トップ
>
姑息
>
こそく
ふりがな文庫
“
姑息
(
こそく
)” の例文
姑息
(
こそく
)
な心からそれまでに行かずともいい結果が生まれて来はしないかと思ったりしてきょうまでどっちつかずで過ごして来たんです。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
朝廷に最も勢力のあった神道主義者と仏僧とのヤソ教に対するあらゆる反対
讒訴
(
ざんそ
)
姑息
(
こそく
)
な陰謀は
秀吉
(
ひでよし
)
時代からの古いことであったが
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
無用なる努力、石炭の濫費、そして、不衛生なる煤煙の製造! 彼はこのままでは結局
姑息
(
こそく
)
な改造で何の役にも立たぬことを発見した。
空中征服
(新字新仮名)
/
賀川豊彦
(著)
その時分の
勢
(
いきおい
)
からいうと、日本的なもの、伝統的なもの、と説くことが因循
姑息
(
こそく
)
なものとして、
嘲笑
(
ちょうしょう
)
軽蔑
(
けいべつ
)
されやすい立場にあった。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
後世の国を
治
(
おさむ
)
る者が
経綸
(
けいりん
)
を重んじて
士気
(
しき
)
を養わんとするには、講和論者の
姑息
(
こそく
)
を
排
(
はい
)
して主戦論者の瘠我慢を取らざるべからず。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
▼ もっと見る
あるいは
姑息
(
こそく
)
にも馬、梅、蝶、菊、文等の語はいと古き代より用い
来
(
きた
)
りたれば日本語と
見做
(
みな
)
すべしなどいう人も
可有之
(
これあるべく
)
候えど
歌よみに与ふる書
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
因循
姑息
(
こそく
)
な地味な商売より、当りさえすれば儲けのある水商売の方が、やはり女の人には向いていると、云わなくてはいけないでしょうな。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
姑息
(
こそく
)
な手段は却って発覚の
虞
(
おそ
)
れがある。そこであなたは内臓を害するとか、指を切るという様な常套手段を排して、思い切った方法を選んだ。
何者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
到底
姑息
(
こそく
)
な手段によって互の苦悩から救わるべくも無かった。叔父としての彼が苦しむ罪は、姪としての節子が苦しむ罪だ。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
無論前にもいう通り二人の恋愛関係がはじめから誤った
姑息
(
こそく
)
な手段で、
糊塗
(
ごまか
)
していた事が、因をなしたには違いないが——
芳川鎌子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
なぜ岩を恐れ、氷を恐れ吹雪を恐れてこれらの
姑息
(
こそく
)
な手段を考えるのか。吹雪の日の涸沢岳の尾根こそ久しく求めて止まなかったところではないか。
単独行
(新字新仮名)
/
加藤文太郎
(著)
いつもの彼の
姑息
(
こそく
)
で、そうしているうちに幾日かの日がたってから、ある時葉子が思い出したように庸三を詰問した。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
そして神を求める今、その熱心が足りないでどうしましょう。カルチュアやマンナーや骨肉の
姑息
(
こそく
)
な愛(私は父母を愛するのに何の自信もありません)
青春の息の痕
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
顧慮する
勿
(
なか
)
れ、因循なる勿れ、
姑息
(
こそく
)
なる勿れ。夫れ権威は勝利者の手中にあり。この権威は使命と共に来る。使命を自覚したる者は権威の体現者なり。
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
約束的な
姑息
(
こそく
)
手段に
堪
(
た
)
えないで、マグダと同じような似たものが、あるだろう、あり得るはずだと認めるだけの眼をもって読んで行くからであります。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
姑息
(
こそく
)
な意地のわるい
虐
(
いじ
)
め方のみをして、
肝腎
(
かんじん
)
な頼朝をめぐる若い仲間のうちにあった大きな意慾が何であるかなどという点は見のがしていたのである。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一時のつけ元気で苦しさをまぎらかしたのも、
姑息
(
こそく
)
の
安
(
やすき
)
を
偸
(
ぬす
)
んでわずかに頭を休めたのも月末という事実問題でひとたまりもなく打ちこわされてしまう。
去年
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
今更体面を、顧慮する如きは、
姑息
(
こそく
)
の
見
(
けん
)
であると云う。——二人は、各々、自説を固守して、極力
論駁
(
ろんばく
)
を試みた。
煙管
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
借方もかかる所業の不義なるを知るといへども、
一
(
いつ
)
は
焦眉
(
しようび
)
の急に迫り、
一
(
いつ
)
は期限内にだに返弁せば何事もあらじと
姑息
(
こそく
)
して、この術中には陥るなりけり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
幕が
開
(
あ
)
いた。
覿面
(
てきめん
)
に死と相見ているものは、
姑息
(
こそく
)
に安んずることを好まない。老いたる処女エルラは、老いたる夫人の階下の部屋へ、檻の
獣
(
けもの
)
を連れて来る。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
第三に、然も、顧るに我国の文壇は、あまりにも狭苦しく、片寄っており、そして
姑息
(
こそく
)
に沈滞していた。ために、小説の種類も亦、非常に少く、淋しかった。
大衆文芸作法
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
諸君が
姑息
(
こそく
)
の慈善心をもって、
些少
(
さしょう
)
なりとも、ために御斟酌下さろうかと思う、父母も親類も何にもない。
革鞄の怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
如何
(
いか
)
なる寛仁大度の君主も、
姑息
(
こそく
)
な事をしてこれを捨てておく訳に往かぬ。ある場合には国を取り人を殺すということも必要である。無道を征するは必要である。
東亜の平和を論ず
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
それには郷里の因習や
姑息
(
こそく
)
に対してまだ
燻
(
くすぶ
)
っている父の改革の情熱を、違った他の問題に事寄せて先生に向って愛と共に訴えもし嘆きもするものゝように見えた。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
単なる噂とは存じましたが、いかにも
姑息
(
こそく
)
であり、後難を残すやりかたなので、河本をたずねて事実を
改訂御定法
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
鎖国の説は、一時は無事に候えども、
宴安
(
えんあん
)
姑息
(
こそく
)
の徒の悦ぶ所にして、始終遠大の御大計に御座なく候。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
如何なる行動を
執
(
と
)
ったかによりて判断する、またある国が卑劣であり、
姑息
(
こそく
)
であり、陰険であり、または馬鹿げたことをすれば、それは
直
(
ただち
)
に世界に知れ渡るのである。
真の愛国心
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
無論、そんな
姑息
(
こそく
)
の方法では根深い誤解を除く事はとても出来ないかも知れんが、少くも彼我国際間の融和を計るには日本の文明を紹介するが有力なる一手段である。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「詩」を失った和歌を、伝統の家業として継承するには、祖先の庭訓に対しても、御都合主義の
姑息
(
こそく
)
なこじつけが必要となってくる。為世はまさにそれを行っている。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
今の人は讓歩と云ふことの眞意義を知らない。けれども
姑息
(
こそく
)
の妥協は、政治、經濟の上では勿論、學問の上にも
屡々
(
しば/\
)
行はれて、それで大きな勃發もなしに流轉して行く。
計画
(旧字旧仮名)
/
平出修
(著)
そんな
姑息
(
こそく
)
なことをしてて、コーガン炎にでもなってみろ(と彼は目をむいて)おめえのいるあのシタドヤ(安下宿)の部屋じゃ、外のオツボネ(廊下)を誰かが通れば
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
父は手の平へ
其
(
その
)
袋を載せてやゝ
姑
(
しば
)
らく
眺
(
なが
)
めて居り升たから、私は今度限り勘弁してやるといつて、返して
呉
(
く
)
れるかと一寸は思ひ升た、併しそれほど
姑息
(
こそく
)
な父ではありませんから
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
認めて
姑息
(
こそく
)
ながらに生きているは「
蠢
(
うごめ
)
くもの」その他などに現れた先生の芸術云々——モグラモチのように真暗な地の底を掘りながら千辛万苦して生きて行かねばならぬ罪人の生活
死児を産む
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
といって、満目衆視の中で、親方に
姑息
(
こそく
)
な智慧づけをすることも、許されなかった。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
友人等は私のやり方があまりに
姑息
(
こそく
)
で、かえって失費の多いことを指摘し、どうせ拡げるものなら将来のことも考えて、一挙に大拡張してしまってはと忠告してくれたほどであったが
一商人として:――所信と体験――
(新字新仮名)
/
相馬愛蔵
、
相馬黒光
(著)
テンピというのも過渡時代の
姑息
(
こそく
)
器械でモー一層進歩したら誰の家にもストーブを
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
僕は
姑息
(
こそく
)
な策を用いないで、正面から堂々と訪問の用向きを話した。というのはこういう階級の女は、いったん話がこじれだすと、てこでも動かぬようになることをよく知っていたからだ。
或る探訪記者の話
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
姑息
(
こそく
)
なる国粋論者はよく、近来の漢法薬の復興をもって、東洋医学の権威を主張しようとするが、その漢薬が本統に何病かに利くということや、それが何病であるかという、臨症上のことは
新古細句銀座通
(新字新仮名)
/
岸田劉生
(著)
あるいは磯山自ら
卑怯
(
ひきょう
)
にも
逃奔
(
とうほん
)
せし
恥辱
(
ちじょく
)
を
糊塗
(
こと
)
せんために、かくは
姑息
(
こそく
)
の
籌
(
はかりごと
)
を
運
(
めぐ
)
らして我らの行を
妨
(
さまた
)
げ、あわよくば
縛
(
ばく
)
に就かしめんと
謀
(
はか
)
りしには
非
(
あら
)
ざる
乎
(
か
)
と種々評議を
凝
(
こら
)
せしかど、
終
(
つい
)
に要領を得ず
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
つい一年ほど前までは、慈善などという
姑息
(
こそく
)
な手段を排撃していたこの老人ではあったが、一たん乗り出したとなると、大臣の意向などにはお構いなく、難民への給食事業をぐいぐい実行して行った。
チェーホフ試論:――チェーホフ序説の一部として――
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
安易と
姑息
(
こそく
)
とから
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
この時の事勢においてこれを
抑制
(
よくせい
)
すること
能
(
あた
)
わず、ついに
姑息
(
こそく
)
の
策
(
さく
)
に
出
(
い
)
で、その執政を
黜
(
しりぞ
)
けて一時の人心を
慰
(
なぐさ
)
めたり。
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
こうしたおたがいの最善の理解の上に、はじめて秩序あり
生命
(
いのち
)
あるまことの生活が営まれる。
姑息
(
こそく
)
の愛に生命は無い
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
細川ガラシヤの死は、三成に、そういう
姑息
(
こそく
)
な手段が、真の武士の内室に対しては、何の
効
(
かい
)
もないことを教えた。
日本名婦伝:細川ガラシヤ夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もし反動が
恐
(
おそろ
)
しいの、騒動が大きくなるのと
姑息
(
こそく
)
な事を云った日にはこの
弊風
(
へいふう
)
はいつ
矯正
(
きょうせい
)
出来るか知れません。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかも後者においては
姑息
(
こそく
)
なるものに対するはがゆさであるが、前者においては
荒らす者
(
ツェルステイレル
)
に対する敵意である。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
あきらめの悪い
姑息
(
こそく
)
な方法には相違なかったけれど、彼の不思議な恋を一分でも一秒でも長く楽しむ為には、この様な一時のがれをでも試みる外はなかった。
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「一日の
苟安
(
こうあん
)
は、数百年の大患なり、
今
(
い
)
ま
徒
(
いたずら
)
に
姑息
(
こそく
)
以て処せば、その我を軽侮するもの、
豈
(
あ
)
に独り露人のみならん。四方の
外夷
(
がいい
)
、我に意あるもの、
踵
(
くびす
)
を接して起らん」
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
今の人は譲歩と云ふことの真意義を知らない。けれども
姑息
(
こそく
)
の妥協は、政治、経済の上では勿論、学問の上にも屡々行はれて、それで大きな勃発もなしに
流転
(
るてん
)
して行く。
計画
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
「
一時
(
ひととき
)
後
(
おく
)
れては、取り返しがなりません。いったい、あなたがたは病を
軽蔑
(
けいべつ
)
しておらるるから
埒
(
らち
)
あかん。感情をとやかくいうのは
姑息
(
こそく
)
です。看護婦ちょっとお押え申せ」
外科室
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“姑息”の意味
《名詞・形容動詞》
(「姑|しばらく休息する」が原義)一時的な間に合わせ、その場しのぎ。
卑怯。ずるいこと。この語義を誤用とする説もある。
(出典:Wiktionary)
姑
漢検準1級
部首:⼥
8画
息
常用漢字
小3
部首:⼼
10画
“姑息”で始まる語句
姑息手段
姑息弥縫