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喧伝
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けんでん
ふりがな文庫
“
喧伝
(
けんでん
)” の例文
芳町
(
よしちょう
)
の
奴
(
やっこ
)
と
嬌名
(
きょうめい
)
高かった妓は、
川上音次郎
(
かわかみおとじろう
)
の妻となって、新女優の始祖マダム
貞奴
(
さだやっこ
)
として、我国でよりも欧米各国にその名を
喧伝
(
けんでん
)
された。
明治美人伝
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
しかもこの両者を圧倒する若手の売出し役者はかの福助で、それが花のなかの花と
謳
(
うた
)
われて、新駒屋の艶名が東京市中に
喧伝
(
けんでん
)
されていた。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
象牙
(
ぞうげ
)
で無際限の変化——物象を真実に描写したものから、最も架空的な、そして伝統的なものに至る迄のすべて——が、
喧伝
(
けんでん
)
されている。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
武蔵と巌流の試合が
喧伝
(
けんでん
)
されてから後のもので、その以前は、
船島
(
ふなしま
)
とよばれていたし、その船島という名も、附近の
俚俗
(
りぞく
)
の呼び慣わしで
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし、この語が、かかる状態で世に
喧伝
(
けんでん
)
せられているに
拘
(
かか
)
わらず、それが何を指しているかは、実は明かに示されていないといってもよい。
日本精神について
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
▼ もっと見る
弓を執らざる弓の名人は彼等の
誇
(
ほこり
)
となった。紀昌が弓に
触
(
ふ
)
れなければ触れないほど、彼の無敵の評判はいよいよ
喧伝
(
けんでん
)
された。
名人伝
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
既に社会の裏面に普及しつつあるかは
時々
(
じゝ
)
喧伝
(
けんでん
)
せらるゝ学生、農民、労働者の
騒擾
(
さうぜう
)
に依りて、乞ふ其一端を観取せられよ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
リストもビューローも続いてドヴォルシャークを紹介し、その名が
喧伝
(
けんでん
)
すると共に、プラハの音楽院はさっそく作曲法の教授として彼を迎えた。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
この話は、たちまち幾百里の
山河
(
さんが
)
を隔てた、
京畿
(
けいき
)
の地まで
喧伝
(
けんでん
)
された。それから
山城
(
やましろ
)
の貉が
化
(
ば
)
ける。
近江
(
おうみ
)
の貉が化ける。
貉
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
既にして君の文名は朋友の間に
喧伝
(
けんでん
)
せり。君は先づ
深邃
(
しんすゐ
)
なる批評家として著れ、更に無韻の詩人として著れ、更に理想的の劇曲家として著れんとせり。
北村透谷君
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
懸賞金百円の
沙汰
(
さた
)
即日四方に
喧伝
(
けんでん
)
して、土地の男女老若を問わず、我先にこの
財
(
たから
)
を
獲
(
え
)
んと競い
起
(
た
)
ち、手に手に鎌を取りて、へいげん門外の雑草を刈り始めぬ。
金時計
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一時世間に
喧伝
(
けんでん
)
せられたのでありますが、世間には私同様、もっとも通俗的な千代の句によって初めて俳句というものに接した人も少なくなかろうと思います。
俳句とはどんなものか
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
この淡島堂のお堂守時代が椿岳本来の面目を思う存分に発揮したので、奇名が忽ち都下に
喧伝
(
けんでん
)
した。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
老朽
(
おいく
)
ちて行くその身とは反対に、年と共にかえって若く華やかになり行くその名声をば、さしもに広い大江戸は愚か
三ヶ
(
さんが
)
の
津
(
つ
)
の隅々にまで
喧伝
(
けんでん
)
せしめた一代の名著も
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
西蝦夷地のイシカリ港と
喧伝
(
けんでん
)
されたこともあったのだが——その頃の目をもってすれば、後の従五位下の開拓判官松浦竹四郎にしても、その名著『西蝦夷日誌』に於て
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
事件の後、世間には人獣混血の説が
喧伝
(
けんでん
)
された。恩田は生るべからざるに生れた地獄の子であったというのだ。彼らの
論拠
(
ろんきょ
)
は、恩田の父親がなぜあれほど豹を愛したか。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
といわれるほど天衣無縫の棋力を
喧伝
(
けんでん
)
されていた坂田も、現在の棋界の標準では、六段か七段ぐらいの棋力しかなく、天才的棋師として後世に記憶される人とも思えない。
可能性の文学
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
小説を書いて、たとえばそれが傑作として世に
喧伝
(
けんでん
)
され、有頂天の歓喜を得たとしても、それは一瞬のよろこびである。おのれの作品に対する傑作の自覚などあり得ない。
猿面冠者
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
こんどは逆にひどくそれが誇張した
噂
(
うわさ
)
となって
喧伝
(
けんでん
)
された、かれはほとんど英雄にさえなった。
青竹
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
御茶の水殺人事件とて当時の東京に
喧伝
(
けんでん
)
したる、特にこの事件のために新聞の雑報小説に残酷なる傾向を促したりとまで称へらるる事件の被害者「この」の
屍骸
(
しがい
)
の
横
(
よこた
)
はりたるは
四百年後の東京
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
一時
喧伝
(
けんでん
)
された奥州佐久間の孝女お竹なる者が生仏として霊験をあらわすという
談
(
はなし
)
を前篇四冊後篇三冊に編んだもので、三馬としては当て込みを狙ったちょっと得意の作であった。
仇討たれ戯作
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
実は当時のゴシップ好きの連中が
尾鰭
(
おひれ
)
をつけていろいろ面白そうに
喧伝
(
けんでん
)
したのが因であって、本人はむしろ無口な、非社交的な非論理的な、
一途
(
いちず
)
な性格で押し通していたらしかった。
智恵子の半生
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
ヘクザ館から発見された宝石や古代金貨の
噂
(
うわさ
)
は、たちまち全世界に
喧伝
(
けんでん
)
された。それはいまの金に
換算
(
かんさん
)
すると、
零
(
れい
)
という字を、いくつつけてよいかわからぬほど、
莫大
(
ばくだい
)
なものになろうという。
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その評判は欧州はもちろん、全世界の新聞に
喧伝
(
けんでん
)
されているから、記憶している読者もあろう。秘密裁判だった。密偵部第二号の選択によって、
報
(
しら
)
せていいことだけ公表されているにすぎない。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
その少数の自由思想家という人たちもいわゆる「新しい女」の名に由って
喧伝
(
けんでん
)
せられ、その言論は比較的世人の注意を引いているようですけれど、思想としては最も太切な個人的自発の力に乏しく
婦人改造と高等教育
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
ヨーロッパ人の中に生まれた自由の理も
喧伝
(
けんでん
)
せられ、民約論のたぐいまで紹介せられて、
福沢諭吉
(
ふくざわゆきち
)
、
板垣退助
(
いたがきたいすけ
)
、植木
枝盛
(
えもり
)
、馬場
辰猪
(
たつい
)
、中江
篤介
(
とくすけ
)
らの人たちが思い思いに、あるいは文明の急務を説き
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
往年
(
さきのとし
)
、
鬼怒川
(
きぬがわ
)
水電水源地工事の折、世に
喧伝
(
けんでん
)
された
状況
(
ありさま
)
を幾層倍にして、今は大正の聖代に、
茲
(
ここ
)
北海道は
北見
(
きたみ
)
の一角×××川の上流に水力電気の土木工事場とは
表向
(
おもてむき
)
、監獄部屋の
通称
(
とおりな
)
が数倍判りいい
監獄部屋
(新字新仮名)
/
羽志主水
(著)
あれほどの名刀がそんなにも
嫌忌
(
けんき
)
されたか、この話の中心ともなるべきものでございますから、簡単にその理由を説明しておきますが、いくつか説のあるうちで、今に最もよく
喧伝
(
けんでん
)
されているものは
右門捕物帖:07 村正騒動
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
あゆはまだまだ
喧伝
(
けんでん
)
させてよいであろう。
若鮎の塩焼き
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
遊女の
艶話
(
つやばなし
)
は一般に
喧伝
(
けんでん
)
され易く、学者の功績はとかく忘却され易いのも、世の習いであろう。それはいわゆる
甘藷
(
かんしょ
)
先生の
青木昆陽
(
あおきこんよう
)
の墓である。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
すべてがそうであるというのでないことは勿論である。が、世に
喧伝
(
けんでん
)
せられる考説のうちに却ってこういうものが少なくないように見うけるのである。
日本上代史の研究に関する二、三の傾向について
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
渦巻の模様の中心となった
流行
(
はやり
)
ッ
児
(
こ
)
の
俳優
(
やくしゃ
)
——ニコポン宰相の名を呼ばれ、空前とせられた日露戦争中の
大立物
(
おおだてもの
)
——お鯉の名はいやが上に
喧伝
(
けんでん
)
された。
一世お鯉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
数年前に、京都の一乗寺で、その武蔵が、吉岡一門の何十名を相手にして打ち勝った——というようなことは一時
喧伝
(
けんでん
)
されたが、すぐその反対説が出て
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼の豪壮(?)な邸宅の噂は、やがてカヌーに乗って、遠くフィジー、トンガ諸島あたり迄
喧伝
(
けんでん
)
された。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
今世紀の初頭から第一次欧州大戦前まで、最も大胆にして革命的な音楽家として
喧伝
(
けんでん
)
された。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
実は当時のゴシツプ好きの連中が
尾鰭
(
をひれ
)
をつけていろいろ面白さうに
喧伝
(
けんでん
)
したのが因であつて、本人はむしろ無口な、非社交的な非論理的な、
一途
(
いちず
)
な性格で押し通してゐたらしかつた。
智恵子抄
(新字旧仮名)
/
高村光太郎
(著)
続いて金港堂から美妙斎を主筆とした『
都之花
(
みやこのはな
)
』とが発行されて、純文芸雑誌としてのエポックを作ったので、美妙斎の名は忽ち
喧伝
(
けんでん
)
されて、トントン拍子に一方の
旗頭
(
はたがしら
)
と
成済
(
なりす
)
ましてしまった。
美妙斎美妙
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
テイラー博士「ウラニウム爆弾が使用されねばならぬと盛んに
喧伝
(
けんでん
)
されていますが、余の意見としては、
わが国
(
ユー・エス・エー
)
にはウラニウムの手持がすくなく、
到底
(
とうてい
)
このたびの戦争の間に合いかねると考えます」
諜報中継局
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
粗忽者といってもどの程度に粗忽なのかはよく分らない、いちどそういう評判をとってしまうとつまらぬ失策まで真らしく
喧伝
(
けんでん
)
されるもので、ときには他人の分まで背負わされることも珍しくはない。
粗忽評判記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
一度この弟子の代りをした
中童子
(
ちゅうどうじ
)
が、
嚏
(
くさめ
)
をした拍子に手がふるえて、鼻を
粥
(
かゆ
)
の中へ落した話は、当時京都まで
喧伝
(
けんでん
)
された。——けれどもこれは内供にとって、決して鼻を苦に病んだ
重
(
おも
)
な理由ではない。
鼻
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
私は、救い難き、ごろつきとして故郷に
喧伝
(
けんでん
)
されるに違いない。
善蔵を思う
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
両家のもつれを知る者は、これは只事の試合でないと、噂はいやが上に立って、在府の大名旗本の間、後には市中の町人にまで未曾有なことに
喧伝
(
けんでん
)
された。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
我来也の名は
都鄙
(
とひ
)
に
喧伝
(
けんでん
)
して、賊を捉えるとはいわず、我来也を捉えるというようになった。
中国怪奇小説集:11 異聞総録・其他(宋)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ワルツの王という別名の方が
喧伝
(
けんでん
)
されているくらいだ。美しいウィーン風のワルツをたくさん作曲し、その一つ一つが珠玉のように美しい。通俗音楽の王と言っても差しつかえはあるまい。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
文人墨客の間を縫うて、彼女の名は
喧伝
(
けんでん
)
されたのであった。
明治美人伝
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
伝えられる五路の作戦による魏の大侵略の相貌は、次のようなものだと一般のあいだにも
喧伝
(
けんでん
)
された。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ここに大きい劇場が新しく建てられるというので、その噂が好劇家の間に
喧伝
(
けんでん
)
されたが、座名がまだはっきりと
判
(
わか
)
らないので、あるいは歌舞伎座といい、あるいは歌舞座とも伝えられた。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そうして、
櫓下
(
やぐらした
)
のお半殺しが、江戸の町に
喧伝
(
けんでん
)
されて、まだ噂も消えない四日目の
黄昏
(
たそが
)
れ頃である。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かくては自分の名声とやらは
喧伝
(
けんでん
)
されるにきまっているが、彼は今、決してそんなものを求めていなかった。むしろ、もっと独りの
沈潜
(
ちんせん
)
と、独りの
黙思
(
もくし
)
とを必要としている。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その憂いが、果たせる哉、佐久間追放の罪状のひとつとして、世上に
喧伝
(
けんでん
)
されたので
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“喧伝”の意味
《名詞》
喧伝(けんでん)
世に広く言い囃すこと。
(出典:Wiktionary)
喧
漢検準1級
部首:⼝
12画
伝
常用漢字
小4
部首:⼈
6画
“喧”で始まる語句
喧嘩
喧
喧騒
喧噪
喧々囂々
喧囂
喧嘩腰
喧々
喧擾
喧嘩面