広間ひろま)” の例文
旧字:廣間
やがて、みんながおしろのなかにはいりますと、広間ひろまはちがおいてあって、そのなかに仕立したてあがった婚礼用こんれいようのシャツがはいっていました。
灰色ネズミ軍は、こんどはいちばん上の四階に突き進みました。四階は大きな、だだっぴろい広間ひろまになっていました。
平家へいけもん運命うんめいも、いよいよきわまり、安徳天皇あんとくてんのうをいただいた二位尼にいのあま水底すいていふかくしずむだんになると、いままで水をうつたようにしんとしていた広間ひろまには
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
洞穴の口は高さ五尺、はば二尺にすぎないが、はいってみると、かつぜんと内部は広くなり、二十尺四方の広間ひろまとなり、地上にはかわいた砂をしきつめてあった。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
やはり、甲館こうかんほりのうちで、躑躅つつじさき殿でんのうちの桜雲台おううんだいじょうじき広間ひろまの東につづいてってある。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
廊下らうか二曲ふたまがり、またなかばにして、椽続えんつゞきの広間ひろまに、線香せんかうけむりなかに、しろだんたかきづかれてた。そでそでかさねたのは、二側ふたかは居余ゐあまる、いづれもこゑなき紳士しんし淑女しゆくぢよであつた。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一ばん高いまどから広間ひろまの中をのぞき込んだり、また屋根の上からだれものぞけないところをのぞきこんで、だれも見たこともないこと、見てはいけないことまで見ました。
そうして、息をころして待っていますと、足音の主が、広間ひろまの中へはいってきました。
魔法人形 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
露地ろぢ打水うちみづなにかしてらう、先方せんぱう茶人ちやじんだから客はほかになければおまへ一人だから広間ひろまとほすかも知れねえが、おまへ辞儀じぎ下手へたで誠に困る、両手をちごはごにいてはいけねえよ
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
あるばん、クリストフの父が夕食をたべに町にかけた時、ゴットフリートは下の広間ひろまに一人残っていたが、ルイザが二人ふたり子供こどもをねかしているあいだに、外にてゆき、少し先の河岸かしにいってすわった。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
本堂の五十畳敷だと云ふ広間ひろまは全く不用な塲処だ。内の者は皆此の広間の有る事を忘れてる。殊に貢さんは生れて一度ものぞいて見ないのだから、遠い遠い不思議な世界から声を掛けられた気が
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
三人は、広間ひろまを、つきつぎと とおりぬけて、いちばんおくの とびらのまえにきました。とびらには、じょうが三つ さがっていました。
ある日のこと、その婦人が広間ひろまにすわって、糸をつむいでいると——これは、そのころの習慣しゅうかんだったんだ——ひとりのまずしい百姓ひゃくしょうがはいってきて、戸口とぐちこしかけに腰をおろした。
侍従長は御殿じゅうの階段かいだんを上ったりりたり、廊下ろうか広間ひろまのこらずかけぬけました。でもたれにあってきいても、さよなきどりのはなしなんか、きいたというものはありません。
不思議ふしぎや、天守てんしゆかべいて、なかけたやうに、うをかたちした黄色きいろあかりのひら/\するのが、矢間やざまあひから、ふかところ横開よこひらけで、あみうつるのかおよ五十畳ごじふでうばかりの広間ひろま
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
広間ひろまの人びとの声は、それでもまだしばらくのあいだ、なげき悲しみつづけていましたが、いつか流れがたえるようにきえていくと、こんどはまた、恐ろしいほどのふかいふかい沈黙ちんもく
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
だまつてゐな、おら馬鹿ばかすきだ……其儘そのまゝかへつて綿服めんぷくけ、先方むかうくと寄附よりつきへとほすか、それとも広間ひろまとほすか知らんが、鍋島なべしま唐物からものなにいてるだらう、かこひへとほる、草履ざうりが出てやう
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
広間ひろまには、えるような絨氈じゅうたんをしきつめてあった。そこは南蛮寺なんばんじの一室。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わしが死んだら、王子にしろのなかをすっかり見せてやってくれ。へやも、広間ひろまも、あなぐらも、またそこにあるたからものも、のこらず見せてやってもらいたい。
広間ひろまのまんなかに わをぶらさげて、そのわを、つれてきた女たちに とびぬけさせてください。うまくとびぬけた女を つれてきたものがかち、ということにしてください。」