大丈夫だいじょうぶ)” の例文
特務曹長「はい大丈夫だいじょうぶであります。後列の方の六人でよく拝見しろ。」(渡す。最後の六人これを受けとり直ちに一箇ずつちぎる。)
饑餓陣営:一幕 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
児をてる日になりゃア金の茶釜ちゃがまも出て来るてえのが天運だ、大丈夫だいじょうぶ、銭が無くって滅入めいってしまうような伯父おじさんじゃあねえわ。
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
なに誰も居ないから大丈夫だいじょうぶですと、ちょっとおれの方を見たが、わざと顔をそむけてにやにやと笑った。おれは何だかやな心持ちがした。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「もう大丈夫だいじょうぶです」とさるはいいました。「人形は盗賊とうぞくどものところにあるにちがいありません。私が行って取りもどしてきましょう」
人形使い (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
と指をかけようとする爪尖つまさきを、あわただしく引込ひっこませるを拍子ひょうしに、たいを引いて、今度は大丈夫だいじょうぶに、背中を土手へ寝るばかり、ばたりと腰をける。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「お前はだらしがないからねエ」としかりつける母には、「あア、合宿に忘れてきたんだ。もう一度帰ってくる。大丈夫だいじょうぶだよ」
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
何も南朝の歴史に限ったことはない、土地が土地だから、それからそれと変った材料が得られるし、二つや三つの小説の種は大丈夫だいじょうぶ見つかる。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
信長ほどの大丈夫だいじょうぶも同性愛に目がくらんで、時々こんなメンタルテストを試みたかと思うと、何とも云えぬ親しみを感ずる。
大衆文芸作法 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
さればその歌に吾妹子の語多きに対してますらをの語多きが如きまた以て彼が堂々たる大丈夫だいじょうぶを以てみずから任じたるを知るに足る。ますらをの歌
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
なにいつくようなくろじゃなし、げてなんぞないでも、大丈夫だいじょうぶかね脇差わきざしだわな。——こっちへおいで。あたまけてあげようから。……
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
とにかく、この人はどこへ持って行っても大丈夫な人だ。潔癖けっぺき倫理的りんりてきな見方からしても大丈夫だいじょうぶだし、最も世俗的な意味からっても大丈夫だ。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
おとうさんがもう大丈夫だいじょうぶだから家にはいろうといったけれども、ぼくははいるのがいやだった。夜どおしでもポチといっしょにいてやりたかった。
火事とポチ (新字新仮名) / 有島武郎(著)
大丈夫だいじょうぶ。あしたはさっそくたぬきをさそして、ひどい目にわしてやります。しばらくっていらっしゃい。」
かちかち山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
一カ所ごとにこしを落付けて、きちんとその点を片づけて、ここまでは大丈夫だいじょうぶという段階を一段一段と上がって行くやり方が、この実験室の気風であった。
実験室の記憶 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
「どんなやつかしらないが、ここまでくれば大丈夫だいじょうぶだよ。ドアはしめたし、そちらに警官けいかんもいらっしゃるんだ」
おそらくあなたが世話をなさるよりも、かえって学校の世話のほうがゆきとどくだろうと思いますから、心配なさらずに、お帰りになっても大丈夫だいじょうぶでしょう。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
さっきは、大丈夫だいじょうぶだと思った。話がうますぎた。昨晩、横着おうちゃくをしたのがわるかったのだ。天罰覿面てんばつてきめんである。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
と、口をおさえたが、この博士の言葉から考えると、人造人間は、水にぬれても大丈夫だいじょうぶのようにできあがっているらしい。どこまでもよくできた人造人間だった。
人造人間エフ氏 (新字新仮名) / 海野十三(著)
只今踏消して参りますと云うと、そんならあとで消せよと云ってくから、大丈夫だいじょうぶだ、さア此処こゝおろすべい
文麻呂 大丈夫だいじょうぶですよ、お父さん。まだ大丈夫です。第一、この頃の坊主ぼうず達のやることなんて何が当てになるもんですか? 勤行の時間なんて出鱈目でたらめですよ、お父さん。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
すると、いや大丈夫だいじょうぶだ、あの馬は追込みだ、と声がした。ふと振り向くと、ジャンパーを着た「あの男」がずっと向う正面を睨んで立っていた。白い顔が蒼ざめている。
競馬 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
そなたの統一とういつもそのへんまですすめば大丈夫だいじょうぶ大概たいがい仕事しごと差支さしつかえることもあるまい。したがってそなたがこのうえここに必要ひつようもなくなったわけ……ではこれでおわかれじゃ……。
兄は弟と違って気長な子供でしたから「大丈夫だいじょうぶ、榎木の実はもう紅くなって居る。」
二人の兄弟 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「それなら大丈夫だいじょうぶ。でも、口をきいちゃ駄目だめだよ。」とわか姉さんは注意しました。
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
「もう大丈夫だいじょうぶですよ。内藤君、見たまえ。芙蓉ふようだ。これは花壇のを写生したんだぜ」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
大丈夫だいじょうぶだ、大丈夫だ。死にゃアしない、生きているぞおれは、たしかに生きている。その証拠しょうこにはほしが見える。月だってありありと見えるじゃないか。だが今は、死んだかと思った。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「わたしにまかせておけば、大丈夫だいじょうぶ!」と、オーレ・ルゲイエは言いました。
雷雨が過ぎて、最早大丈夫だいじょうぶと思うと、彼は急に劇しい疲労を覚えた。れた洋服の冷たさと重たさが身にこたえる。足が痛む。腹はすく。彼は重たい/\足を曳きずって、一足ずつ歩いた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「確かだわ。今晩は夕立ち、明日から四五日お天気は大丈夫だいじょうぶよ」
渾沌未分 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
大丈夫だいじょうぶです。僕は後悔などはしません。」
河童 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「硝子がはいったけど大丈夫だいじょうぶだろう」
清貧の書 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
大丈夫だいじょうぶ。大丈夫だ。〕おりるおりる。がりがりやって来るんだな。ただそのおしまいの一足だけがあぶないぞ。はだかの青い岩だしきゅうだ。
台川 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「もう大丈夫だいじょうぶですね。邪魔じゃまものは追っ払ったから」まさしく野だの声である。「強がるばかりで策がないから、仕様がない」これは赤シャツだ。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今度こそ大丈夫だいじょうぶだと彼は思いました。自分の身体が誰にも見えないというのだから、どんなことをしたって平気です。昼間から町へやって行きました。
泥坊 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
大丈夫だいじょうぶ、君たちこそ気をつけたまえ。警部さんがくるまで、むやみに手だしをするんじゃないよ」
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
大丈夫だいじょうぶ、わたしがおぶっていってげますよ。だから、さあ、行きましょう、行きましょう。」
くらげのお使い (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「と、とんでもねえ。うらぎったりするものですか……心配しんぱいしねえでも大丈夫だいじょうぶですよ。あっしにできることなら、なんでもいたしますよ——なんなりと言いつけてくだせえ」
「それは大丈夫だいじょうぶだ。きみのところはみんなそろって抜群の成績だそうだな」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「ふん、しげさん。をつぶさねえように、大丈夫だいじょうぶか」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
『おじいさまモー大丈夫だいじょうぶでございますとも……。』
大丈夫だいじょうぶ、むずかしいことはしないのさ。」
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
「あ、大丈夫だいじょうぶ、死にはしません」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大丈夫だいじょうぶ二十分かかりません。なるべくせいのたような人と、二人ふたりで一つずつかついで下さい。そうです、町の裏を通って行くのです。
イーハトーボ農学校の春 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「そうか、大抵たいてい大丈夫だいじょうぶだろう。それで赤シャツは人にかくれて、温泉の町の角屋かどやへ行って、芸者と会見するそうだ」
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「まあいいや、二月の末まで待ってみよう。がいはしないとあいつは約束したんだから、たいてい大丈夫だいじょうぶだろう」
天下一の馬 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
大丈夫だいじょうぶ、しっかりお留守居るすいをいたしますから、をつけて、ぶじにはやくおかえりなさいまし。」
松山鏡 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「先生、大丈夫だいじょうぶですか。ここは地上二万五千メートルの高空、宇宙航空船の中ですよ」
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「なアに大丈夫だいじょうぶ、これでごンす」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「さあ、もう大丈夫だいじょうぶだよ」
大丈夫だいじょうぶかの」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)