“噂:うわさ” の例文
“噂:うわさ”を含む作品の著者(上位)作品数
紫式部40
中里介山39
太宰治31
野村胡堂24
芥川竜之介22
“噂:うわさ”を含む作品のジャンル比率
歴史 > 伝記 > 日本83.3%
文学 > フランス文学 > 小説 物語51.9%
文学 > 日本文学 > 小説 物語12.0%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
神田の方のある棟梁とうりょうの家から来ている植源の嫁も、その主人のことを始終鶴さん鶴さんといって、うわさしていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
間もなく三吉は兄と二人ぎりに成った。森彦は夏羽織を脱いで、窓に近く胡坐あぐらをかいた。達雄や実のうわさが始まった。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「ステッセルも一生懸命だとみえますな。まだ兵力が足りなくって第八師団も今度旅順に向かってつといううわさですな」
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
「式のとき、あなたのうわさも出ましたよ。あれはもう東京で、ちゃんといいひとがあるらしい、とみんなそう云っていました」
永遠のみどり (新字新仮名) / 原民喜(著)
うわさによれば、坐忘ざぼう先生は常に坐禅ざぜんを組んだまま眠り続け、五十日に一度目をまされるだけだという。
悟浄出世 (新字新仮名) / 中島敦(著)
などと、町のうわさはたいへんだったが、いかにもこの噂のとおり、四馬剣尺の一味のもので、主だった連中はほとんど逃げた。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「その後、おうわさを承るのみで、一向に御消息を存ぜぬことでしたが、御無事で何よりめでたい、どちらにお住いでござるか」
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
村の人達は前日のうわさでもうよく心得こころえていますので、大根だのごぼうだのいもだのいろんな野菜をやりました。
キンショキショキ (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
村民は原因不明なるため、金甕かなかめのうなりなりとか、昔の墓地跡なれば亡霊の仕業なりなど、うわさとりどりなりとぞ。
おばけの正体 (新字新仮名) / 井上円了(著)
思想上の話もしたし、社会主義の話もしたが、肝胆相照らしたというわけでもないから多くは文壇や世間のうわさばなしだった。
最後の大杉 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
そしてそれはそのカフェがその近所に多く住んでいる下等な西洋人のよく出入りするといううわさを、少し陰気に裏書きしていた。
ある崖上の感情 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
そして、都合によっては来朝中の某国映画俳優も来てくれるはずになっているということが群衆のうわさの焦点になっていた。
或る嬰児殺しの動機 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
それらの人達に逢う楽みに加えて、宿にはまたリオンの方に滞在する岡のうわさや巴里のシモンヌの噂などの出る画家がある。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
一昨日おととい落ちた。敵は遼陽の手前で、一防禦ひとふせぎやるらしい。今日の六時から始まったといううわさだ!」
一兵卒 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
僕のまわりにいた客の中には亀清かめせいの桟敷が落ちたとか、中村楼の桟敷が落ちたとか、いろいろのうわさが伝わりだした。
追憶 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
その人をけものにしておいて、他人にそのうわさをさせて平気で聞いていることはどうしても彼にはできないと思った。
親子 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
葉子は、麻川氏の病弱を絶えずうわさには聞いて居たが、うまで氏をさいなみ果した病魔の所業に今更ふかく驚ろかされた。
鶴は病みき (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「へえ、そいつは珍しい物を貰ったネ。豊世さん、豊世さんッて、よくお前はうわさをしていたっけが。どうだね、あの人の話は」
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「これからさき、これからさき、あの男はどうして生きて行くのだろう」――彼は年少の友人達にそんなうわさをされていた。
永遠のみどり (新字新仮名) / 原民喜(著)
どうか径我のないようにしたいものだと、寄ると触るとうわさをして居る其処そこに、本人の村田の話を聞て見れば今の次第
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
それ以来、宗右衛門の泰松寺通ひのうわさが添田家の内外に高くなつた。宗右衛門は商売も追々番頭にまかせ勝ちになつて行つた。
老主の一時期 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
「そこだ――路傍のうわさでは、伊東甲子太郎いとうきねたろうが最も有望だということだが、くわしいことはよくわからんが」
おしょさんが若かった時、太政官の参内の馬車の腰かけの下へかくれていったと、やかましくうわさされた事もあったそうだ。
伊予介が娘を結婚させて、今度は細君を同伴して行くといううわさは、二つとも源氏が無関心で聞いていられないことだった。
源氏物語:04 夕顔 (新字新仮名) / 紫式部(著)
寂しい生活をするうちに恋愛関係から子供を生んだという話を近ごろ源氏は聞き、そのうわさを伝えた人を呼び出して、宰相の娘に
源氏物語:14 澪標 (新字新仮名) / 紫式部(著)
紫夫人が死んだといううわさがもう世間に伝わって弔詞くやみを述べに来る人たちのあるのを不吉なことに院はお思いになった。
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)
「一条の宮様と御結婚なすったと太政大臣家あたりではおうわさしているようですが、ほんとうのことはどんなことなのでしょう」
源氏物語:40 夕霧二 (新字新仮名) / 紫式部(著)
私は角力に関しては少しも知るところが無いのだけれど、それでも横綱、男女川に就いては、時折ひとからうわさを聞くのである。
男女川と羽左衛門 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「いかに和田でも、羽田の尾白おじろは仕留められまい。――そのうわさを聞くたびに、わたしは冷々ひやひやします。」
(新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ちよつとひそかに上洛じょうらくされたやうなうわさもありましたので、それを種に人をお担ぎになつたのでございませう。
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)
かくすること日を重ねたりしに、次第にその女のところへ村の何某という者夜々よるよるかようといううわさ立ちたり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
私はその話を小供の時分から覚えていたが、ついぞそこにしまってあるといううわさの安兵衛が口を着けた枡を見たことがなかった。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
うわさによると比田はこの頃変な女に関係をつけて、それを自分の勤め先のつい近くに囲っているという評番ひょうばんであった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
恐らく白痴であろうと下宿の食堂に集る人達はうわさし合って、誰がけるともなく「カロリイン夫人」という名を命けていた。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
何かにつけて、お種の話は夫のうわさに落ちて行った。何故、達雄が妻子を捨てたかという疑問は、絶えず彼女の胸を離れなかった。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
急に三吉は沈鬱ちんうつな心の底から浮び上ったように笑った。正太と一緒に坐って、兜町かぶとちょうの方のうわさを始めた。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
真実ほんとううそか、世間のうわさだから当てにはならないけれど、お銀ちゃんとの噂が立っていますからね。」
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「年とった巡礼が一人、生胴いきどうをものの見事にやられたと甲州から来た人のもっぱらのうわさでござりまする」
一切いっさいの事情を知る者は私と妻と両人よりほかにないから、榎本がドウなろうと私の家でうわさをする者もない
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「あ、金だ。黄金だ。ふうん、やっぱりそうだったんだよ、海溝には黄金があるといううわさがあったんだが、本当だった」
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「おい、黒川、いや黒川団長、城南には、お前、心あたりの空地があるのか。今は、空地がほとんどないといううわさだぞ」
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
耶馬台やまとの宮の若者たちは、眼をますとうわさに聴いた鹿の美女を見ようとして宮殿の花園へ押しよせて来た。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
洋行がえりの式部官戸田子爵夫人極子が、きわめて豊麗な美女で、故伊藤公が魅惑を感じて物議をひきおこしたとのうわさもあった。
明治大正美人追憶 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
若い衆、お前さんなんぞも、もしや眼前にそんなうわさがあっても、決して見物に出かけなさるなよ、出世の妨げになるから
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「どうも太郎や次郎の大きくなったのには、たまげた。三吉もよくお前さん達のうわさをしていますよ。あれも大きくなりましたよ」
ある女の生涯 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「私の愛はうわさとか何とかいうものに左右されない絶大なものなのだがね。そんなことが理解していただけないとは苦しいものだ」
源氏物語:40 夕霧二 (新字新仮名) / 紫式部(著)
しかし晩になると、ドイツ人の方こそ娘をなぐるような畜生だといううわさが、その界隈かいわいにくり返し伝えられた。
ちょっとひそかに上洛じょうらくされたようなうわさもありましたので、それを種に人をお担ぎになったのでございましょう。
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
白柄組の喧嘩沙汰は日増しに激しくなって来るらしく、ゆく先々でそのうわさを聞かされる度に、お菊の母は胸を痛くした。
番町皿屋敷 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
まちには、病院びょういん新院長しんいんちょういての種々いろいろうわさてられていた。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
そこには最新の出来事を知っていて、それを伝播でんぱさせる新聞記者が大勢来るから、うわさ評判の源にいるようなものである。
栄一が帰ってきたのは、予報の日取よりも遅れ遅れて、もはや誰も忘れたように、うわさにさえのぼさなくなったころであった。
入江のほとり (新字新仮名) / 正宗白鳥(著)
女は通例自分たちの事をうわさせられるのを、知らずに過ぎるということはないものですが、奇妙に俳諧だけは冷淡視していました。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
島原しまばら切支丹きりしたん退治たいじがあって、血腥ちなまぐさうわさが伝わったのは昨年のことである。
討たせてやらぬ敵討 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
意地の悪そうな四十男。世上のうわさでは、二足の草鞋わらじも履いているという話。八五郎の相手には、少し荷が勝ち過ぎます。
平次はなおも近所のうわさをあさりましたが、馬吉と大同小異で、溝口屋を憎む心には、何か一貫したものがあるようです。
「都のうわさでは御寂しいどころか、御歎きにもなさり兼ねない、御容子ごようすだったとか申していました。」
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
彼の心地に宿った露草の花のようないじらしい恋人もあったのだけれども、このうわさもろくも破れて、実を得結ばずに失せた。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
ナンバワン級の女給のうわさなどが娯楽雑誌や新聞をにぎわせ、何か花々しい近代色がふところの暖かい連中を泳がせていた。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
縹緻きりょうのすぐれた、愛嬌あいきょうのあるその女のうわさが、いつまでもお千代婆さんなどの話の種子たねに残っていた。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
やがて洗ッて持ッて来る、茶を入れる、サアそれからが今日聞いて来た歌曲のうわさで、母子おやこふたつの口が結ばる暇なし。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
近所のうわさによると、蛾虫さなぎのような奇妙な形をした新型牽引車けんいんしゃの試験をしているらしいという。
戦雲を駆る女怪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
妓等が魚家に帰って、しきりに温のうわさをするので、玄機がそれを聞いて師匠にしている措大に話すと、その男が驚いて云った。
魚玄機 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「それでも、お雪ちゃん、お前は今まで、やっぱりイヤなおばさんで通して来て、そのうわさを持ち出されてさえ、逃げたではないか」
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と世間の人のうわさするのが耳にはいる時、もったいなくても自分の妻に得ておれば、そうした物思いはおさせしなかったはずである。
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)
この宮は以前うわさに聞いていたよりも優美な女性らしいが、お気の毒にも良人おっとにお別れになった悲しみのほかに
源氏物語:36 柏木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
世間の人のうわさでは(この噂は事実であった)、彼の食物は三日にパン二斤だけで、そのほかには何もないのであった。
モンフェルメイュで子供を捨てていったようにうわさされている間に、その母親はどうなったか、どこにいたか、また何をしていたか。
ね、もうおわかりでしょう、こうしてしょっちゅうあなたのお邪魔をしにくるのも、あの人のうわさがしたいからですわ。
それからそれつたはりて想像さうぞうのかたまりはかげとなりかたちとなり種々さま/″\うわさとなり
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「ふむ、それはなるほどえらいものだね。私もいろいろうわさには聞いていたが、まさかそれほどとは思わずにいた。」
戯作三昧 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
けれども、悪銭身につかぬ例えのとおり、酒はそれこそ、浴びるほど飲み、愛人を十人ちかく養っているといううわさ
グッド・バイ (新字新仮名) / 太宰治(著)
どこにでもいるうわさ好きな人達が、大声で、見てきたようなうそをいいあったり、猥褻わいせつな想像をしあっては喜んでいる。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
過去のうわさから、過去の記憶から、彼は喜平の胸に投げつくべき言葉の数々を機関銃の弾嚢帯だんのうたいのように繰り出していた。
恐怖城 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
ある日本画の画家で女とうわさの高かった男が去年の夏ごろ死んだということを聞いていたので、それを思いうかべた。
狂乱 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
彼の生死不明のうわさは彼の養っていた畜群が剽盗ひょうとうどものために一匹残らずさらわれてしまったことの訛伝かでんらしい。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
この踊りがうわさに広がって、北は相馬、南は葛飾かつしか、東は佐倉の方面から、小金の町へ人が集まって来ます。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その後、夜な夜な女の姿をした人がこの参籠堂へ物を運んで、忍びやかに来ては、忍びやかに帰るということも人のうわさに上りました。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そうといってああしたことが始終あってはきずを捜し出すことの好きな世間はどんなうわさを作るかが想像される。
源氏物語:10 榊 (新字新仮名) / 紫式部(著)
故人の少弐の家に美しい娘のいるうわさを聞いて、好色な地方人などが幾人いくたりも結婚を申し込んだり、手紙を送って来たりする。
源氏物語:22 玉鬘 (新字新仮名) / 紫式部(著)
彼は彼女の情人らのことを彼女とうわさし、彼女の放逸の話を懇望し、ついにはそれに愉快をさえ感ずるようになった。
荷物が来てから間もなく、誰が言い出したか、あの婆あさんは御殿女中をしたものだと云ううわさが、近所に広まった。
じいさんばあさん (新字新仮名) / 森鴎外(著)
そこへ耳にはいったんだけど、わたしがあの連中にエンドウ豆ばかり食べさせるような、そんなうわさを飛ばしてるの。
桜の園 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
家内中が幾年かの間待暮まちくらしていたのですから、その年も春が過ぎてからは、そのうわさばかりしていました。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
こうしたうわさが、かまびすしくなるにつれ、ひそかに腕をこまねいて考え始めたのは、坂田藤十郎であった。
藤十郎の恋 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
のちに、銭形平次を書くようになって、ガラッ八の八五郎が、誰とでも、すぐに仲よしになって、いろんなうわさぎ出してくる。
胡堂百話 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
互にしのぎを削りながら夜毎不景気知らずの活躍をなしつつあるとの人のうわさをそのまま記すだけにとどめよう。
早稲田神楽坂 (新字新仮名) / 加能作次郎(著)
塀をへだてた隣屋敷の女房たちの口にのぼるうわさだけでも、基経は早くどうにかせねばならんと気をあせらせていた。
姫たちばな (新字新仮名) / 室生犀星(著)
官吏の増俸問題につれて必然起るべく、多数のうわさに上った局員課員の淘汰とうたも、月末までにほぼ片づいた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
うわさをすれば陰のたとえれず迷亭先生例のごとく勝手口から飄然ひょうぜん春風しゅんぷうに乗じて舞い込んで来る。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
狐鹿姑ころくこ単于ぜんうが父のあといでから数年後、一時蘇武が生死不明とのうわさが伝わった。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
紛々たる人のうわさは滅多にあてにならざか児手柏このでがしわ上露うわつゆよりももろいものと旁付かたづけて置いて
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
学円 何にしろ、おむつまじい……ははははは、勝手におうわさをしましたが、何は、お里方、親御、御兄弟は?
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
小間使が二人寄り三人寄り、ほかの女中雇人まで追々集まって、米友の面を指していろいろのうわさをしているのが米友の耳に入りました。
あれは正木の子ではない訥弁とつしょうという役者の子だといううわさが高く一時は口の悪い新聞にまでもうたわれたほどであったが
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
或る日、また、四人が集まっていますと、相変らず仕事場の前をぞろぞろ人が通る。私たちの話は彼の佐竹の原のうわさに移っていました。
日本人の細君をもらつたとかいふうわさもあつたが、そのへんから段々消息がぼやけて来て、まもなく戦争になつた。
夜の鳥 (新字旧仮名) / 神西清(著)
もっとも、早くから許した仲の男があるとも言われ、とにかく、うわさの種の尽きない性質たちの娘だったのです。
けど大勢の生徒たちの前で議論したもんですよって、えらい評判になってしもて、間ものうけったいなうわさひろまるようになりましてん。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
それで今日こんにちまで千代子にどんな候補者があったのか、間接にさえほとんどそのうわさを耳にしなかった。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)