしい習俗はアイヌのウフイが残存したものである。アイヌでは難産で死ぬと墓地において、老婆が鎌を以て妊婦の腹を切開して葬ることが、アイヌの足跡と云う書に詳記してある。
本朝変態葬礼史
(新字新仮名)
/
中山太郎
(著)
どんな
惨
(
むご
)
いことが、この全然人気のない原っぱの中で行われたか……ただ、彼女の真白い足の裏が、靄に溶け込んだ蒼白い月の光りの中に、まるで海底の
海盤車
(
ひとで
)
のようにいぎたなく突き出されて見え
夢鬼
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
しかし血は
惨
(
むご
)
たらしい程に噴いていても、傷は皆浅い。
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
眼にこそ見えませんが、この世間には男性に弄ばれた女性の生きた
惨
(
むご
)
たらしい
死骸
(
しがい
)
が、幾つ転がっているかも分りません。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
惨
(
むご
)
たらしい殺され方を見た時、その
遺書
(
かきおき
)
を繰返して見た時、不貞の女の当然の報いを眼前に見せられても、なおその女が憎いとは兵馬には思えないで
大菩薩峠:05 龍神の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
で、
私
(
わたくし
)
どもに
向
(
むか
)
って
身上噺
(
みのうえばなし
)
をせいと
仰
(
お
)
ッしゃるのは、
言
(
い
)
わば
辛
(
かろ
)
うじて
治
(
なお
)
りかけた
心
(
こころ
)
の
古疵
(
ふるきず
)
を
再
(
ふたた
)
び
抉
(
えぐ
)
り
出
(
だ
)
すような、
随分
(
ずいぶん
)
惨
(
むご
)
たらしい
仕打
(
しうち
)
なのでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
わたくしが
臆
(
おく
)
しながら、先夜の女中の箱屋がかの女に
惨
(
むご
)
たらしくした
顛末
(
てんまつ
)
に
就
(
つい
)
て
遠廻
(
とおまわ
)
しに
訊
(
たず
)
ねかけると
雛妓
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
あの煙に
咽
(
むせ
)
んで
仰向
(
あふむ
)
けた顔の白さ、焔を
掃
(
はら
)
つてふり乱れた髪の長さ、それから又見る間に火と変つて行く、桜の
唐衣
(
からぎぬ
)
の美しさ、——何と云ふ
惨
(
むご
)
たらしい景色でございましたらう。
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
惨
(
むご
)
たらしゅう殺したる、
蛇
(
くちなわ
)
の鎌首ばかり、飛失せたらむ心地しつ立っても居ても落着かねば、いざうれ後を追懸けて、草を分けて探し出し、
引摺
(
ひきず
)
って帰らんとお録に後を頼み置き
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この手紙を読み終って、あたしは
悲歎
(
ひたん
)
に暮れた。なんという
非道
(
ひど
)
いことをする悪漢だろう。銀行の金を盗み、番人を殺した上に、松永の美しい顔面を
惨
(
むご
)
たらしく破壊して逃げるとは!
俘囚
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それらはその苦しさにおいても、ときめきにおいても、恐ろしい忍耐でさえもすべてはポーランドの土と結ばれているものである。そのポーランドに
惨
(
むご
)
たらしい破壊が加えられている。
キュリー夫人
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
この
惨
(
むご
)
たらしい光景を、詳しくお話するのは私の主旨ではありません。
新奇談クラブ:04 第四夜 恋の不在証明
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「ウーム! あやまって、とんだ
惨
(
むご
)
いことをいたした……」
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「誰が何の恨みでしたのか、わたくしはすこしも存じませんが、江戸に近い巣鴨の
庚申塚
(
こうしんづか
)
というところで、
惨
(
むご
)
たらしく殺されてしまったそうでございます」
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そうした
場合
(
ばあい
)
、
人間
(
にんげん
)
というものはさてさて
惨
(
むご
)
いことをするものじゃと、
俺
(
わし
)
はどんなに
歎
(
なげ
)
いたことであろう……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
例えそれが畸形児であろうとも、妾が母たることに違いはないのだ。血肉を分けた可愛い自分の子に違いないのだ。流産して殺すなんてそんな
惨
(
むご
)
たらしいことがどうして出来ようか。
三人の双生児
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
およそ世の中に、家の為に、女の
児
(
こ
)
を親勝手に縁附けるほど
惨
(
むご
)
たらしい事はねえ。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「どうかしましたか」それは決して
惨
(
むご
)
いとか冷淡とかいう声の響ではなかった。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「どうしたのです、これはまあ、
惨
(
むご
)
たらしいねえ、どうして早く取片づけてあげないの」
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
屍体の咽喉部は、真紅な
血糊
(
ちのり
)
でもって一面に
惨
(
むご
)
たらしく
彩
(
いろど
)
られていたが、そのとき
頸部
(
けいぶ
)
の左側に、突然パックリと一寸ばかりの傷口が開いた。それは何で
傷
(
きずつ
)
けたものか、ひどく肉が裂けていた。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
あれほどの大手柄をたてた艦に、なんと
惨
(
むご
)
い
御褒美
(
ごほうび
)
でしょう。
太平洋雷撃戦隊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「なんという
惨
(
むご
)
いこと……」
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
“惨”の意味
《形容動詞》
みじめなさま。
(出典:Wiktionary)
惨
常用漢字
中学
部首:⼼
11画
“惨”を含む語句
惨酷
悲惨
凄惨
無惨
惨状
惨死
惨虐
惨々
惨憺
惨澹
悽惨
陰惨
惨劇
惨害
見惨
悲雨惨風
惨刑
惨禍
惨殺
惨敗
...