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うわさ
ふりがな文庫
“
噂
(
うわさ
)” の例文
やろうと思っていらっしゃるわけじゃないが、なにぶん世間の
噂
(
うわさ
)
がうるさい。早く捕まえて正体を見せるようにと——こういうお話だ
銭形平次捕物控:039 赤い痣
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
こちらの姫君に心をお
惹
(
ひ
)
かれすることになって、今ではもう世間の
噂
(
うわさ
)
にも上っているだろうと思われるまでになっているのですから
源氏物語:49 総角
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
この大地震も、入水なさった幼い主上始め平家一門の
怨霊
(
おんりょう
)
のたたりではあるまいかと、人々は
噂
(
うわさ
)
をして一層恐れおののくのであった。
現代語訳 平家物語:12 第十二巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
しかし近頃では人の
噂
(
うわさ
)
にものぼるようになったし、数日まえには彼の父親に呼ばれて、忠告をして呉れるようにと頼まれたのである。
落ち梅記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それに、彼は昨年のなか頃からぱったり筆をとらなくなって、どこへ引越してしまったか、住所さえ分らないと云う
噂
(
うわさ
)
を聞いていた。
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
ぽん太はそのころ天下の
名妓
(
めいぎ
)
として名が高く、それから鹿島屋清兵衛さんに引かされるということで
切
(
しき
)
りに
噂
(
うわさ
)
に上った頃の話である。
三筋町界隈
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
三年経ってから
復
(
ま
)
たポツポツと美妙の名が低級な雑誌に見え出して、そういう雑誌の発行者や編輯者の口から
噂
(
うわさ
)
を聞く事があったが
美妙斎美妙
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
当人の小半は代地は場所がらとて便利なだけ定めし近隣の
噂
(
うわさ
)
もうるさかるべく少し場所はわるけれど赤坂の
方
(
ほう
)
望ましきやう
申
(
もうし
)
をり候。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
天明
(
よあけ
)
に及び、四方に
噂
(
うわさ
)
立ち皆いわく、果して相師の言のごとく、妙光女死すといえども、余骸なお五百人に通じ、五百金銭を獲たと。
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
たまにそれとなく入っていって柳沢の留守に
老婢
(
ばあ
)
さんと茶の間の
火鉢
(
ばち
)
のところで、聞かれるままにお前の
噂
(
うわさ
)
ばなしなどをしたりして
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
たった一人、ウイスキーに酔った一人の青年が、言葉の響を娘にこすりつけるようにして、南洋特産と
噂
(
うわさ
)
のある
媚薬
(
びやく
)
の話をしかけた。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「あのときは廷丁に
挨拶
(
あいさつ
)
したのですよ。あなたが被告だということは、私たちは知っていました。こんな
噂
(
うわさ
)
はすぐ広まりますからね」
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
その男はこの間参考品として美術協会に出た
若冲
(
じゃくちゅう
)
の
御物
(
ぎょぶつ
)
を大変に
嬉
(
うれ
)
しがって、その評論をどこかの雑誌に載せるとかいう
噂
(
うわさ
)
であった。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ずいぶんと悪い
噂
(
うわさ
)
もあるが、またなかなかの苦労人と思われるところもあり(前身はなんでもバクチ打ちの経歴まであるということ)
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
彼の悪い
噂
(
うわさ
)
を聞いても、彼らはそのためにかえって好意をいだいた。彼と同じく彼らもまた、この小都市の
雰囲気
(
ふんいき
)
に圧迫されていた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
が、授業の模様、旧生徒の
噂
(
うわさ
)
、留学、
竜動
(
ロンドン
)
、「たいむす」、はッばァと、すぺんさあー——相変らぬ
噺
(
はなし
)
で、おもしろくも何ともない。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
貞之助は附合いの関係でいろいろの機会に花柳界へ足を
蹈
(
ふ
)
み入れることがあるので、よくそう云う方面から奥畑の
噂
(
うわさ
)
を聞いて来る。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
世間の一部では武太郎は借金に苦しんで偽狂人を装っているとかいう
噂
(
うわさ
)
がないでもないが、祖先から伝わった家屋敷も人手に渡り
暴風雨に終わった一日
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
それからは、ハムーチャの
噂
(
うわさ
)
がぱっと
四方
(
しほう
)
に広がりました。ハムーチャの行く先々で、もうその地方の人々が待ち
構
(
かま
)
えていました。
手品師
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
そんなことから、後に紅葉の傑作「
金色夜叉
(
こんじきやしゃ
)
」が出ると、お宮はお須磨さんがモデルで、貫一は
巌谷小波
(
いわやさざなみ
)
氏だという
噂
(
うわさ
)
なども高かった。
大橋須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
部落ではそんな
噂
(
うわさ
)
をしていた。いくらかそんな気持ちもあるにはあったが、伝平夫婦には、馬が伜の耕平に見えて仕方がないのだった。
馬
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
人の一人でも通って来られるような所にはすべて五名ずつの兵隊に道を守らしむる事になったという
噂
(
うわさ
)
、だんだん聞いて見ると事実で
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
十年振りで帰国した鈴木の兄の
噂
(
うわさ
)
、台湾の方の長兄の噂などにしばらく時を送った後、義雄は用事ありげに弟の
許
(
もと
)
を辞し去る支度した。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
しかるに少し気の小さな人が、自分のことを
噂
(
うわさ
)
され、あるいは新聞雑誌に悪く掲げらるれば、再び
起
(
た
)
つ
能
(
あた
)
わざる窮地に
陥
(
おちい
)
るごとく
歎
(
なげ
)
く。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
そう言って帰りかけたが、父は額に
濡手拭
(
ぬれてぬぐい
)
を当て
臥
(
ね
)
そべっており、母はくどくどと近所の
噂
(
うわさ
)
をしはじめ、またしばらく腰を卸していた。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
モンフェルメイュで子供を捨てていったように
噂
(
うわさ
)
されている間に、その母親はどうなったか、どこにいたか、また何をしていたか。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
新聞社の人たちからきいた話では、政界の大物が追放解除になっても、松本治一郎氏だけ解除にならないだろうという
噂
(
うわさ
)
があるそうだね。
チッポケな斧
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
女は通例自分たちの事を
噂
(
うわさ
)
せられるのを、知らずに過ぎるということはないものですが、奇妙に俳諧だけは冷淡視していました。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
その
噂
(
うわさ
)
を聞き伝へ、近隣諸国の人々貧富
貴賤
(
きせん
)
の
別
(
わ
)
かちなく南蛮寺に群集し、
且
(
か
)
つは説教を
聴聞
(
ちょうもん
)
し、且つは投薬の恵みにあづかる。
ハビアン説法
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
もし株主の側から出た
噂
(
うわさ
)
ならだが、営業者間の評判だとすると、父は自分の役目に対して無能力者だと裏書きされているのと同様になる。
親子
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
例
(
たと
)
えば、村の人々の間にはこんな
噂
(
うわさ
)
がされ出していた。この頃、この村へ地震のために気ちがいになった一人の女が流れ込んできている。
三つの挿話
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
僕はこの三、四年の間は誰からも先生の
噂
(
うわさ
)
を聞かない。あの面長の山田先生は或はもう列仙伝中の人々と一しょに遊んでいるのであろう。
本所両国
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
やがて、彼に関する色々な
噂
(
うわさ
)
が伝わって来た。彼がある種の運動の一味に加わって活躍しているという噂を一しきり私は聞いた。
虎狩
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
熊本中ただその
噂
(
うわさ
)
ばかりである。誰はなんと言って死んだ、誰の死にようが誰よりも見事であったという話のほかには、なんの話もない。
阿部一族
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
何か、叔父さんに就いて悪い
噂
(
うわさ
)
でもあるのかね? それあ、いろいろ人は言うだろう。なんにしても、こんどは少し、まずかったからね。
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
恐ろしい人のように言われ、恐ろしい本のように言われていた大杉栄の本を、俺は恐ろしいという
噂
(
うわさ
)
にひかれて読んだのである。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
「いくらか妙に思われますのは、数ヵ月から並びの借家が、いっせいに
店立
(
たなだ
)
ちしましたことで、なぜだろうと私たちは
噂
(
うわさ
)
をしております」
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その
噂
(
うわさ
)
を聞き伝えた奴国の宮の娘を持った母親たちは、
己
(
おのれ
)
の娘に
華
(
はな
)
やかな
装
(
よそお
)
いをこらさせ、髪を飾らせて戸の外に立たせ始めた。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
こんどこそ家屋敷が人手に
渡
(
わた
)
るという
噂
(
うわさ
)
も、卒業のさしせまった富士子の動きをきめられなくしているのだろうと思うと、コトエと同様
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
「何ですぜ、だんな、——何でもこの企ては、判官どの直き直きのお指図だそうでしたね、もっぱらそういう
噂
(
うわさ
)
がたかかったが、なあ?」
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
それは実にその伝播の
迅
(
はや
)
さといっては恐ろしい位のもの、一種の群衆心理と申すか、世間はこの
噂
(
うわさ
)
で持ち切り、人心
恟々
(
きょうきょう
)
の体でありました。
幕末維新懐古談:18 一度家に帰り父に誡められたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
現に自分はこの屋敷に生まれて二十八年の月日を送っているが、自分は
勿論
(
もちろん
)
のこと、誰からもそんな
噂
(
うわさ
)
すら聞いたことがない。
半七捕物帳:01 お文の魂
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
こんな
噂
(
うわさ
)
を聞こうものなら、何べん同じ噂を聞いても、人の前にいられなくなって、なんとか言って寝てしまうのが常である。
春の潮
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
『ほかでもないが、藩邸の中で、近頃しきりに
噂
(
うわさ
)
にのぼるらしいが——何か、
噂
(
うわさ
)
の火元は、
其許
(
そこもと
)
自身の口からだと人は申すが』
濞かみ浪人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そなたが、江戸に下られた
噂
(
うわさ
)
は、
瓦版
(
かわらばん
)
でも読んでいた。いやもう、大変な評判で、
嬉
(
うれ
)
しく思う。さあこれへ進まれるがよい」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
昼は昼で、君の
噂
(
うわさ
)
をし、君の仕事のことを話題にし、君をわれわれの誇りとし、君の名を
畏
(
おそ
)
れ
謹
(
つつし
)
んで口にのぼせていたものだ。
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
よく芸者などが客や
朋輩
(
ほうばい
)
の
噂
(
うわさ
)
をしていました。夜は仕事をしまった男たちが寄って来て、歌うやら騒ぐやら、
夜更
(
よふけ
)
まで
賑
(
にぎ
)
やかなことでした。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
それが今日掘切の中でこごえて死んでいたという。清三は湯につかりながら、村の人々のさまざまに
噂
(
うわさ
)
し合うのを聞いていた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
見得を
搆
(
かま
)
はず豆なり栗なり気に入つたを喰べて見せておくれ、いつでも
父様
(
ととさん
)
と
噂
(
うわさ
)
すること、出世は出世に相違なく、人の見る目も立派なほど
十三夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
仲間の小野は東京へ
出奔
(
しゅっぽん
)
したし、いま一人の津田は福岡のゴロ新聞社にころがりこんで、ちかごろは
袴
(
はかま
)
をはいて歩いているという
噂
(
うわさ
)
であった。
白い道
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
“噂”の解説
噂(うわさ)は、その内容が事実であるかどうかを問わず、世間で言い交わされている話のこと。類義語として流言、飛語(蜚語)、風説、デマ、ゴシップなどがある。語源は「浮沙汰(うわさた)」である。デマの流布行為は名誉毀損・信用毀損罪や偽計業務妨害罪に問われる。
噂は口コミ、また歴史的には落書(落し文)、現代ではインターネットなどの媒体を通じて流布される。
(出典:Wikipedia)
噂
漢検準1級
部首:⼝
15画
“噂”を含む語句
噂話
御噂
噂好
噂咄
金鯱噂高浪
名大津画噂一軸
噂出
噂種
噂立
噂計
御噂承
御噂申出