“御物”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ぎょぶつ61.1%
ぎよぶつ16.7%
おもの11.1%
おんもの5.6%
ごもつ5.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その男はこの間参考品として美術協会に出た若冲じゃくちゅう御物ぎょぶつを大変にうれしがって、その評論をどこかの雑誌に載せるとかいううわさであった。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
雲林うんりんを見たのは唯一つである。その一つは宣統帝せんとうてい御物ぎよぶつ今古奇観きんこきくわんと云ふ画帖ぐわでふの中にあつた。画帖の中のは大部分、薫其昌とうきしやうの旧蔵にかかるものらしい。
支那の画 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
殿の御物おものはますます増長し、小枕こまくらほどになったことで、あおのけに寝た腹の上に、ふぐりが大々と盛りあがり、石灯籠の子持笠のように見えた。
玉取物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
富木どきどのの御物おんものがたり候は、このはわ(母)のなげきのなかに、りんずう(臨終りんじう)のよくをはせしと、あまがよくあたり、かんびやうせしことのうれしさ
表慶館で彼は利休の手紙の前へ立って、何々せしめそろ……かね、といった風に、解らない字を無理にぽつぽつ読んでいた。御物ごもつ王羲之おうぎしの書を見た時、彼は「ふうんなるほど」と感心していた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)