)” の例文
田舎者「宿屋の番頭さんは物の間違にならん様にするが当然あたりまえで、わしが目で見て証拠が有るので、なに間違えばえ、わし脊負しょって立つ」
「そんなにせんでもえに。気の毒じゃナ」山城守は、機嫌を直した。「して、幸吉はもう帰ったのだな。その品物はどこにある」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「お爺さん、一寸お尋ね申します、佐世保の方には此の道を行つてえのでせうか。」私は直ぐ前に歩いてゐる老人にいた。
ある職工の手記 (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
かねの有る奴で評判のえものは一人も無い、その通じやが。お前は学者ぢやからおのづから心持も違うて、かねなどをさうたつといものに思うてをらん。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
醜い三沢の付添いは「本間ほんまに器量のいものは徳やな」と云った風の、自分達には変に響く言葉を使って、二人を笑わせた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
………あれでこいさんは、何と云うてもとうちゃん育ちで、人のえとこあるさかいに、あんじょう円められてますねんわ
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「そないに云わんでもえがな。むこうも一生懸命や、あわてとるさかい、偽札でもほんまや思うて、取りよるがな」
急行十三時間 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
「山県——はア学校の先生さんだア、私等が餓児がきも先生様の御蔭にはえらくなつてるだア。い優しい人で、はア」
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
それで『んな破片はへんもらつてもえかね』とうてると『そんなものならいくらでもつてきねえ』といふ。
「うんにゃ。も少し待で。又すぐ晴れる。おらも弁当食ふべ。あゝ心配した。おらとらこ山の下まで行って見で来た。はあ、まんつがった。雨も晴れる。」
種山ヶ原 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
ととさんはナァ、センソウにゆきなさるけん、おとなしゅうして、遊んでいなはり——、ナァえかい?……」
戦争雑記 (新字新仮名) / 徳永直(著)
「水はいもんじゃなあ、麹町わしうちがけに、山吹やまぶきう咲いているが、下に水があるとえのじゃが——」
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
『だつて主婦おかみさんが貴方あなたの事心配してるよ。え人だども、今から酒など飮んで、怎するだべて。』
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
帰ると溜息ためいきついて曰く、全く田舎がえナ、浅草なンか裏が狭くて、雪隠せっちんに往ってもはなつっつく、田舎にけえると爽々せいせいするだ、親類のやつが百姓は一日いちにちにいくらもうかるってきくから
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
えさ好えさ、赤子あかごじゃあるまいし。」そういうと男は「どっこいしょ。」と背後へかえった。母は子の頭を膝から起して「待っておい。」といって笑いながら縁側の方へ立った。
(新字新仮名) / 横光利一(著)
「聴かぬためのラジオなら、作らん方がえ。学者馬鹿たあ、よう云うたる」
巡査辞職 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「先生、こんなえお天気に外へも出んと、何してお居やすのや。」
「振れ舞ふよか振れ舞はれた方がえね。」
椋のミハイロ (新字旧仮名) / ボレスワフ・プルス(著)
「三野村さん、あんたお園さんのどこがようてそんなにほれたんどすいうて訊くと、三野村さんもお園さんの、ほんならどこがえというところもないけれど、ただこうどことなくおとなしいようなところがええいうのどす」
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
マア今日もお天気で塩梅あんばいです。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
えこと、しやがるなア」
菜の花月夜 (新字旧仮名) / 片岡鉄兵(著)
「ま、そんなこたあどうでもえやな。それよりゃあ番頭さん、珊瑚が無えとお前さんが言いだした時、煎餅屋の女房はどうしましたえ。」
「へえ、それは/\御遠方な。まだ三十にやおなんなさるまいて、工場ぢやよほどえ給金を取つておいでぢやさうですが。」
煤煙の匂ひ (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
多「惣吉さん、此方こっちへお出でなさえ、今迄ぼうちゃんを可愛がったなア、世辞で可愛がった狸阿魔だから、側へ行かないがえ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それほどに、のう、人のほしがる財じや、何ぞえところが無くてはならんぢやらう。何処どこえのか、何でそんなにえのかは学者には解らん。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「そりゃ、え時に帰って来た。何か談判でもするのか。結婚の条件か。近頃は無財産の細君を貰うのは不便だからのう」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「こいさん、そんなに啓坊との関係断ちたい思うてたのんやったら、今迄にかて何ぼでも断てたやないの。板倉の時かてえ機会やったのんに。………」
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「うんにゃ。も少しで。またすぐ晴れる。おらも弁当べんとう食うべ。ああ心配した。おらとらこ山の下まで行って見で来た。はあ、まんつがった。雨も晴れる。」
種山ヶ原 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「荷馬車なんて、めた方がよっぽどえ。遊んでばかりいて、馬と二人して、喰いこんじゃたまらん……」
戦争雑記 (新字新仮名) / 徳永直(著)
『だつて主婦おかみさんが貴方の事心配してるよ。え人だども、今から酒など飲んで、怎するだべて。』
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「駐在所で、仕末が出来でけねえだら、長野へつゝ走つて、何うかして貰ふがいし、長野でも何うも出来ねえけりや、仕方が無えから、村の顔役がたかつて、千曲川へでも投込はふりこんで了ふがいだ」
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
「短くてえからな、四つも拵えるだな。そ、其処の麦からが好いよ」
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「ここがいぞ、いや、しきものはいらん、いらん。」
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
かれん方がえ。好かれる人いやゝ。」
悲しめる顔 (新字旧仮名) / 横光利一(著)
えなア」
菜の花月夜 (新字旧仮名) / 片岡鉄兵(著)
あろうしたと見えて此様こないこわれて役にたゝんが、落板おとしはまだ使える、此の落板に合わしてい塩梅に拵えてもらいたいもんじゃ
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
母親はそれを見ると一層我が子に同情して「お前さん。そんなに自分の子を打たんでもえ。それはあんまり……の。」
ある職工の手記 (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
「止すなら止してもえが、然し君等はいざとなると駄目な男じゃ。私ゃ屹度独りでもやって見せるぜエ。」
The Affair of Two Watches (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「あゝさうが。心配した、心配した。あゝがった。おゝ達二。寒がべぁ、さあ入れ。」と云ひました。
種山ヶ原 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
「たまには、こう云う所もえな。僕はしかし田舎いなかから帰ったばかりだからいっこう珍しゅうない」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
『持つて來てやるで。あのね、』と笑つたが『貴方え物持つてるだね。』
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
お前の学問するのが面白い如く、俺は財の出来るが面白いんじや。お前に本を読むのをえ加減にい、一人前の学問が有つたらその上望む必要は有るまいと言うたら、お前何と答へる、あ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
此処ここは反響がい、素晴しくいね。」
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「お種坊たねぼう、遊んでいくがいや」
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
「ちょびっとでもえがな。」
南北 (新字新仮名) / 横光利一(著)
海「えらい事を知っているな、困ったな、いわ知られた上は是非がないが、あれは一寸ちょっとその只ほんの気晴しに女子おなごを愛すので、楽しんで淫せずでな」
「ああそうが。心配しんぱいした、心配した。ああがった。おお達二。さむがべぁ、さあ入れ。」といました。
種山ヶ原 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「しかし、そう云う条件を付けて置く方が君の将来のためにえぞ。そうせい。僕が懸合かけおうてやる」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「来年は工場を拡めるけえ、われにも来て貰ひたい云うていんだがな、いつまでも此のまゝでをるよりかさうする方がえと思ふが、わりや、どういふ料見れうけんか知らんてな。」
煤煙の匂ひ (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
あとの調べはえ加減なところでよろしいやないかと、僕は極力勧めているのですが、まあ今夜の様子で、当人同士異存がないようなら、今度は多分まとまりそうに思われますな
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)