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恰度
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ちやうど
ふりがな文庫
“
恰度
(
ちやうど
)” の例文
相應の賑ひを見せて居る眞砂町の
大逵
(
おほどほり
)
とは、
恰度
(
ちやうど
)
背中合せになつた埋立地の、兩側
空地
(
あきち
)
の多い街路を僅か一町半許りで社に行かれる。
菊池君
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
今しも汽車が同じ列車に人々及び彼を乗せて石狩の野を突過してゆくことは、
恰度
(
ちやうど
)
彼の一生のそれと同じやうに思はれたのである。
空知川の岸辺
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
銀行家だからといつて、まさか金塊を
懐中
(
ポケツト
)
に入れてゐる訳でもありますまいから、一億円の金塊は
恰度
(
ちやうど
)
三尺立方の
嵩
(
かさ
)
があります。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
恰度
(
ちやうど
)
部屋の真中へ天窓から強烈な光線が落ちてゐる。その中へ遠野ととみ子とは白い両手を握り合つてふら/\と立ち上つた。
静物
(新字旧仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
空家の前から左へ少し行くと路地の行止りで、其處に隣の大瀧清左衞門の浪宅の裏口——
恰度
(
ちやうど
)
妹娘のお勢の部屋から出る木戸があるのです。
銭形平次捕物控:163 閉された庭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
恰度
(
ちやうど
)
その時患者もゐなく、夕飯前の時刻を、ボンヤリしてゐたのであつてみれば、上つて話せといふその言葉も、可なり自然なものであつた。
亡弟
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
日本野球界は勿論、学生界に取つて最大不祥事件の一なる、早慶両大学野球戦中止の事あつてから、
恰度
(
ちやうど
)
満六年になる。
野球界奇怪事 早慶紛争回顧録
(新字旧仮名)
/
吉岡信敬
(著)
恰度
(
ちやうど
)
、あちらからその組合規定が送つて来たのですが、その表題は『有限責任狩太共済農団信用購買販売利用組合定欵』
私有農場から共産農団へ
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
ところが
恰度
(
ちやうど
)
一座が多人数を要したので、彼も川上の眼を
遁
(
のが
)
れ、人々に紛れてうまく採用されて了つたが、入つて了つてから、川上はすぐに彼に気が附いた。
虎
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
恰度
(
ちやうど
)
立去
(
たちさ
)
るべき
時
(
とき
)
が
來
(
き
)
ました、
池
(
いけ
)
にはそろ/\
其中
(
そのなか
)
に
落
(
お
)
ち
込
(
こ
)
んだ
澤山
(
たくさん
)
の
鳥
(
とり
)
や
動物
(
どうぶつ
)
が
群集
(
ぐんじゆう
)
して
居
(
ゐ
)
ました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
おしづさんが安倍能成君の紹介で、
阿母
(
おつか
)
さんに連れられて私の許へ來たのは、今から
恰度
(
ちやうど
)
六年前の春の末だつたらうと記憶してゐます。何でも其當座は毎日のやうに遣つて來ました。
「青白き夢」序
(旧字旧仮名)
/
森田草平
(著)
恰度
(
ちやうど
)
春挙
(
しゆんきよ
)
さんの海浜に童子の居る絵の出たころです。そのころは、それで普通のやうにおもつてゐたのでした。今日のは、何だか、そのころからみるとずつと絵がごつくなつてゐるとおもひます。
旧い記憶を辿つて
(新字旧仮名)
/
上村松園
(著)
低声で話をしてゐます、
恰度
(
ちやうど
)
暗夜に人々がさうするやうに。
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
三月一日は
恰度
(
ちやうど
)
日曜日。快く目をさました時は、空が美しく晴れ渡つて、東向の窓に射す日が、塵に曇つた硝子を薄温かに染めて居た。
菊池君
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
シェードに
蔽
(
おほ
)
はれた光線が
恰度
(
ちやうど
)
その
額
(
ひたひ
)
のところまで這ひ上り、そこの黄色を吸ひとつて石のやうに白く光らせてゐる。道助はそれを見てゐた。
静物
(新字旧仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
すると、夜になつて
家中
(
うちぢゆう
)
の鼠がこそ/\這ひ出して来て、
鱈腹
(
たらふく
)
それを食べるが、籾二斗で
恰度
(
ちやうど
)
一年分の餌に足りるさうだ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
靈
(
れい
)
なる
哉
(
かな
)
この石、
天
(
てん
)
の
雨
(
あめ
)
降
(
ふら
)
んとするや、
白雲
(
はくうん
)
油然
(
ゆぜん
)
として
孔々
(
こう/\
)
より
湧出
(
わきい
)
で
溪
(
たに
)
を
越
(
こ
)
え
峯
(
みね
)
を
摩
(
ま
)
する其
趣
(
おもむき
)
は、
恰度
(
ちやうど
)
窓
(
まど
)
に
倚
(
よ
)
つて
遙
(
はる
)
かに
自然
(
しぜん
)
の
大景
(
たいけい
)
を
眺
(
なが
)
むると
少
(
すこし
)
も
異
(
ことな
)
らないのである。
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
乃
(
そこ
)
で
愛
(
あい
)
ちやんは
恰度
(
ちやうど
)
お
稽古
(
けいこ
)
の
時
(
とき
)
のやうに
前掛
(
まへかけ
)
の
上
(
うへ
)
へ
兩手
(
りやうて
)
を
組
(
く
)
んで、それを
復習
(
ふくしう
)
し
初
(
はじ
)
めました、が
其聲
(
そのこゑ
)
は
咳嗄
(
しわが
)
れて
變
(
へん
)
に
聞
(
きこ
)
え、
其一語々々
(
そのいちご/\
)
も
平常
(
いつも
)
と
同
(
おな
)
じではありませんでした。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
こんな考へを永い間胸の中で上下し
乍
(
なが
)
ら来る
間
(
うち
)
に、いつの間にか家の前まで来てゐた。ふと気がついて顔を上げると、反対の方向から
恰度
(
ちやうど
)
父が帰つて来て、門を
這入
(
はい
)
る所であつた。
父の死
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
恰度
(
ちやうど
)
立札ほどの高さに
在りし日の歌:亡き児文也の霊に捧ぐ
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
唯一度私が小さい桶を擔いで、新家の裏の井戸に水汲に行くと、
恰度
(
ちやうど
)
其處の裏門の柱に藤野さんが
倚懸
(
よりかゝ
)
つてゐて、一人
潸々
(
さめ/″\
)
と泣いてゐた。
二筋の血
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
女優は自分の耳を疑ふやうに、戸を
押
(
お
)
し
開
(
あ
)
けてずつと入つて来た。も一度言つて置くが、その時は
恰度
(
ちやうど
)
六月であつた。小僧は
変
(
へん
)
もない顔をして言つた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
かゝる時、はからず目に入つた光景は深く脳底に
彫
(
ゑ
)
り込まれて多年これを忘れないものである。余が今しも車窓より眺むる処の雲の
去来
(
ゆきゝ
)
や、
樺
(
かば
)
の林や
恰度
(
ちやうど
)
それであつた。
空知川の岸辺
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
彼が小走りにその曲り角へ来た時、彼女は
恰度
(
ちやうど
)
三四間向うの左手の格子戸の
嵌
(
はま
)
つた家へ
這入
(
はい
)
るところだつた、這入りながら彼女はふいと背後を振り返つた。道助は少し
狼狽
(
うろた
)
へた。
静物
(新字旧仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
そしてポケットから
恰度
(
ちやうど
)
其日用があつて入れて置いた巻尺を取り出して入れた。
手品師
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
不器用
(
ぶきよう
)
な
手
(
て
)
つきで
赤子
(
あかご
)
を
取
(
と
)
りました、それは
妙
(
めう
)
な
格好
(
かくかう
)
をした
小
(
ちひ
)
さな
動物
(
どうぶつ
)
で、
其
(
そ
)
れが
付
(
つ
)
いてるまゝに
其腕
(
そのうで
)
や
脚
(
あし
)
を
皆
(
みん
)
な
外
(
そと
)
へ
出
(
だ
)
すと、『
恰度
(
ちやうど
)
海盤車
(
ひとで
)
のやうだ』と
愛
(
あい
)
ちやんは
思
(
おも
)
ひました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
私が釧路の新聞へ行つたのは、
恰度
(
ちやうど
)
一月下旬の事、寒さの一番
酷
(
きび
)
しい時で、華氏寒暖計が毎朝零下二十度から三十度までの間を昇降して居た。
菊池君
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
恰度
(
ちやうど
)
日盛
(
ひざかり
)
で
太陽
(
ひ
)
は
燦然
(
ぎら/\
)
と
煌
(
かゞや
)
き、
暑
(
あつさ
)
は
暑
(
あつ
)
し、
園
(
その
)
の
中
(
なか
)
は
森
(
しん
)
として
靜
(
しづ
)
まり
返
(
かへ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
怠惰屋の弟子入り
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
少し暗い所へ來て、ホッと息を吐いた時は、腕車が
恰度
(
ちやうど
)
本郷四丁目から左に曲つて、菊坂町に入つた所であつた。お定は一寸振返つてお八重を見た。
天鵞絨
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
恰度
(
ちやうど
)
予も同じ決心をしてゐた時だから、成るべくは函館で待合して、相携へて津軽海峡を渡らうと約束して別れた。
悲しき思出:(野口雨情君の北海道時代)
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
眼を
瞑
(
ねぶ
)
つた様な積りで生活といふものゝ中へ深入りして行く気持は、時として
恰度
(
ちやうど
)
痒
(
かゆ
)
い
腫物
(
しゆもつ
)
を自分でメスを執つて切開する様な快感を伴ふ事もあつた。
弓町より
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
と此處まで歌つたときは、
恰度
(
ちやうど
)
職員室の入口に了輔の右の足が踏み込んだ處である。歌は止んだ。此數分の間に室内に起つた光景は、自分は少しも知らなんだ。
雲は天才である
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
私の今日迄歩いて来た路は、
恰度
(
ちやうど
)
手に持つてゐる蝋燭の蝋の見る/\減つて行くやうに、生活といふものゝ威力の為に自分の「青春」の日一日に滅されて来た路筋である。
弓町より
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
恰度
(
ちやうど
)
鶴飼橋へ差掛つた時、円い十四日の月がユラ/\と姫神山の上に昇つた。空は雲
一片
(
ひとつ
)
なく穏かに晴渡つて、紫深く
黝
(
くろず
)
んだ岩手山が、
歴然
(
くつきり
)
と
夕照
(
せきせう
)
の名残の中に浮んでゐる。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
『
恰度
(
ちやうど
)
十時半です。』
道
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
恰度
(
ちやうど
)
橋の下である。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
恰
漢検準1級
部首:⼼
9画
度
常用漢字
小3
部首:⼴
9画
“恰”で始まる語句
恰好
恰
恰幅
恰当
恰腹
恰形
恰服
恰々
恰人
恰好事