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御影
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みかげ
ふりがな文庫
“
御影
(
みかげ
)” の例文
打出ヶ浜から
御影
(
みかげ
)
へかけての大事な一戦の日に——理由なく
後陣
(
ごじん
)
へさげられ、そのまま不面目な帰洛を余儀なくされていたのだった。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
御影
(
みかげ
)
に住んでゐる男が、国元に
相応
(
かなり
)
な
田畑
(
でんばた
)
を持つてゐるので、小作米の揚つたのを汽車で送らせて、御影の家で
貯
(
たくは
)
へてゐるのがある。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
銅の雨樋から落ちた水が、
御影
(
みかげ
)
で畳んだ見事な
暗渠
(
あんきょ
)
の中にチョロチョロと落ちて行くのを見て、平次は思わず歓声を挙げたのです。
銭形平次捕物控:096 忍術指南
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
いよいよ神戸出発の日が来て見ると、二十年振りで
御影
(
みかげ
)
の方から岸本を見に来た二人の婦人もあった。その一人は夫という人に伴われて来た。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
潜
(
くゞ
)
りから這入ると玄関迄の距離は存外短かい。長方形の
御影
(
みかげ
)
石が
飛
(
と
)
び
々々
(
とび
)
に敷いてある。玄関は細い奇麗な格子で
閉
(
た
)
て切つてある。
電鈴
(
ベル
)
を押す。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
それは
御影
(
みかげ
)
の
手水鉢
(
ちょうずばち
)
の上に枝を延ばしている
木蓮
(
もくれん
)
が、時々白い花を落すのでさえ、
明
(
あきらか
)
に聞き取れるような静かさだった。
疑惑
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
今日では矢張り高野村の中に加茂
御影
(
みかげ
)
社といふものがありまして、崇道神社の南側になつて居りますが、それがさうであつたといふ風に考へられて居ります。
近畿地方に於ける神社
(旧字旧仮名)
/
内藤湖南
(著)
阪急
御影
(
みかげ
)
の桑山邸にレオ・シロタ氏を聴く小さな集りがあって、それに三人が招待されていると云う訳で、雪子は外の会ならば喜んで棄権するのだけれども
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
五日の夕暮に源氏は
昆陽野
(
こやの
)
を立ち、ようやく生田の森へ近づいた。
雀
(
すずめ
)
の松原、
御影
(
みかげ
)
の松、昆陽野の方を見渡すと、それぞれ陣を張る源氏勢は遠火をたいている。
現代語訳 平家物語:09 第九巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
洞
(
ほら
)
は三縦列に成つて歩く事の出来る広さで、上は普通の家の天井よりも高く、其れが一面
御影
(
みかげ
)
質の
巌石
(
がんせき
)
で
掩
(
おほ
)
はれて居るのを見ると
巴里
(
パリイ
)
の地盤の堅牢な事が想はれる。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
朝ごとの
日
(
ひ
)
の
御影
(
みかげ
)
が、花のごとく空を
彩
(
いろど
)
る水平線の外にあって、最初は生死の別もなく、人の魂の自由に行き通う島地であったのが、次第にこちらの人の居処が移って
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
表の方へ廻りますと、
冠木門
(
かぶきもん
)
まで
御影
(
みかげ
)
の敷石です。左の方はいろいろの立木があっても、まだ広々していました。後には、ここらが寂しいからと、貸家を二軒立てました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
昨日
(
きのふ
)
は荷物を部屋に運び終ると、直ぐに
御影
(
みかげ
)
に住む友達、田原の家によばれて行つた。
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
また
近
(
ちか
)
つ
淡海
(
あふみ
)
の
御上
(
みかみ
)
の
祝
(
はふり
)
がもちいつく
四
、
天
(
あめ
)
の
御影
(
みかげ
)
の神が女、
息長
(
おきなが
)
の
水依
(
みづより
)
比賣に娶ひて、生みませる子、
丹波
(
たには
)
の
比古多多須美知能宇斯
(
ひこたたすみちのうし
)
の王、次に
水穗
(
みづほ
)
の
眞若
(
まわか
)
の王、次に
神大根
(
かむおほね
)
の王
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
「さ、露月どの、わしの信仰する神様のあらたかな
御影
(
みかげ
)
を拝まして進ぜるわ」
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
その院宣はついに、西の宮、
御影
(
みかげ
)
の再起戦でも負け、
完膚
(
かんぷ
)
なきまで、官軍にたたかれたさいごの日まで、彼の手には入らなかった。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私が丸い
墓石
(
はかいし
)
だの細長い
御影
(
みかげ
)
の
碑
(
ひ
)
だのを指して、しきりにかれこれいいたがるのを、始めのうちは黙って聞いていたが
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
六七人力を併せると、四枚の
御影
(
みかげ
)
を畳んだ井桁は何んの苦もなく取り払われて、石畳の上に
陥穽
(
おとしあな
)
のように、空井戸は真黒な口をポカリとあきました。
古城の真昼
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その内に
御影
(
みかげ
)
の
狛犬
(
こまいぬ
)
が向い合っている所まで来ると、やっと泰さんが顔を挙げて、「ここが一番安全だって云うから、雨やみ
旁々
(
かたがた
)
この中で休んで行こう。」
妖婆
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
あの地方では取締役なるものができ、村民は七名ずつ交替で
御影
(
みかげ
)
の陣屋を
護
(
まも
)
り、強賊や乱暴者の横行を防ぐために各自自衛の道を講ずるというほどの騒ぎだ。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
多分四時半ぐらいと思われる頃(貞之助の腕時計も破れてしまっていた)
御影
(
みかげ
)
町の玉置家の
親戚
(
しんせき
)
から、女史と少年の安否を気遣って
男衆
(
おとこしゅ
)
を見舞いに寄越したので、それをしおに
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
御影
(
みかげ
)
の田原の家はひつそりして、あるじの
悄氣
(
しよげ
)
てゐるのに引込まれ、子供達迄つまらない姿をしてゐるだらうと想像してゐたのにひきかへ、方々の酒藏の間をぬけて海邊に出ると
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
薩摩
(
さつま
)
には石神氏という士族の家が方々にありますが、いずれも山田という村の石神神社を、家の氏神として拝んでおりました。そのお社の御神体も、白い色をした大きな
御影
(
みかげ
)
石の様な石でありました。
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
塵居
(
ちりゐ
)
の
御影
(
みかげ
)
、
古渡
(
こわた
)
りの
御經
(
みきやう
)
の
文字
(
もじ
)
や
愛
(
めて
)
しれて
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
「義貞はここの旗本、細屋、大井田、
烏山
(
からすやま
)
、羽川、一の井、
籠守沢
(
こもりざわ
)
などの手勢すべてをひきつれて、一せいに
生田
(
いくた
)
か
御影
(
みかげ
)
あたりまで陣を退く」
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
家並
(
いえなみ
)
の立て込んだ裏通りだから、山の手と違って無論屋敷を広く取る余地はなかったが、それでも門から玄関まで二間ほど
御影
(
みかげ
)
の上を渡らなければ
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
兵庫県の
御影
(
みかげ
)
中学校だと名乗った。私のレコード講演を何かで読んで、顔を見たいと思ったのが、光一と長一と、一字違いで混線してしまったのである。
胡堂百話
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
お敏は薄暗がりにつくばっている
御影
(
みかげ
)
の
狛犬
(
こまいぬ
)
へ眼をやると、ほっと安心したような吐息をついて、その下をだらだらと川の方へ下りて行くと、
根府川石
(
ねぶかわいし
)
が何本も
妖婆
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
阪神の
御影
(
みかげ
)
町にある外科の病院なのであったが、そこの院長の蒲原博士は、阪大の学生時代から船場の店や上本町の宅に出入りして、蒔岡家の姉妹たちとは娘の頃からの
馴染
(
なじみ
)
なのであった。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
みみらくの
我日本
(
わがひのもと
)
の島ならばけふも
御影
(
みかげ
)
にあはましものを
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
塵居
(
ちりゐ
)
の
御影
(
みかげ
)
、
古渡
(
こわた
)
りの
御經
(
みきやう
)
の文字や
愛
(
めで
)
しれて
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
書写山のかこみを破って、十七日、師直、師泰の兵を
先手
(
せんて
)
に、兵庫へ出、さらに
御影
(
みかげ
)
街道へと、
怒
(
いか
)
りの奔流を見せていた。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
味方の
砲弾
(
たま
)
でやられなければ、勝負のつかないような
烈
(
はげ
)
しい
戦
(
いくさ
)
は
苛過
(
つらす
)
ぎると思いながら、
天辺
(
てっぺん
)
まで
上
(
のぼ
)
った。そこには
道標
(
どうひょう
)
に似た
御影
(
みかげ
)
の
角柱
(
かくちゅう
)
が立っていた。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
初子は身を
斜
(
ななめ
)
にして、
透
(
すか
)
すように格子の外を見た。格子の外には、一間に足らない
御影
(
みかげ
)
の敷石があって、そのまた敷石のすぐ外には、好い加減古びたくぐり門があった。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そのうちの幾つかは
庇
(
ひさし
)
の下にハミ出して、それが、お安の頭を打つたのでせう、わけても、
澤庵
(
たくあん
)
の重しほどの三四貫もあらうと思はれる
御影
(
みかげ
)
の三角石は、
蘇芳
(
すはう
)
を塗つたやうに
紅
(
あけ
)
に染んで
銭形平次捕物控:032 路地の足跡
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「次は
御影
(
みかげ
)
、次は御影でございます。………」
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
うき身夜な夜な
御影
(
みかげ
)
に
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
生田の
浜脇
(
はまわき
)
から神社の森へかけて展開していた新田義貞の陣も、いまはあとかたなく、敗北の総なだれを、はるか
御影
(
みかげ
)
の彼方へ没してしまい、あとには
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
三人は入口の五、六間手前でとまった。右手にかなり大きな
御影
(
みかげ
)
の柱が二本立っている。
扉
(
とびら
)
は鉄である。三四郎がこれだと言う。なるほど貸家札がついている。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
御影
(
みかげ
)
の
狛犬
(
こまいぬ
)
が並んでいる河岸の空からふわりと来て、青光りのする翅と翅とがもつれ合ったと思う間もなく、蝶は二羽とも風になぐれて、まだ薄明りの残っている電柱の根元で消えたそうです。
妖婆
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
土藏の入口の
御影
(
みかげ
)
の土臺石に頭を打つて死んでしまひましたよ
銭形平次捕物控:230 艶妻伝
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
御影
(
みかげ
)
にいつく
比丘尼
(
びくに
)
の
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
(この頃はなんでも、
兵庫
(
ひょうご
)
の
御影
(
みかげ
)
あたりで、誰やらの下屋敷にごろついているそうな)そういう噂は聞えたが
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
六畳の座敷は東向で、松葉を敷き詰めた狭い庭に、大き過ぎるほど立派な
御影
(
みかげ
)
の
石燈籠
(
いしどうろう
)
が据えてあった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
委細を使いの者から聞くと、取る物も取りあえず、
御影
(
みかげ
)
を立って、途中大坂の
傾城町
(
けいせいまち
)
で旅支度や酒をととのえ、夜を
冒
(
おか
)
して、駈けつけてまいったのですぞ。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
檜
(
ひのき
)
の
扉
(
とびら
)
に銀のような
瓦
(
かわら
)
を
載
(
の
)
せた門を
這入
(
はい
)
ると、
御影
(
みかげ
)
の敷石に水を打って、
斜
(
なな
)
めに十歩ばかり
歩
(
あゆ
)
ませる。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
石に不自由せぬ国と見えて、下は
御影
(
みかげ
)
で敷き詰めた、真中を四尺ばかりの深さに掘り抜いて、
豆腐屋
(
とうふや
)
ほどな
湯槽
(
ゆぶね
)
を
据
(
す
)
える。
槽
(
ふね
)
とは云うもののやはり石で畳んである。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「方丈があいさつに出るところじゃが、つい昨日
摂津
(
せっつ
)
の
御影
(
みかげ
)
まで参ってな、まだ両三日せねば帰らぬそうじゃ。——で、わしが代ってごあいさつ申す仕儀でござる」
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
繁氏
(
しげうじ
)
(細川)。山の手の助けに行け。三河ノ三郎(吉良)。なぎさづたいに
御影
(
みかげ
)
の
後
(
うし
)
ろ
詰
(
づめ
)
に駈けろ」
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
沙翁
(
シェクスピア
)
は女を評して
脆
(
もろ
)
きは汝が名なりと云った。脆きが中に我を通す
昂
(
あが
)
れる恋は、
炊
(
かし
)
ぎたる飯の柔らかきに
御影
(
みかげ
)
の砂を振り敷いて、心を許す奥歯をがりがりと寒からしむ。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“御影”の意味
《名詞》
御影 (ぎょえい、ごえい、みえい、みかげ)
(ぎょえい)天皇、三后、皇太子などの写真、肖像画。
(ごえい、みえい、みかげ)神仏、聖者、貴人などの肖像、画像、彫像、写真など。他人を敬ってそのその肖像。
(出典:Wiktionary)
御
常用漢字
中学
部首:⼻
12画
影
常用漢字
中学
部首:⼺
15画
“御影”で始まる語句
御影石
御影堂
御影供
御影向
御影供日